ZetaChainとは?特徴や仕組みを解説【複数チェーンに対応】

2023/07/01・

airutosena

ZetaChainとは?特徴や仕組みを解説【複数チェーンに対応】

ZetaChainは、オムニチェーンを志向するL1のブロックチェーンです。

独自のアプローチでインターオペラビリティに取り組み、ブロックチェーン間のやり取りをスムーズに行えるようにするプロジェクトになっています。

また、多くのブロックチェーンに対応しており、その中には類似プロジェクトにおいて対応されることが珍しいビットコインなどが含まれす。

この記事では、そんなZetaChainについて概要や特徴、仕組みなどについて以下のポイントから解説しています。

この記事のまとめ

・ZetaChainはチェーン間のやり取りをスムーズにする
・bitcoinなどのチェーンにも対応
・ZetaChainベースからさまざまなチェーンに展開可能
・メインネットが近づきつつある

ZetaChainとは?オムニチェーンを志向するL1チェーン

ZetaChainは、さまざまなブロックチェーンを接続し相互運用性を高めるCosmos SDKとTendermint Consensusで構築されたL1ブロックチェーンです。

現在、市場にある複数のブロックチェーンでは、さまざまなアプリケーション、コントラクト、資産が各チェーンに存在していますが、その各々が独自のルール・技術で運用されています。

そのため、ブロックチェーン間のやり取り・通信には大きなハードルがあり、さまざまなソリューションやプロジェクトがその問題に取り組んでいる状態です。

ZetaChainは上記の課題に取り組むプロジェクトの1つです。

ZetaChainによって、ブロックチェーン間のコントラクトの展開・資産の移動といったやり取りが容易になります。

まだ、メインネットはローンチされていませんが、公式によると既に1万件を超えるアプリケーションが展開されています。

ZetaChainのかんたんな特徴

これから、ZetaChainの特徴について、以下の3点から解説していきます。

・多くのチェーンに対応
・幅広いやり取りに対応
・ZetaChainへの構築も可能

ZetaChainの特徴をチェックしていきましょう。

多くのチェーンに対応

ZetaChainは、非常に幅広いチェーンに対応しています。

Ethereumといった主要なスマートコントラクトに対応しているのはもちろん、bitcoinなどスマートコントラクトに対応していないブロックチェーンにも対応可能です。

そのため、Ethereum → Bitcoin、Ethereum → Dogecoinといったやり取りも可能になります。

これまでのクロスチェーン(チェーン間のやり取り)プロジェクトの多くは、スマートコントラクトを実装しているブロックチェーンにのみ対応が限られていることが一般的でした。

ZetaChainによって、非スマートコントラクト系のブロックチェーンに対しても、チェーン間のやり取りが可能になります。

また、ZetaChainは対応や導入に伴って、各チェーンごとに大きな変更を要求しないのも特徴の1つです。

幅広いやり取りに対応

ZetaChainは、資産の移動といった単純な用途に以外にも、コントラクトのやり取りなどにも対応しています。

ZetaChain以外の外部チェーンをコントラクトを通して管理したり、何らかの操作を行うことも可能です。

また、これはスマートコントラクトに対応している仮想通貨のみではありません。

ビットコインなどスマートコントラクトに対応していない仮想通貨に対しても有効です。

そのため、スマートコントラクトに対応したビットコインなどを、ZetaChainを通して利用可能になります。

例えば、ネイティブなビットコインをDeFiで扱うといったことが可能です。

ZetaChainへの構築も可能

ZetaChain自体はL1ブロックチェーンであり、構築も可能です。

他のクロスチェーン関連のプロジェクトは単一のアプリケーションや、通信に特化したものも見られます。

しかし、ZetaChainは他のL1ブロックチェーンと同様に、さまざまなアプリケーションの土台として機能します。

ZetaChainに構築されたアプリケーション・プロジェクトは、ZetaChainに構築するだけでさまざまなブロックチェーンに対応させることが可能です。

開発者はローンチするチェーンごとに開発やコントラクトの展開を行う必要がなく、ZetaChainを通してまとめて接続・コントロールができます。

ZetaChainの仕組み

特徴の次にZetaChainの仕組みについて、以下のポイントから解説していきます。

・ZetaChainの全体の設計
・オブザーバー
・TSSを用いた署名
・zEVM
・クロスチェーンのやり取りの例

ZetaChainの動く仕組み、特徴を実現している裏側について詳しくチェックしていきましょう。

ZetaChainの全体の仕組み

ZetaChainの用途は幅広く、それに伴っていくつか構造に特徴が見られます。

ZetaChainが可能にする主要な要素・機能は以下のとおりです。

  • オブザーバー:外部チェーンからの受信内容への処理
  • TSSを用いた署名:外部チェーンへの送信内容への処理
  • zEVM、ZRC-20:ZetaChain内のVMとトークン

オブザーバーとTSSを用いた署名を含む領域は”ZetaClient”、zEVMを含む領域は”ZetaCore”と呼称されています。

ZetaClient・Coreともに、ZetaChain内のバリデーターに含まれており、ZetaChainのPoSネットワークに基づいている仕組みです。

また、オブザーバー・TSSを用いた署名の両者に何らかの方法で、不正や問題を発生させないための工夫が取り込まれています。

オブザーバー

 (引用元:whitepaper)

