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2023/07/14L2ソリューション「zkSync」とは?特徴や使い方を徹底解説!
zkSyncは、zk-Rollupを利用したL2ソリューションの一つです。 トークンの引き出しの期間が短いなど、主流のOptimistic Rollup系ソリューションと比較してもメリットが多く、利用を検討している方も多いはずです。 しかし、その一方でzkSyncはプロダクトが少ないといったデメリットも見られます。 本記事では、そんなzkSyncの概要から特徴、使い方からデメリット・注意点について解説しています。 この記事に書いていること ・zkSyncとは何なのか ・zkSyncの規模について ・zkSyncの特徴 ・zkSyncの使い方 ・トークンを失うリスクについて zkSync = "zk-Rollup"を利用したソリューション zkSyncは、zk-Rollupを利用したLayer2(以下、L2)ソリューションの一つです。 zkSyncの全容を把握するには、L2ソリューションやzk-Rollupへの理解が不可欠です。 そのため、まずはzk-Rollupの概要や、zkSyncのL2ソリューションにおける立ち位置・規模感などについて紹介していきます。 L2とzk-Rollupの概要 イーサリアムの利用が広まるにつれて、イーサリアムのガス代高騰や処理性能低下が問題視されるケースが多くなりました。 タイミングによっては、シンプルにトークンを送信・DEXでスワップするだけで、数千円が請求されるといった事例も見られます。 上記のような問題を解決するのが、L2ソリューションです。 L2ソリューションにはさまざまな種類がありますが、zkSyncはその中でもロールアップを利用したプロジェクトに分類されます。 ロールアップとはトランザクションをまとめる技術で、主流なロールアップに「Optimistic Rollup」と「zk-Rollup」が挙げられます。 zkSyncは、前述した主流なロールアップの内、zk-Rollupを利用したL2ソリューションです。 他のロールアップとzk-Rollupの技術的な詳細などについては、CT Analysisで提供中の「Ethereumを飛躍的にスケールさせるロールアップの概要と動向」にて解説しています。 L2周りの技術やソリューションが気になる zk-RollupとOptistic Rollupの違いを詳しく知りたい 今熱い仮想通貨の話題を網羅的に把握したい といった方は、ぜひ下記のCT Analysisレポートを御覧ください。 CT Analysisのレポートへ zkSyncはTOP3に入る規模を持つ 記事執筆時点において、zkSyncのTVLは約6,100万ドルであり、zk-Rollupの中では第3位に位置しています。 [caption id="attachment_75970" align="aligncenter" width="1024"] 引用元:L2BEAT[/caption] ただし、これはあくまでzk-Rollupの中でのランキングであって、Optimistic Rollupなど他のソリューションを加えると第6位です。 また、最もTVLが高いOptimistic Rollup系のArbitrumは、20億ドルを超えるTVLを記録しています。 現状ではTVLの観点から見ると、全体的にOptimistic Rollupのほうが大きな規模となっています。 ただ、zkSyncはzk-Rollup内の規模としてTOP3に入っているため、zkSyncも代表的なL2ソリューションであると言えるでしょう。 zkSyncの3つの特徴 これから、zkSyncの特徴を以下の3つの観点から、ご紹介していきます。 ①コストが低い ②引き出しまでの時間が短い ③zksync eraの登場とEVM zkSyncの注目点・特別なポイントをチェックしていきましょう。 ①コストが低い zkSyncは、他のL2ソリューションと比較して、ガス代のコストが低いです。 上記の画像の通りOptimistic Rollupのソリューションと比較しても、大きな違いがあります。 このようなコストの低さは、ガス代の節約のために利用するL2ソリューションにとって大きなメリットです。 ②引き出しまでの時間が短い zkSyncは、L2からL1へトークンを引き出す際の期間が、Optimistic Rollupと比較して、非常に短いです。 ロールアップ系のL2ソリューションを利用する際は、L1にあるトークンを、L2で利用できる状態にする必要があります。 そして反対に、L2に送信したトークンをL1で利用できる状態にするには、L2から引き戻す必要があり、この過程で一定の遅延時間があります。 Optimistic Rollupを利用するソリューションでは、セキュリティの仕組み上、この期間が2週間ほど必要で、デメリットの1つに挙げられることが多いです。 一方のzk-Rollupを利用するzkSyncでは、利用者が多く早い場合は10分程度、遅くとも7時間程度でL1への引き出しが完了します。 この特徴は、ユーザーの使用感にポジティブな影響を与える大きな要素の一つでしょう。 ③zkSync eraの登場とEVM 2023年4月時点で、zkSyncにはera・Liteという2種類が存在しています。 zkSync eraは、zkEVMのL2ソリューションであり、シンプルな用途のみに利用されているLiteと比較すると汎用性が高いです。 zkEVMとはEVMとの互換性を持つzkロールアップのことであり、同じくEVM互換を持つOPロールアップと比較して、前述したようなさまざまな優位性が認められるため、現在複数の機関・企業が開発を進めています。 zkSync eraはLiteの後継として登場しており「Liteを1.0」、「eraを2.0」と表記することもあります。 zkSync eraの登場によって、zkSyncはEVM互換を達成したロールアップの1つになることができました。 gm zkEVM! 👋🏻 zkSync Era Mainnet Alpha is now open to all users. Developers, projects, and users can now experience the power of zkEVM. Read more: https://t.co/pL5PuZqanu 1/11 pic.twitter.com/oS6dwmXzeB — zkSync (∎, ∆) (@zksync) March 24, 2023 また、zkSync eraはzkEVMというポイントのみならず、大きなトピックとして注目されているAA(Account Abstraction)に対応しており、次世代のロールアップとして注目が集まっています。 AAは、現状広く普及しているEOAからCAへ移行していく流れのことです。 (EOA・CAともにアカウントの種類のことですが、EOAはコントラクトを扱えるCAと比較して柔軟性が低い) AAが進むことでアカウントの管理やガス代の支払いなど、利用者の観点から見たときに、さまざまな場面で利便性を大きく向上させることが期待されています。 zkSyncの使い方 これから、zkSyncの使い方を、以下のポイントからチェックしていきます。 zkSyncを利用する前準備 デポジットのやり方 アカウントのアクティベーション 引き出しのやり方 各プロダクトの利用方法 まだ、L2ソリューションを利用したことが無い方でも利用できるように、zkSyncを使い方を一から解説していきます。 zkSyncを利用する前準備 前提として、zkSyncの利用には以下のようなも準備が必要です。 ETHの購入 ウォレットの作成 ETHをウォレットへ送金 まだETHを持っていないという方は、国内仮想通貨取引所でETHを購入しましょう。 コチラの記事で、国内仮想通貨取引所であるビットフライヤーの口座開設手順を解説しています。 また、zkSyncの利用にはMetaMaskなどのウォレットの作成とETHの送金が必要です。 コチラの記事で、ウォレットの一連の作業はチェックできます。 ここまで完了したら、zkSyncを利用するための前準備は完了です。 デポジットのやり方(L1→L2) zkSyncを利用するには、L1のトークン(ETHなど)をL2で利用できる状態にしていく必要があります。 以下の手順で「L1からL2へ」の送金を完了していきましょう。 zkSyncとウォレットの接続 zkSyncの接続ページへ 「Ethereum Wallet」へ MetaMaskへ ウォレットの認証を済ませる トークンをL1からL2へ 「Top up」 へ 「zkSync」へ トークンを選択し、金額を入力 「Top up」へ ウォレットの認証を済ませる 上記の手順を済ませて、zkSyncに反映されるまでの時間は、設定したガス代などに左右されます。 アカウントのアクティベーション zkSyncでは、入金後、はじめての取引をする前に、一度ウォレットをアクティベーションする必要があります。 以下の手順で、ウォレットをアクティベーションしていきましょう。 取引を行う際に「Authorize to Sign account activation」が表示される 「Sign」へ 「Sign account activation」が表示される 「Sign」へ この作業は、はじめての場合のみ必要なので、一度アクティベーションすると再度要求されることはありません。 引き出しのやり方(L2→L1) 次に、zkSyncの引き出し(Withdraw)は下記の手順で行えます。 「Transfer」へ 「Send to Ethereum」へ 金額を入力 「Send to Ethereum」へ ウォレットで認証 また、通常送付先のアドレスは自動で入力されますが、任意のアドレスを入力することも可能です。 上記の処理を行うと、10分から数時間程度でL1に反映され、利用可能になります。 zkSyncの3つの注意点 これから、zkSyncの注意点やリスクについて以下のポイントからご紹介していきます。 ①プロダクトが少ない ②送受信に注意が必要 ③取引所への直接的な引き出しは非推奨 zkSyncを利用する上で、気をつけたいポイントをチェックしていきましょう。 ①プロダクトが少ない zkSyncはera・Liteともに、まだまだ対応しているプロダクトが少ないです。 まず前提として、lite(これまでのzkSync)はEVMとの互換性を持たず、複雑なプロダクトをzkSync上で構築することができませんでした。 zkSync eraではその点を克服しているものの、ローンチからの日も浅く、まだまだOptimistic Rollup系のロールアップと比較すると、プロダクトの量も多くありません。 規模自体はまだまだOptimistic Rollup系のソリューションに達していないものの、今後に期待したいと言えるでしょう。 プロダクトの多いL2ソリューションであるOptimistic Rollup系のソリューション関しては、以下の記事で解説しております。 ・L2ネットワーク「Arbitrum One」の概要や設定方法、基本的な使い方からリスクまで徹底解説! ・L2ネットワーク「Optimistic Ethereum」| 概要・使い方・リスクまで徹底解説! ②送受信に注意が必要 zkSyncにデポジットしたL2にあるトークンを、他のL2ソリューションに送付することはできません。 他のソリューションへ送付したい場合は、一度L1へ引き出して、その上でもう一度他のL2ソリューションへデポジットする必要があります。 ここでミスをすると、最悪の場合、トークンを失ってしまう可能性も考えられます。 zkSyncのトークンを送受信する際は、送付元・先の「アドレス・ネットワーク」を必ずチェックしておきましょう。 取引所への直接的な引き出しは非推奨 また、zkSyncの公式チュートリアルでは、取引所への直接の引き出しは推奨されていません。 引き出しを行う際に、送信先のアドレスで取引所のものを利用するものは、推奨されていないということです。 取引所へ送信する場合でも、一度自身のウォレットに送信してから、再度ウォレットから取引所へ送信するのがおすすめです。 まとめ:zkSyncは今後も大きな進化が期待できる ここまでzkSyncについて概要や使い方、注意点について解説してきました。 zkSyncは引き出しの短さや、ガス代の低さなどzkSyncさまざまなメリットがあります。 zksync eraの登場など、zkSyncに関する明るいニュースは多いです。 zkSyncは今後も注目したいL2ソリューションの1つであると言えるでしょう。 今後も是非CRYPTO TIMESでの情報発信を参考にL2関連の情報を追ってみてください。 最後までありがとうございました。 「ゼロ知識証明とzk-SNARKs」を初心者にもわかりやすく解説!
