IMF、ステーブルコインに取り付けリスクを警告|トークン化金融の光と影

IMF、ステーブルコインに取り付けリスクを警告|トークン化金融の光と影

IMF(国際通貨基金)は2026年4月、金融資本市場局長トビアス・エイドリアン氏による政策ノート「Tokenized Finance」を公開しました。

ブロックチェーン上で金融資産をトークンとして扱う「トークン化」の恩恵とリスクを包括的に整理した同ノートの中で、IMFはステーブルコインについて市場環境が悪化すれば取り付け騒ぎが起きうると明確に警告しています。



トークン化で何が変わるのか

従来の金融システムでは証券の売買や送金に複数の仲介機関が関わり、決済完了まで数日かかることも珍しくありません。トークン化はこれを根本から変え、売買と決済を同時に完了させる「アトミック決済」を可能にします。

仲介コストが減り、透明性も上がる一方でIMFはこのスピードそのものが新たなリスクになると指摘しています。従来は決済に時間がかかることが当局が介入したりリスクを調整したりする「バッファー」にもなっていたためです。

ステーブルコインは「安全な通貨」と言えるか

同ノートで特に注目されるのは決済に使われるデジタル通貨の分類です。IMFは現在台頭しつつあるトークン化マネーを3つに整理しています。銀行が発行するトークン化預金、USDTやUSDCに代表されるステーブルコイン、そして中央銀行が発行するホールセール型CBDC(wCBDC)です。

ステーブルコインについてエイドリアン氏は準備資産の質だけでなく発行者の償還対応能力や裏付け資産の市場流動性にもパリティ維持が左右されるとし、現状ではMMF(マネー・マーケット・ファンド)に近い性質を持つとの見解を示しています。市場環境が悪化すれば取り付け騒ぎが起きるリスクも排除できないという認識です。なお、現時点でステーブルコインの大多数が米ドル建てであることにも言及されています。



3つの未来シナリオ

同ノートは今後の金融アーキテクチャとして3つのシナリオを描いています。

第一は各国の中央銀行が発行するCBDCを軸に国際的なルール整備が進む「協調型」。第二は各国がバラバラの規制を敷き、互換性のないプラットフォームが乱立する「断片化」。第三は規制が追いつかないまま民間のステーブルコインが事実上の決済基盤となる「プライベートマネー主導型」です。

IMFは第三のシナリオについて、効率性とグローバルなリーチは急速に拡大する一方、公的なバックストップがなければ取り付けや伝染のリスクが高まると警告しています。

新興国はチャンスとリスクの両面

新興国にとってはクロスボーダー送金コストの削減や金融包摂の推進といった恩恵が期待される一方、ドル建てステーブルコインの急速な普及が自国通貨の地位を脅かす可能性も指摘されています。

資本フローがトークン化によりさらに高速化すればストレス時の資金流出を従来の政策手段で制御しきれなくなるリスクがあるとしています。

エイドリアン氏はトークン化の成否を決めるのはテクノロジーではなく政策的な選択だと結論づけ、決済資産の安全性確保、法的枠組みの整備、国際協調の推進などを柱とする5項目の政策ロードマップを提唱しています。

仮想通貨業界にとってはステーブルコイン規制やCBDCの設計をめぐる議論が今後さらに加速することを示唆する内容といえます。

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記事ソース:IMF

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