安定した資産に裏付けされたステーブルコインとは?特徴や用途を解説
Crypto Times 編集部
こんにちは、kaz(@kazukino11111)です。
最近何かと耳にする機会が増えてきた「ステーブルコイン」という単語、みなさんどれくらい理解してますか?今回の記事ではステーブルコインとは何か、そしてどのようなステーブルコインが存在するのかをご紹介していきたいと思います。
目次
ステーブルコインとは?なぜ重要なのか?
ステーブルコイン(Stable Coin)は仮想通貨と価値が安定した資産をペッグ(連動)している通貨のことを指します。価値が安定している資産は必ずしもドルや円などの法定通貨である必要はなく、金などの資産でもペッグ可能です。
これがなぜ重要なのかという話ですが、みなさんご存知の通り仮想通貨というのはボラティリティ(価格変動率)が非常に高いです。仮想通貨を投資商品として見たときに、あまりにもボラティリティが高いとトレードが難しくなってしまいます。そこでステーブルコインは仮想通貨を取引する際にボラティリティの高い通貨を保有しなくても済むように開発されました。
ステーブルコイン5種類とそれぞれの特徴を解説
ステーブルコインはすでに市場に出回っており、取引されています。ここでは5種類のステーブルコインを取り上げていきます。
Tether(USDT)
やはりステーブルコインの中でもっとも知名度が高いのはTether(USDT)でしょう。Tetherはアメリカドルとペッグされており、多くの大手取引所で扱われています。コンセプトは非常にシンプルで、全ての発行済みのUSDTトークンに対してTether社はアメリカドルを一対一の割合で保有しています。
しかし、Tether社はこの準備金の存在を一度も証明したことがなく、仮想通貨界隈では度々議論を巻き起こしています。Tether社の会計監査を務めていたFriedman LLPは同社との契約を終了し、仮想通貨市場の相場を一気に下落させるほどのニュースとなりました。
TrueUSD(TUSD)
TUSDはUSDTと同様にアメリカドルに価値を裏付けされたERC20トークンで、Trust Token Platform上に存在します。両者のセキュリティにおける主な違いとして、TUSDはアメリカドルを複数のエスクロー口座に保管しており、リスクを軽減する他、定期的な監査が行われています。資産は信託銀行に保管されており、運営元は資産へのアクセス権を持ちません。
The Trust Token PlatformではTUSDの他にもステーブルコインの開発を計画しており、金やTrueYen、TrueEURなどが候補に上がっているそうです。
一方で分散型であることに重点を置く仮想通貨と中央集権によって管理されている法定通貨をペッグさせるという点に置いて懸念されているという事実も存在します。
下記にTrueUSDに関しての説明記事があるので、そちらも読んでみてください
新たなハード・ドルペグ通貨「USD Coin」とは?類似通貨との違いも徹底解説! – CRYPTO TIMES
Havven(HAV)
先述のUSDTとTUSDとは対象的に、Havvenは完全な分散型のステーブルコインを作ることを目的として開発されているため、法定通貨とはペッグされていません。Havvenネットワークは以下の二つのトークンによって構成されています。
- The Haven Token
担保を提供することを目標としており、その価値はネットワークの手数料から発生すします。
- Nomins(ステーブルコイン)
The Haven Tokenの担保によって価値を裏付けされます。投資家はNominsを発行してもらうためには、The Haven Tokenをスマートコントラクト内にロックする必要があります。Nominsのトランザクション手数料はThe Haven Tokenホルダーにリワードとして還元されます。
現時点では法定通貨と直接ペッグされていないこのコンセプトは未実証となっています。しかし、Havvenが分散型トークンを安定させることができれば大きな進歩となるでしょう。
MakerDao(DAI)
Daiはアメリカドルとペッグされ、資産に価値を裏付けされたトークンです。投資家はDaiを発行して保有するためには、自身の価値ある資産をロックアップする必要があります。(例:ETHをMakerのシステムにロップアップする)安定性は新興市況に反応し、システムを使用するための手数料およびインセンティブを変更する動的および自律的金利によって確保されています。
DaiのシステムはCDP(Collateralized Debt Position)と呼ばれるスマートコントラクトを採用しています。ユーザーはDaiを受け取るために、まずCDPを作成する必要があります。そして、Daiを受け取ったユーザーは担保となっている資産を受け取るために、同量のDaiと手数料を上乗せして返還する必要があります。
もし、CDPとして預けられている資産の価値が大幅に下落した場合は、システムの完全性およびDaiとUSDの一対一というレートを保つために、CDPを清算します。
Basis
Basisは先日、プライベートな投資ラウンドを通して1.33億ドル(約146億円)を調達しました。彼らは中央銀行がアルゴリズム的中央銀行でいるために使用している経済原理を使うことを予定しています。
現在採用されているシステムと同じように、ユーザーはトークンの価値が1USDを下回った際にはBasisの債券を購入することができます。この場合、ユーザーが売却したBasisトークンは、供給枚数の減少およびBasisの価値を底上げするべくバーンされます。もし、これと逆の状況になり、Basisの価値が1USDを大きく上回った際には、新たなトークンが発行されます。
彼らはこれら一環の原理は中央銀行ではなく、アルゴリズムによって行われるという点を強調します。このシステムは現在採用されているものと似ていますが、実用化にはアルゴリズムへの信頼が必要となります。
結局のところどれが一番いいの?
今回ご紹介したように、ステーブルコインは様々な異なったプロトコル、ペッグする資産、アルゴリズムなどを採用したものがあり、それぞれに特徴と懸念点が存在します。現時点で確かに言えることは、ステーブルコインに置いて、投資家は自分の欲しいメリットと引き換えにデメリットを受け入れなければならないということでしょう。
例として、中央集権化されている取引所は同様の特性をもったUSDTなどのステーブルコインを好み、分散化されている取引所ではHavvenなどといった法定通貨にペッグされていない通貨が好まれるでしょう。
これらのステーブルコインが本当に価値の保存、もしくは真の交換媒介物として役に立つのかはこれから明らかになることでしょう。一方で、直近の仮想通貨市場での下落はステーブルコインにとっては絶好のアピールチャンスだったのではないでしょうか。