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2023/07/01ZetaChainとは?特徴や仕組みを解説【複数チェーンに対応】
ZetaChainは、オムニチェーンを志向するL1のブロックチェーンです。 独自のアプローチでインターオペラビリティに取り組み、ブロックチェーン間のやり取りをスムーズに行えるようにするプロジェクトになっています。 また、多くのブロックチェーンに対応しており、その中には類似プロジェクトにおいて対応されることが珍しいビットコインなどが含まれす。 この記事では、そんなZetaChainについて概要や特徴、仕組みなどについて以下のポイントから解説しています。 この記事のまとめ ・ZetaChainはチェーン間のやり取りをスムーズにする ・bitcoinなどのチェーンにも対応 ・ZetaChainベースからさまざまなチェーンに展開可能 ・メインネットが近づきつつある ZetaChainとは?オムニチェーンを志向するL1チェーン ZetaChainは、さまざまなブロックチェーンを接続し相互運用性を高めるCosmos SDKとTendermint Consensusで構築されたL1ブロックチェーンです。 現在、市場にある複数のブロックチェーンでは、さまざまなアプリケーション、コントラクト、資産が各チェーンに存在していますが、その各々が独自のルール・技術で運用されています。 そのため、ブロックチェーン間のやり取り・通信には大きなハードルがあり、さまざまなソリューションやプロジェクトがその問題に取り組んでいる状態です。 ZetaChainは上記の課題に取り組むプロジェクトの1つです。 ZetaChainによって、ブロックチェーン間のコントラクトの展開・資産の移動といったやり取りが容易になります。 まだ、メインネットはローンチされていませんが、公式によると既に1万件を超えるアプリケーションが展開されています。 ZetaChainのかんたんな特徴 これから、ZetaChainの特徴について、以下の3点から解説していきます。 ・多くのチェーンに対応 ・幅広いやり取りに対応 ・ZetaChainへの構築も可能 ZetaChainの特徴をチェックしていきましょう。 多くのチェーンに対応 ZetaChainは、非常に幅広いチェーンに対応しています。 Ethereumといった主要なスマートコントラクトに対応しているのはもちろん、bitcoinなどスマートコントラクトに対応していないブロックチェーンにも対応可能です。 そのため、Ethereum → Bitcoin、Ethereum → Dogecoinといったやり取りも可能になります。 これまでのクロスチェーン(チェーン間のやり取り)プロジェクトの多くは、スマートコントラクトを実装しているブロックチェーンにのみ対応が限られていることが一般的でした。 ZetaChainによって、非スマートコントラクト系のブロックチェーンに対しても、チェーン間のやり取りが可能になります。 また、ZetaChainは対応や導入に伴って、各チェーンごとに大きな変更を要求しないのも特徴の1つです。 幅広いやり取りに対応 ZetaChainは、資産の移動といった単純な用途に以外にも、コントラクトのやり取りなどにも対応しています。 ZetaChain以外の外部チェーンをコントラクトを通して管理したり、何らかの操作を行うことも可能です。 また、これはスマートコントラクトに対応している仮想通貨のみではありません。 ビットコインなどスマートコントラクトに対応していない仮想通貨に対しても有効です。 そのため、スマートコントラクトに対応したビットコインなどを、ZetaChainを通して利用可能になります。 例えば、ネイティブなビットコインをDeFiで扱うといったことが可能です。 ZetaChainへの構築も可能 ZetaChain自体はL1ブロックチェーンであり、構築も可能です。 他のクロスチェーン関連のプロジェクトは単一のアプリケーションや、通信に特化したものも見られます。 しかし、ZetaChainは他のL1ブロックチェーンと同様に、さまざまなアプリケーションの土台として機能します。 ZetaChainに構築されたアプリケーション・プロジェクトは、ZetaChainに構築するだけでさまざまなブロックチェーンに対応させることが可能です。 開発者はローンチするチェーンごとに開発やコントラクトの展開を行う必要がなく、ZetaChainを通してまとめて接続・コントロールができます。 ZetaChainの仕組み 特徴の次にZetaChainの仕組みについて、以下のポイントから解説していきます。 ・ZetaChainの全体の設計 ・オブザーバー ・TSSを用いた署名 ・zEVM ・クロスチェーンのやり取りの例 ZetaChainの動く仕組み、特徴を実現している裏側について詳しくチェックしていきましょう。 ZetaChainの全体の仕組み ZetaChainの用途は幅広く、それに伴っていくつか構造に特徴が見られます。 ZetaChainが可能にする主要な要素・機能は以下のとおりです。 オブザーバー:外部チェーンからの受信内容への処理 TSSを用いた署名:外部チェーンへの送信内容への処理 zEVM、ZRC-20:ZetaChain内のVMとトークン オブザーバーとTSSを用いた署名を含む領域は"ZetaClient"、zEVMを含む領域は"ZetaCore"と呼称されています。 ZetaClient・Coreともに、ZetaChain内のバリデーターに含まれており、ZetaChainのPoSネットワークに基づいている仕組みです。 また、オブザーバー・TSSを用いた署名の両者に何らかの方法で、不正や問題を発生させないための工夫が取り込まれています。 オブザーバー (引用元:whitepaper) ZetaChainのオブザーバーは、ZetaChainが接続している外部チェーンからの関連トランザクションを処理するセクターです。 オブザーバーは含まれる作業には、主に2つのトピックがあります。 1つ目がトランザクションの検出、2つ目がトランザクションの検証です。 オブザーバーは外部チェーンのトランザクションを監視し、関連するトランザクションを検出します。これには、コントラクトの呼び出しなども含まれます。 検出されたトランザクションは検証され、最終的なファイナリティを得るまでにZetaChainでのコンセンサスを通すことが必要です。 ZetaChainにおけるオブザーバーは、外部チェーンからの情報のやり取りにおける入り口のようなものと捉えられます。 TSSを用いた署名 ZetaChainは、外部チェーンとやり取りを行うに伴い、外部チェーンにウォレットを保有します。 しかし、ウォレットを動かすには秘密鍵を用いた署名が必要です。 そのため、ZetaChainサイドから外部チェーンへ何らかのアクションを行うには署名を行う必要があります。 これは、ウォレットの管理の核である秘密鍵を、一連のアクションに伴い何らかの方法で共有する必要があるということです。 そこで、ZetaChainではTSSに基づいたキーを用いて、外部チェーンに対する署名を可能にします。 (引用元:whitepaper) 上記をかんたんに解説すると、分散で鍵を保有・署名するための仕組みです。 具体的には秘密鍵の情報を分割し、ノードに対して一部分ずつ別個に配布していきます。 これによって、秘密鍵の全ての情報が単一の主体に漏れることはありません。(全ての情報が単一の主体に漏れなければ悪用されることはない) 上記の仕組みを通じて、分散して保有した秘密鍵を通じて、署名を行います。 外部チェーンからすると一般的な秘密鍵を用いた署名と大きな違いはありませんが、ZetaChainサイドでは秘密鍵の所有と署名は分散化されている状態です。 スマートコントラクトのブロックチェーンに限らず、Bitcoinなどに対しても同様のプロセスで署名していきます。 オブザーバーがZetaChainへの入り口なら、TSSを用いた署名はZetaChainから外部チェーンに対する出口のようなものとイメージすると良いでしょう。 zEVM zEVMは、ZetaChainの仮想マシンです。 EthereumのEVMと互換性を持ち、EVMと似通った機能を持っています。 同時に、いくつかzEVM独自の特性も追加されており、これらは概ね各ブロックチェーンとのやり取りに特化したものです。 zEVMに展開したコントラクトは外部チェーンとのやり取り、外部チェーンからのやり取りに対応しており、接続されている各ブロックチェーンと高い相互運用性を持ちます。 また、zEVMの資産はZRC-20というERC-20の拡張版として呼称されています。 クロスチェーンのやり取りの例 ZetaChainがクロスチェーンで行うやり取りの例について、クロスチェーンメッセージパッシングという仕組みから見ていきましょう。 この仕組みは、クロスチェーンのコントラクトコールなどに用いられます。 利用者がチェーンAのコントラクトとやり取り オブザーバーが検出しZetaCoreに通知 ZetaCoreが外部チェーン向けのトランザクションに変更 TSSの署名を行う主体にその旨を通知し検出される TSSの署名者はトランザクションに対して署名を行い、外部チェーンに送信 トランザクションが承認された場合、それを検出 問題が無い場合はクロスチェーンのトランザクションを終了する 上記の例は、主に外部チェーンに存在するコントラクトとやり取りを行う場合のプロセスです。 zEVMに展開されたコントラクトが外部チェーンとやり取りを行う場合はまた異なるプロセスを踏み、前述したzEVMが持つ特性を発揮します。 ZetaChainと他のプロジェクトの比較 これから、ZetaChainと似通ったプロジェクトの比較を行っていきます。 ・LayerZero ・Cosmos IBC 他のブロックチェーン間のやり取りに焦点を当てたプロジェクトとの違いを押さえていきましょう。 LayerZero ZetaChainとLayerZeroの最も大きな違いは、その対応範囲です。 LayerZeroは、ブロックチェーン間のやり取りに特化したシンプルなプロジェクトです。 ただし、ZetaChainと異なり、BitcoinなどのEthereumに対応していない仮想通貨とやり取りすることはできません。 Cosmos IBC CosmosもIBCを通じて、さまざまなブロックチェーンとの通信を可能にするプロジェクトの1つです。 Cosmosもインターオペラビリティを重視したプロジェクトになっていますが、通信可能なのはIBCに対応するブロックチェーンに限られています。 一方で、ZetaChainはIBC対応・非IBC対応に限らず、通信が可能です。 ZetaChainのこれから・今後 ZetaChainは2023年6月時点でテストネットが展開されています。 まだメインネットはローンチされていません。 また、具体的なメインネットの時期についても不明ですが、段階的にテストネットのフェーズが完了しつつあります。 テストネットの段階も後半に入っており、メインネットが近いという発信も確認できます。 📢 ZetaChain’s new long-term, decentralized testnet, Athens is now live. The future of omnichain and ZetaChain mainnet is close: https://t.co/Nnb9zSZ1OJ — ZetaChain (@zetablockchain) June 21, 2023 ZetaChainのテストネットはインセンティブが付いていることもあり、これまで160万人以上のユーザーが参加しています。 テストネットの段階から非常に注目を集めていると言えるでしょう。 ZetaChainについてまとめ この記事では、ZetaChainについて解説しました。 ZetaChainは、インターオペラビリティ・オムニチェーンを志向するプロジェクトの1つです。 類似するプロジェクトは複数見られ、このトピックは今後より注目を集める可能性が高いでしょう。 ZetaChainはそんな中で、注視したいプロジェクトの1つです。 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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2023/06/17相互運用性プロトコル「LayerZero(レイヤーゼロ)」とは?特徴や使い方を解説
LayerZero(レイヤーゼロ)は、ブロックチェーンの相互運用性を確保するプロジェクトの1つです。 これまでの相互運用性を確保する上でデメリットになっていた課題を、解決する存在として注目されています。 LayerZeroは、複数の資金調達を実施しており、直近では30億ドルの評価で1.2億ドルの資金調達にも成功しました。 この記事では、そんなLayerZeroについて以下の観点から解説しています。 この記事のまとめ ・LayerZeroは相互運用性に焦点を当てている ・さまざまな課題を解決 ・トラストレスで多種多様なチェーンに展開可能 ・オラクルとリレイヤーを中間に設置 ・他の類似プロジェクトと比較しても利点を持つ LayerZeroとは?=ブロックチェーン間の相互運用性に特化したプロトコル Layer Zeroは、ブロックチェーン間の相互運用性に特化したプロトコルです。 現在、多数のブロックチェーンが乱立しており、各ブロックチェーンにさまざまなアプリケーションが構築されています。 その一方で、各ブロックチェーン間のやり取り(トークンの転送、クロスチェーン取引など)を可能にする手段は限られており、利用者サイドにもさまざまなデメリットが生じています。 そのため、さまざまな角度からの相互運用性への取り組みが存在していますが、各ソリューション・機能にはいくつかのデメリットが存在しています。 上記のような課題を解決するために、LayerZeroは開発されました。 オラクル、リレイヤー、エンドポイントといった主要な機能を用いて、ブロックチェーン間のやり取りをスムーズにします。 https://twitter.com/LayerZero_Labs/status/1643238493714280455?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1643238493714280455%7Ctwgr%5E776635bb5be119e74a1224ce2e0a5984324f9625%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.neweconomy.jp%2Fposts%2F307430 LayerZeroを開発するLayer Zero Labは、2023年4月にa16z cryptoなど著名な複数のVCから1.2億ドルの資金調達に成功しており、30億ドルの評価も受けています。 LayerZeroを利用した開発や、統合したプロダクトもいくつか確認でき、注目されているプロジェクトの1つになっています。 LayerZeroの特徴 これから、LayerZeroのかんたんな特徴について、以下のポイントから解説していきます。 ・チェーン間のシンプルなやり取り ・各チェーンへ展開できる汎用性 ・トラストレスな転送 LayerZeroの特別なポイントを押さえていきましょう。 チェーン間のシンプルな転送・取引 LayerZeroでは、ブロックチェーン間でシンプルな転送・やり取りが可能です。 ブロックチェーン間で、データやトークンの転送を行う方法はすでにいくつか存在していますが、その多くが複雑だったり、リスクがあったり、コストが掛かったりすることが多いです。 