DeFiとは?ジャンル別に徹底解説 | 代表プロジェクトも紹介
airutosena
TVL(Total Value Locked)が2022年のピーク時では約$210b(約29兆円)にのぼるなど、金融分野に革命を起こしているDeFi。
しかしDeFiにはさまざまなプロダクト・ジャンルが存在しており「正直よく分からない」という方も多いかと思います。
本記事ではそのような方に向けて、DeFiの概要から注目したい代表的なさまざまなプロダクトをジャンル別にご紹介していきます。
混沌としているDeFiについて、本記事を参考に把握し数十年に一度の時代の変化について押さえていきましょう。
目次
成熟しつつあるDeFi
DeFiは「Decentralized Finance」の略で、日本語では分散型金融と訳されます。
DeFiとは、既存の古い金融サービス・エコシステムに取って代わるよう仕組みを、イーサリアムといった分散型のチェーンを活用することで、非中央集権的な金融サービスを実現する仕組みや枠組みの総称です。
DeFiは、既存の金融システムと比較して以下のような特徴を持っています。
既存の金融システム | DeFi |
---|---|
センサーシップ | データは自分だけのもの |
一部の人々しかアクセスできない | オープンで誰もがアクセス可能 |
ブラックボックス | 高い透明性を持つ |
カウンターパーティーリスク | 検証可能なコード |
CT analysisの「2022年5月度版DeFi市場レポート」のデータでは、代表的なイーサリアムにおける*TVLは12兆円を超えています。
*TVL = Tatal Vallue Lockedのことで、ここではチェーンにロックされている金額を指す
これはあくまでイーサリアムのみの数字であって、BSCやAvalancheといった他のチェーンを含めると、DeFiにロックされている金額はより多くなります。
記事執筆時点では、市場全体でロック総額が落ち込み気味ではあるものの、すでに非常に大きな規模になっていることが分かるでしょう。
CT analysisでは、各チェーンのTVLやDEX出来高、各月で発生したDeFi関連の注目ニュースなど、DeFi市場に関するレポートを毎月無料で公開しています。
毎月のDeFi市場をまとめて無料でチェック可能となっているので、DeFiに少しでも興味がある方はぜひレポートをご覧ください。
DeFiの3つのジャンル「DEX」「レンディング」「デリバティブ」
「具体的に分散型金融と言ってもどんなものか分からないし想像できない・・・」という方も多いはずです。
そのため、これから多数のプロダクトがローンチされているDeFi領域において、人気の高いジャンルを以下の3つから解説していきます。
・レンディング
・デリバティブ
DeFi市場において人気の高いジャンルをチェックしていきましょう。
DEX
おそらく、最もイメージしやすく分かりやすいDeFiのジャンルが「DEX」です。
DEX(Decentralized Exchange)は、日本語で「分散型金融所」を指します。
ブロックチェーンの技術を活用して構築された分散的な取引所のことで、DEXを活用すれば企業や業者などの仲介者を挟まずとも、コントラクトを通して仮想通貨の取引が可能です。
2022年5月におけるDEXの出来高は16兆円を超えており、これはCEX(中央集権的な取引所)における出来高の10%以上に相当します。
数ヶ月単位で見て、対CEXとの%が伸びていることが分かるでしょう。
レンディング
レンディングは「資産の貸し借り」が可能なプロダクトのことです。
レンディングでは、DEXと同じく企業や業者などの仲介者を必要とせずに、仮想通貨を貸したり借りたりすることができます。
レンディングを活用すれば、自身が保有している仮想通貨を貸し出して利息を得たり、貸し出したものを担保に借り入れを行うことができます。
デリバティブ
最後のジャンルが「デリバティブ」です。
DeFiにおけるデリバティブでは原資産を元にした取引はもちろん、既存の金融システムにもあるようなさまざまなデリバティブ取引を、仲介者不在で実現しています。
DeFiにおけるデリバティブで扱われている商品や取引は多種多様ですが、各資産などをトークン化しブロックチェーン上に実装していることが多いです。
DEXやレンディングと比較して規模は小さいものの、運用上のリスクヘッジとしての活用が期待されており、今後DeFiがより成熟していく上で、重要になっていくと見られています。
DeFiのジャンル別の代表的なプロダクト
これから、前述した「DEX」「レンディング」「デリバティブ」の中で、代表的なものや知名度の高いプロトコルやプロダクトをご紹介していきます。
各ジャンルの代表的なプロダクトをチェックして、DeFiの実例や提供されているサービス、特徴の違いなどをチェックしていきましょう。
DEX系プロダクト3選
DEX系の代表的なプロダクトには、以下の3が挙げられます。
・PancakeSwap
・Curve
Uniswap
チェーン | イーサリアム、Polygon、Arbitrum、Optimism |
ティッカー | UNI |
1日あたりの取引高(2022年7月3日時点時点) | 約710億円(V3) |
TVL(2022年7月3日時点時点) | 約6,000億円 |
Uniswapは、記事執筆時点で取引高No.1のDEXです。(DEX間での取引高)
Uniswapを模倣したプロジェクトは多数見られますが、依然としてDeFiやAMMの領域において代表的な存在となっています。
2022年6月には、NFTアグリゲーターであるGenieを買収したことを発表し、今後Uniswap関連のプロダクトとの統合される旨も発表されました。
今後も注目していきたいDeFi領域におけるプロダクト・プラットフォームに挙げられます。
分散型取引所プロトコル「Uniswap」の登録方法と使い方を徹底解説
PancakeSwap
チェーン | BSC |
ティッカー | CAKE |
1日あたりの取引高(2022年7月3日時点時点) | 約200億円(V2) |
TVL(2022年7月3日時点時点) | 約4,000億円 |
PancakeSwapは、BSCで最も高い取引高・TVLを持つDEXです。
基本的な仕様はUniswap・Sushiswapといったイーサリアムに展開している代表的なDEXと大きな違いはありません。
BSCで最も取引高の高いDEXという点から、BSC版のUniswapに近しい存在であると言えるでしょう。
PancakeSwapがNFTマーケットプレイスを開発していることを発表
Curve
チェーン | イーサリアム、Polygon、Avalanche、Fantom、Arbitrum、Gnosis、Optimismなど |
ティッカー | CRV |
1日あたりの取引高(2022年7月3日時点時点) | 約160億円 |
TVL(2022年7月3日時点時点) | 約7,000億円 |
Curveは、何らかの資産と価格が連動しているペッグ系のトークンのみを専門に扱っているDEXです。
USDT・USDC間や、wBTC・sBTC間などを取引可能になっています。(Synthetixの枠組みを活用することで異なる資産間の取引も対応)
スリップページが発生しにくいなど、さまざまなメリットが見られます。
ソフトペッグトークン専用AMM DEX「Curve」の基本的な使い方・リスクを徹底解説!
