AIがほぼ全ての仮想通貨を動かす?金融インフラの前提が変わる時代
Crypto Times 編集部

「今後2年以内にブロックチェーン上の取引の99.99%がAIエージェントによって実行される」— 米大手デジタル資産運用会社Galaxy Digital(ギャラクシー・デジタル)が示したこの予測は一見すると誇張にも聞こえます。ですが、数字が正しいかどうかは実はあまり重要ではないのかもしれません。問うべきは「AIが仮想通貨取引の主役になる世界で金融インフラは何を基準に設計されるべきか」という本質的な問いのほうだからです。
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報道される情報の多くはAIを「仮想通貨市場を便利にする補助ツール」として扱っています。しかしこの理解は起きている変化の規模を決定的に見誤っているように思えます。AIエージェントが自律的に意思決定し、24時間365日、人間の介在なしにオンチェーン(ブロックチェーン上)で取引を実行する世界 — これは「人間のためのWeb3」から「AIのための金融インフラ」への前提そのものの書き換えといえるのかもしれません。
メール・株式市場—インフラは必ず「機械主導」に傾く
過去のインフラ進化を振り返るとこの構造転換のインパクトが見えてきます。
1990年代末、メールは「人間から人間」の通信手段でした。ですが現在のメールトラフィックのうち、人間が書いているメールは一桁パーセント台に過ぎません。残りはすべてシステム通知、自動配信、認証メールといった機械間通信です。株式市場も同様で米国株取引の約7割はすでにアルゴリズム・高頻度取引が占めています。国際送金の基幹インフラであるSWIFT(銀行間の国際送金ネットワーク)でも、人間が直接メッセージを打ち込む割合は限りなくゼロに近くなりました。
インフラは利用主体が人間から機械に移った瞬間、設計思想が逆転する—これが過去数十年の普遍的パターンです。仮想通貨市場もこの経路を必然的にたどるとすれば、私たちが議論すべきはもはや「AIが仮想通貨を使うか否か」ではなく、「機械主導の取引に最適化されたインフラとは何か」になります。
ここで切実なのがリスク管理の問題です。AIが誤った取引を実行すれば、ユーザーの資産は瞬時に消えます。研究者たちはこの課題に対し「エージェンティック・リスク・スタンダード」という新基準を提唱しました。AIのタスクを「手数料のみを動かすもの」と「資金を動かすもの」に分け、後者にはアンダーライティング(保険引受)を導入する設計でシミュレーションでは損失を最大61%削減できるとされています。
ただし、AIの「失敗率」を正確に見積もることが最大の難関であり、保険料設定を誤ればアンダーライター自身が債務超過に陥るリスクも指摘されました。
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これは、人間の運転を前提に構築されてきた自動車保険が自動運転時代にどう再設計されるかの議論とパラレルな構造です。自動車業界では自動運転車の事故率が人間より低いとされる現在でも「メーカー責任と運転者責任の境界をどう引くか」の議論で10年以上膠着しています。仮想通貨のAI化は同じ問いを金額規模を変えて突きつけていると言えます。
「エンジンだけ作ってガソリンは他国任せ」日本の戦略的矛盾
この技術潮流が国家間の競争と直結しているのが2026年という時代の難しさです。世界最大の仮想通貨取引所バイナンスの創設者であるチャンポン・ジャオ(CZ)氏はインターネット・ブロックチェーン・AIの3つを「ここ数十年で最も重要な産業」と位置づけ、1つでも逃せば国家は深刻な不利益を被ると警鐘を鳴らしました。
米国はこの問題意識を政策レベルで共有しています。スコット・ベセント米財務長官自らが仮想通貨市場構造法案「クラリティー法案」の早期成立を議会に要求し、デジタル資産の時価総額が2〜3兆ドル規模で推移していること、米国民の6人に1人が何らかのデジタル資産を保有していることを根拠に「採用するか否かを議論する段階は過ぎた」と明言しています。
対する日本の戦略には深刻な非対称性が潜みます。AI領域では「人工知能基本計画」を閣議決定し、政府専用AI「源内」の導入、フィジカルAI(AIとロボットの融合領域)への国家投資と産業育成にアクセルを踏んでいます。しかし仮想通貨については金融庁が資金決済法から金融商品取引法への移管を検討する段階にとどまり、産業育成よりも投資家保護・税制・規制整備という守りの議論が中心です。
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ここに構造的な矛盾が浮かびます。もしAIエージェントが仮想通貨で自律的に取引する世界が本当に到来するなら、AIだけを国家戦略に据え、仮想通貨を規制対象として扱い続ける日本の姿勢は「エンジンだけを開発して、ガソリンの流通は隣国に任せる」に等しいことになります。AIエージェントの「決済レイヤー」をドル建てステーブルコイン(米ドルに価値を連動させた仮想通貨)が握り、「取引所インフラ」を米国系プレイヤーが握る構造が固まれば、日本企業が開発したAIは最終的に米国の金融基盤の上でしか動けなくなるわけです。
もちろん、この未来が1本道で決まっているわけではありません。99.99%という数字が現実化しない可能性も十分あります。しかし「前提が書き換わりうる」という認識自体を持てるかどうかが、2026年の意思決定の質を大きく左右するのではないでしょうか。インフラの転換点に気づいた国と気づかなかった国——その差は、振り返ってからでは埋められないのかもしれません。
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