これは、各ブロックチェーン間でルールやさまざまな規格が異なることによって発生しています。 LayerZeroではオラクル、リレイヤーという2つの要素のみをブロックチェーン間の中間に置くことでシンプルな転送を可能にし、複雑性やリスク・コストの軽減などを実現します。 各チェーンへ展開できる汎用性 LayerZeroは、各チェーンに対して容易に展開できます。 LayerZeroの枠組みを利用して、各チェーンを接続するにはいくつかの機能・技術を各ブロックチェーンで開発する必要性はあるものの、さまざまなチェーンへの展開が比較的容易です。 例えば、EVM、非EVM、Ethereum系のサイドチェーンやロールアップにも展開可能です。 実際に、すでにLayer Zeroでは、以下のような多数のブロックチェーンで対応してます。 Ethereum BNB Chain Avalanche Aptos Polygon 主要なEthereum系のロールアップ (あくまで一例であり、この他にも多数のブロックチェーンに対応) また、今後も多数のブロックチェーンに対応していく旨が明らかにされています。 トラストレスな転送・取引 Layer Zeroでは、トラストレスな転送・取引が可能になります。 現状、利便性やコストを重視すると、ブロックチェーン間のトラストレスな転送は難しいです。 例えば、CEX(中央集権的な取引所)を利用する場合、CEXへのトラスト(信頼)が必要になります。 オンチェーンのプラットフォーム、ソリューションを利用する場合は軽減できるものの、依然としてコストが増えたり、複数のリスクを抱えることになります。 LayerZeroにおいて、各ブロックチェーン間に存在するのはリレイヤーとオラクルのみであり、各々は独立していることで整合性が保たれています。 LayerZeroの核となる機能や仕組み これから、Layer Zeroの特徴を実現している核となる機能・仕組みについて、以下のポイントから解説していきます。 ・エンドポイント ・オラクル ・リレイヤー ・一連の流れ ・オラクル・リレイヤーンに対する懸念 LayerZeroの仕組みと、実際にトランザクションが処理されていく過程をチェックしていきましょう。 エンドポイント LayerZeroにおけるエンドポイント(Endpoint)は、各ブロックチェーンで展開している情報の送受信や検証を行う部分です。 具体的には、後述するオラクルとリレイヤーが送信してきた情報を処理して、利用者に反映させる役割を担います。 エンドポイントが存在することで、トランザクションが有効なものであるということを各ブロックチェーンで確認でき、反映させることが可能です。 エンドポイントには、いくつかの要素がありますが、その中でもCommunicator・Validator・Networkという要素が、トランザクションを処理するまでの過程で主要なものになります。 何らかのリクエストが送信された場合、非常に簡素的に解説すると、概ね以下のような順番でエンドポイントにおいて段階的に処理されていきます。 Communicator Validator Network (上記は送信元の順番。送信先では上記の逆から段階的に処理される) 上記の過程で処理されたものが直接利用者に反映されていくため、エンドポイントは各ブロックチェーンに存在する利用者に最も近い要素です。 オラクル Layer Zeroのオラクルは、送信元のチェーンから必要な情報の一部を読み取り、送信先のチェーンに送信する役割を担います。 具体的には、送信元エンドポイントから受け取ったデータと送信元のチェーンから読み取ったブロックヘッダーを、送信先のチェーンに送信します。 上記の過程は後述するリレイヤーとは独立して、実行されます。 オラクルはデフォルトのものを使用することで構築する必要はありませんが、独自に構築していくことも可能です。 リレイヤー リレイヤーについても、送信元のチェーンから必要な情報を一部読み取り、送信先のチェーンに送信します。 リレイヤーは、送信元のチェーンから処理されるトランザクションのプルーフを読み取り、送信先のエンドポイントから受け取ったブロックヘッダを元に対応するプルーフを送信先に返します。 その後、受け取ったブロックヘッダとプルーフを元に、送信元から送られた情報の有効性が送信先のエンドポイントにて検証されます。 こちらも、デフォルトではLayerZeroによる提供されるリレイヤーを使用可能ですが、独自のリレイヤーを構築することが可能です。 一連の流れ 上記を踏まえた上で、Layer Zeroの全体的なトランザクションが処理されるまでの流れを解説します。 送信元のチェーンから送信したい情報が、送信元のエンドポイントに対してリクエスト 送信元のエンドポイントとチェーンがリレイヤーとオラクルに複数の情報を送信 その中でも重要なブロックヘッダーはオラクルに、プルーフはリレイヤーが独立して受信 オラクルから送信先エンドポイントにブロックヘッダーを送信 送信先エンドポイントからブロックヘッダーがリレイヤーへ リレイヤーは対応するブロックヘッダと情報を送信先エンドポイントへ 送信先エンドポイントが内容を検証し、送信先にて反映 LayerZeroではリレイヤーとオラクルは独立しているという前提のもと、送信先エンドポイントにて「リレイヤーとオラクル間の情報に矛盾は無い」とチェックできることで、トランザクションの有効性を確保できます。 そのため、Layer Zeroにおいては各エンドポイントにおける処理と反映、そしてリレイヤーとオラクルの独立性が守られているというのが核になります。 オラクルとリレイヤーに対する懸念 前述したとおり、LayerZeroでは、オラクルとリレイヤーの独立性が守られていることが重要です。 仮にオラクルとリレイヤーの独立性が守られていない場合、有効ではない(悪意のある)ものが処理されてしまう可能性があります。具体的には、オラクルとリレイヤーが結託・共謀することで、有効ではないものに対しても、プルーフとブロックヘッダーの2つが矛盾しないものを送信可能となってしまいます。 しかし、この場合でも、他のクロスチェーンのソリューションと比較すると、上記リスクは(前提として発生しにくいもので、仮に、不正が発生したとしても、あくまで不正が発生したリレイヤーとオラクルを利用する主体に被害は限られる可能性が高いです。 一方で、これまでのソリューションでは、中間に位置する何らかの主体に対して問題があった場合、プロダクトやソリューション全体に影響が出る可能性がありました。 これらの点を考慮すると、LayerZeroには依然としてメリットがあるといえるでしょう。 LayerZeroと他のプロジェクトとの比較 LayerZeroのように相互運用性を実現するためのソリューション、プロジェクトはいくつか存在しています。 これから、LayerZeroのホワイトペーパーで触れられているものからピックアップして、以下の3点から解説していきます。 ・Thorchainなどとの比較 ・Polkadotとの比較 ・Cosmosとの比較 LayerZeroと他のプロジェクトの違いを押さえていきましょう。 Thorchainなどとの比較 Thorchainでは、各ブロックチェーン間の取引に各ブロックチェーンのトークンと結合したRUNEを用いります。 RUNEを用いることで、各通貨ごとに流動性のプールを作成する必要がなくなり、通貨ペアが増えていくごとに大量に必要になる流動性のプールを不要にします。 一方で、RUNEを活用するThorchainのようなソリューションでは、取引が複雑になり処理に過剰なリソースが必要です。 LayerZeroでは、前述したような技術で、中間にトークンを必要としません。 Polkadotとの比較 Polkadotでは、中心となるリレーチェーンに各パラチェーンが接続され、各パラチェーン同士の相互運用性が確保されています。 リレーチェーンが中間に存在することで、さまざまな情報のやり取りが可能になりますが、リレーチェーンを使用することで追加のコストが発生します。 LayerZeroでは、リレーチェーンのようなブロックチェーンを置く必要はなく、コストの発生を防ぐことが可能です。 Cosmosとの比較 Cosmosのエコシステムでは、IBCに対応したブロックチェーンは全て接続することが可能です。 IBCに対応したブロックチェーンであれば、相互運用性を容易に確保可能です。 その一方で、IBCに対応していない場合は、接続することはできません。(また、IBCに対応にはいくつかの条件が存在しており、ブロックチェーンの種類によっては対応へのハードルが高い) LayerZeroでは拡張可能な余地が残されており、IBCほどのハードルはありません。 LayerZeroの使い方 LayerZeroを利用したアプリケーション、プロトコルについて気になった方もいるかも知れません。 一例として、LayerZeroを利用した代表的なプロトコルであるStargateがあります。 Stargateでは、複数のブロックチェーンを介した取引・ファーミングに対応しており、さまざまな用途で利用が可能です。 これから、そんなStargateのベーシックな機能の使い方について以下のポイントから解説していきます。 ・Stargateに接続 ・Stargateで転送 ・Stargateで流動性の提供 Stargateの基本的な使い方をマスターしていきましょう。 Stargateに接続 Stargateへアクセスし「Connect Wallet」へ ウォレットを選択し接続へ 上記の手順で、Stargateとウォレットの接続が完了します。 Stargateで転送 画面上部の「Transfer」へ トークン、ネットワーク、金額などを設定し「Transfer」へ StargateのTransferでは、各ブロックチェーン間のトークンの1対1の交換が可能です。 取引手数料はSTGトークンの場合無料、STGではない場合は0.6%かかってきます。 また、プールの状況によってリバランス料金というものが発生することがあります。(プール内のトークンの需給バランスに応じて変化) Stargateで流動性の提供 上部の「Pool」から任意のプールを選択 金額などを指定し、流動性の追加を行う Stargateでは、予め設定されている各ペアの流動性の提供に伴って報酬を獲得できます。 流動性の提供を行うとLPトークンが配布され、プール内の比率に伴って発生した手数料を獲得可能です。 LPトークンを返却することで、資金を取り戻すこともできます。 まとめ この記事では、LayerZeroについてさまざまな面から解説しました。 LayerZeroは対応するチェーンを積極的に増加させており、著名なプロトコルとの統合なども確認できます。 重要なキーワードになっている相互運用性を確保する代表的なプロジェクトなので、今後も注目していきたい存在と言えるでしょう。
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2023/06/03BRC-20とは?ビットコイン上で通貨の発行を可能にする技術を解説
BRC-20は、ビットコインのブロックチェーン上に存在するトークンです。 実験的なトークンでありながら、関連トークンの時価総額は4億ドルを超えている状態です。 また、基盤となったOrdinalsのNFTについても注目が集まっています。 この記事では、そんなBRC-20やOrdinalsについて以下の観点から解説しています。 この記事のまとめ ・BRC-20はビットコイン上のトークン ・ビットコインのブロックチェーンに影響を与える勢い ・Ordinalsの仕組みを応用 ・ERC-20とは大きく異なる BRC-20とは?ビットコインのトークン BRC-20は、ビットコイン上のトークン規格です。 イーサリアムなどでは、ブロックチェーン上をさまざまなトークンが行き交うことが一般的です。 一方で、ビットコインのブロックチェーンには、BRC-20のようなトークン規格がこれまで存在せず、主な用途はBTCの送受信といったシンプルな用途に限られていました。 しかし、Ordinalsと呼ばれるプロトコルの登場により、ビットコイン上でBRC-20やNFTの発行が容易となり、昨今大きな注目を集めています。 2023年5月時点で、24,000件を超えるBRC-20トークンが確認でき、全体の時価総額は4億ドルを超えている状態です。 (引用元:brc-20.io) また、BRC-20の基盤となっているOrdinalsのインスクリプション(inscriptions)も4月末あたりから大幅に伸びており、Ordinalsの利用についても拡大していることが分かるでしょう。 (引用元:Dune) 上記のような状況は、ビットコインのブロックチェーンへの影響も大きく、未承認のトランザクションが増加するといった現象も見られました。 BRC-20の特徴 これから、BRC-20が持つ基本的な特徴について、以下の2点から解説していきます。 ・Ordinalsの仕組みを応用 ・現在は実験段階 BRC-20のかんたんな特徴を把握して、大枠をチェックしていきましょう。 Ordinalsの仕組みを応用 BRC-20は、Ordinalsと呼ばれるプロトコルの仕組みを応用しています。 詳しくは後述しますが、Ordinalsについてかんたんにまとめると、ビットコインのサトシという細かな単位にデータを書き込んだり、追跡できたりするものです。 主に、ビットコイン上のNFTを発行できることなどから注目されていましたが、Ordinalsを応用してFTを発行する仕組みをdomo氏という開発者が実現しました。 https://twitter.com/domodata/status/1634247606262964228 上記の流れの中で、登場したのがBRC-20です。 現在は実験段階 BRC-20は熱狂を生んでいますが、まだまだ実験段階の取り組みです。 というのも、BRC-20のドキュメントでも実験であることが何度も記載されています。さらに、今後新たな設計や改善が行われる可能性についても言及されています。 実際に、BRC-20の利用にはいくつか不便な点も見られ、注目されているトークンも主にミームコインや比較的大きな時価総額を持たないものも多いです。 他のトークン規格ほど成熟したものではなく、取引や利用には注意が必要です。 BRC-20とOrdinalの仕組み BRC-20とその基盤となっているOrdinalsについて以下の観点から解説していきます。 ・Ordinalsの概要 ・Ordinalsにおけるインスクリプションについて ・BRC-20の仕組み OrdinalsやBRC-20の仕組みをチェックしていきましょう。 Ordinalsの概要 Ordinalsは、ビットコインのサトシに対して、何らかのデータを添付できるプロトコルです。 サトシとはBTCの最小単位のことであり、1サトシは1億分の1にあたります。 Ordinalsでは、そのサトシに何らかのデータを書き込み、追跡したりすることを可能にします。 具体的には、Ordinalsを通して画像やテキストなどのデータをサトシに添付し、ビットコイン上にあるNFTといったものを可能にしています。 Ordinalsの利用に伴って、新たなソリューションやサイドチェーンは不要です。 そのため、Ordinalsを利用して行ったアクションは全てビットコインのブロックチェーンを通して完結します。 BRC-20が大きく注目されているOrdinalsですが、上記の仕組みを通じて発行されたNFTの取引量も増加傾向にあります。 (引用元:Crypto Slam!) NFTのデータサイトCrypto Slam!によると、5月時点でのNFT売上ランキングでは、ビットコインが2位となっています。 