レンディング系プロダクト3選
次に、レンディング系の代表的なプロダクトを以下の3つからご紹介していきます。
・Compound
・Venus
AAVE
チェーン | イーサリアム、Polygon、Avalancheなど |
ティッカー | AAVE |
TVL(2022年7月3日時点時点) | 約9,000億円 |
AAVEは、記事執筆時点で最もTVLの高いレンディング系のプロダクト、プラットフォームです。
多数のチェーン・トークンに対応しており、選択肢が非常に多いです。
また、通常のレンディング系のプラットフォームでは需要と供給に応じて金利が変動するのが一般的ですが、AAVEでは設定時には不利な金利となるものの、固定金利が設定できるといった特徴を持っています。
DeFi市場におけるレンディングプロトコル「Aave」の基本的な使い方・リスクを徹底解説!
Compound
チェーン | イーサリアム |
ティッカー | COMP |
TVL(2022年7月3日時点時点) | 約4,000億ドル |
Compoundは、記事執筆時点でTVL第2位に位置しているレンディングプラットフォームです。
他のレンディンと比較するとトークンのバリエーションが少ないものの、大きな規模を持っているレンディングプラットフォームであると言えるでしょう。
DeFiレンディング「Compound」の基本的な使い方を徹底解説!金利を稼ぐ手段まとめ
Venus
チェーン | BSC |
ティッカー | XVS |
TVL(2022年7月3日時点時点) | 約1,000億円 |
Venusは、BSCのレンディング系のプロダクトです。
BSCにおいて最も高いTVLを持っており、BSCにおける代表的なレンディングプロダクトに挙げられます。
基本的なレンディングとしての機能を持っているのはもちろん、貸し付けた資産を元にVAIというドルと価格が連動しているトークンを発行できるといった特徴を持っています。
DeFiレンディングプロトコル「Venus Protocol」の基本的な使い方・リスクを徹底解説!
デリバティブ系の代表格・Synthetix
チェーン | イーサリアム |
ティッカー | SNX |
TVL(2022年7月3日時点時点) | 約500億円 |
Synthetixは、デリバティブ系のプラットフォーム・プロダクトの代表格の1つに挙げられます。
Synthetixは、合成資産と呼ばれるデリバティブの金融商品をトークン化したものを扱っています。
利用者はSynthetixのSNXを担保にして、合成資産を発行可能です。
Synthetixの登場によって、今後オンチェーンに存在しないような商品も、チェーン上で取引できるようになるかもしれません。
【収益トップクラス】合成資産プロトコル「Synthetix」の概要や使い方を解説
【知っておきたい】L2ソリューションについて
これまで、レンディングやDEXなどをご紹介してきましたが、「Layer2(以下L2)」のソリューションを活用するとDeFiはさらに便利になる可能性を秘めています。
L1のチェーン(イーサリアムであればイーサリアムメインネット)で処理しきれない計算を、L2のソリューションで代替することで、ガス代軽減や処理速度の向上が期待できます。
前述したようなプロダクトの中にも、トランザクションが集中してくるとガス代が高騰するケースも多いです。
DeFiを利用する過程で、ガス代や処理速度にストレスを感じたら利用を検討するのがおすすめです。
L2の中でもロールアップ系のものは、以下の2点をすでに詳細に解説していますので、ぜひご覧ください。
・L2ネットワーク「Arbitrum One」の概要や設定方法、基本的な使い方からリスクまで徹底解説!
・L2ネットワーク「Optimistic Ethereum」| 概要・使い方・リスクまで徹底解説!
まとめ
本記事では、さまざまなDeFiについてご紹介しました。
クリプトの業界では日々新たなDeFiプロダクトが登場するだけでなく、既出のプロダクトであっても魅力的なアップデートが日々実装されています。
DeFiの領域は、今後も注目していきたいトピックの1つであると言えるでしょう。
是非本記事を参考に、DeFi情報のピックアップにご活用ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。