売らなくても課税?出国時に含み益を取る国と、日本の現状

2026/08/26・

よきょい

売らなくても課税?出国時に含み益を取る国と、日本の現状
ct analysis

カナダとオーストラリアでは、居住者が税務上の居住地を離れる時点で一定の資産を時価で譲渡したものとみなす制度が運用されています。ビットコインを1枚も売っていなくても、出国日の価格で含み益に課税されるという仕組みです。

オーストラリア税務当局は1万豪ドルで購入したビットコインが2万2000豪ドルになった時点で出国した場合、1万2000豪ドルのキャピタルゲインが生じる例をそのまま公表しています。移住の「時期」が税額を決める変数になっています。

日本の国外転出時課税に仮想通貨は入っていない

日本にも国外転出時課税制度があります。国税庁の説明によれば国外転出時に1億円以上の有価証券等、未決済信用取引等、未決済デリバティブ取引を保有する一定の居住者に対し、譲渡があったものとみなして含み益に所得税が課される制度です。

対象資産は株式、投資信託、社債などの有価証券と未決済の取引であり、仮想通貨は現行制度では含まれていません。1億円分のビットコインを持って出国しても、この制度による課税は生じないという整理になります。



金融商品への移管で、論点は復活する

この「対象外」という位置づけは制度の理念から導かれたものではなく、仮想通貨が資金決済法上の決済手段として扱われてきた結果という側面があります。2026年7月の法改正で金融商品取引法上の金融商品として位置づけられ税制上も申告分離課税に移行することが決まった以上、有価証券だけを対象とし続ける理由は薄くなります。

実際、令和8年度税制改正の解説資料の中には、実務上の確認事項として「仮想通貨が国外転出時課税等の対象資産となるか確認が必要」と明記しているものがあります。現時点で改正が決まった事実はありませんが、論点として浮上していることは記録しておくべきでしょう。

先に効いてくるのは「見えるようになる」ことのほう

出国課税の議論より早く日本の居住者に影響するのが情報の可視化です。日本版の「非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度」は2026年1月1日に施行され、国内業者による居住地国の確認と記録が始まっています。国税庁への初回報告期限は2027年4月30日で、その後は各国の税務当局との自動的な情報交換が動き出します。

OECDの暗号資産等報告枠組みには多数の国・地域が参加を表明しており、海外取引所を使っていても取引情報が居住地国に届く体制が整いつつあります。

つまり日本の投資家にとっての順序は、「出国すれば課税される」より先に「どこで取引しても把握される」が来ます。移住や口座の分散を検討する場合、税率の比較よりも過去の申告が説明可能な状態になっているかどうかが先に問われることになりそうです。

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