【Crypto Times 独占インタビュー】Movement LabsからMove Industriesへ:組織改革・Move 2.0・市場アクセスの全貌
Henry

Move言語を採用し、次世代インフラとして熱い視線を浴びるレイヤー1(L1)ブロックチェーンプロジェクト「Movement」。しかし、昨年の『ETHDenver』直後、マーケットメイカーをめぐる問題が表面化した。
その窮地において、Movement Labsの創業メンバーの一人で、事業開発責任者(Head of Business Development)を務めていたTorab Torabi氏 (以下、敬称略)が新CEOに就任。それからわずか10ヶ月、Movementは驚異的なスピードで再生を遂げた。かつてのL2ストーリーを刷新した独自のL1構想「Move 2.0」の推進、そしてCoinbaseの「Blue Carpet」プログラムを活用したAerodrome経由でのトークンアクセス拡大など、その勢いは増すばかりだ。
私がTorabiと相まみえるのは、昨年のKBW(韓国)、Token2049(シンガポール)に続き、今回で3度目となる。米国・デンバーで開催されたハッカソン会場にて、就任後の激動の10ヶ月の舞台裏と、彼が描く「2026年末のビジョン」を訊いた。
Movement Summit@KBW 2025 参加レポート ― 新体制下で見せた「開発者主導の熱量」―
インタビューを通じて強く印象に残ったのは、Torabiの極めて紳士的な振る舞いだ。どの質問に対しても真摯に耳を傾け、一つひとつ言葉を選びながら丁寧に答える姿からは、リーダーとしての強い責任感と、コミュニティに対する深い誠実さが滲み出ていた。
本記事では、彼が最初に取り組んだ「信頼の再構築」の真意からMove 2.0が目指すプロダクト志向の地平、エコシステムの長期健全性、そして日韓のハブ戦略について詳らかにする。また記事の後半には、当日現地で開催されていたハッカソンで見事入賞を果たした、2名の若手開発者へのインタビューも併せて掲載する。
目次
- 1 Section 1. リーダーシップ|信頼|組織文化
- 2 Section 2. BD視点とCEO視点の違い
- 3 Section 3. 技術方針 | Move 2.0とL1への道
- 4 Section 4. 技術的な安全性 vs プロダクトへの注力
- 5 Section 5. エコシステムとトークノミクス
- 6 Section 6. Coinbase | Aerodromeでの取り扱いに関する舞台裏
- 7 Section 7. 韓国ハブと2026年のビジョン
- 8 Section 8. 透明性と信頼:CEOとして断行した3つの変革、そして2026年のヴィジョン
- 9 番外編:ハッカソン入賞者インタビュー | 次世代の開発者が Movement に惹かれる理由
- 10 編集後記載 : Torabi氏の素顔
Section 1. リーダーシップ|信頼|組織文化
Henry :
今日はお時間をいただきありがとうございます。CEO就任から約10ヶ月が経ちましたね。この間に、Movement LabsからMove Industriesへのリブランディングや、Coinbaseに関するニュース、さらには韓国でのハブ設立など非常に濃い期間だったかと思います。この10ヶ月で最も注力したことは何でしょうか?また、あえて改善した点を1つ挙げるならどこでしょうか。
Torabi :
今の仮想通貨業界には、かつてないほど信頼が求められています。しかし、社内に信頼がなければ外部からの信頼を得ることはできません。少し月並みな言い方ですが、「自分を愛せない者は、他人も愛せない」という話に近いですね。ですから、まずは「いかに社内の信頼を作るか」に心血を注ぎました。
私たちは、チームメンバー同士が本音で対話し、ビジョンを深く共有することから始めました。驚くべきことに、入れ替わりの激しいこの業界では珍しく、私たちのチームは離職率が極めて低く、創業メンバーの多くが今も残っています。それは、隣にいる仲間に対して「この人なら信頼できる、共に歩める」と確信できているからだと思います。
リーダーシップとは命令することではなく、全員が同じ方向を向いている状態を作ることです。私の役目は、皆に「今の状況をどう感じているか?」「ビジョンに納得できているか?」を確認し、支えることだと思っています。全員が「隣の仲間を信頼し、共にハードワークできる」と言い切れる環境を築けたことが、リーダーとしての最大の成果だと自負しています。
Henry :
それは素晴らしいですね。この業界で同じプロジェクトに3年以上留まるのは非常に稀で、1年でメンバーが入れ替わることも珍しくありません。私自身、多くのプロジェクトと協業してきましたが、最大のネックは「人の流動性の激しさ」だと感じています。プロモーションの最中に担当者が辞めてしまい、引き継ぎが不十分だったり、新しい日本担当(BD)が就任して方針が変わってしまったりと、取り組みが停滞するケースも多いからです。 そんな中で、Joe ( Joe Chen氏 | 現・Move Industries 事業開発責任者 )とは約2年も一緒に取り組めているというのは、非常に心強いです。
ところで、この業界はリモートワークが主流ですが、それゆえのミスコミュニケーションに悩むプロジェクトも少なくありません。チーム内のコミュニケーションは、チャットと通話、どちらを重視していますか?