直近1週間のデータを参考にすると、イーサリアムが約9,000万ドル、ビットコインが約4,400万ドルです。(ウォッシュ分を除く) 直近のデータのみを参考にすると、NFTをやり取りするブロックチェーンとして同じく人気の高いSolanaを上回るパフォーマンスを見せています。 上記のような点を参考にすると、ビットコイン上のOrdinalsは後述するBRC-20はもちろん、NFTにおいても高い注目を集めている可能性があるでしょう。 Ordinalsにおけるインスクリプション(Inscriptions)について Ordinalsがデータをサトシに添付していく過程で、特に重要なのが「インスクリプション(Inscriptions)」です。 Ordinalsでは、サトシにデータを書き込むという点は解説しましたが、インスクリプションがその過程に当たります。 ビットコインは過去に、SegWit(Segregated Witness)とTaprootという2つのアップデートを経験しています。 両者とも、NFTなどを想定したアップデートではありませんでしたが、結果的にトランザクションに含められるデータ量、構造などに影響を与えました。 インスクリプションでは、上記のアップデートの恩恵で誕生した領域に、含めたいデータを書き込みます。 また、何らかのものがインスクリプションされたサトシであっても前述したとおり、扱い自体は通常のBTCと変わりません。 BRC-20の仕組み BRC-20はOrdinalsを活用して、あくまで実験的にトークンとして扱えるようにしたものです。 BRC-20では、トークンとして機能させるために必要なルールのようなものを、前述したインスクリプションを活用して書き込み・機能させます。 そのため、インスクリプションする内容が異なるだけで、BRC-20を動かすための仕組み自体はOrdinalsを活用した他のNFTと大きな違いはありません。 Ordinalsの公式サイトでは直近のインスクリプションされたものを視覚的にチェック可能になっています。 BRC-20の人気が高まっているということもあって、直近のインスクリプションがBRC-20関連のものになっていることが分かるでしょう。 (引用元:Ordinals) Ordinalsでは複数の情報をインスクリプションでき、NFTでは画像関連のデータが書き込まれることが一般的です。 一方で、BRC-20では「text/plain;charset=utf-8」というタイプのインスクリプションを行います。 (引用元:Dune) 上記を参考にすると、インスクリプションされたもののうち、ほとんどがBRC-20と同じテキストを用いています。 2つ目に多い画像のタイプとも大きな差が開いており、Ordinals全体を見てもBRC-20が人気の高いインスクリプションの対象であることが分かるでしょう。 BRC-20とERC-20などとの違い ERC-20はイーサリアムに存在するトークンの規格で、BRC-20についてはビットコイン上に存在するトークンの規格です。 両者とも何らかのブロックチェーン上にあるという点は同じですが、その仕様・利便性は大きく異なります。 BRC-20はスマートコントラクトをサポートしていません。 そのため、BRC-20はERC-20のように複雑なことを行うことはできません。また、ERC-20はスマートコントラクトを利用した複雑なプロダクトはもちろんですが、さまざまなソリューションが完備されていて、一般的な方が利用しても利便性が高いです。 一方で、BRC-20も利便性が高くなるソリューションが日々出てきていますが、ERC-20ほどの利便性が高くありません。 BRC-20・ERC-20ともに名前が似通っていますが、その中身自体はほとんど異なるトークンです。 まとめ この記事では、BRC-20について解説しました。 BRC-20のトークンが多数の登場しており話題に上がりがちですが、ERC-20と同じような意識で扱うことはできないため注意が必要です。 その一方で、BRC-20の話題の高まりから周辺の開発に関するニュースも度々登場しているため、今後も注視していきたいと言えるでしょう。 最後まで、読んでいただきありがとうございました。
NFT
2023/05/07Magic Eden (マジックエデン) とは?使い方、NFT購入・出品方法を解説
Magic Edenは、主にSolanaのNFTを扱うNFTマーケットプレイスです。 SolanaのNFTの取引において高いシェアを持っており、Solanaに絞ったNFT取引量ではOpenSeaを上回っています。 Magic Edenは、SolanaのNFTを扱うなら、一度はチェックしておきたいNFTマーケットプレイスであると言えるでしょう。 この記事では、そんなMagic Edenについて概要から特徴、各機能の使い方などについて解説しています。 この記事のまとめ ・Magic Edenは主にSolanaのNFTを扱うマーケットプレイス ・SolanaのNFT取引において高いシェアを持つ ・Ethereumにも展開している ・Eden Gameから各ゲームのプレイとNFTの購入をダイレクトに可能 Magic Edenとは?SolanaのNFTマーケットプレイス Magic Edenは、主にSolanaのNFTを扱うNFTマーケットプレイスです。(詳しくは後述しますが、他のチェーンでも展開されています。) NFTマーケットプレイスとは、NFTを売買することが可能なサービスのことです。 NFTマーケットプレイスは、NFTを買うにも売るにも必要ですから、NFTを扱う方にとって必須な存在であると言えるでしょう。 そんなNFTマーケットプレイスの中でも、Magic Edenは主にSolanaのNFTを扱っています。 また、Solanaをはじめ、以下の4つのチェーンに対応しています。 対応チェーン(2023年5月現在) Solana(SOL) Ethereum(ETH) Polygon(MATIC) Bitcoin(BTC) 代表的なNFTマーケットプレイスとしてOpenSeaが挙げられますが、Magic EdenについてもOpenSeaと基本的な機能・できることは似通っています。 既にOpenSeaなどで、NFTマーケットプレイスの利用経験があれば、Magic Edenについても問題なく利用できるでしょう。 NFTマーケットプレイスOpenSeaの使い方、出品から購入、ミント方法までを完全解説 Magic Eden 4つの特徴 これから、Magic Edenが持つ特徴について以下のポイントから解説していきます。 ・Solanaで展開 ・Solanaにおける圧倒的なシェア ・他チェーンへの展開 ・ゲームとの親和性 Magic Edenの取り柄や魅力的なポイントをチェックしていきましょう。 Solanaで展開 Magic Edenは、SolanaのNFTを扱っています。 SolanaはEthereumと比較して、処理能力が高い・ガス代が低いといった特徴を持つブロックチェーンのことです。 そのため、そんなSolanaのNFTを扱うMagic Edenを利用した取引にも同様の傾向が見られ、Ethereumを利用したNFTマーケットプレイスよりも高い体験が可能です。 Solanaにおける圧倒的なシェア 前述したようなSolanaのNFT領域において、Magic Edenは圧倒的なシェアを誇っています。 以下は、2022年8月のSolanaにおけるNFTマーケットプレイスの取引ボリュームの比較となっていますが、Magic Edenが大きなシェアを持っていることが分かるでしょう。 SolanaのNFTマーケットプレイス領域において、著名なOpenSeaと比較してもMagic Edenの取引ボリュームは非常に大きいです。(ただし、Ethereumなど複数のチェーンを含めた取引ボリュームでは、OpenSeaが優位) 上記のような各NFTマーケットプレイスの取引量の比較や、各チェーンにおける注目のNFTなどについては、CT Analysisの「NFT マーケット市場レポート」で毎月取り扱っています。 「押さえておきたいNFT市場における動向」を毎月まとめているので、NFTを保有している方・NFTに興味がある方は、ぜひご覧ください。 NFT市場レポートへ 他チェーンへの展開 🧵 OUR ETH PLATFORM IS NOW LIVE! Today is day 1 of many. We're proud of - Partnering w/ 17 ETH Launchpad creators - Respecting royalties on native listings for ALL collections - Providing ALL ETH Launchpad partners royalties AND our 2% fee for 6 months Follow @MEonEthereum! pic.twitter.com/OcGdz4kr9Z — Magic Eden 🪄 (@MagicEden) April 6, 2023 これまで、SolanaのNFTを扱っていたMagic Edenですが、Ethereumに対応したマーケットプレイスを発表しました。 Solanaのマーケットプレイスとスムーズに切り替え可能となっており、名称や利用するウォレットは異なってくるものの、同じような操作性で利用可能です。 Magic Eden、ETHマーケットプレイスのローンチ|17のプロジェクトとパートナーに ゲームとの親和性 Magic Edenには、Eden Gameという機能があります。 Eden Gameからゲームへのアクセスが可能で、そのままブラウザーベースで各ゲームをプレイすることが可能になっています。 Eden Gameには、上記のように多数のゲームが提供されており、各ゲームで使用するNFTなどをダイレクトにMagic Edenから購入することも可能です。 Eden Gameを利用することで、ゲームのプレイと各NFTへの売買を、Magic Edenで済ませられるようになっています。 Magic Edenの使い方を解説 これから、Magic Edenの使い方について以下の観点から解説していきます。 ・前提として必要になるもの ・ウォレットの接続 ・NFTの購入方法 ・NFTの出品方法 ・ローンチパッドの参加方法 ・Eden Gameのプレイ方法 一つ一つチェックして、Magic Edenの使いこなせるようにしていきましょう。 事前に必要なもの Magic Edenを利用するには、各チェーンに対応したウォレットが必要です。 2023年5月現在時点でサポートされている4つのチェーンごとの対応ウォレットは以下の通りです。 チェーンごとの主な対応ウォレット Solana(SOL)・・・Phantom Wallet、その他 Ethereum(ETH)・・・メタマスク、その他 Polygon(MATIC)・・・メタマスク、その他 Bitcoin(BTC)・・・Xverse、Unisat、Hiro 仮想通貨やNFTを扱う方の大半はメタマスクを使用されていることと思いますが、Solana(SOL)を利用したい場合はPhantom Walletを準備する必要があります。 Solana関連のプロダクトに触れることがある方、この機会にPhantom Walletを作成しておいて損はないでしょう。 Solanaの概要やPhantom Walletの使い方については以下の記事で解説しています。 Solanaとは?概要や特徴、注意点を解説【始め方】 【使えると便利】Phantom Wallet | ウォレットの概要や使い方を解説! また、メタマスクについても以下の記事で解説しています。 MetaMask(メタマスク)の使い方まとめ!入出金・トークン追加も超簡単 Magic Edenとウォレットの接続 ウォレットが用意できた方 or 既に作成済みの方は、以下の手順でMagic Edenとウォレットを接続していきましょう。 Magic Edenにアクセス 左上の各チェーンアイコンから利用したいものをクリックして選択したら、右上の「Connect Wallet」をクリック 利用するチェーンを再度選択し、その下に表示される選択肢から接続するウォレットをクリック(接続したいウォレットが表示されていない場合は「Show more」をクリック) ウォレット側で接続を進める 上記の手順で、接続が完了したらMagic Edenを利用するための準備は完了です。 Magic EdenでNFTを購入する方法 Magic Edenでは、以下の方法でNFTを購入することが可能です。 画面上部の検索や「Popular collections」などからコレクションを探す コレクションからほしいNFTの「Details」から詳細を確認 「Buy now」へ 承認を行う Magic Eden内で各コレクションにアクセスしたら左側にある項目から、価格などを指定した上でNFTを探していくこともできます。 Magic EdenでNFTを出品とキャンセル方法 以下の手順で、Magic EdenにてNFTを出品とキャンセルをすることができます。 ウォレット接続したアカウントのアイコンをクリック ページに移行したら下へスクロールして、売り出したいNFTをクリック 価格を設定 List nowをクリック List nowをクリックすると、Phantomウォレットが起動しますので、トランザクション実行して完了すると出品されます。 出品されたNFTは「上場したアイテム」に入ります。出品キャンセルをする場合は、下記の動作になります。 「上場したアイテム」をクリック 「Details」をクリック 「上場をキャンセル」をクリック 「上場をキャンセル」をクリックすると、Phantomウォレットが起動しますので、トランザクション実行して完了次第キャンセルされます。 Magic Edenでローンチパッドに参加する方法 Magic Edenでローンチパッド(Launchpad)に参加する方法は、以下のとおりです。 左側の「Launchpad」へ 参加したいものを選ぶ スクロールして、プロジェクトの詳細などを確認することも可能 現在実施されているものを選択 (画像内のようにENDEDと表示されている分は既に終了済み) 各プロジェクトによって、ローンチパッドに参加できる条件は異なっています。 特に、ホワイトリストが必要なものも多く、全てのローンチパッドに参加できるわけではありません。(特に条件が設定されていなものあります) Eden Gameのプレイ方法 Eden Gameからアクセスできるゲームをプレイする方法は、以下のとおりです。 「Eden Game」の「Home」へ (「All Games」を選択すると全てのゲームを表示することも可能) スクロールし、プレイしたいものもを選択 (Play on Meの欄にあるものが、Magic Edenでプレイ可能なゲーム) 概要をチェック可能 スクロールして「Play Now」へ また、概要が記載されている箇所の「Explore Collection」から、各ゲームに関連したコレクションを閲覧可能できます。 マーケットプレイスを利用する上での注意点 マーケットプレイスの利用には、いくつかの注意点・リスクが存在しています。 これは、Magic Edenに限ったことではなく、他のマーケットプレイスでも潜在リスクとして存在しますので、頭の中に入れておいてください。 NFTに関連する盗難・詐欺といった事例は日常的に発生しており、身近なリスクとして以下が挙げられます。 訳のわからないウォレット承認・認証(オファー等)をしてしまって盗難に遭う 偽物のNFTを購入してしまって詐欺的行為に遭う 2020年〜2022年における盗難被害額は1,200億円に及び、日々増加傾向にあります。 上記のようなリスクは、一部になり手段を挙げれば数え切れないほど存在しています。このような形で悪意のあるユーザーがNFTを狙っていることを常に想定して、NFTの利用・管理は慎重に行っていきましょう。 盗難・詐欺に遭遇し失ったNFTの多くは取り戻せません。 イギリス税務当局、詐欺事件調査でNFTを押収 Magic Edenについてまとめ この記事では、主にSolanaのNFTに強みをもつマーケットプレイスであるMagic Edenについて解説しました。 Magic EdenはSolanaのNFTにおいて圧倒的な存在感を持つマーケットプレイスでありながら、現在では4つのマルチチェーンに対応するなどその幅広い展開も魅力のひとつです。 今後も動向を注視していきたいトピックのひとつであると言えるでしょう。 最後まで読んでいただきありがとうございました。 ー Magic Eden 公式リンク ー Webサイト:https://magiceden.io/ ツイッター:https://twitter.com/MagicEden ディスコード:https://discord.com/invite/magiceden ブログ:https://blog.magiceden.io/
