米中間選挙で半導体株はどう動く?争点は「データセンター」
米国では11月3日に中間選挙が実施され、上下両院の勢力図が決まります。10月の株式市場ではAI(への巨額投資が収益に結び付くのかという懸念から、半導体などハイテク株が大きく売られました。選挙結果はAIの基盤となるデータセンターや半導体をめぐる政策の行方を通じて、こうした銘柄の評価に影響する可能性があります。特に今回の選挙では、データセンターそのものが有権者の関心を集める争点となっています。
トランプ政権は中国とのAI開発競争に勝つことを掲げ、データセンターや送電網の許認可を迅速化するなど、建設を後押ししてきました。一方、2026年1月15日には通商拡大法232条に基づき、エヌビディアのH200やAMDのMI325Xを含む一部の先端半導体に25%の関税を課しています。ただし米国内のデータセンター建設や半導体の国内生産を支える輸入は対象外とされました。政権はより広範な半導体関税の可能性にも言及しており、通商政策も業界にとって不確実性の一つとなっています。
データセンターが争点化した背景には電気料金の上昇があります。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、2025年の米国の家庭向け電気料金は前年比7%上昇しました。民主党は2025年のバージニア州とニュージャージー州の知事選で電気料金の上昇をデータセンターと結び付けて訴え、いずれも勝利しています。ロイターとイプソスが6月に実施した世論調査では77%がデータセンターによる電気料金の上昇を懸念し、地元への建設に民主党支持者の3分の2、共和党支持者の半数が反対すると回答しました。
争点は「環境」より「電気料金」
民主党がデータセンターに反対するとすれば、その理由は環境保護よりも生活費の負担が中心になりそうです。S&Pグローバルは今回の選挙で民主党の主張が気候変動対策から電気料金などの負担軽減へと軸足を移していると分析しています。民主党はデータセンターに自前でクリーン電源を確保させる方針を掲げ、共和党は安定電源の拡充や石炭火力の廃止延期を重視しています。共和党内でも建設の一時停止を求める声が出ており、オハイオ州では接戦を戦う共和党のハステッド上院議員が、データセンター関連の法案を提出しています。
市場への影響について、シティは中間選挙がS&P500全体のファンダメンタルズに与える影響は限定的で、影響は業種ごとに表れやすいとの見方を示しています。とりわけ民主党が両院を制した場合に業種レベルの影響が出やすいとしています。バンク・オブ・アメリカのハートネット氏らは8月のリポートで、共和党が上院を維持すればAI関連の半導体株が一段と上昇する可能性を指摘しました。
民主党が議会で多数派となっても関税や輸出規制、許認可の多くは大統領の権限に属するため、連邦レベルで政策が一気に転換する可能性は低いと見られます。ただし議会の公聴会や調査、州や地方レベルでの建設規制、データセンターに電力コストの負担を求める料金制度の見直しなどが進めば建設コストや計画の遅れにつながる可能性があります。
AI向けに事業転換を進めるビットコインマイナーなど、仮想通貨関連企業にとっても無関係な話ではないでしょう。選挙後はデータセンターへの電力供給をめぐるルールづくりが、半導体株の評価を左右する新たな材料となりそうです。
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