Torabi :
チームの25〜30%はベイエリア(サンフランシスコ周辺)に拠点を置いており、週に2回は対面で顔を合わせています。それ以外のメンバーとも、週に少なくとも2回は同期ミーティングを行い、必ずカメラをオンにします。やはり、お互いの顔を見て話すことは非常に重要です。
また、マーケティング、BD、エンジニアリングといった異なる部署間で、30分間だけ進捗を共有し合う「週次定例」も設けています。これにより、部署間の連携不足を防ぎ、組織全体がバラバラにならないようにしています。
Section 2. BD視点とCEO視点の違い

Henry:
以前はBD(事業開発)リードとして、主に外向きの活動に注力されていましたが、現在はCEOとして組織の内側から舵取りをされています。立場が変わったことで考え方にはどのような変化がありましたか?また、就任初期に下した意思決定の中で、「これが組織の方向性を決定づけた」と思うものはありますか。
Torabi :
CEOも投資家や取引所への対応など対外的な役割は多岐にわたりますが、BD時代との最大の違いは「責任権限の委任」にあります。チーム運営において最も変化したのは、人を動かし全員が同じ方向を向くようにマインドセットを整えることでした。
初期の大きな決断であり組織のトーンを決定づけたのは、JoeをHead of BDに任命し、他のメンバーもより責任のあるポジションへと引き上げたことです。私がCEOとして一段上のレイヤーに上がるのであれば、誰かがこれまでの私の役割をしっかりと引き継ぐ必要があります。
どうしても細部まで自分で管理したくなるところを、ぐっとこらえて深呼吸し、「信頼して任せること」に徹しました。自分のやり方と多少違っていても、思い切って委譲することで、むしろ結果が好転することもあります。
私には3人の子どもがいますが、CEOの仕事は「子育て」に似ていると感じます。子どもをいつまでも子ども扱いしていれば、彼らは依存したままになります。しかし、一人の「大人」として責任を与えれば、彼らはそれに応えて驚くほどステップアップしてくれます。組織も全く同じです。自分一人がすべてを握るのではなく、仲間に責任を委譲し、真の信頼を寄せる。それによってチームは自ずと強くなっていく。これは私にとって、最高かつ最大の決断の一つでした。
Section 3. 技術方針 | Move 2.0とL1への道
Henry:
Movementは当初、L2(レイヤー2)として注目を集めていましたが、現在は「Move 2.0」としてL1(レイヤー1)の方向へと舵を切っています。端的に言って、なぜL1が最適だと判断されたのでしょうか。また、ユーザーが体感できる具体的なメリットは何ですか。
Torabi:
一言で言えば、ビルダーにとって「より良く、安く、速く、そして開発しやすい」環境だからです。インフラというのは「庭」のようなものです。種を植える人がいなければ形になりません。私たちは、その土壌を最高な状態に整えることに全力を注ぎました。
第二の理由は、「主権」の問題です。技術スタックの根幹を外部に依存していると、万が一の際、自分たちの力を十分に発揮できなくなってしまいます。L1になることで、何か問題が起きても自分たちの手で直接解決できる状態を確保しました。これからの5年、10年という長期的なスパンを考えれば、この独立性は極めて重要です。
Henry:
今回のイベントでも、至る所で「AIエージェント」が議論の的になっていますね。最近のハッカソンでは、チームではなく個人で参加するケースも増えているようです。Movementとして、AIという潮流をどう捉えていますか。
Torabi:
私たちのHead of DevRelであるRahatは、最近自身の肩書きを「The Emir of AI(AIの首長)」に変えたほど、AI活用を主導しています。私たちのスタンスは、まず「自分たちがAIを使い倒す」ことです。社内業務においてAIを最大限に活用すること、それが第一歩だと考えています。
実際、今日この下のフロアで開催しているハッカソンでも、ほぼ全参加者がAIエージェントを構築しています。私たちは単にトレンドを追いかけているわけではありません。「オンチェーンで、いかに責任を持ってAIを実装するか」を模索しています。具体的には、資金を投じる前に、そのAIモデルが適切に監査され、実戦環境で検証されているかを厳格に確認するプロセスを重視しています。
Section 4. 技術的な安全性 vs プロダクトへの注力

Henry:
Move 2.0の安全性について発信されていますね。コンパイラレベルでの検証など、既存のEVM環境や、Aptos、Suiといった他のMove系エコシステムと比較して、具体的にどのような点が強みなのでしょうか。
Torabi:
正直なところ、「自分たちが一番安全だ」と断言するのは、かえって不吉な事態(フラグ)を招き寄せそうで、あまり好きではありません(笑)。ただ、Move言語がSolidityよりも本質的に安全であることは、既に業界の共通認識となっています。
