600ページの報告書が示す世界の仮想通貨規制、日本の手本は?
金融庁は10月30日、委託調査「諸外国における金融制度の概要に関する調査」の報告書を公表しました。調査は渥美坂井法律事務所・外国法共同事業が担当し、米国、英国、EU、ドイツ、フランス、シンガポール、中国、香港の8か国・地域を対象としています。約600ページの報告書と各国比較表からなり、仮想通貨やステーブルコイン(法定通貨などに価値を連動させた仮想通貨)の規制についても各地域の最新動向を整理しています。
米国では2025年7月18日に成立したステーブルコイン規制法「ジーニアス法」が中心的に取り上げられています。同法は決済用ステーブルコインが証券やコモディティに当たらないと明記したうえで、発行を認可された発行者に限り、保有者への利息の支払いも禁じました。施行は2027年1月18日か、最終規則の公布から120日後のいずれか早い日とされています。一方、ビットコインなどをCFTCの監督下に置くCLARITY法案は、報告書の時点では成立に至っていません。
英国では金融行為規制機構(FCA)が仮想通貨の規制を検討しています。報告書によると、FCAは取引所が自社の市場で自己勘定取引を行うことを認めない方針で、注文を回す見返りに報酬を受け取る行為(PFOF)も禁止する意向です。ステーキング(資産を預けて報酬を得る仕組み)で技術的な失敗により個人顧客に損失が出た場合には、事業者が全額を補填すべきだとしています。
EUでは仮想通貨の包括的な規則「MiCA(暗号資産市場規則)」が2024年12月30日から本格的に適用されました。既存事業者に認められていた最長の移行期間も2026年6月末で終わり、域内で事業を続けるにはMiCAの認可が必要になっています。
アジアでは香港と中国の対照的な姿勢が浮かび上がります。香港では2025年8月1日にステーブルコイン条例が施行され、香港金融管理局(HKMA)による発行者の免許制度が始まりました。証券先物委員会(SFC)は海外取引所でウォレットの弱点を突いたサイバー事故が相次いだことを受け、仮想通貨の保管に関する基準も示しています。一方の中国は、2026年2月6日に中国人民銀行など8部門が新たな通知を出し、仮想通貨取引に加えて現実資産をトークン化するRWAも原則禁止としました。
各国でステーブルコインと取引所の規制が整うなか、今回の報告書は日本の制度設計で海外事例を参照する際の基礎資料となりそうです。
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