【PolkaAMA Week 第1弾】『Acala Network』概要や特徴、AMAの内容をQ&A形式で解説
ユッシ
現在時価総額4位のPolkadotは昨今のDOTの価格上昇や4月に行われるParachain Offeringなどにより仮想通貨市場の中でも大きな注目を集めています。
先日、そんなPolkadotの関連プロジェクトである「Acala Network」のAMAが行われました。
本記事では、Acala共同創設者であるRuitao Su氏がAMAで回答してくれた内容を元にAcala NetworkについてQ&A形式で解説していきます。
Acalaに関する日本語の情報はあまり無いため、気になっている方はぜひ本記事を最後まで読んでみてください。
当日のAMAの内容はこちらのYoutubeより確認が可能です。
目次
- 1 Acala Networkの概要
- 2 Acala Networkについて
- 3 Acala NetworkのAMAの内容
- 3.1 Q. Acala Networkとはどんなプロジェクトですか?
- 3.2 Q. Acala Networkが提供する3つのプロダクトとはなんですか?
- 3.3 Q. AcalaのDeFiとEthereumのDeFiとの違いを教えて下さい
- 3.4 Q. Acala Networkはどんな問題を解決することを目指したプロジェクトですか?
- 3.5 Q. そもそもAcalaはなぜSubstrateを使い、Polkadot上でプロジェクト構築を始めたのでしょうか?
- 3.6 Q. 3月にKusamaで、4月にPolkadotでParachain Offeringが行われますが、オークションで勝つための戦略はあるのですか?
- 3.7 Q. 日本についてどのような印象を持っていますか?
- 3.8 Q. 日本は今後のターゲット市場になりうるのでしょうか?
- 3.9 Q. aUSDはどのようにして1ドルにペッグされているのですか?DAIと同じターゲットレートフィードバックメカニズムが採用されているのでしょうか?
- 3.10 Q. 今後DeFiがPolkadotエコシステムの中で同じように発展していくためにはaUSDが分散的に広く普及する必要があると考えています。そのための戦略はありますか?
- 3.11 Q. ネットワークユーティリティやガバナンスなどに使用されるACAトークンですが、トークンの価値はどのように維持する予定ですか?
- 3.12 Q. HOMAでDOTをステーキングしL-DOTをミントする場合、1:1の比率でミントできますか?
- 3.13 Q. ミントしたL-DOTは何に使われるのでしょうか?
- 3.14 Q. Ethereumとの連携についてあれば、教えて下さい。
- 3.15 Q. AcalaとKaruaのコードは同じでPolkadotとKusamaに展開されますが、それぞれどのように発展していくと思いますか?
- 4 まとめ
Acala Networkの概要
Acalaの概要
ティッカー/通貨名 | $ACA/Acala Network |
---|---|
共同創設者 | Ruitao Su, Bette Chen, Fuyao Jiang, Bryan Chen |
主な提携先 | – |
時価総額 | – |
特徴 | PolkadotエコシステムにおけるDeFi Hub、Stablecoinプラットフォーム、ステークスデリバティブ |
公式リンク | Webサイト |
Telegram | |
Medium | |
Github |
Acala Networkについて
Acala Networkはクロスチェーンにより流動性とアプリケーションを強化するPolkadotエコシステムにおけるDeFi HubとStablecoinプラットフォームです。複数の資産を利用して、合成資産aUSDを生成可能。また、DotをステーキングしL-DotをMintすることもできます。