とはいえ、重要なのは『ユーザーや開発者の方々が、安全性をどのタイミングで意識されるのか』という点だと思っています。これは車の購入に少し似ています。『シートベルトの品質が良いから』という理由だけで車を選ぶ方は、実際には多くありません。多くの場合、判断基準になるのはデザインの格好良さや走行性能、あるいは周囲の目を引くような“プロダクトとしての魅力”です。安全性の真価が問われるのは、事故のような『万が一の事態』が起きた後なのです。
クリプトの世界も同様だと考えています。ビルダーやユーザーの皆様にとって本当に重要なのは、安全性そのもの以上に、『いかに普及させるか』や『資金調達のしやすさ』といった、プロダクトとしての実利であるケースが少なくありません。だからこそ、私たちのマーケティングも単なる技術偏重から『プロダクト志向(product focused)』へとシフトしています。『安全であること』をゴールにするのではなく、『何が作れるのか』/『どのように広がっていくのか』という点に重心を置いている、ということです。
そして今、私たちはよりプロダクト重視へと舵を切り、1%ではなく“99%”のためにコミュニティを第一に据えた構築へ移行しています。これは、Movementが掲げる『People’s Chain(人々のためのチェーン)』という、より広いアイデンティティを反映したものです。
Section 5. エコシステムとトークノミクス
Henry:
現在、エコシステムを牽引している要素は何でしょうか。特定のアプリ、カテゴリ、あるいは具体的なユースケースのどれだとお考えですか。
Torabi:
どのチェーンにも、レンディングやDEXといった基盤(プリミティブ)は不可欠です。ただ、私たちは戦略として「垂直統合(バーティカル化)」を推進しています。似たようなレンディングやDEXを乱立させるのではなく、各カテゴリから「これだ」というものを1つ選び、リソースを全集中させて支援する。そうすることで、確実に価値を捕捉(バリューキャプチャ)できると考えています。
正直、SolanaやEthereum以外では、多くのDeFiプロジェクトが財団のインセンティブだけで延命しており、実体のある事業になっていないケースが見受けられます。「模造品」を3つも4つも支えるより、「本物」を1つ作り上げ、全力でバックアップする方が遥かに健全です。
現在、特に手応えを感じているのは「決済と送金」の領域です。「送る・受け取る・支払う」という根源的なニーズに加え、加盟店開拓やB2Cの動きも加速しています。パートナーであるKASTなどは、その大きな可能性を示してくれました。私自身、グローバルの大手金融機関とも決済・送金について協議を進めており、非常に強い関心を感じています。
All the rumors are true.
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MOVE on KAST is GOATed. pic.twitter.com/zRGly4Jetw
— The Movement (@movement_xyz) February 19, 2026
Henry:
昨今はトークンのアンロックや売り圧に関する議論も活発です。エコシステムを長期的に健全に保ちつつ、ビルダーや長期ホルダーに報いるための設計については、どのようにお考えでしょうか。
Torabi:
興味深いのは、「長期的な価値」について質問しながら、同時に「今日の価格」を気にする人が多いことです。それは、本当の意味で長期的とは言えませんよね。私たちは数年分のランウェイ(運営資金)を確保しているため、目先の動きにパニックになることはありません。あくまで長期の時間軸で物事を見ています。
偉大なプロジェクトは一晩では完成しません。時に市場が非合理な動きをすることもありますが、そこで短期的な利益に走れば、判断の誤りが積み重なり、最終的にプロジェクトを壊してしまいます。
だからこそ、私たちは「垂直統合」を進め「Move Alliance」を設立しました。エコシステム内のプロジェクトには、売上の少なくとも50%を$MOVEの買い支えに充て、トレジャリーで保有することを提案しています。チェーンが失敗すればアプリも失敗する運命にあるのに、チェーンが成功してもアプリが報われないというのは不公平です。「売上で$MOVEを買い、共に保有する」。これによって、プロジェクトとチェーンの成功の足並みを揃えているのです。
Introducing the Move Alliance
This first-of-its-kind ecosystem flywheel fuses $MOVE buybacks with performance incentives that benefits the builders, the community, and the Movement network.
