ハードウェアウォレット大手レジャー、脆弱性2件を開示

2026/08/31・

よきょい

ハードウェアウォレット大手レジャー、脆弱性2件を開示

引用元: Ruslan Ivantsov / Shutterstock.com

ct analysis

ハードウェアウォレット大手のレジャーが、イーサリアム用アプリのバージョン1.22.3を8月25日に公開し、27日に2件の署名関連の脆弱性を開示しました。いずれもデバイスの画面に表示される内容と実際に署名される内容が食い違う可能性のある不具合です。同社は実際に悪用された形跡は確認していないとしています。

発端は別の脆弱性でした。競合のワンキーが再現して話題になった「LSB-023」は、侵害されたホスト端末がコマンドの順序を差し込むことで、表示後・署名前に取引のパラメータを変更できるというものです。レジャーはこの問題を8月13日公開の1.22.2で修正済みであり、ワンキーが再現したのは1.22.1だったと説明しました。

表示と署名の乖離という同じ構図

ただし1.22.2でも既知の脆弱性は残っていました。1件目の「LSB-024」は、クリアサイニング処理で操作の配列を扱う際、件数を16ビットで読み取りながら8ビットの領域に保存していたというものです。実証実験では257件の操作を含む配列でカウンタが1に巻き戻り、デバイスには最後の1件しか表示されないにもかかわらず署名は配列全体を承認しました。悪用には侵害されたホストと、攻撃者が制御する異常に大きな配列が必要になります。



2件目の「LSB-025」は、スワップ時に使われるトークン支払い経路の検証不足です。アプリはトークン、数量、送金先は確認していましたが、要求された操作が実際に「支払い」であるかを検証していませんでした。このため悪意ある、あるいは侵害されたスワップ事業者が、同じパラメータを持つトークンの承認(approve)にすり替え、追加の確認画面なしに署名させることが可能でした。無制限の承認や別トークンへの変更、任意アドレスへの権限付与はできず、承認だけでは資金は移動しません。それでも、利用者が見た画面と署名内容が一致しないという点で、先の2件と同じ構図に属します。

5月に完成した修正が8月まで出なかった理由

開示内容で説明されていない点が一つあります。レジャーの記録では配列カウンタの修正は5月5日、スワップ検証の修正は5月25日にマージされていました。8月13日の1.22.2より3か月近く前です。にもかかわらず両修正は1.22.2に含まれず、同社のセキュリティ告知にもその理由は記載されていません。ハードウェアウォレットの安全性が「更新できること」に支えられているのであれば、修正の完成からリリースまでの工程管理そのものが評価対象になります。

利用者側の実務としては、3つのバージョンの違いを区別する必要があります。1.22.2はコマンド差し込みの問題に対応したもので、8月27日に開示された2件を塞ぐには1.22.3以降が必要です。レジャーはLedger Live経由での更新とデバイス上でのバージョン確認を推奨しており、本体ファームウェアの更新だけではイーサリアムアプリは置き換わりません。

セキュリティ企業サーティックの集計では2026年上半期の被害のうち鍵・ウォレットの侵害が33件で4億4,450万ドルと最大の損失源になっており、署名画面の正確性はその最終防衛線にあたりそうです。

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