今回のAMAにはAcalaのCo-FounderであるRuitao Su氏が参加してくれました。
Acala NetworkのAMAの内容
Q. Acala Networkとはどんなプロジェクトですか?
AcalaはPolkadotのDeFiハブとして機能するブロックチェーンネットワークです。
Acalaと同じコードがKusamaでKaruraネットワークとして展開されます。
現在、Polkadot上でDeFiは作られていませんが、Acalaが手掛ける3つのプロダクトによってPolkadot上でのDeFiの利用が可能となります。
Q. Acala Networkが提供する3つのプロダクトとはなんですか?
「aUSD」「DEX」「L-DOT」の3つです。
1つ目のaUSDとは、BTCやDOTなどを担保にして発行できるステーブルコインです。
aUSDはAcala Parachain内での基軸通貨としてだけでなく他のParachainへの転送が可能で、最終的にはPolkadotエコシステム内 におけるステーブルコインとしての普及が見込まれています。
2つ目のDEXとは、Acalaが手掛ける分散型取引所です。
このDEXでは、AMM取引所としてトークンの交換だけでなくDEX参加者自身が流動性を提供するような仕組みも計画されています。
最後のL-DOTとは、DOTをAcala Networkのプロダクト上でステーキングすることでミントできるトークンです。
ミントされたL-DOTは、ステーブルコインをMintするための担保として譲渡、償還、使用できます。
通常、DOTを1度ステーキングしてしまうと解除されるまで1ヶ月ほどの時間がかかってしまいます。しかし、L-DOTを利用すれば「DOTをステーキングしながら、発行したL-DOTを他の流動性提供に回せる」といったことが可能になります。
Q. AcalaのDeFiとEthereumのDeFiとの違いを教えて下さい
AcalaはDeFiに特化したチェーンなので手数料をDAIなどの任意の通貨で支払うことが可能で、この点はEthereumとの違いになります。
Q. Acala Networkはどんな問題を解決することを目指したプロジェクトですか?
Acalaは「DeFiの参入障壁は高い」という問題の解決を目指したプロジェクトです。
AcalaはDOT保有者にDeFiに関するユーティリティを提供します。
aUSD、Acala DEX、L-DOTを利用することで、大量な資金を持ったクジラだけでなくDOTを保有する誰でもがDeFiに参加することが可能となります。
Q. そもそもAcalaはなぜSubstrateを使い、Polkadot上でプロジェクト構築を始めたのでしょうか?
Polkadotはセキュリティを犠牲にすることなく専門的なブロックチェーンを構築でき、さらには流動性の欠如などの問題に直面する可能性も低いです。
このことは新しいプロジェクトを手掛ける開発者達にとって新たな可能性を与えてくれます。
ちなみに、Acalaの設立メンバーは2年以上Polkadotの基板上での開発に携わっています。
Q. 3月にKusamaで、4月にPolkadotでParachain Offeringが行われますが、オークションで勝つための戦略はあるのですか?
2つあります。
・プロジェクト自身が保有しているKSMとDOTをロックする
・KusamaとPolkadotのAuctionのためにAcalaのコミュニティを巻き込む
特にAcalaは後者のコミュニティエンゲージメントに力を入れており、全てのSNSを合計して現在9万人以上のコミュニティメンバーを抱えています。
Parachain Offeringでは、ネットワークをブートストラップ化することでトークンの分配が可能です。誰でも自身のKSMとDOTを預けてAcalaのParachainをサポートすることができます。
Q. 日本についてどのような印象を持っていますか?
日本には多くの偉大な仮想通貨のフォロワーがいます。
私の理解では、最近日本で仮想通貨に友好的な規制が可決されましたよね。
Q. 日本は今後のターゲット市場になりうるのでしょうか?
仮想通貨は元々がグローバルなものなので、仮想通貨のプロジェクトは初めからグローバルを目指すべきだと考えています。
個人的に日本の仮想通貨のコミュニティには、マーケットフィットした有望なプロジェクトが十分にあると感じています。
日本のコミュニティにも情報の共有をしながら、投機だけでなくプロダクトの開発をしっかり行っていこうと考えているため、今回のようにCRYPTO TIMESと協力しながら日本向けのAMAを実施しました。
Q. aUSDはどのようにして1ドルにペッグされているのですか?DAIと同じターゲットレートフィードバックメカニズムが採用されているのでしょうか?
aUSDでは、DAIと同様のメカニズムが使用されています。しかし、Acalaはより良いペッグを実現するための独自の工夫をしています。
Acalaには統一された流動性を持つDEXが組み込まれているため、リスクの高いポジションはliquiditierの役割を必要とせずチェーン上で自動的に清算することが可能です。