Here’s how the Alliance works:
– Ecosystem companies commit a portion of their protocol… pic.twitter.com/RBHeAPFsos— The Movement (@movement_xyz) December 11, 2025
Henry:
Torabiさんにとっての「長期」とは、具体的に何年くらいのスパンを想定されていますか。
Torabi:
私の時間軸としては、まず5年後を一つの区切りにし、その次に10年後を見据えています。今のAIの進化を、わずか2年前と比較してみてください。驚くべきスピードですべてが塗り替えられました。クリプトの世界でも、それと同様の普及と適応、そして劇的な変化が起きることを確信しています。
Section 6. Coinbase | Aerodromeでの取り扱いに関する舞台裏
Henry:
$MOVEが再びCoinbase上で利用可能になったことは、Movementコミュニティにとって非常に大きなニュースでした。改めておめでとうございます!特にDEX(分散型取引所)経由というルートを含め、戦略的な一歩だと感じました。この舞台裏では、どのような動きがあったのでしょうか。
Torabi:
ありがとうございます。実は、Coinbaseが発表した「Blue Carpet」という新しいリスティング支援プログラムが鍵となりました。これは、Aerodrome(Base上のDEX)に展開され、十分な流動性を持つプロトコルに対して「DEXタグ」を付与し、Coinbaseのプラットフォーム上からもアクセス可能にするというものです。
私たちは以前からCoinbaseへの現物(スポット)上場に向けて動いていましたが、ただ承認を待つのではなく、この「DEX経由」という別ルートを並行して進めることにしました。これはCoinbaseユーザーが$MOVEにアクセスするための、実質的な「最短ルート」と言えます。
実現のために、私たちは自ら流動性を提供しました。MovementからBaseへのブリッジも、外部に頼らず自分たちのチームで独自に構築したものです。さらにLayerZeroを用いてスマートコントラクトを展開し、プールを作成して各チームと密に連携した結果、掲載へと至りました。実は1ヶ月以上前から準備は整っていましたが、Coinbase公式の発表タイミングに合わせるため、あえて伏せていたんです。
MOVE IS BACK.
Movement ($MOVE) is once again available to buy, sell, send, and receive for all Coinbase users through @AerodromeFi. pic.twitter.com/9OWKks7eXq
— The Movement (@movement_xyz) February 16, 2026
Henry:
日本のユーザーは、法規制の関係で国内からCoinbaseの本家アカウントを開設できないため今回のDEX経由でのアクセス解禁はまさに朗報です。これを機に、日本のCEX(中央集権型取引所)への上場計画も期待してしまいますが、いかがでしょうか。
Torabi:
なるほど。日本市場には注目していますが、どこがおすすめですか?
Henry:
私はOKJ(旧OKCoin Japan)をおすすめします。彼らは非常に意思決定が速く、新しいプロジェクトへの対応も柔軟です。
Torabi:
あなたがそう言うのであれば、ぜひやりましょう。もし彼らを紹介していただけるなら、すぐに上場に向けて動き出します。ぜひ繋いでください。
Section 7. 韓国ハブと2026年のビジョン
Henry:
昨年、韓国にハブを設立されましたね。現在の進捗はいかがでしょうか。韓国のゲーム大手や大手金融機関からの関心は集まっていますか?
