アンソロピック社の新AIモデル「Mythos」に仮想通貨大手が殺到
Crypto Times 編集部

引用元: jackpress / Shutterstock.com
米AI企業Anthropicが開発した未公開モデル「Claude Mythos Preview」のアクセス権を巡り、仮想通貨業界の大手取引所が動き出してる模様です。
米テックメディアThe Informationが報じたところによると、コインベースとバイナンスが自社の防御力強化のため、同モデルへのアクセス獲得で競い合っているといいます。
Anthropic、重要インフラ防衛へ「Project Glasswing」発表
Anthropicは4月8日、Amazon、Apple、Google、Microsoft、NVIDIA、JPMorganChase、Ciscoなど業界大手と連携する「Project Glasswing」を発表しました。世界の重要ソフトウェアを防衛するためのイニシアチブで限定パートナーに最先端モデル「Claude Mythos Preview」を提供する取り組みです。
Introducing Project Glasswing: an urgent initiative to help secure the world’s most critical software.
It’s powered by our newest frontier model, Claude Mythos Preview, which can find software vulnerabilities better than all but the most skilled humans.https://t.co/NQ7IfEtYk7
— Anthropic (@AnthropicAI) April 7, 2026
同社によるとMythos (Preview) は過去数週間のうちに、主要なすべてのOSおよびWebブラウザにおいて数千件の高深刻度ゼロデイ脆弱性(開発者が存在を把握していないセキュリティ欠陥)を発見したとされます。なかには数十年にわたり世界中のエンジニアや自動検査ツールが見抜けなかった欠陥も含まれており、Mythosはそれらをほぼ人間の介入なしで自律的に発見したとされています。
この事実が意味するところは重く、世界中のセキュリティ業界に衝撃が走りました。なぜなら、これは国家安全保障に直結しうる能力だからです。今回はAnthropicという米国企業が開発し、限定パートナーへの提供に留めるという形で事実上の抑制が効いているものの、仮に同等のモデルが他国、とりわけ敵対的な国家の手から生まれた場合、そのままサイバー攻撃や国家規模のハッキングに転用されるリスクがあります。AIによる脆弱性発見能力は防衛の切り札にも攻撃の凶器にもなり得る両刃の剣なのです。
Anthropicは当面、Mythosを一般公開しない方針を示しており、モデルが持つ危険な能力に対する安全策の開発を優先するとしています。
仮想通貨業界に広がる危機感
こうした能力は仮想通貨業界に強い危機感を抱かせています。
ウォレットやAPI、開発者が使うツール類など、資産の移動に直結する領域の多くは一般的なソフトウェアの上に成り立っているためです。
サイバーセキュリティ企業Cyvers AlertのCEOであるデディ・ラヴィッド氏はDL Newsに対し、「AIがインフラ全体にわたる脆弱性を大規模に特定できるようになれば、仮想通貨市場は最初に影響を受ける市場の一つになる」と警告しました。同氏は潜在的な被害規模を数億ドルから数十億ドル規模と見積もっています。
現時点でMythosへのアクセスは、Project Glasswing参加企業および40以上の重要インフラ提供組織に限定されています。Anthropicは総額1億ドルの利用クレジットをパートナーに配分する方針を示していますが、アクセスできない中小取引所との防御力格差が広がる懸念があります。
Anthropicは正式提供後の価格について入力100万トークンあたり25ドル、出力100万トークンあたり125ドルに設定する予定です。これはOpus 4.6と比較しても高額な水準であり、利用企業の選別が進む可能性もあります。
米ホワイトハウスも省庁向け導入を検討
米政府もこの動向に関与し始めました。Bloombergの情報として米行政管理予算局(OMB)連邦CIOのグレゴリー・バルバッチア氏が各省庁向けにMythosアクセスを開放する準備を進めているといいます。
Anthropic共同創業者のジャック・クラーク氏は月曜、米国防総省との契約紛争後もトランプ政権との協議を継続していることを明らかにしています。米政府の関与はMythosが単なる商用AIモデルではなく、国家安全保障の文脈で扱われる技術として位置付けられつつあることを示唆しています。
攻防両面で新局面へ
サイバー攻撃による世界の経済損失は年間約5000億ドルに上るとされます。Mythosの登場は、防衛側に前例のない武器をもたらす一方で同等の能力が攻撃者側に渡る可能性という二面性を業界に突きつけています。
仮想通貨業界にとってウォレットやブリッジ、スマートコントラクト関連ソフトウェアの監査手法は大きな転換点を迎える可能性があります。コインベースやバイナンスが動いた今、他の取引所やDeFiプロトコルがどう追随するかが次の焦点となりそうです。
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