ビットコインの匿名送金は追跡できる?米控訴審が分析ソフトを容認
よきょい
米連邦控訴裁判所は、ミキシングサービス(送金経路をわかりにくくするサービス)「ビットコイン・フォグ」を運営したとして有罪判決を受けたロマン・スターリンゴフ被告の控訴を退けました。一審の有罪判決と禁錮150カ月の刑が維持されています。
争点の一つは、ブロックチェーン分析企業チェイナリシスの追跡ソフト「Reactor」に基づく専門家証言の扱いでした。同社は10月13日に公表した解説で、この判決をReactorの信頼性を裏付けるものと位置づけています。
FBIの捜査官とチェイナリシスの分析担当者は、Reactorが90万を超えるビットコインアドレスをビットコイン・フォグに帰属させたと証言しました。両証人はソフトが査読を受けておらず誤り率も把握していないと認めましたが、裁判所は証人の経験、後の捜査で得た情報との照合、手法の説明、裏付け証拠などを根拠に証言を認めました。捜査側が把握していた5つのアドレスのうち、Reactorが特定したのは4つでした。被告側は誤り率20%と主張しましたが、控訴審は、無関係なアドレスを誤って含めたのではなく範囲を控えめに絞った結果だとする一審の判断を支持しました。
被告はソースコードの開示も求めましたが、一審は保護命令のもとで推定手法を弁護人や資格のある専門家に開示する一方、追跡回避に悪用される懸念から被告本人の閲覧を制限しました。被告側の専門家は、開示資料の確認自体を拒んでいたとされます。
控訴審は一審が繰り返し求めたにもかかわらず、コードが防御に必要な理由を被告が説明しなかった点を重視しました。証人対質権や適正手続きに関する主張も退けています。
今回の判断は、手法の説明や裏付けがあれば非公開の追跡ソフトに基づく証言も証拠として認められうることを示しました。ただし、ソースコード開示を退けた理由は必要性の説明不足や主張の手続き面にあり、事例に即した判断とされています。また、アドレスがサービスに属すると示すことと、運営者や顧客個人を特定することは別の問題です。
ブロックチェーン分析を使った刑事訴追のあり方に、一つの目安を与える判決となりそうです。
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