Torabi:
ゲーム分野については、本格的な展開にはまだ少し早い段階だと考えています。設立したばかりのハブも、まだ基盤を固めている最中です。
現在は、共に歩める強力な法人パートナーを求めています。その一環として、韓国コミュニティへの還元とエコシステムの安定のために、新たに「バリデータ枠」を2つ用意しました。
単なる提携ではなく、バリデータ運用を通じて経済的なメリット(アップサイド)も共有できる、そんな志ある法人パートナーと組みたいと考えています。そして、この姿勢は日本市場に対しても全く同じです。間もなく開催されるWebXを通じて、日本の戦略的パートナーをしっかりと見極めたいと思っています。
Section 8. 透明性と信頼:CEOとして断行した3つの変革、そして2026年のヴィジョン
Henry:
多くの質問に真摯にお答えいただき、ありがとうございます。いよいよ最後のセクションです。CEOとして「透明性」と「信頼」を担保するために、具体的に変えた「3つのこと」を教えていただけますか。
Torabi:
まず、私たちは過去を断ち切り、完全にクリーンな状態でリスタートを切る必要がありました。そのために新法人を設立し、強固な取締役会を設置しました。具体的な3つの変革は以下の通りです。
法人組織の刷新: 「Movement Labs」から、完全に新しい組織体である「Move Industries」へと移行しました。
リーダーシップの刷新: 意思決定のプロセスを見直し、透明性の高いリーダーシップ体制を再構築しました。
ガバナンス(内部統制)の根本的な変更: 権限を分散させ、チェック・アンド・バランスが機能する仕組みを導入しました。
これにより、たとえ私自身がかつて問題となったような行動を「やりたい」と望んだとしても、現在のシステム上では物理的に不可能な体制になっています。
Henry:
徹底されていますね。では、2026年末、Movementはどのような存在になっていたいと考えていますか。
Torabi:
世界ナンバーワンの「決済と送金のチェーン」を目指しています。私たちが重視するのは、単なる時価総額やTVL(預かり資産)といった数字ではありません。日々の決済や送金において、「実際に利用しているユニークユーザー数(アクティブユーザー)」が世界で最も多いチェーンであること。それが私たちの描く未来です。
Henry:
最後に、不透明な時期を乗り越え、Movementを信じて待ち続けてくれたコミュニティの皆さまへ、一言メッセージをお願いします。
Torabi:
クリプト業界は非常に移ろいやすく、人々の関心が長続きしないのが常です。そんな厳しい環境下で、私たちのコミュニティに関わり続けてくれたという事実は、私たち自身の努力以上に、皆さんの意志の強さを物語っています。
私たちは、皆さんのロイヤルティ(忠誠心)を当たり前だとは決して思いません。これからも、その信頼に応えるために全力で走り続けます。5年後、10年後にもその名が語り継がれるような、真に価値あるプロジェクトにするために、できることはすべてやり抜くつもりです。
もちろん、コミュニティにとって「トークン価格」が極めて重要であることは、紛れもない事実です。しかし、私たちがリーダーとして「なすべき正しいこと」を一つひとつ積み上げていけば、結果は自ずと付いてくると確信しています。
番外編:ハッカソン入賞者インタビュー | 次世代の開発者が Movement に惹かれる理由

左より、Nobleさん、Head of DevRel Rahat氏、Stephaniさん
インタビュー当日、同会場で開発者を対象としたハッカソンが開催されていた。そこで見事入賞を果たした2名の若手ソロ開発者に、プロジェクトの概要とMovementの魅力を聞いた。
Stephanieさん(コロンビア大学 在籍)

- 開発プロジェクト:Move Frame
- 概要:Telegramのボットに写真をアップロードするだけで、即座にNFT化して共有できるプラットフォーム。
- 筆者の視点: 彼女のプレゼンを見て、このプロジェクトはインフルエンサーをクリプトの世界へ巻き込む手段として、収益性と利便性を両立させた非常に現実的な解だと感じた。また、Telegramに馴染みの薄い層にとっても、このツールがITリテラシーやクリプトへの理解を深める一助になるはずで、教育的観点からも高い価値がある内容であった。

- 開発プロジェクト:Move Arb
- 概要:DEX上の $MOVE トークンの価格差を利用したアービトラージ(裁定取引)ボット。
- 筆者の視点:初めてAIを駆使してコーディングを行い、実際にメインネットで150回もの取引を実行、10 $MOVEの利益を出した実績を公開していた。「AI×速攻開発」という今の開発シーンの縮図を見るようであった。プレゼン中、Movementのチームメンバーが「そのボットを買いたい」と冗談まじりに、しかし真剣なトーンで声をかけていたシーンが非常に象徴的であった。

