イールドファーミングとは?DeFiでの資産運用について理解しよう

2023/03/11・

airutosena

イールドファーミングとは?DeFiでの資産運用について理解しよう
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イールドファーミングは、DeFiを活用し利回りを得ることやその仕組みのことを指します。

500億ドル近くがロックされているDeFiでは、多数のブロックチェーンとその上に構築されたDeFiプロトコルにおいて、多種多様な選択肢が存在しています。

この記事では、そんなイールドファーミングの概要、特徴、やり方についてわかりやすく解説しています。

この記事のまとめ

・イールドファーミングはDeFiで利回りを得る仕組みのこと
・透明性やカスタマイズ性の高い運用が可能
・さまざまな形で資金をロックすることでリターンが得られる
・特有のリスクやガス代といった注意点も

イールドファーミングとは?DeFiで利回りを得るには

イールドファーミングは、DeFiを構成する重要な要素であり、注目された背景でもあります。

これから、イールドファーミングの概要や種類、ステーキングとの違いなど下記の項目について解説していきます。

・DeFiにおけるイールドファーミングの概要
・イールドファーミングを行う下準備
・ステーキングとの違い

DeFiにおけるイールドファーミングの概要

イールドファーミングとは、何らかのDEX(分散型取引所)・レンディングなどに、仮想通貨を預ける・もしくは貸し付けることで利回りを得る、もしくはその仕組みのことを指す言葉です。

イールドファーミング(yield farming)のイールドは”利回り”を指し、ファーミングは”農業”や”耕作”を意味します。

イールドファーミングを行うことで、自身の仮想通貨をブロックチェーン上で運用することが可能であり、透明性の高い運用が可能です。

また、現在は多数のプロトコル・プロダクトが存在していることで、多種多様な選択肢が存在しており、リスクの取り具合によっては高い利回りを実現することもできます。

*運用には当然リスクも伴われますので注意してください

イールドファーミングを行う下準備

イールドファーミングを実行していく際には、前提としてDeFiの概要と各プロトコル・プロダクトの使い方、種類などについて押さえておくと便利です。

具体的には、DeFiを活用してイールドファーミングを行うには、秘密鍵を管理するウォレットを保有し、各プロトコルへ接続した上で、UIを操作していく必要があります。

これは、CEX(中央集権取引所)を利用した仮想通貨の取引や運用とは、仕組みや使い勝手なども異なってきます。

特に国内仮想通貨取引所での運用や取引とは、請け負うリスクや難易度が異なるため、注意が必要です。

以下に、イールドファーミングをはじめる上で、参考になるリンクを記載しますので、ぜひ参考にしてみてください。

仮想通貨を購入したい方へ

ウォレット周り

DeFiの概要やリスクについて

ステーキングとの違い

イールドファーミングと同じような文脈に、ステーキングがあります。

定義が曖昧なため、一部で混合 or 同じものという情報も見られますが、ステーキングは主にPoSを採用するブロックチェーンのネットワークに参加する上で、必要になる仮想通貨のロックを指すケースが多いです。

イールドファーミング・ステーキングともに、一度預け入れたり、ロックしたりすることで受動的に利回りが期待できるものの、イールドファーミングとステーキングは少々特色が異なります。

ステーキングやPoSの概要については以下の記事をご覧ください。

イールドファーミングの特徴

これから、イールドファーミングの特徴について以下の観点から解説していきます。

・仮想通貨を透明性の高い状態で運用可能
・多種多様なオプションと戦略
・高い利回りを得られるケースも

イールドファーミングの特徴・特別なポイントをチェックしていきましょう。

仮想通貨を透明性の高い状態で運用可能

イールドファーミングの最も大きな特徴に、DeFiを活用することで透明性の高い運用が可能という点が挙げられます。

イールドファーミングで活用することになるDeFiプロトコルは、収益が発生する仕組み、権利の確定、利回り、独自のトークンを発行している場合は発行計画 or スキームなどが公開されていることが一般的になっています。

そのため、自身が売買した・貸し付けた・預け入れた資金が、どのように扱われるのか?という点をチェックすることが可能です。

(DeFiでは、ブロックチェーン上のコントラクトを通して、取引を行います)

一般的なユーザーが、そのプロトコルの仕組みを1から100まで把握することはできないにしても、何らかのリスクがあるプロトコルはコミュニティなどで問題が共有されるケースが多いです。

規制や当局による監視が十分に行き届いていないケースが見られる仮想通貨業界おいて、これは大きなメリットです。(法整備や規制が追いついていない仮想通貨の運用において、特に資金や運用スキームが不透明なCEX・TradFiを活用した運用には一定のリスクが存在します)

イールドファーミングを活用すれば運用に伴うリスクや注意点を予め把握できる可能性が高く、それに伴うリスクの軽減プランなどを用意できます。

多種多様な選択肢と戦略

イールドファーミングでは、多種多様な選択肢と戦略が取れます。

前提として、現在DeFiには500億ドル近い金額がロックされており、各チェーンごとに多種多様なプロトコル、プロダクトが構築されています。

(引用元:DefiLlama)

その中には、レンディング・DEX・オプションなどを扱うDeFiプロトコルが含まれ、各レンディング・DEX・オプションの利用・運用を助けるツールも多数登場しています。

その上で、DeFiを活用したイールドファーミングでは、プロトコルやプロダクトで得たものを、他のプロトコルやプロダクトで応用可能なケースが多いです。

例えば、レンディングでは、資金の預け入れに伴って、預け入れを証明するトークンが発行されることがあります。(債権に近い存在)