プロジェクト
2023/04/18NIKE(ナイキ)NFT・Web3への参入動向の一覧 | スニーカー、プラットフォームを展開
NIKEは、NFT・Web3への参入に成功している企業の1つです。 これまで、NIKE関連のNFT(子会社のコレクション含む)は250億円以上の収益を上げており、取引高も1,000億円を超えています。 仮想通貨市場全体が落ち込みを見せている中、プラットフォームの立ち上げなど積極的な動きを見せており、今後もチェックしていきたい動向がいくつかあります。 この記事では、そんなNIKEとNFTのこれまでの主な動向やこれからについて、取り上げています。 NIKEとNFT [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元: pixfly / Shutterstock.com[/caption] 2021年から2022年にかけて、知名度の高いブランドを持つ多数の企業が、NFTやWEB3への参入を表明してきました。 関連:ハイブランド企業によるNFT活用一覧 その中でも、NIKEはもっとも積極的な企業の1つとして挙げられます。これまで、関連企業(RTFKT)の買収からスニーカーをモチーフにしたNFTの販売等の積極的な動向を見せています。 [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元: NFT Brand Case Study[/caption] NFTの流通・収益額を見ても、これまで1.8億ドル以上(約250億円)の収益を上げており、NIKE(CloneXなどを含む)の存在感は圧倒的です。2位のドルチェ&ガッバーナとも大きな差が付いていることが分かります。(2022年12月時点) これまでの取り組みやすでに発表されている動向などから、今後もNIKEではNFTやWeb3にまつわる取り組みが発表されていく可能性が高いと言えるでしょう。 NIKEとNFTの主な動向まとめ [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元: Kidney Stone / Shutterstock.com[/caption] これから、NIKEとNFTに関する主な動向について年代別にいくつか取り上げていきます。NIKEのこれまでの取り組み・事業などについてチェックしていきましょう。 2019年~2020年 - 商標と特許 [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元: Benjamas_Photovec / Shutterstock.com[/caption] 具体的なNFTの発行などは見られなかったものの、2019年から既にNIKEはクリプト周りの特許や商標を取得しようと試みていました。2019年4月には、仮想通貨関連と見られる商標「CRYPTOKICKS」の申請を提出しており、こちらの商標は後述するプロジェクトと関連があるものと見られます。 2019年の年末には、スニーカーをトークン化する特許も取得していました。特許の内容としては、NIKEがスニーカーに対してIDを生成し、各スニーカーに対応するトークンを発行するというものです。 こちらも、後述するプロジェクト(Cryoto kicks iRL)と親和性の高い特許であると言えるでしょう。 2021年 - RTFKTの買収 Welcome to the family @RTFKTstudios Learn more: https://t.co/IerLQ6CG6o pic.twitter.com/I0qmSWWxi0 — Nike (@Nike) December 13, 2021 2021年に、NIKEは「RTFKT」の買収を発表しました。RTFKTは、バーチャルなスニーカーやClone Xを展開するNFTのプロジェクトの1つです。著名なアーティストである村上隆氏と提携し提供されたCloneXのアバターコレクション(NFT)などでも知られています。 著名なブランドとNFTプロジェクトのコラボはいくつか見られた事例ではあるものの、買収を行うというのは初めての事例でした。 買収以降、NIKE関連のNFTの動向はRTFKTが中心になったりコラボが行われることが少なくないため、NIKEの動向に注目している方は、RTFKTもウォッチしていくのがおすすめです。 2022年 - NFT・プラットフォーム・スニーカーの展開 [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元: Nattawit Khomsanit / Shutterstock.com[/caption] 2022年はNIKE、RTFKTの動向が活発的になった年でした。これから、主な動向についてまとめていきます。 Dunk Genesis CRYPTOKICKSの発表 [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元: RTFKT x Nike Dunk Genesis CRYPTOKICKS[/caption] 2022年4月に、NIKEが買収したRTFKTは、スニーカーをモチーフにしたNFTであるDunk Genesis CRYPTOKICKSを発表しました。NIKEとコラボしたNFTということもあり、各シューズには、NIKEのロゴがデザインされています。 直近では、フロアプライス・取引高ともに下落傾向にあるものの、これまで7,900ETH以上の取引ボリュームがあります。(2022年12月時点) .SWOOSHの発表 [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元: dotSWOOSH[/caption] 2022年11月には、WEB3プラットフォームである.SWOOSHを発表しました。 .SWOOSHは、バーチャルな製品の共同制作を行う機会などを提供するプロジェクトの総称で、デジタルコレクションの立ち上げなどさまざまな動きが見られると考えられています。 プラットフォームということもあり、コミュニティに向けたさまざまなサービス・イベント・体験などが立ち上げられていく旨が示唆されています。 関連:NIKE(ナイキ)web3プラットフォーム「.SWOOSH」を立ち上げ 2023年4月18日に.SWOOSHは、初のデジタルコレクションになる「Our Force 1」のサービス提供を開始します。(海外時間) 🚨 AIRDROP IS TOMORROW 🚨 Now that we have your attention, let’s talk about what that means 👇 pic.twitter.com/n79QO9dpeH — .SWOOSH (@dotSWOOSH) April 17, 2023 .SWOOSHにOur Force 1を購入する機会を提供しています。Our Force 1は、Air Force 1をモデルとしたユニークなデジタルスニーカーです。所有していることで今後、ユーティリティも解除されていく予定です。詳しくは下記の記事をご覧ください。 関連:NIKE(ナイキ).SWOOSHのOur Force 1 ビジュアル公開|ユーティリティも発表 サッカーユニホームのドロップ Through the wormhole ☄️ RTFKT Clone X 🧬 in the Footballverse 🌐 with @nikefootball legends ⚽ 👇 pic.twitter.com/dq9bk0ORgN — RTFKT (@RTFKT) November 16, 2022 同じく2022年11月に、サッカーユニホームのNFTを抽選でドロップする発表を行いました。 抽選の参加に伴って必要なのはRTFKTアカウント、MetaMaskといったものでしたが、CloneX保有者は当選確率が上がるという特典が見られました。時期的に2022年ワールドカップに伴ったドロップと見られます。 関連:サッカーユニホームNFTを抽選でドロップ Cryptokicks iRLの発表 Our next-gen innovation drop Cryptokicks iRL 👟⚡️ 1st native web3 sneaker Combining decades of @Nike tech 👨🔬 & RTFKT vision to merge worlds 🌎🌐 Details & FAQ: https://t.co/0I5cwrd8bb pic.twitter.com/A1jP8xg0NZ — RTFKT (@RTFKT) December 5, 2022 2022年12月には、RTFKTによってNIKEとコラボしたスニーカーであるCryptokicks iRLが発表されました。Cryptokicks iRLは、NFTを購入することによって現物のCryptokicks iRLスニーカーを手に入れることが可能です。(米国居住者向け) 現物のスニーカーは、さまざまな技術を搭載した最先端のスニーカーとなっており、NFTとスニーカーを連動させる機能や自動で足にフィットさせる機能などが付与されています。 さまざまな取り組みから、2022年はNIKEとRTFKTの動きが積極的になっていると言えるでしょう。 関連:スニーカー「Cryptokicks iRL」を発表 RTFKT × Air Force 1 SZN 1 Lookbook is now live! 👟 pic.twitter.com/TcEfaYCGHj — RTFKT (@RTFKT) April 11, 2023 RTFKTとAir Force 1のフィジカルアイテムが提供されることが発表されました。2023年4月24日から5月8日まで、デジタルコレクティブルNFT(デジタルスニーカー)の所有者は、フィジカルスニーカーと交換できます。 このForging EventはRTFKTの公式ウェブサイトで開催され、フィジカルスニーカーは2023年第4四半期に出荷予定です。参加者はERC-1155トークンをバーンし、ERC-721トークンを受け取ります。これは後でRTFKT WM NFCチップを介してフィジカルアイテムにリンクするために必要とのことです。 Air Force 1がRTFKTとコラボすることで、フィジタルアイテムとして提供されることが予定されています。 関連:NIKE × RTFKT、4月24日からフィジカルスニーカー獲得可能に 今後のチェックしたい予定・動向 新たなスニーカーなどの取り組み プラットフォームを軸にした活動 これから、NIKEとNFTの今後について注目していきたいトピックをいくつか取り上げていきます。NIKEとNFTのこれからをチェックしていきましょう。 新たなスニーカーなど従来どおりの取り組み これまで、NIKEはRTFKTとのコラボなどを通して、NFTや現物(Cryptokicks iRL)などのシューズを発表しています。 上記のような傾向を考慮すると、今後も何らかの形でNFTを用いたサービス、プロダクト、作品を世に出していく可能性が考えられます。 また、NIKEはROBLOXにて「NIKELAND」を提供しているのでNFTのみならず、今後メタバースの領域においても何らかの動向を見せる可能性があります。 プラットフォームを軸にした活動 まだ、はっきりとした全貌が明らかになっていないものの、NIKEが発表したプラットフォームである.SWOOSHではさまざまな活動を行っていく旨が公表されています。 そのため、.SWOOSHを通したさまざまな活動についても注目していきたいです。特に2023年には、デジタルコレクションを.SWOOSHから展開していく旨が示唆されています。 NFT・Web3の領域としてどのように関連していくは、まだ正確にはわかっていませんが今度の動向が気になるところです。 他ブランドの登場 INTRODUCING ADIDAS VIRTUAL GEAR Unveiling the genesis collection of adidas Virtual Gear 🧵👇1/6 pic.twitter.com/FUt9Qhj8VO — adidas Originals (@adidasoriginals) November 16, 2022 NIKEがNFTやWEB3周りの参入に積極的ではあるものの、NIKEのみではありません。前述した通り、NIKE以外にもNFTを発行しており、既に収益を上げているブランドは多数見られます。 例えば、NIKEと同じくスニーカーとして著名なadidasもデジタルファッションNFTやBAYCとコラボしたNFTプロジェクトを発表する動きを見せています。 NIKEの成功事例から今後ファッション、スポーツブランドや企業から、同じような動きをする可能性が考えられます。どういった企業がNFTに参入していくのか楽しみです。 関連:adidas(アディダス)デジタルファッションNFTを公開 NIKEとNFTについてまとめ この記事では、NIKEとNFTの動向についてご紹介しました。 NIKEは、非常に積極的にNFTやメタバースに参入しており、プラットフォームの立ち上げなども行っていることから、今後も何らかのイベントが期待できると言えるでしょう。 一方で、ハイブランドがNFTに続々と参入している状態なので「ブランド × Web3」というのは、業界を盛り上げる領域になっていく可能性が考えられます。 【ハイブランドNFT】ハイブランド企業によるNFT活用一覧 – 参考リンク– dotSWOOSH 公式サイト:https://www.swoosh.nike/location RTFKT Twitter:https://twitter.com/RTFKT NIKE Twitter:https://twitter.com/Nike OpenSea:https://opensea.io/collection/rtfkt-nike-cryptokicks
初心者向け
2023/03/19仮想通貨とブロックチェーンを学ぶための勉強法と情報収集