Movementのチームメンバーとハッカソン参加者の皆様。Torabi氏の顔が隠れてしまって申し訳ない。
なぜ「ETH」ではなく「Movement」だったのか
彼らに共通して投げかけた質問がある。
「なぜ、EthereumではなくMovementのハッカソンを選んだのですか。 開発言語の魅力ですか、それともコミュニティですか?」
興味深いことに、2名とも「開発言語(Move)が理由ではない」と断言した。共通して、このように答えが返ってきた。
「何よりも、Movementのコミュニティの魅力に惹かれたからです」
この回答は、私にとって強く印象に残った。インフラチェーンの競争において、最大の課題は常に「いかに優秀な開発者を確保するか」にあり。私の友人で、以前Aptos上で開発をしていたMovepositionのCEOも、「Movementは開発者との対話を極めて重視しており、横のつながりが非常に活発だ」という理由で、Movementへ軸足を移していた。
私自身も、韓国(KBW)やシンガポール(Token2049)のサイドイベントを通じて、Movementのコミュニティだけが放つ独自の“熱量”を何度も肌で感じてきた。
もちろん、技術的な優位性として「Move 2.0」があるのは大前提である。しかしそれ以上にTorabi氏のリーダーシップによって再構築された「信頼」と、若い開発者を惹きつける「熱量」こそが、彼らが2026年末に掲げる「世界一の決済・送金チェーン」というゴールへの、何よりの推進力になるのかもしれない。
編集後記載 : Torabi氏の素顔

写真左よりMovement チームのCarmen氏 (Head of PR), Joe Chen氏 (Head of BD), Henry, そしてCEOのTorabi氏
インタビュー中、Torabi氏は終始、極めて紳士的かつ丁寧にこちらの質問に向き合ってくれました。すべての問いに対して真摯に耳を傾け、一つひとつ言葉を選びながら答えるその姿からは、リーダーとしての誠実さが真っ直ぐに伝わってきました。
特に、日本での具体的なビジネスチャンスに話題が及んだ際の身を乗り出すような積極性は印象的で、礼儀正しさの奥に、経営者としての圧倒的なスピード感と決断力を兼ね備えていることを確信させてくれました。
また、今回の取材を通じて「Movementらしさ」を強く実感したポイントがもう一つあります。それは、彼らが配布しているSwag(ノベルティグッズ)のクオリティです。
他のプロジェクトと比較しても、Movementのグッズはデザインや作り込みが明らかに一線を画しており、率直に言って極めて“おしゃれ”です。多くのプロジェクトが既製品のTシャツにロゴをプリントして済ませる中、彼らはロゴを刺繍で施すなど、細部の仕立てにまで徹底してこだわっています。
私自身、これまで100近いプロジェクトのグッズを手にしてきましたが、その完成度は間違いなくトップクラスです。
インタビュー終了後、エレベーターの中でふと気になり、本人に尋ねてみました。
「グッズのデザインがいつも秀逸ですが、社内に専属のデザイナーがいるのですか?」
Torabi氏の答えは、即座に“Yes”。 デザイナーはサンフランシスコに拠点を置いているといいます。最先端のプロダクトだけでなく、コミュニティが実際に触れる「体験」の細部に至るまで、一切の手抜きをせず丁寧に設計する。その徹底したブランド哲学が、彼の一言に凝縮されていました。
Moving different.
📍 Denver, CO pic.twitter.com/1kjGrFrx8R
— The Movement (@movement_xyz) February 18, 2026
*今回のETH Denver期間中、チームメンバーが着用していたレーシングジャケットをイメージして作られたMovementオリジナルジャケット。
追記:カルチャーの交差点
また、取材の合間に起きた微笑ましい一コマも記しておきたい。 同席していたシンガポール拠点のJoeが、私の首元にある「Lynch Silversmith」のフェザーネックレスを見るなり、「それってgoro’s?」と目を輝かせて尋ねてきたのだ。
実は以前も、台湾拠点の別プロジェクト関係者とgoro’s(ゴローズ)の話題で盛り上がったことがある。日本のシルバージュエリーやストリートカルチャーが、アジアのクリプトシーンの最前線で働く彼らの間に、これほど自然に、そして深く浸透している。
最先端の技術を追う彼らと、日本が誇る職人文化(クラフトマンシップ)。その意外な接点に、国境を超えたカルチャーの繋がりを改めて実感した瞬間だった。

筆者の旅のお供

























