ZetaChainのオブザーバーは、ZetaChainが接続している外部チェーンからの関連トランザクションを処理するセクターです。

オブザーバーは含まれる作業には、主に2つのトピックがあります。

1つ目がトランザクションの検出、2つ目がトランザクションの検証です。

オブザーバーは外部チェーンのトランザクションを監視し、関連するトランザクションを検出します。これには、コントラクトの呼び出しなども含まれます。

検出されたトランザクションは検証され、最終的なファイナリティを得るまでにZetaChainでのコンセンサスを通すことが必要です。

ZetaChainにおけるオブザーバーは、外部チェーンからの情報のやり取りにおける入り口のようなものと捉えられます。

TSSを用いた署名

ZetaChainは、外部チェーンとやり取りを行うに伴い、外部チェーンにウォレットを保有します。

しかし、ウォレットを動かすには秘密鍵を用いた署名が必要です。

そのため、ZetaChainサイドから外部チェーンへ何らかのアクションを行うには署名を行う必要があります。

これは、ウォレットの管理の核である秘密鍵を、一連のアクションに伴い何らかの方法で共有する必要があるということです。

そこで、ZetaChainではTSSに基づいたキーを用いて、外部チェーンに対する署名を可能にします。

 (引用元:whitepaper)

上記をかんたんに解説すると、分散で鍵を保有・署名するための仕組みです。

具体的には秘密鍵の情報を分割し、ノードに対して一部分ずつ別個に配布していきます。

これによって、秘密鍵の全ての情報が単一の主体に漏れることはありません。(全ての情報が単一の主体に漏れなければ悪用されることはない)

上記の仕組みを通じて、分散して保有した秘密鍵を通じて、署名を行います。

外部チェーンからすると一般的な秘密鍵を用いた署名と大きな違いはありませんが、ZetaChainサイドでは秘密鍵の所有と署名は分散化されている状態です。

スマートコントラクトのブロックチェーンに限らず、Bitcoinなどに対しても同様のプロセスで署名していきます。

オブザーバーがZetaChainへの入り口なら、TSSを用いた署名はZetaChainから外部チェーンに対する出口のようなものとイメージすると良いでしょう。

zEVM

zEVMは、ZetaChainの仮想マシンです。

EthereumのEVMと互換性を持ち、EVMと似通った機能を持っています。

同時に、いくつかzEVM独自の特性も追加されており、これらは概ね各ブロックチェーンとのやり取りに特化したものです。

zEVMに展開したコントラクトは外部チェーンとのやり取り、外部チェーンからのやり取りに対応しており、接続されている各ブロックチェーンと高い相互運用性を持ちます。

また、zEVMの資産はZRC-20というERC-20の拡張版として呼称されています。

クロスチェーンのやり取りの例

ZetaChainがクロスチェーンで行うやり取りの例について、クロスチェーンメッセージパッシングという仕組みから見ていきましょう。

この仕組みは、クロスチェーンのコントラクトコールなどに用いられます。

  1. 利用者がチェーンAのコントラクトとやり取り
  2. オブザーバーが検出しZetaCoreに通知
  3. ZetaCoreが外部チェーン向けのトランザクションに変更
  4. TSSの署名を行う主体にその旨を通知し検出される
  5. TSSの署名者はトランザクションに対して署名を行い、外部チェーンに送信
  6. トランザクションが承認された場合、それを検出
  7. 問題が無い場合はクロスチェーンのトランザクションを終了する

上記の例は、主に外部チェーンに存在するコントラクトとやり取りを行う場合のプロセスです。

zEVMに展開されたコントラクトが外部チェーンとやり取りを行う場合はまた異なるプロセスを踏み、前述したzEVMが持つ特性を発揮します。

ZetaChainと他のプロジェクトの比較

これから、ZetaChainと似通ったプロジェクトの比較を行っていきます。

・LayerZero
・Cosmos IBC

他のブロックチェーン間のやり取りに焦点を当てたプロジェクトとの違いを押さえていきましょう。

LayerZero

ZetaChainとLayerZeroの最も大きな違いは、その対応範囲です。

LayerZeroは、ブロックチェーン間のやり取りに特化したシンプルなプロジェクトです。

ただし、ZetaChainと異なり、BitcoinなどのEthereumに対応していない仮想通貨とやり取りすることはできません。

Cosmos IBC

CosmosもIBCを通じて、さまざまなブロックチェーンとの通信を可能にするプロジェクトの1つです。

Cosmosもインターオペラビリティを重視したプロジェクトになっていますが、通信可能なのはIBCに対応するブロックチェーンに限られています。

一方で、ZetaChainはIBC対応・非IBC対応に限らず、通信が可能です。

ZetaChainのこれから・今後

ZetaChainは2023年6月時点でテストネットが展開されています。

まだメインネットはローンチされていません。

また、具体的なメインネットの時期についても不明ですが、段階的にテストネットのフェーズが完了しつつあります。

テストネットの段階も後半に入っており、メインネットが近いという発信も確認できます。

ZetaChainのテストネットはインセンティブが付いていることもあり、これまで160万人以上のユーザーが参加しています。

テストネットの段階から非常に注目を集めていると言えるでしょう。

ZetaChainについてまとめ

この記事では、ZetaChainについて解説しました。

ZetaChainは、インターオペラビリティ・オムニチェーンを志向するプロジェクトの1つです。

類似するプロジェクトは複数見られ、このトピックは今後より注目を集める可能性が高いでしょう。

ZetaChainはそんな中で、注視したいプロジェクトの1つです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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