Aavegotchi が語る、DAOで3,000万ドルを調達した方法【DAO TOKYO 2024 レポート】

Aavegotchi が語る、DAOで3,000万ドルを調達した方法【DAO TOKYO 2024 レポート】

2024年8月21日~22日に開催されたDAO TOKYOにて「Aavegotchi」によるセッション「Bootstrapping a DAO-governed gaming platform」が行われた。

Aavegotchiは、AavegotchiDAOによって管理・分散化されたDeFi対応の仮想通貨収集ゲームプラットフォームだ。

本セッションでは、AavegotchiチームがどのようにDAOガバナンスをブートストラップし、完全に分散化された方法で、VCなしでプラットフォームのために3,000万ドルを調達したのか、その方法が語られた。

DAO ICO:歴史とAavegotchiの挑戦

セッションは、2017年頃のICOブームを振り返ることから始まった。当時、多くのプロジェクトがホワイトペーパーとビジョンだけで巨額の資金を集めたが、その多くは約束を果たせなかった。

イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、この状況を問題視し、「DAO ICO」という新たな資金調達モデルを提案した。DAO ICOは、従来のICOとは異なり、資金調達とプロジェクト管理をDAOに委ね、段階的に資金を分配することで、透明性と責任を向上させることを目指している。

Aavegotchiは、このDAO ICOという概念に共感し、自分たちのプロジェクトに採用しようと考えた。しかし、当時、実際にDAO ICOを実施したプロジェクトは存在せず、手探りで方法を探ることになった。

Aragonのテンプレートを活用した資金調達

試行錯誤の末、AavegotchiチームはAragonが提供する資金調達テンプレートにたどり着く。Aragonは、DAOの構築に必要なツールやテンプレートを提供するプラットフォームである。

このテンプレートは、人々がDAIをAavegotchiに送り、その代わりにAavegotchiのガバナンストークンであるGHSTを受け取ることができるボンディングカーブを作成するものだった。時間経過とともに、より多くのDAIがボンディングカーブに入るにつれてGHSTの価格は上昇していく仕組みだ。

Aavegotchiは、Aragonのテンプレートをわずかに修正し、2020年9月に独自のボンディングカーブを立ち上げた。結果は大成功を収め、コミュニティからの多くの参加と投資を集めることができた。

ボンディングカーブのクローズと3,000万ドルの調達

Aavegotchiのボンディングカーブは約3年間運用され、その間、プロジェクトチームは毎月、DAOの承認を得て、開発資金をボンディングカーブから引き出すことができた。

しかし、2023年に暗号通貨業界全体を揺るがす出来事が起こる。MakerDAOの「Endgame」計画と、それに続くシリコンバレー銀行の破綻である。

これらの出来事をきっかけに、AavegotchiチームはDAIの価格変動リスクを懸念し、ボンディングカーブのクローズを決断する。DAOでの議論と投票を経て、ボンディングカーブはクローズされ、Aavegotchiは最終的に3年間で約3,000万ドルのDAIを調達することに成功した。

今後の展開:独自のL3チェーン「Geist」

Aavegotchiはまもなく、独自のゲーミングL3チェーン「Geist」を立ち上げる予定だ。Geistは、Aavegotchiゲーム専用のdAppチェーンとなり、GHSTトークンはこのチェーンのガストークンになる。

Geistは、誰でも取引に参加できるオープンなチェーンだが、ゲームをプレイしてメンバーにならないと報酬を得ることができない「メンバー限定ブロックチェーン」となる予定だ。

DAO TOKYO 2024のセッションでは、Aavegotchiのチームは、DAO ICOという革新的な資金調達モデルの可能性とDAO主導型ゲームプラットフォームの構築に向けたビジョンを示した。

Aavegotchiの挑戦は、暗号通貨業界における分散化とコミュニティ主導のプロジェクトの成功例として注目に値するだろう。

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