仮想通貨は、難解な概念や用語が頻繁に登場し、勉強が難しい・・・と感じている方が多いはずです。 また、同時に日々新たなプロジェクトや技術が登場していく特性上、キャッチアップに苦悩しているという方も少なくないでしょう。 この記事では、仮想通貨の勉強に焦点を当てて、おすすめの勉強法やさまざまなトピックを理解していく上で必須の基礎的な初心者向けの記事をご紹介しています。 仮想通貨を勉強しておきたい理由 [caption id="attachment_89849" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元 : Immediate Edge (https://immediateedgeapp.org)[/caption] 仮想通貨を勉強しておきたい理由として挙げられるのは、新たな可能性に触れられるという点です。 仮想通貨関連のビジネスでは、ブロックチェーンやスマートコントラクトを利用しており、その仕組みを理解することで、これからの社会の変化を予測したり、投資機会を見つけられるかもしれません。 すでに、上記の技術を応用したさまざまなサービスやプラットフォームが登場しており、DeFiやBCG、NFTなどを利用することでその一端に触れることも可能です。 また、仮想通貨では情報や知識が、自身の資産(仮想通貨)にダイレクトに影響することが多いです。 例えば、身近なリスクにはウォレットの秘密鍵を盗難、紛失するといったものが挙げられます。 また、仮想通貨においてホットなトピックの1つであるDeFiにもさまざまなリスクが存在しており、コントラクトの挙動やレンディングなどで見られる清算の仕組みを把握しておかないと、資産が無くなってしまう可能性も存在しています。 仮想通貨への理解を深めていくことで、こういったリスクを回避していくことが可能です。 仮想通貨のおすすめの勉強法:4選 これから、仮想通貨のおすすめの勉強法について、以下のポイントから解説していきます。 ・本や情報量の多いサイトで基礎知識を押さえる ・Twitterで最新の情報をキャッチアップする ・レポートでより深い情報にも触れる ・コミュニティを活用する 仮想通貨の各勉強法についてチェックしていきましょう。 本や情報量の多いサイトで基礎知識を押さえる 仮想通貨関連のニュースや情報を目にしても、ほとんど理解できないといった方は、まずは本や情報量の多いサイトで基礎知識を押さえるのがおすすめです。 仮想通貨では、根底にある技術や概念、思想などが既存の金融や法定通貨(日本円や米ドル)と大きく異なっており、それに伴って仮想通貨特有の用語や言い回しが多数存在しています。 そのため、ブロックチェーンやトークン、コンセンサスアルゴリズムといった基礎的な部分はもちろん、DeFiやBCGといった各トピックにおける概要なども予め押さえておくと、仮想通貨業界に存在する難解な言葉を理解しやすいはずです。 CryptoTimesでも、さまざまな記事を扱っているので、ぜひご覧ください。(おすすめ記事は後述しています) Twitterから最新の情報をキャッチアップする 仮想通貨において何が今注目されているのか?ホットなトレンドは何か?といった点を押さえるなら、Twitterを活用するのがおすすめです。 Twitterには、国内外問わず仮想通貨周りの多数の有識者が存在しており、トレンドや最新情報は大抵Twitterを通じて拡散されます。 上記のような背景から、各プロジェクトにおける発信や発表もTwitterを通じて行われることが多いため、自身が保有している仮想通貨の公式アカウント、影響力の大きいプロジェクト・取引所などは予めフォローしておくと良いでしょう。 ただし、仮想通貨関連のアカウントをフォローすると、スパムが送られて来ることも多く、詐欺被害なども見られるため利用には注意が必要です。 レポートでより深い情報にも触れる プロジェクトやトピックの内容をより詳しく知りたいといった方は、各メディアやリサーチャーが提供しているレポートをチェックするのもおすすめです。 レポートでは、より深い市場や各トピックに対する情報・考察をチェックできることが多く、学びになることが多いです。 特性上、中上級者向けのものが多いですが、レポートをチェックすることで仮想通貨を取り巻くエコシステムや技術などに対する理解が深まるでしょう。 CT Analysisでは、毎月DeFiやNFTの市場・動向レポートや、これから注目したいトピックを詳細に解説したレポートを多数提供しています。 より深くクリプトを理解したいという方はぜひチェックしてみてください。 CT Analysisへ コミュニティを活用する 上記のような勉強法と並行して、仮想通貨関連のコミュニティを活用するのもおすすめです。 仮想通貨を用いた運用やプロダクトの利用には、障害や疑問など小さな問題が発生するすることも少なくありません。 そういった諸問題は、コミュニティを活用することで案外かんたんに解決できるかもしれません。 主にDiscordやTelegramなどで運用されていることが一般的で、国内だけでも多数のコミュニティが存在しています。 CryptoTimesでも、公式コミュニティ「boarding bridge」を運用しているので、ぜひ気軽に参加してみてください。 boarding bridgeへ CryptoTimesで扱っている初心者向けのおすすめ記事 CryptoTimesでは、初心者の方に向けてさまざまな記事を発信しています。 これから、以下のセクターに分けて、いくつかおすすめの記事をピックアップしました。 ・基礎知識を押さえたい ・代表的なブロックチェーンやプラットフォームの概要を押さえたい ・DeFi・NFTを触りたい ぜひ、気になるポイントから各記事をチェックしてみてください。 基礎知識を押さえたい まず、前提となる基礎知識を押さえたいといった方には、以下のような記事がおすすめです。 ブロックチェーンとビットコインの概要 なぜビットコインに価値がつくのか? ブロックチェーンは仮想通貨の根底にある技術であり、ほぼすべてのトピックに深く関連していることが多いです。 そのため、予め押さえておくと、さまざまなトピックを理解する上で基礎的な知識として活用できます。 コンセンサスアルゴリズムの概要 【初心者向け】仮想通貨(ブロックチェーン)におけるコンセンサスアルゴリズムとは? コンセンサスアルゴリズムは、取引がブロックチェーンに取り込まれ、取引が完了するまでのプロセスに大きく影響します。 コンセンサスアルゴリズムの特性によって、そのプロジェクトの運用や処理能力などにも影響を与える重要なトピックであり、さまざまなプロジェクトにおいて焦点になることの多いポイントの1つです。 マイニングと半減期の概要 イチからわかるマイニング事情【第1回】: マイニングとは? ビットコインの半減期はいつ?概要や今後の注目ポイントを解説 上記は、トピックの特性上、ビットコインに関連する情報が多いですが、PoSを採用するプロジェクトが多い中、ビットコインのマイニングや半減期の動向は、市場への影響が大きいと指摘する声が多くあります。 そのため、押さえておくと日々のニュースや情報を掴みやすくなるでしょう。 代表的なブロックチェーンやプラットフォームの概要を押さえたい 日々新たな仮想通貨が登場しているものの、仮想通貨市場に大きな影響を与える注目したい仮想通貨やブロックチェーンは存在しています。 代表的なブロックチェーンやプラットフォームは、他のプロジェクトに影響を与えていることも多いため、予め押さえておくことでさまざまなトピックを理解する基礎的な知識となるでしょう。 ビットコインの概要 ビットコインとは?取引の前に知っておくべき基礎知識 ビットコイン取引における危険性とリスク回避のための10のポイント ビットコインの口座開設方法と仮想通貨取引所選びのポイント ビットコインは仮想通貨のパイオニアであり、現状ほぼ全てのプロジェクトの基盤となる要素を実装し、現在も最も時価総額の高い仮想通貨です。 イーサリアムの概要と周辺のプロジェクト 【仮想通貨】Ethereum(イーサリアム)とは?根幹を支えるスマートコントラクト技術を含めて解説 L2ソリューション「Arbitrum One」の概要や設定方法、基本的な使い方からリスクまで徹底解説! イーサリアムは、ビットコインと同じような要素を継承しながら、ブロックチェーンでさまざまなアプリケーションやプロダクトを構築可能にしたプロジェクトであり、ビットコインに次いで高い時価総額を持ちます。 イーサリアムを基盤としたさまざまなプロジェクトが登場しており、非常に影響力の強い仮想通貨です。 Cosmosの概要と周辺のプロジェクト 仮想通貨Cosmos/$ATOMとは?特徴や仕組み、注意点を解説 DeFi特化のチェーン「Sei Network」とは?概要や特徴、今後を解説 Cosmosは、インターオペラビリティに焦点を当てたプロジェクトで、Cosmosを基盤にしたさまざまなブロックチェーンが登場しています。 新たなプロジェクトやブロックチェーンが、Cosmosによって提供されている要素をもとに開発されているケースが多数見られ、今後もローンチを控えている注目のプロジェクトが多数存在しています。 DeFiやNFTを触りたい ブロックチェーンや仮想通貨を活用したサービスやプロダクトに触れてみたいという方の中には、DeFiやNFTへの挑戦を検討している方もいるかもしれません。 DeFiやNFTを触りたいという方には、以下のような記事・レポートがおすすめです。 DeFi 【完全解説】DeFiをジャンル別に徹底解説 | 代表プロジェクトも紹介 DeFi(分散型金融) 概要と最新動向の解説レポート NFT NFT周辺の解説と業界の現状, 動向調査レポート NFTマーケットプレイスOpenSeaの使い方、出品から購入、ミント方法までを完全解説 仮想通貨の勉強法についてまとめ この記事では、仮想通貨の勉強法に焦点を当てて、さまざまなポイントから解説しました。 仮想通貨は、さまざまな方向・観点から開発が進んでおり、全てのトピックにおいてピックアップしていくのは非常に難しいです。 しかし、できる限り効率化していくことは可能なので、ぜひCryptoTimesやboarding bridgeを活用してみてください。
プロジェクト
2023/03/18BSC(BNB Chain)とは?バイナンス主導のブロックチェーンの特徴や注意点を解説
BSC(BNB Chain)は、EVM互換性のあるスマートコントラクトに対応したL1ブロックチェーンです。 DeFiにおいて50億ドル近くのTVLを持ち、周辺のエコシステムとの親和性の高いBNBの時価総額は500億ドルを超えています。 どちらの指標もETHに次いで大きな規模を持っており(時価総額はUSDTを除く)、代表的なプロジェクトであると言えるでしょう。 この記事では、そんなBSCについて以下のような観点から解説しています。 この記事のまとめ ・Binance主導のブロックチェーン ・一定程度の中央集権を許容しながら高い処理能力を持つ ・さまざまな面でETHに次ぐ規模を持つ ・デフレを期待できるバーンを積極的に行っている BSCとは?Binance主導のブロックチェーン BSC(BNB Chain)は、スマートコントラクトを扱えるL1のブロックチェーンです。 Defi Llamaのデータによると、BSCはトップ3に入るTVL(Total Value Locked)を記録しています。 これから、BSCの概要や特徴などについて、以下の観点から解説していきます。 ・概要 ・かんたんな特徴 ・ビーコン・ZK・サイドチェーンなどとの違い ・BSCの現状 BSCの基本的なポイントをチェックしていきましょう。 BSC(BNB Chain)の概要 BSC(BNB Chain)は、スマートコントラクトを実装したL1のブロックチェーンです。 もともと、Binanceは高速で大量の取引を処理可能なBinance Chainの開発を行っていました。 しかし、DeFiにおけるイーサリアムの台頭などによって、さまざまなプロジェクトを構築可能なスマートコントラクトを実装したブロックチェーンを開発することになり、BSCが登場します。 Binance Chain・BSCともにガス代の支払いなどにBNBに用いるものの、ブロックチェーンが備えている機能には大きな違いがあります。 BSCは、スマートコントラクトを扱えることから、イーサリアムなどと同じようにさまざまなプロジェクトが構築されており、例えばDeFiではPancake Swapといった代表的なプロジェクトがBSCで運用されています。 かんたんな特徴 BSCはEVMと互換性があり、同じようなプロジェクトが構築されているという特性上、イーサリアムと基本的な要素は似通っています。 しかし、以下のようなポイントにBSCの特徴、イーサリアムとの違いが見られます。 高速なファイナリティと高いTPS 安いガス代 四半期ごとの大規模なバーンイベント 限定的なノード数 上記特徴をまとめると、BSCは限定的なノードで若干の中央集権的な側面を持ちながら高い処理能力を持ち、定期的に大規模なBNBのバーンを一定期間で実施しているプロジェクトです。 特に高い処理能力と安いガス代は、DeFiの流行によってイーサリアムにおいて諸問題が発生した際に、BSCの大きな魅力として多数の利用者を抱え込むきっかけの一つとなりました。 ビーコン・ZK・サイドチェーンなどとの違い Binanceが主導しているプロジェクトは多岐にわたっており、BSCとの違いが分からない・・・という方もいるかもしれません。 そのため、BSCと他のブロックチェーンの違いをかんたんにチェックしていきましょう。 プロジェクト名 BNB Beacon Chain Zk BNB BSC BNB GreenField 概要 L1 ロールアップ L1 分散型ストレージ 特徴 TendermintとCosmos SDKで構築 より低コストで高い処理能力 汎用性の高さ 分散性の高いデータ管理 期待される用途 BNBにおけるステーキング、 ガバナンスなど 高頻度のトランザクションが 要求されるプロジェクトなど 高い構成可能性・小規模プロジェクト 分散型ストレージ、NFTなど 上記のプロジェクトをまとめて「BNB Chain(Build N Build Chain)」と言います。 Beacon Chainは、BNBにおけるステーキング・ガバナンスを担います。 Zk BNBは、BSCをベースにしたロールアップ(ガス代軽減などが期待できる)、BNB GreenFieldは分散型ストレージのプロジェクトです。 また、この他にもBNBサイドチェーンが展開されていたり、OPロールアップを利用したプロジェクトのローンチも示唆されているため、BSCと近しいプロジェクトはいくつか見られます。 BSCの現状 これから、いくつかBSCのブロックチェーンの利用状況や、DeFi市場における状況などについてチェックしていきます。 BSCには、2023年3月時点で2.6億以上のアドレスが存在しており、直近の数カ月はユニークなアドレスが毎日100万程度、アドレスは毎日20万~80万程度のスピードで増加傾向にあります。(タイミングにより増加具合は大きく上下します) (引用元:BSC Scan) これは、イーサリアム(合計アドレス:約2.2億)などの競合と比較しても大きな高い数値となっており、後発であることも踏まえるとBSCがアクティブに利用されているチェーンである事がわかるでしょう。 DeFiにおけるTVLは50億ドル程度でイーサリアムに次いで2位、その中でも最もTVLが大きいのはPancakeSwapで、BSC上TVLの約半分近くがPancakeSwapによってロックされています。 (引用元:DefiLlama) その他のプロジェクトにおけるTVLでは、venus(約7億ドル)、Alpaca Finance(約4億ドル)、BiSWap(約2億ドル)、Coinwaid(約1.7億ドル)などが続いています。 BSCの注目したいポイント これから、BSCが持つ注目ポイントについて以下の点から解説していきます。 ・高い処理能力 ・PoSAを採用するコンセンサス ・デフレを期待できる仕組み BSCの特別なポイントにチェックしていきましょう。 高い処理能力 BSCはEVM互換性を持ち、イーサリアムと同じような利用方法ができるのに加えて、高い処理能力を持ちます。 