ビットコイン財務3社の調達を比較|共通するのは負担の後払い

2026/08/29・

よきょい

ビットコイン財務3社の調達を比較|共通するのは負担の後払い
ct analysis

8月27日から28日にかけて、ビットコインを財務資産として積み増す上場企業3社が、それぞれ異なる方式の資金調達を発表しました。フランスのキャピタルB、教育・AI事業のジーニアス・グループ、そして米ナスダック上場のアルファ・モーダスです。規模も業種も違いますが、株主が引き受けるリスクの置き場所という観点で並べると、共通の構図が見えてきます。

調達手段は三者三様です。キャピタルBは1株0.58ユーロで3,621万9,070株を私募発行し、2,100万ユーロを調達しました。1株に4本のワラント(新株予約権)が付く「ABSA」形式です。ジーニアス・グループは1,250万ドルの永久優先株発行を提案し、2031年度までに8億2,700万ドルのビットコイン財務を築く計画を掲げました。アルファ・モーダスは非米国投資家10者から3,170BTCの現物出資を受け、対価としてクラスA株5,162万株と同数のワラントを交付します。

キャピタルB
フランス/ユーロネクスト・グロース・パリ
ワラント付き株式の私募
調達額
2,100万ユーロ
ビットコイン
270BTC追加 → 3,415BTC
今回の希薄化
ほぼ中立 −0.02%
100万株あたりBTC 7.4725→7.4711
将来の負担
ワラント全行使で −24.1%
1億4,487万株が追加発行
ジーニアス・グループ
教育・AI事業
永久優先株の発行(提案)
調達額
1,250万ドル
目標8億2,700万ドルの1.51%
ビットコイン
保有ゼロから再構築
初回購入量は算定不能
今回の希薄化
普通株の即時希薄化なし
将来の負担
配当・残余財産で普通株に優先
配当率も発行規模も未定
アルファ・モーダス
米国/ナスダック
ビットコインの現物出資
対価総額
約2億2,510万ドル
BTC1枚を7万1,000ドルで評価
ビットコイン
3,170BTCを取得
今回の希薄化
既存株主の持ち分が約8.8%へ
既存499万株に対し5,162万株を新規発行
将来の負担
ワラント5,162万株が上乗せ
行使価格は1株4.36ドル
3社に共通する構図
ビットコインの取得量を先に確定し、それを支える資本コストは後から決める

※1株あたりの発行価格は記者試算

図で並べると、今回の希薄化と将来の負担が一致していないことが分かります。キャピタルBは100万株あたりのBTC保有量が7.4725から7.4711へと0.02%減にとどまり、今回の取引単体ではほぼ中立です。ところがワラントがすべて行使されると1億4,487万6,280株が新たに生まれ、同じ指標は5.6730まで、私募前比で24.1%低下します。ジーニアス・グループの優先株も普通株を即座に希薄化しない一方、配当と残余財産の請求で普通株主に優先します。



3社に共通する「順序」の問題

共通するのは、ビットコインの取得量を先に確定し、それを支える資本コストを後から決めている点です。キャピタルBはワラント、ジーニアスは優先株配当、アルファ・モーダスは現物出資と引き換えの支配権希薄化という形で、将来の負担を株主側へ移しています。

アルファ・モーダスは4月にナスダックから、純利益・上場証券時価総額・株主資本のいずれの基準も満たさないと通知されており、継続企業の前提に重要な疑義がある状態です。今回受け取るのはビットコインであって現金ではないため、当面の運転資金の問題は残ります。発表後、同社の株価は25%下落して2.84ドルとなりました。

業界環境も追い風とは言えません。上場ビットコイン保有企業の上位50社の時価総額合計は、2025年7月の約1,500億ドルから2026年8月には約670億ドルへ55%減少しました。最大手のストラテジーは第2四半期に82億2,000万ドルの純損失を計上しています。

この局面で調達を進める3社の判断が「押し目買い」となるのか「調達手段が細る前の駆け込み」となるのかは、ワラントの行使状況と優先株の発行条件が出そろってから判断することになりそうです。

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