予想超えでも売られたサンディスク|メモリ高騰がDePINにも波及か

2026/08/06・

よきょい

予想超えでも売られたサンディスク|メモリ高騰がDePINにも波及か
ct analysis

米サンディスク(SanDisk、銘柄コード:SNDK)が8月5日の米国市場引け後に発表した2026会計年度第4四半期(7月3日締め)決算は、売上高・利益ともに市場予想を上回る内容でした。それでも株価は同日の通常取引を5.4%安の1,350.50ドルで終え、時間外取引でさらに3〜4%程度下落しています。

数字そのものは過去最高水準でしたが、次期の売上見通しの中央値が市場予想に届かなかったことが嫌気されたとみられています。

第4四半期の売上高は89億7,000万ドルで、会社側が示していたレンジも市場予想も上回りました。前四半期比では51%増、粗利益率は84.6%と、前四半期の78%からさらに改善しています。調整後の1株当たり利益は39.25ドルで、前年同期の0.29ドルと比べると、AIデータセンター向け需要とNAND価格上昇がいかに急激に業績を押し上げたかが分かります。

項目実績会社見通し市場予想
売上高89億7,000万ドル77.5億〜82.5億ドル約83億ドル
調整後EPS39.25ドル30〜33ドル約34.24ドル
粗利益率84.6%
前四半期比+51%

※対象は2026会計年度第4四半期(2026年7月3日締め)。前年同期の調整後EPSは0.29ドルでした。

増収の大半は「値上げ」によるもの

もっとも、内訳を見ると論点も浮かびます。前四半期からの増収分のうち約20億1,000万ドルが価格要因に帰属するとされており、出荷量の増加以上に単価の上昇が数字を作った構図です。現在の利益率がサイクルのピークなのか、それとも構造的な変化なのか。市場がこの決算で確かめたかったのはそこであり、判断材料が十分に示されなかったことが売りにつながったとみられています。

同社はこの循環性を和らげる狙いで、複数年の長期供給契約を軸とした「新事業モデル(NBM)」を進めています。第4四半期にはNBM関連の預り金が19億4,000万ドル計上され、調整後フリーキャッシュフローの約89%にあたる45億ドルを自社株買いに投じました。

8月13日にはインベスター・デイが予定されており、2027会計年度の見通しとNBMの実効性がどう説明されるかが次の焦点となります。



年初来579%高からの調整局面

株価の振れ幅は極端です。サンディスクは一時年初来579%高となり、6月には2,354.39ドルの上場来高値を付けましたが、7月だけで47%下落。中国メモリ大手CXMTの上場を契機とした半導体株全体の売りも重なり、直近では1,000ドル前後まで下げる場面がありました。

決算前のオプション市場は上下25%程度の変動を織り込んでいたとされ、ブルームバーグの集計では買い推奨25、中立5、売り推奨ゼロと、アナリストの評価は依然として強気に傾いています。目標株価のコンセンサスは2,217.77ドル、レンジは1,000ドルから3,169ドルと見方は大きく割れています。

NAND高騰が仮想通貨インフラに及ぼす影響

メモリ価格の高騰は、Web3のインフラ側にも波及しつつあります。ブロックチェーンのアーカイブノードやバリデーター運用は大容量ストレージを前提としており、SSDやHDDの調達コスト上昇は運用者の採算に直結します。モルガン・スタンレーはストレージ半導体の価格が25%程度上昇し、供給逼迫が2028年まで続くとの見方を示したとされ、この環境が続けばノード運用の費用構造は見直しを迫られそうです。

一方で、FilecoinやArweave、Storjといった分散型ストレージ、いわゆるDePIN(分散型物理インフラネットワーク)は、既存の遊休ストレージを世界中から集約する設計上、新規のハードウェア調達サイクルの影響を受けにくいとの指摘もあります。ただし、ネットワーク全体の容量を伸ばす段階では新規ドライブの購入が必要になるため、NAND価格の上昇と完全に無縁というわけではありません。

区分コスト構造NAND高騰の影響
集中型クラウド自社調達した設備を月額課金で提供保管料に転嫁されやすい
DePIN型ストレージ世界中の遊休容量をトークン報酬で集約既存容量分は影響を受けにくい
自前ノード運用運用者が自らSSD・HDDを調達調達コストが直接効いてくる

※各方式の一般的な構造を整理したもので、個別プロジェクトの採算を示すものではありません。

AI向けデータの保管需要が拡大するなかで、中央集権型と分散型のコスト差がどう推移するかは注目されるところです。

サンディスクの決算は、AIストレージ需要という追い風の強さと価格主導の増益がどこまで続くのかという不確実性を同時に示す内容となりました。8月13日のインベスター・デイで示される2027会計年度の見通しが、キオクシアを含むメモリ関連株、そしてストレージコストに連動するインフラ全般の見方を左右しそうです。

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