そのような運用に伴って獲得したトークンを再度、流動性や担保として運用に回すことも可能です。

上記のような特性から、取るリスクやその度合い、ポジションなどを柔軟にカスタマイズ可能になっています。

高い利回りを得られるケースも

前述したような背景から、複数のプロトコルに渡る運用を行うことで、高い利回りを得られるケースも見られます。

また、現在はデリバティブ系のDeFiも登場していることから、高いリスクを伴った運用も可能かもしれません。

ただし、プロトコルの安定性を守るために、何らかの対策(清算など)が予め設定されていることも多いため、高い利回りを伴う運用には注意が必要です。

イールドファーミングのやり方

これから、イールドファーミングのやり方について、以下の3つから解説していきます。

・流動性を提供する
・預け入れや貸し付けを行う
・リキッドステーキングを活用する

イールドファーミングを実際に行う方法・具体例をチェックしていきましょう。

DEXに対して流動性を提供する

ベーシックなイールドファーミングの1つが、DEXなどに対する流動性の提供です。

DEXの運営に伴い、重要なポイントとなるのが流動性です。

流動性が高いことで、DEXの利用者はより有利なレートで取引可能になり、プロトコルとしての利便性も向上します。

そのため、UniswapをはじめとするAMMを採用する取引所などは、仮想通貨を流動性を提供してくれた利用者に対して、取引手数料などを元にしてリターンを提供しています。

DEXであれば、流動性の提供が基本的に可能であり、その運用をサポートするツールもいくつか存在しています。

また、LPトークン(流動性を提供したことを証明するトークン)などを、担保にしたり運用することも可能です。

代表的なプロトコルとその方法を解説した記事

預け入れ・貸し付けを行う

DeFiには、仮想通貨の貸し付け・借り入れを提供するレンディングが多数存在します。

貸し付け・預け入れと言っても、コントラクトを通して間接的に提供しているものが一般的であり、AAVE・Compoundなどが代表的なプロトコルに挙げられます。

貸し付けを行った場合は、そのリターンとして借り入れを行った対象から得られる利息を元にしたリターンが配布され、貸し付けた資産を担保に借り入れを行うことも可能です。

また、貸し付けを行った旨を証明するトークンを獲得できるケースもあり、そのトークンを元に運用を行うことも可能です。

レンディング系のプロトコルの概要と使い方を解説した記事

リキッドステーキングの活用

リキッドステーキングを活用すれば、ブロックチェーンのネットワークに参加しながら、DeFiで運用を行うことも可能です。

リキッドステーキングとは、ステーキングを行った分と同じ価値を持つ仮想通貨を発行することによって、ステーキングを行いながら間接的にステーキングした仮想通貨を運用できます。

主要なリキッドステーキングのトークンであれば、さまざまなDeFiプロトコルで運用可能になっており、前述したようなDEXやレンディングで利用可能です。

Lido(リキッドステーキングの1つ)の概要と使い方を解説した記事

イールドファーミングの注意点・リスク

イールドファーミングの注意点やリスクについて、以下の観点から解説していきます。

・複雑な運用とリスク管理
・ハッキングや脆弱性など
・ガス代などオンチェーンであることのコスト

イールドファーミングを実際に行う前にチェックしたい・押さえておきたい点をチェックしていきましょう。

複雑な運用とリスク管理

前述したとおり、イールドファーミングではさまざまなプロトコルを通して、カスタマイズされた運用が可能です。

しかし、そのような複雑な運用にはリスクが伴います。

例えば、運用を構成している1つのトークンやプロトコルに何らかの問題があった場合、運用全体に多大な影響を与える可能性があります。

また、シンプルなリスクとしてレンディングなどでは、担保率が設定されていることが一般的であり、担保率を下回ると清算されることが一般的です。

(清算されると不利な条件で債権を売却されたり、ペナリティが手数料として徴収されることも)

仮想通貨のボラティリティの大きさやプロトコルの安定性を高めることを目的に、担保率は高く設定されていることが一般的なので、注意が必要です。

運用を行う戦略や計画を組み立てていく上で、把握・チェックしきれないほどの要素を組み込んでしまわないように注意が必要でしょう。

ハッキングや脆弱性など

DeFiの利用には、常にハッキングやコントラクトの脆弱性といったリスクが潜在的に存在しています。

当然ですが、イールドファーミングの利用にはそのようなリスクに仮想通貨をさらしてしまうのと同じ意味を持ちます。

また、前述したように、運用全体としては1要素に過ぎないプロトコル・トークンにおけるハッキング・脆弱性などのリスクが運用全体に多大な影響をもたらす可能性も考えられます。

運用を行うトークンやプロトコルの数が増えるほど、ハッキングやコントラクトの脆弱性といったリスクが増える点は押さえておきましょう。

ガス代などオンチェーンであることのコスト

(2023/2/7にUniswapでETH/DAIのスワップを行う際のガス代の見積もり)

主にCEXなどを通した運用・取引では、ガス代が不要なケースが多いです。

一方で、ブロックチェーン上でさまざまなことを行うイールドファーミングでは、チェーン上でトランザクションを発生させるため、ほぼ全てのアクションにガス代が必要です。

大規模な運用やガス代が安いブロックチェーンであれば、それほど問題にならないかもしれません。

しかし、例えば少額の運用ではイーサリアムなどで深刻なコストになる可能性が高いです。

少額の運用の場合は、ガス代が安いL1ブロックチェーンや、イーサリアムのエコシステムであればL2ブロックチェーンの利用などを検討すると良いでしょう。

イールドファーミングについてまとめ

この記事では、イールドファーミングについてさまざまな観点から解説しました。

イールドファーミングを行う上での選択肢は増加しており、利便性も高まりつつあります。

今後も、イールドファーミングのトレンド・動向には注視していきたいと言えるでしょう。

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