Acalaのペギング率を高めるためのガバナンスパラメーターについての詳細はこちらを読んでみてください。
Q. 今後DeFiがPolkadotエコシステムの中で同じように発展していくためにはaUSDが分散的に広く普及する必要があると考えています。そのための戦略はありますか?
Acalaは最初に規模が大きいDOTのコミュニティに焦点を当てます。Acalaでは、DOT保有者は初めからaUSDを用いて仮想通貨を借りたり、取引したり、ステーキングしたりなどDeFiの機能を利用できます。
また、AcalaはPolkadotエコシステム内に限らず、幅広く様々なパートナーと協力してプロジェクトに取り組んできました。
たとえば、renと協力してrenBTCやその他のremVMアセットを提供したり、AMPLと提携してAcalaにAMPLブランチを開設しました。(Acalaには30のパートナーがいてその数は増え続けています。)
今後、より多くのParachainの立ち上げとそれらの相互連携により既存のベースレイヤーよりもPolkadotはさらに強力になります。
プライバシーソリューションに特化したプロジェクトがParachainに選ばれ、aUSDがそのParachainプロジェクトに転送された場合、ZCashのようなプライベート機能が付いたaUSDが誕生することも考えています。
Q. ネットワークユーティリティやガバナンスなどに使用されるACAトークンですが、トークンの価値はどのように維持する予定ですか?
ACAトークンには、ネットワークユーティリティ、ガバナンス、ステーキングなどあらゆる用途があります。
また、AcalaではdSWF(分散型ソブリンウェルスファンド)と呼ばれる独自ファンドを持っており、ガス料金などのプロトコルから出た余剰資金は全てACAトークン所有者が共同でdSWFで所有します。
dSWFの主な目的は、プロトコルの余剰資金をDOTで獲得し、永続的にParachain Offeringでスロットを獲得し独立したソブリンParachainとなることです。
永続的なParachainを獲得した後は、プロトコルの余剰資金でACAを買い戻したりするなど様々な方法で余剰資金を展開できます。
dSWFについての詳細についてはmedium.comで多数の記事を公開しています。
補足:一度獲得したParachainのスロットは2年間で有効期限が切れ、Parachainを維持したい場合は再度DOTを集めてオークションに参加しなければなりません。AcalaはdSWFというファンドを作りそこでParachainスロットの獲得に必要な資金を確保しようとしています。
Q. HOMAでDOTをステーキングしL-DOTをミントする場合、1:1の比率でミントできますか?
L-DOTは常にDOTに対して1:1の価値で作成され、さらにはスマートコントラクトの保証があるためいつでも同量のDOTにを戻すことができます。
ステーキング報酬がメタステーキングプールを拡大し、本質的にLDOTをDOTの利回りトークンにするため、時間の経過とともにLDOTはより多くのDOTと交換可能になります。
Q. ミントしたL-DOTは何に使われるのでしょうか?
L-DOTは、他の資産を借りたりステーキング報酬を受け取りながら借り入れを楽しんだりするための担保として使用できます。
例えば、ユーザーがビットコインを担保としてL-DOTを借りた場合、ビットコインを清算することなくPolkadotのステーキング報酬を得ることができます。
また、L-DOTはSolidityスマートコントラクトを使用してのプログラムも可能です。
Q. Ethereumとの連携についてあれば、教えて下さい。
現在、3チームがETH-Polkadotのブリッジの開発を行なっています。(Renチームがその1つです。)
また、ChainSafeやMoonbeamが現在、あらゆるParachain-Ethereum間のブリッジを開発しています。
将来的に、これらは全て繋がっていくというのが私の考えです。
L-DOTのEthereum上での運用も可能になりますし、その逆としてEthereum上のステーキング資産などもAcala上で運用することが可能になっていくでしょう。
Q. AcalaとKaruaのコードは同じでPolkadotとKusamaに展開されますが、それぞれどのように発展していくと思いますか?
理由の一つとしてKusamaもメインネットの一つだとして考えているからです。
KusamaにParachainをロールアウトする理由は、Kusamaでもコミュニティが広く拡大しているからです。
Canary NetworkとしてのKusama Networkでは、参入するための障壁が低いからです。
まとめ
情報や教えというものは大衆に広がれば広がるほどビジネス的な思惑や曲解の元、品質が下がっていくものです。
仮想通貨に関する情報も例外ではないため知識を得たい人はなるべく一次情報での情報取得をする必要があります。
引き続きCRYPTO TIMES並びにPolkadot Labs. JPでは、プロジェクト開発者を交えながらのAMAや記事を提供していきます。
Polkadot関連銘柄に興味はあるけど調べる時間がない方や英語があまり得意でないという方は是非積極的に参加してみてください。