Ethereum(イーサリアム)の『ERC』って何?メジャーな規格を徹底解説!

2018/06/28・

Yuya

Ethereum(イーサリアム)の『ERC』って何?メジャーな規格を徹底解説!

Crypto Times公式ライターのYuya(@yuyayuyayayu)です。

新出プロジェクトのリサーチをしていると、「ERCトークン」という言葉をよく目にします。

これがイーサリアムベースのトークンであるというざっくりとしたイメージは沸きますが、正確な仕組みや特徴はなかなか掴みにくいところがあります。

そこでこの記事では、「ERCとはなにか」そして「ERCにはどのような種類があるのか」といった疑問を徹底的に解決したいと思います。

ERCトークンとは?

イーサリアムブロックチェーンのソースコードはGithubに公開されており、誰でもこれをベースにしてブロックチェーンを構築することができます。

一般的に、このようなイーサリアムベースのブロックチェーンで使用されるトークンERCトークンと呼びます。

有名なERCトークンの例として、Binance Coin / $BNB OmiseGo / $OMG が挙げられます。

また、将来的に独自のコードやネットワークを開発する計画を立てているプロジェクトも、仮トークンをイーサリアムネットワーク上で発行してICOで配布することができます。

このようなケースに当てはまるのは、6月初めにイーサリアムネットワークからメインネットのローンチを行い、独自のブロックチェーンへ独立したEOSTronなどが挙げられます。

時価総額トップ10のERCトークン | CoinMarketCapより

「ERC」って何の略?

より正確には、ERCとはEthereum Request for Commentsの略で、イーサリアムブロックチェーン上にトークンを導入する際に使われるスマートコントラクトの規格のことを指します。

「ERC」の後の番号はGithubで提案された順番を示しています。ERC-20なら20番目、ERC-998なら998番目に提案されたものであるということになります。

現段階で存在するERCトークンのほとんどはERC-20という規格を使用しています。

しかし、そのほかにもERC-223、ERC-721、ERC-998などの新たな規格も登場しており、それぞれが異なった特徴を帯びています。

ERC-20規格とは?

現在開発されているイーサリアムベースのブロックチェーンのほとんどはERC-20と呼ばれるトークン規格を使用しており、その通貨数は約83,400銘柄にものぼるとされています。

この規格にはあまりユニークな特徴はなく、トークンの最大発行枚数を設定できたり、アドレス間でのトークンの送受信ができるなどといった基本的な機能のみが備わっています。

このトークン規格の最大の強みは、現在存在するERCトークンのほとんどがこのERC-20規格を利用しているという点にあります。

これはどういうことかというと、デベロッパーはDappsやスマートコントラクトをERC-20規格に沿ったトークンに対応させることによって、トークンひとつひとつを個別に処理する手間を省けるということです。

例えば、仮想通貨ウォレットや取引所を開発したい場合、新しく登場するトークンを都度個別に対応させるのではなく、ERC-20規格トークンというくくりで全てを対応させることで作業時間を大幅に短縮することができます。

まとめると、ERC-20とはトークンの流通に関する基本的な機能を備えた規格で、その普及度の高さから同規格のトークン同士の互換性がとても優れている、といえるでしょう。

ERC-20の拡張版となる規格

ERC-20は2015年に開発された比較的古い規格で、近年では同規格に存在する問題点を改善したり、新たな機能を追加した規格案が登場してきています。

このような新しい規格案はERC-20との互換性があるため、既存のサービスとの統合も比較的容易に行えるものと考えられます。

このような拡張規格案のなかでメジャーなものをいくつか紹介します。

ERC-223

ERC-20規格の機能に加え、トークンが稀にスマートコントラクト内に取り残されてしまうバグを修正したものERC-223トークン規格と呼ばれるものです。

また、この規格はgasと呼ばれるネットワーク処理の手数料をERC-20規格よりも抑えることができるともされています。

しかし、上記のバグは他の様々な案件で修正されることが見込まれています。

また、現在この規格を使用したトークンはほぼ皆無に等しいため、ERC-20トークンの完璧な上位互換にはなり難いと考えられます。

詳しくは下記の記事でも書かれているので参考にしてください。

ERC-621

ERC-20規格ではトークンの供給量は一度しか決めることができません。この機能を変更し、供給量を何度でも増加(または減少)できるようにした規格ERC-621です。

この規格を使用したメジャーなプロジェクトはまだ存在しませんが、応用する産業次第ではとても便利なものになるかもしれません。

一方で、供給量の変更が特定の機関によってなされるものである場合は、ブロックチェーンの非集権性が損なわれるものになるケースも考えられるでしょう。

ERC-827

ERC-827では、ERC-20の機能に加え自分が保有するトークンの送信を第三者に委託できるという機能が備わっています。

また、トランザクションの許可と転送を一括で行えるため、gasの節約にも繋がるとされています。

現段階では未だ取引所やウォレットサービスなどでハッキング事件が頻発に起こっているため中々普及し難い新機能ではありますが、セキュリティが発達するにしたがってこの規格が活躍しだすかもしれません。

ERC-721トークン規格

ERC-721トークンを利用したプロジェクトの代表例「CryptoKitties」

ERC-20とは別の路線を行くトークン規格で、ERC-721と呼ばれるものがあります。

このトークン規格の最大の特徴は「非代替性」、または「ノンファンジビリティ」と呼ばれるものです。

代替性・ファンジビリティとは?「代替性のある通貨」とは、同じ数量の通貨が同じだけの希少性と独自性を持っているということを指します。

例えば、Aさんが持っている1円はBさんが持っている1円と同一の価値と希少性を持つものですから、日本円は代替性があるということになります。

仮想通貨なら、ビットコインやイーサリアムなど、ほとんどのものが代替性を持つと言えるでしょう。

ERC-721では、トークン一枚一枚が異なる価値を持ちます。この規格を利用すれば、物件ごとに価値の異なる不動産や、大きさや品質の異なるジュエリーなどをそれぞれのトークンに連動させることができます。

ERC-721のより詳しい解説や使用例などは下記の記事にも載っています。

まとめ

ERCとは、イーサリアムをベースにしたブロックチェーン上で使われるトークンの規格のことで、様々な種類が存在するということでした。

現在存在するERCトークンの大半を占めるのはERC-20トークンで、この規格はその普及度からウォレットや取引所などでトークンの互換性が良いという特徴があります。

また、ERC-20に拡張機能を付加したものや、トークンに非代替性を付与したERC-721なども存在するということでした。

上記で紹介した規格以外にも、複数のトークンをセット化できるERC-998やファンジビリティトークンを分割所有できるERC-864などもあります。

気になる企画に関してはGithubにて調べてみると面白いかもしれません。

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