先日ビットコインキャッシュ(BCH)がハードフォークし仮想通貨界隈では大きな話題となっていましたが、実際どのような経緯でハードフォークに行き着いたのかご存知ですか?今回の記事では、事の発端からハードフォーク後までを解説していきます。

ちなみに、ハードフォークというのは現存の通貨から新たなチェーンを派生させ、そのチェーンに新たなルールを適用させると言うものです。

事の発端はクライアント同士の内輪揉め?

今回のビットコインキャッシュに関する騒動は完結に言うと内輪揉めから話が始まっています

もともとビットコインキャッシュには複数のクライアントというものが存在します。このクライアントはネットワークの開発を行ったり、アップデートに関して議論を行ったりしています。

このクライアント同士が次の大型アップデート(ハードフォーク)の内容に関して揉め始めたところから事態は大きくなっていきました。

Bitcoin ABCの主張

そのうちの一つであるBitcoin ABCというクライアントがソフトウェアのアップデートを発表しました。このアップデートには「オラクルを活用したスマートコントラクトの実装」と「クロスチェーンの実装」という二つの特徴が含まれていました。

オラクルというのは外部から情報をブロックチェーンに取り込む役割を担う存在で、ニュースや天気、為替相場などの情報を取り込んでくれます。

クロスチェーンというのは異なるブロックチェーン上のトークンを直接的に取引できるようにするアップデートになります。例えば、イーサリアムとビットコインは別々のブロックチェーン上に存在しているため、交換するためには取引所を介する必要がありましたが、クロスチェーンが実装されれば、スムーズかつ安価にトークンを交換する事ができます。

Bitcoin SVの主張

一方で別のBCHクライアントのBitcoin SV(Satoshi Vision)はBitcoin ABCのアップデートに強く反発してきました。Bitcoin SVは自称サトシナカモトのクレイグ・スティーブン・ライト氏率いるクライアントです。

ブロックチェーン関連の研究開発を行うnCahinを運営するSV側はサトシナカモトの考え方を中心に運営されており、ABCが発表したハードフォーク内容に反論する形で自分らもハードフォークを行うと主張し始めました。

BSV(Bitcoin SV)のアップデート内容としては、ブロック容量を32MBから128MBへと拡大するという点と以前排除されたビットコインのコードを復活させスクリプトを増やすという点の二点となっています。

ビッグブロックはチェーンの処理能力向上のためのアップデートで、スケーラビリティ問題の解決に繋がるのではないかと考えられています。一方のスクリプトの追加はオリジナルのビットコインに回帰するという目的の元行われるようです。

今回のハードフォークの問題点

散々取り上げられているように、今回のBCHハードフォーク騒動には様々な問題点が存在しています。ここでは、その問題点を詳しく解説していきます。

リプレイプロテクションが未実装だった

リプレイプロテクションはハードフォークによって誕生した二つのブロックチェーンにおいて、それぞれのトランザクションを区別する技術を指します。これはリプレイアタックを防ぐための術でもあります。

リプレイアタックと言うのは、ハードフォーク後にトランザクション情報を丸々コピーし、別のブロックチェーン上で勝手に送金を行うという行為です。しかし、リプレイプロテクションを使えば、ノードにそれぞれのチェーンのトランザクションを区別させる事ができ、リプレイアタックも防げます。

しかし、今回のハードフォークで誕生した二つの通貨は当初、リプレイプロテクションを実装していないと言う事で大きな問題となりました。

現時点では、両者ともにリプレイプロテクションを実装する意向であると報じられており、この問題は解決に向かっていると言えるでしょう。

51%攻撃

クレイグ側はサトシナカモトの思想を強く押すあまりに、これ以上の分裂を避けたいと考えているようです。彼はビットコインキャッシュからBCHABCが分裂するのを防ぐべく、51%攻撃を検討していると報じられていました。

方法としては、BCHSV派がありったけの資金を投入し、ハッシュを獲得する事でBCHABCを潰すというものでした。一部報道ではクレイグ側は保有していたビットコインを売却してでも攻撃を続けると報じられていました。

これにより、BCHABCのチェーンに空のブロックを生成し続け、取引データの承認を行わないという状況が生まれます。

これは、コスト面の問題などから過去には例がありませんが、クレイグ側は最終手段である51%攻撃を使ってまでABCを潰そうとしているという事が伺えます。

ハードフォーク後の状況

記事執筆時点でのマイニング勢力図は上記の図のようになっています。クライアント別で見ると、Bitcoin ABCが約40%ほど、Bitcoin SVが約20%ほどとなっています。

ノード数で見るとこのような感じになります。以前としてABC側がSV側よりも多くのノードを確保している状況になります。

BitmainのCEOであったジハン・ウーの降格など様々なところにまで波及した今回のハードフォーク騒動ですが、SV派Coingeekのカルヴィン・エアー氏は今月20日に問題を収束へと向かわせる発表を行いました。

同発表によると、「SV側はABCのコインをBAB(Bitcoin ABC)、SV側のコインをBSV(Bitcoin SV)として表記される事を受け入れ、ABC陣営と協力して全ての取引所や関連事業者にこのように表記するよう進めていく」としています。

また、「両者はお互いのチェーンを攻撃しないという事に同意し、それぞれを別のプロダクトとして競合とする。双方がBCHの主張を捨て、まっさらな状態からスタートする」とも発表しました。

これに加え、Huobiではリプレイプロテクションを実装したABCを正式なBCHとしてみなし、送金を再開すると発表した事もあり、事態は収束へ向かおうとしています。

今年一番注目されたハードフォーク騒動も収束か

BCHのハードフォーク騒動は2018年で間違いなく最も世間を騒がせた問題となりましたが、両陣営の和解や各取引所での送金再開の動きなど、着々と事態は収束へと向かっています。

今までにもハードフォークで二つのチェーンが生まれるという事はありましたが、今回はあまりにも一つの考えに固執していた事から事態が大きくなってしまったと言えるのではないでしょうか。

コミュニティ主体で運営していく非中央集権型のシステムだからこそ、それぞれの意見に耳を傾けて話を進めていく事が大切だと感じました。

記事ソース: Coin Dance, Coingeek, BTC.com