仮想通貨大手BitGo、機関投資家向け取引事業を拡大

2026/08/31・

よきょい

仮想通貨大手BitGo、機関投資家向け取引事業を拡大
ct analysis

仮想通貨のカストディ大手BitGoが、NYDIGの機関投資家向けトレーディング事業を取得しました。前払い対価は約4,250万ドルで、内訳は現金700万ドルと、参照価格5.9829ドルで評価したBitGo株593万3,577株(約3,550万ドル相当)です。

対象は現物およびデリバティブの取引、仮想通貨の資産運用、貸借、ローンサービシングで、NYDIGのマイニング事業とカストディ事業は除外されました。約30名の従業員と機関顧客との関係がBitGo側へ移っています。

売り手には上積みの余地も残されています。第1のアーンアウトは現金1,000万ドル、第2のアーンアウトは現金500万ドルとBitGo株83万5,715株(参照価格でおよそ500万ドル相当)です。条件は、2028年2月までの直近12か月売上高が4,500万ドルと7,000万ドルという二つのハードルを超えること。移籍する従業員向けには1,000万ドル規模の別枠も用意されており、こちらは売り手の受け取る対価には含まれません。

16.9ベーシスポイントという数字の意味

この取引を読むうえで示唆的なのが、BitGo自身の収益構造です。第2四半期のDigital Asset Sales部門は、売上41億9,751万7,000ドルに対し直接原価が41億9,043万5,000ドル。差額は708万2,000ドルで、売上比にすると約16.9ベーシスポイント、つまり0.169%にすぎません。同社は自らが当事者として取引に入るため多くの売買を総額表示で計上していると説明しています。四半期の連結純損失は1,902万5,000ドルでした。



この薄さは、なぜトレーディング周辺の商品を厚くしたいのかを説明します。総額表示の売上は数十億ドル規模へ膨らむ一方、実際に残るのはその0.2%未満です。デリバティブ、仕組み商品、ファイナンス、資本市場業務を加えれば、カストディと決済の関係をより深く、より高単価にできるという発想が読み取れます。

売上ハードルは効率を測らない

アーンアウトが売上高で設定されている点も、投資家にとっては注意が必要な設計です。売上基準は規模の拡大を直接的に報いる一方、統合、コンプライアンス、技術、資金調達にかかる費用は測りません。取得した事業の過去の売上、直接費用、営業利益はいずれも開示されておらず、ハードル達成に要するコストも不明のままです。売上が伸びたとしても、それが利益を伴うかどうかは後続の開示を待つほかありません。

一方のNYDIGはより資本集約的な採点表へ移りました。同社は北米で3ギガワットを超える電力・計算インフラを保有すると説明し、2027年から2028年にかけて1ギガワット超を提供可能としています。ただし現在稼働している容量、契約済み容量、テナント収入、建設および資金調達コスト、稼働率、案件利回りは公表されていません。2025年3月にはCrusoeのビットコインマイニング事業取得で合意しており、今回の売却は既存方針の先鋭化と見るのが自然でしょう。両社とも、証明すべき数字はこれから出てきそうです。

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