2,000TPSを実現するポテンシャルを持ち(2023年には5,000TPSになる可能性も)、3秒間に1度ブロックが生成され、ファイナリティまでは30秒〜45秒程度です。 また、処理能力・ガス代ともにイーサリアムと比較すると優位性があり、低いコストでさまざまなブロックチェーン上のプロダクトに触れることができます。 今後も、さまざまな取組によって処理能力を向上させる方針のようなので、より快適な利用が可能になっていくかもしれません。 PoSAを採用するコンセンサス BSCでは、DPoSとPoAを組み合わせた「PoSA」というコンセンサスを採用しています。 概ね、DPoSと似たもので、多くの投票力(BNB)を委任された主体がバリデーターとなります。 【初心者向け】仮想通貨(ブロックチェーン)におけるコンセンサスアルゴリズムとは? 前提として、バリデーターの候補となるには10,000BNBをステークする必要があり、そのバリデーター候補にBNB保有者がBNBを委任していきます。(BNBの委任は一般の方でも気軽に可能) BSCでは、一定時間内でもっともBNBを委任されたバリデーターをまとめて「バリデーターセット」となり、バリデーターセットが中心になってトランザクションを処理していきます。 2023年3月時点で、バリデーターセットには29のバリデーターが選ばれます。(詳しくは後述しますが、29の中にも選出方法に違いがあるバリデーターが含まれます。) このバリデーターセットは、一定時間で交代する仕組みになっていて、再度一定時間が経つと委任されたBNBを元にバリデーターセットが選出されます。 記事執筆時点において、BSCには52のバリデーター(候補)が確認でき、この中からバリデーターセットになるバリデーターが選出されることになります。 (引用元:BNB CHAIN) ただし、前述したとおり、基本的には上位のバリデーターが選出され、各バリデーターによってステータスも異なっているため、全てのバリデーターが常にネットワークに参加している状態ではありません。 また、他のPoSやDPoSを採用するブロックチェーンと同様に、バリデーターはトランザクションを処理すると、ガス代を原資にした報酬を受け取ります。 デフレを期待できる仕組み BSCはもちろん、他のBNBチェーン全体の基盤となっているBNBには、バーンを用いた供給を絞る試みが実装されており、デフレを期待できる仕組みが存在しています。 (バーン = Burnは、仮想通貨を利用できない状態にすることで、間接的に市場の仮想通貨を無くしていくこと) BNBは、約2億枚が発行されており、そのBNBが徐々に減少していく仕組みが実装されていることになります。 BNBには、主に2つのバーンが実装されており、1つ目が「ガス代を元にしたバーン」、2つ目が「四半期ごとのバーン」を元にしたバーンです 1つ目のガス代を元にしたバーンでは、ブロックチェーンの利用者によって支払われたガス代の1部をバーンすることによって、市場に流通するBNBを自動的に絞る仕組みです。 これまで、このバーンを通して15万枚以上がバーンされました。 次の四半期バーンは、価格と四半期ごとに生成されたブロックの数を参考にした計算式を元に、四半期ごとにBNBを大量にバーンしていくものです。 直近のバーンでは、200万枚以上がバーンされており、ガス代の取引手数料を元にしたバーンよりも非常に影響力が強いです。(1億枚を切るまで続く) 上記のような取り組みによって、これまで4,400万枚がバーンされており、20%程度の供給が減少していることになります。 BSC上の代表的なプロジェクト 前述したように多数の利用者が存在しているBSCには、さまざまなプロジェクトが構築されています。 代表的なプロジェクトには、以下のようなものが挙げられます。 PancakeSwap (DEX) Venus (レンディング) Alpaca Finance (レバレッジファーミング) イーサリアムほどではないものの、大規模なプロジェクトが複数展開されており、BSCの恩恵を受けて低いコストで利用可能です。 実際に利用するには、ウォレットの設定などが必要になるので、気になる方は以下をチェックしてみてください。 メタマスク(MetaMask)でのBNBチェーン(BSC)への接続方法を解説 BSCの注意点・リスク これから、BSCの注意点やリスクといった観点から、いくつか注目したいポイントをご紹介していきます。 ・イーサリアムやビットコインよりも中央集権的 ・Binanceの影響力によるリスク ・使用に伴う潜在的なリスク BNBの購入やBSCの利用前に押さえておきたいポイントをまとめました。 EthereumやBitcoinよりも中央集権的 BSCは、EthereumやBitcoinなど、一般的に代表的なチェーンに向けられるイメージとは、少し特色が異なるポイントがあります。 それは、分散性を一定程度犠牲にしているという点です。 前述したとおり、BSCのバリデーター候補は50程度、その中でアクティブに取引を処理するバリデーターセットは29に限定されます。 どちらも特有の批判はあるものの、分散性の高さに定評のあるEthereumやBitcoinに対して一般的に想像される分散性とは異なります。 (29のバリデーターのうち、何らかの問題が発生した場合は、他のアクティブではないバリデーターが補完する仕組みなどはあります) BSC特有の問題ではなく、似たような構造を持つブロックチェーンが同様に持つ問題ではあるものの、リスクの1つとして注視が必要でしょう。 https://twitter.com/BNBCHAIN/status/1506730488727285771?s=20 ただし、徐々に分散性を上げていこうという取り組みも確認できます。というのも、元々BSCのバリデーターの数は現在よりも少なくなく、より中央集権的でした。 現在はアクティブになるバリデーターの数を拡大していることに加えて、これまでアクティブではなかったバリデーターも、バリデーターセットに加えられる余地が与えられました。 具体的には、バリデーター候補の中からランダムに選出する枠を設け、アクティブではないバリデーターにBNBを委任するインセンティブや、非常時にバックアップとなるバリデーターが品質を維持するインセンティブが期待できるようにしました。 (現在は29のうち、8が候補のバリデーターから選出されていますが、セキュリティ維持のためブロックを生成する機会は限定的です) また、今後アクティブなバリデーターを29から100に拡大する計画も存在しており、より分散性が高く、安定性を保つブロックチェーンにするための開発が進んでいます。 Binanceの影響力によるリスク BSCのエコシステムはコミュニティによってさまざまな開発が進んでいますが、さまざまな面でBinanceが大きな影響力を持っています。 仮にダイレクトにBSCに影響を与える問題でなかったとしても、Binanceに何らかの問題があった場合にレピュテーションリスクが発生する可能性は考えられるでしょう。 例えば、FTXが破綻した際にはSolanaが他の仮想通貨と比較して、SOL価格やDeFiのエコシステムにおいてよりネガティブな影響が及んだ事例がありました。 類似するようなリスクは、BSCやBNB Chain関連のプロトコル・プロジェクトにも存在している可能性があります。 使用に伴う潜在的なリスク BSCのエコシステムを利用したさまざまなユースケースには、DeFiやBSCが持つ潜在的なリスクを含んでいます。 DeFiを利用したさまざまなリスクはもちろん、BSCでは直近でブリッジのトラブルでブロックチェーンが停止するトラブルがありました。 致命的な被害はでなかったものの、今後も類似のトラブルが出てくる可能性はあるでしょう。 https://twitter.com/CryptoTimes_mag/status/1578187238504292352 BSCに限らず、どの仮想通貨にも見られるリスクではありますが、常にバグやハッキングといった潜在的なリスクは警戒しておく必要があります。 BSCについてまとめ この記事では、BSCについてさまざまなポイントから解説しました。 BSCはEthereumに次いで、規模が大きなブロックチェーンです。 それに加えて、業界最大手のBinanceが主導していることもあり、今後もさまざまな方面で影響を与える可能性が高いため、注視していきたいと言えるでしょう。
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2023/03/11イールドファーミングとは?DeFiでの資産運用について理解しよう
イールドファーミングは、DeFiを活用し利回りを得ることやその仕組みのことを指します。 500億ドル近くがロックされているDeFiでは、多数のブロックチェーンとその上に構築されたDeFiプロトコルにおいて、多種多様な選択肢が存在しています。 この記事では、そんなイールドファーミングの概要、特徴、やり方についてわかりやすく解説しています。 この記事のまとめ ・イールドファーミングはDeFiで利回りを得る仕組みのこと ・透明性やカスタマイズ性の高い運用が可能 ・さまざまな形で資金をロックすることでリターンが得られる ・特有のリスクやガス代といった注意点も イールドファーミングとは?DeFiで利回りを得るには イールドファーミングは、DeFiを構成する重要な要素であり、注目された背景でもあります。 これから、イールドファーミングの概要や種類、ステーキングとの違いなど下記の項目について解説していきます。 ・DeFiにおけるイールドファーミングの概要 ・イールドファーミングを行う下準備 ・ステーキングとの違い DeFiにおけるイールドファーミングの概要 イールドファーミングとは、何らかのDEX(分散型取引所)・レンディングなどに、仮想通貨を預ける・もしくは貸し付けることで利回りを得る、もしくはその仕組みのことを指す言葉です。 イールドファーミング(yield farming)のイールドは"利回り"を指し、ファーミングは"農業"や"耕作"を意味します。 イールドファーミングを行うことで、自身の仮想通貨をブロックチェーン上で運用することが可能であり、透明性の高い運用が可能です。 また、現在は多数のプロトコル・プロダクトが存在していることで、多種多様な選択肢が存在しており、リスクの取り具合によっては高い利回りを実現することもできます。 *運用には当然リスクも伴われますので注意してください イールドファーミングを行う下準備 イールドファーミングを実行していく際には、前提としてDeFiの概要と各プロトコル・プロダクトの使い方、種類などについて押さえておくと便利です。 具体的には、DeFiを活用してイールドファーミングを行うには、秘密鍵を管理するウォレットを保有し、各プロトコルへ接続した上で、UIを操作していく必要があります。 これは、CEX(中央集権取引所)を利用した仮想通貨の取引や運用とは、仕組みや使い勝手なども異なってきます。 特に国内仮想通貨取引所での運用や取引とは、請け負うリスクや難易度が異なるため、注意が必要です。 以下に、イールドファーミングをはじめる上で、参考になるリンクを記載しますので、ぜひ参考にしてみてください。 仮想通貨を購入したい方へ ・ビットバンクの登録・口座開設方法を解説![簡単3ステップ] ・【最新版】取引所bitFlyer(ビットフライヤー)の登録方法・使い方まとめ! ・【Coincheck(コインチェック)の登録方法・使い方】入出金・仮想通貨売買まで徹底解説 ウォレット周り ・MetaMask(メタマスク)の使い方まとめ!入出金・トークン追加も超簡単 ・MetaMask(メタマスク)モバイル・スマホの使い方を解説! DeFiの概要やリスクについて ・CT Analysis第7回レポート『DeFi(分散型金融) 概要と最新動向の解説レポート』を無料公開 ・分散型金融「DeFi」を利用する上でのリスクを徹底解説 ステーキングとの違い イールドファーミングと同じような文脈に、ステーキングがあります。 定義が曖昧なため、一部で混合 or 同じものという情報も見られますが、ステーキングは主にPoSを採用するブロックチェーンのネットワークに参加する上で、必要になる仮想通貨のロックを指すケースが多いです。 イールドファーミング・ステーキングともに、一度預け入れたり、ロックしたりすることで受動的に利回りが期待できるものの、イールドファーミングとステーキングは少々特色が異なります。 ステーキングやPoSの概要については以下の記事をご覧ください。 【初心者向け】仮想通貨(ブロックチェーン)におけるコンセンサスアルゴリズムとは? イールドファーミングの特徴 これから、イールドファーミングの特徴について以下の観点から解説していきます。 ・仮想通貨を透明性の高い状態で運用可能 ・多種多様なオプションと戦略 ・高い利回りを得られるケースも イールドファーミングの特徴・特別なポイントをチェックしていきましょう。 仮想通貨を透明性の高い状態で運用可能 イールドファーミングの最も大きな特徴に、DeFiを活用することで透明性の高い運用が可能という点が挙げられます。 イールドファーミングで活用することになるDeFiプロトコルは、収益が発生する仕組み、権利の確定、利回り、独自のトークンを発行している場合は発行計画 or スキームなどが公開されていることが一般的になっています。 そのため、自身が売買した・貸し付けた・預け入れた資金が、どのように扱われるのか?という点をチェックすることが可能です。 (DeFiでは、ブロックチェーン上のコントラクトを通して、取引を行います) 一般的なユーザーが、そのプロトコルの仕組みを1から100まで把握することはできないにしても、何らかのリスクがあるプロトコルはコミュニティなどで問題が共有されるケースが多いです。 規制や当局による監視が十分に行き届いていないケースが見られる仮想通貨業界おいて、これは大きなメリットです。(法整備や規制が追いついていない仮想通貨の運用において、特に資金や運用スキームが不透明なCEX・TradFiを活用した運用には一定のリスクが存在します) イールドファーミングを活用すれば運用に伴うリスクや注意点を予め把握できる可能性が高く、それに伴うリスクの軽減プランなどを用意できます。 多種多様な選択肢と戦略 イールドファーミングでは、多種多様な選択肢と戦略が取れます。 前提として、現在DeFiには500億ドル近い金額がロックされており、各チェーンごとに多種多様なプロトコル、プロダクトが構築されています。 (引用元:DefiLlama) その中には、レンディング・DEX・オプションなどを扱うDeFiプロトコルが含まれ、各レンディング・DEX・オプションの利用・運用を助けるツールも多数登場しています。 その上で、DeFiを活用したイールドファーミングでは、プロトコルやプロダクトで得たものを、他のプロトコルやプロダクトで応用可能なケースが多いです。 例えば、レンディングでは、資金の預け入れに伴って、預け入れを証明するトークンが発行されることがあります。(債権に近い存在) そのような運用に伴って獲得したトークンを再度、流動性や担保として運用に回すことも可能です。 上記のような特性から、取るリスクやその度合い、ポジションなどを柔軟にカスタマイズ可能になっています。 高い利回りを得られるケースも 前述したような背景から、複数のプロトコルに渡る運用を行うことで、高い利回りを得られるケースも見られます。 また、現在はデリバティブ系のDeFiも登場していることから、高いリスクを伴った運用も可能かもしれません。 ただし、プロトコルの安定性を守るために、何らかの対策(清算など)が予め設定されていることも多いため、高い利回りを伴う運用には注意が必要です。 イールドファーミングのやり方 これから、イールドファーミングのやり方について、以下の3つから解説していきます。 ・流動性を提供する ・預け入れや貸し付けを行う ・リキッドステーキングを活用する イールドファーミングを実際に行う方法・具体例をチェックしていきましょう。 【完全解説】DeFiをジャンル別に徹底解説 | 代表プロジェクトも紹介 DEXに対して流動性を提供する ベーシックなイールドファーミングの1つが、DEXなどに対する流動性の提供です。 DEXの運営に伴い、重要なポイントとなるのが流動性です。 流動性が高いことで、DEXの利用者はより有利なレートで取引可能になり、プロトコルとしての利便性も向上します。 そのため、UniswapをはじめとするAMMを採用する取引所などは、仮想通貨を流動性を提供してくれた利用者に対して、取引手数料などを元にしてリターンを提供しています。 DEXであれば、流動性の提供が基本的に可能であり、その運用をサポートするツールもいくつか存在しています。 また、LPトークン(流動性を提供したことを証明するトークン)などを、担保にしたり運用することも可能です。 代表的なプロトコルとその方法を解説した記事 ・分散型取引所「Uniswap(ユニスワップ)」とは?始め方や使い方を解説 ・分散型取引所GMXとは?概要や$GLPの特徴、使い方を徹底解説 預け入れ・貸し付けを行う DeFiには、仮想通貨の貸し付け・借り入れを提供するレンディングが多数存在します。 貸し付け・預け入れと言っても、コントラクトを通して間接的に提供しているものが一般的であり、AAVE・Compoundなどが代表的なプロトコルに挙げられます。 貸し付けを行った場合は、そのリターンとして借り入れを行った対象から得られる利息を元にしたリターンが配布され、貸し付けた資産を担保に借り入れを行うことも可能です。 また、貸し付けを行った旨を証明するトークンを獲得できるケースもあり、そのトークンを元に運用を行うことも可能です。 レンディング系のプロトコルの概要と使い方を解説した記事 ・レンディングプロトコル「Aave」とは?使い方・リスクを徹底解説! ・DeFiレンディング「Compound」の基本的な使い方を徹底解説!金利を稼ぐ手段まとめ リキッドステーキングの活用 リキッドステーキングを活用すれば、ブロックチェーンのネットワークに参加しながら、DeFiで運用を行うことも可能です。 リキッドステーキングとは、ステーキングを行った分と同じ価値を持つ仮想通貨を発行することによって、ステーキングを行いながら間接的にステーキングした仮想通貨を運用できます。 主要なリキッドステーキングのトークンであれば、さまざまなDeFiプロトコルで運用可能になっており、前述したようなDEXやレンディングで利用可能です。 Lido(リキッドステーキングの1つ)の概要と使い方を解説した記事 ・流動性ステーキング「Lido」とは?概要や特徴、使い方を徹底解説 イールドファーミングの注意点・リスク イールドファーミングの注意点やリスクについて、以下の観点から解説していきます。 ・複雑な運用とリスク管理 ・ハッキングや脆弱性など ・ガス代などオンチェーンであることのコスト イールドファーミングを実際に行う前にチェックしたい・押さえておきたい点をチェックしていきましょう。 複雑な運用とリスク管理 前述したとおり、イールドファーミングではさまざまなプロトコルを通して、カスタマイズされた運用が可能です。 しかし、そのような複雑な運用にはリスクが伴います。 例えば、運用を構成している1つのトークンやプロトコルに何らかの問題があった場合、運用全体に多大な影響を与える可能性があります。 また、シンプルなリスクとしてレンディングなどでは、担保率が設定されていることが一般的であり、担保率を下回ると清算されることが一般的です。 (清算されると不利な条件で債権を売却されたり、ペナリティが手数料として徴収されることも) 仮想通貨のボラティリティの大きさやプロトコルの安定性を高めることを目的に、担保率は高く設定されていることが一般的なので、注意が必要です。 運用を行う戦略や計画を組み立てていく上で、把握・チェックしきれないほどの要素を組み込んでしまわないように注意が必要でしょう。 ハッキングや脆弱性など DeFiの利用には、常にハッキングやコントラクトの脆弱性といったリスクが潜在的に存在しています。 当然ですが、イールドファーミングの利用にはそのようなリスクに仮想通貨をさらしてしまうのと同じ意味を持ちます。 また、前述したように、運用全体としては1要素に過ぎないプロトコル・トークンにおけるハッキング・脆弱性などのリスクが運用全体に多大な影響をもたらす可能性も考えられます。 運用を行うトークンやプロトコルの数が増えるほど、ハッキングやコントラクトの脆弱性といったリスクが増える点は押さえておきましょう。 ガス代などオンチェーンであることのコスト (2023/2/7にUniswapでETH/DAIのスワップを行う際のガス代の見積もり) 主にCEXなどを通した運用・取引では、ガス代が不要なケースが多いです。 一方で、ブロックチェーン上でさまざまなことを行うイールドファーミングでは、チェーン上でトランザクションを発生させるため、ほぼ全てのアクションにガス代が必要です。 大規模な運用やガス代が安いブロックチェーンであれば、それほど問題にならないかもしれません。 しかし、例えば少額の運用ではイーサリアムなどで深刻なコストになる可能性が高いです。 少額の運用の場合は、ガス代が安いL1ブロックチェーンや、イーサリアムのエコシステムであればL2ブロックチェーンの利用などを検討すると良いでしょう。 L2ソリューション「Arbitrum One」の概要や設定方法、基本的な使い方からリスクまで徹底解説! イールドファーミングについてまとめ この記事では、イールドファーミングについてさまざまな観点から解説しました。 イールドファーミングを行う上での選択肢は増加しており、利便性も高まりつつあります。 今後も、イールドファーミングのトレンド・動向には注視していきたいと言えるでしょう。
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2023/02/19adidas(アディダス)NFT・Web3への参入動向の一覧
これまでの取り組みやこれからのポテンシャルから、NFTにおいて注目したい企業の1つがadidasです。adidasはすでにいくつかのNFTコレクションを発表しており、多角的にNFTの事業に取り組んでいます。過去にはadidasによるNFTの販売で、2,300万ドルを超える収益を上げたプロジェクトも見られました。 この記事では、そんなadidasのNFTにおける注目したい取り組みや、今後の注目ポイントなどについて解説しています。 adidasとNFT [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:INTO THE METAVERSE[/caption] 既存のテック企業や、アパレルブランドによるNFTやメタバースへの参入が相次ぐ中、adidasは注目企業の1つに挙げられます。直近では、adidasが保有するBAYCがワールドカップに伴うCMに登場したことが話題になりました。 catch our family reunion all World Cup long 🏡#ImpossibleIsNothing pic.twitter.com/UCNG2WBnLg — adidas (@adidas) November 14, 2022 CMにはリオネル・メッシ氏、カリム・ベンゼマ氏、ソン・フンミン氏などが登場しており、スター選手とBAYCが同じ動画の中で収まっていることが分かります。(各選手は、サッカーの5大リーグで活躍するスター選手) adidasのNFT・メタバースへの取り組みは、すでに発表されているものだけでも注目したい事例が複数確認できます。類似の例としてNIKEが挙げられ、NIKEもNFT・メタバースへの進出に積極的です。 以下の記事でNIKEのNFT・Web3への取り組みについてもまとめています。 NIKE(ナイキ)NFT・Web3への参入動向の一覧 | スニーカー、プラットフォームを展開 adidasのNFTの動向まとめ [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:INTO THE METAVERSE[/caption] これから、adidasのNFTへの参入や注目したい動向について以下の観点から解説していきます。 ・adidasの本格的な参入 ・プラダとのコラボ ・Wagmi UNITEDとの提携 ・adidas Virtual Gearの発表 これまでのadidasの動きについてまとめてチェックしていきましょう。 adidasの本格的な参入 [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:INTO THE METAVERSE[/caption] 2021年12月に、adidas Originalsは本格的にNFT・メタバースへの参入を発表しました。「Into The Metaverse」と題されたドロップは、「BAYC」「gmoney」「PUNKS Comic」とのコラボでした。 アーリーアクセスと一般向けの販売の二段階で販売され、当時の時価で2,300万ドルの収益を上げました。このNFTには、その後対象のプロダクトを入手できる権利などが付与されており、保有によってさまざまな特典を受けることが可能です。 また、このイベント前の11月には、The SANDBOXにてadidasが確保した土地が確認されており、adidasによるメタバースへの進出などが期待され、SANDの価格が上昇するといった現象も見られました。 Adidas x Bayc 👀 pic.twitter.com/pgpBZcyLzV — The Bitcoin Express (@The_BTC_Express) December 15, 2022 このコラボNFTホルダー向けに提供されたフィジカルジャージは既にホルダーたちの手に届いています。 プラダとのコラボ [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:Prada.com[/caption] 2022年1月には、「ADIDAS FOR PRADA RE-SOURCE」というadidasとプラダのコラボが発表されました。 その内容は3,000の作品(写真)を募集し各写真を集約化した作品をNFTとして販売するというもので、収益の大部分(80%)は非営利団体に寄付されますが、一部の収益は作品を提供した参加者に分配されます。(参加に伴い、費用などは不要) 参加者の抽選は、前述したadidas Originalsが発行したNFT保有者から選定され、保有者が共同クリエーターとして参加することが可能になるイベントでした。 Wagmi UNITEDとの提携 adidas is excited to announce our partnership with @WAGMIUnited to become the official kit supplier for @crawleytown. adidas supports WAGMI’s vision of creating possibilities for football fans globally to connect, create and belong through innovation.⚽ pic.twitter.com/awYlcBP2fC — adidas Football (@adidasfootball) June 27, 2022 2022年6月には、Wagmi UNITEDとの提携も発表されました。(公式キットーメーカーやアパレルパートナーを含む) Wagmi UNITEDは、EFLリーグ2(プレミアの下部リーグ)の「クローリータウンFC」を保有しており、インターネットやWeb3を介して、新たなクラブ経営を目指しています。 adidasとの提携に際してNFTが発行され、そのNFTの保有者はクラブからのさまざまな特典、adidasからの物理的なプロダクトとの引き換え、クラブにおける重要な問題における意思決定などに参加可能です。 前述したようなファッション、アパレルと近しい取り組みとは少し特性が異なるものの、スポーツ・特にサッカーはNFTやWEB3周りのトピックで注目されがちなので、親和性の高い提携であると言えるでしょう。 adidas Virtual Gearの発表 [caption id="attachment_78035" align="aligncenter" width="800"] 画像引用元:adidas.com metaverse[/caption] 2022年11月には、adidas Originalsにより「adidas Virtual Gear」と題されたウェアラブルNFTが発表されました。 INTRODUCING ADIDAS VIRTUAL GEARUnveiling the genesis collection of adidas Virtual Gear 🧵👇1/6 pic.twitter.com/FUt9Qhj8VO— adidas Originals (@adidasoriginals) November 16, 2022 今回のNFTは、バーチャルな環境に焦点を当てたものとなっています。発表において、メタバースやWeb3への取り組みを加速させるものという旨が確認できるため、今後何らかの形で各プラットフォームへの対応などが期待できるかもしれません。 adidasとNFTの今後 Hey Into the Metaverse NFT holders, It’s time to move into phase 2, claim your exclusive physical ITM merch at https://t.co/m70gU99NQA. 1/6 pic.twitter.com/7RLDQ0rS2b — adidas Originals (@adidasoriginals) April 28, 2022 前述したようなadidasのNFT・メタバースへの取り組みを踏まえると、以下のような展開が可能性として考えられます。 ・スニーカーなどの展開 ・メタバースへの拡張 ・新たなハイブランドなどとのコラボ 特にフィジカル・バーチャル問わずに、何らかの形でスニーカーが登場する可能性は考えられます。そもそも、adidasの主力商品がスニーカーやスポーツ系のシューズであり、親和性が高いです。 NIKEはすでに、スニーカーに焦点を当てたNFTを展開しており、現物の商品と引換可能なものも存在しています。 また、バーチャルなウェアラブルNFTを販売しているものの、目立った動きをまだ見せていないため、メタバースなどへの取り組みについても今後注目したいです。同時に、これまでの傾向から何らかのハイブランドとコラボする可能性も考えられます。 adidasとNFTについてまとめ この記事では、adidasのNFTにおける取り組みについてさまざまなポイントから解説しました。 具体的に詳細が発表され展開されているもの、まだ詳細がわからないものを含めると、adidasはNFTにおいてさまざまな取り組みを行っています。さまざまなブランドがNFTやメタバースへの参入を行う中、adidasは注目したいブランドの1つなので今後も注視していきたいと言えるでしょう。 – adidas 関連リンク – INTO THE METAVERSE adidas.com metaverse Prada.com - 画像出典 - Robert Way / Shutterstock.com