ホルムズ海峡を渡るのに本当にBTCが使われているのか

ホルムズ海峡を渡るのに本当にBTCが使われているのか

「イランがホルムズ海峡の通過料としてビットコイン(BTC)を要求している」英フィナンシャル・タイムズ(FT)が第一報で発表したこのニュースは業界内で大きな注目を集めました。しかし、米デジタル資産運用会社Galaxy Digitalのリサーチ責任者Alex Thorn氏は報道の中身を技術的に精査し「実際にこれが行われている明確な証拠はない」との見方を示しています。

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FT報道の中身と「数秒以内に支払え」という不自然さ

FTはイランの石油化学組合のスポークスパーソン(政府に近いとされる人物)の発言として、海峡を通過したいタンカーがイラン当局にカーゴ情報や意図を提出し、暫定的に通過が承認された場合、当局からBTCで支払うよう指示が送られると報じました。タンカー側はその支払いを「数秒以内」に完了させる必要があり、これによってプライバシーを維持し、資金の差し押さえを防ぐ、という説明です。

Thorn氏はこの記述に違和感を示しています。BTCの送金は支払いをどれだけ早く完了させるかによって、取引のプライバシーや差し押さえへの強さが変わるような仕組みではありません。「数秒以内」という条件は技術的に意味をなさないため、スポークスパーソンが指していたのはBTCそのものではなく、BTCを高速・少額決済向けに改良した派生システム「ライトニング・ネットワーク」ではないか、と推測しています。



「ライトニング」では金額が大きすぎる

ライトニング・ネットワークはBTCを瞬時に、かつ手数料を抑えて送れるように設計された仕組みで、コーヒー1杯程度の少額決済に向いているとされます。しかしThorn氏はこれでも今回のケースには無理があると指摘します。

ライトニング上で確認されている過去最大の単一送金は約100万ドル相当のBTCです。一方、湾岸を航行するタンカーの積載量は20万バレルから200万バレルの範囲とされ、報道された通過料が「1バレルあたり1ドル」だとすると、1隻あたりの支払いは20万ドルから200万ドルに達します。多くの船で、ライトニングが扱える金額の上限を超えてしまう計算です。

加えてThorn氏はライトニングを誰にも頼らずに自前で運用するのは技術的に複雑で、船長や海運会社が自前のシステムを動かしているとは考えにくいと指摘。専門業者に預ける形で使えばライトニングの売りである「誰にも止められない・追跡されにくい」という性質が失われるため、結局のところ、もし実行されているとしても通常のBTCでの送金になるだろうと整理しています。



追跡企業も「痕跡を確認できず」

決定的なのはブロックチェーン上の資金の流れを追跡する専門企業Chainalysis、TRM Labs、Ellipticのいずれもが、こうした取引が実際に行われていることを示す明確なデータはないと示している点です。Galaxy自身もホルムズ海峡通過料に該当しうる送金パターンの分析を進めていますが現時点で「これが実際に起きていることを示す証拠はほとんどない」というのがThorn氏の結論です。

Thorn氏はスポークスパーソンが「BTC」と言ったものの、実際には暗号資産やブロックチェーン全般を指していた可能性も否定していません。先行するBloombergの報道ではイランはステーブルコイン(米ドルなどに価値を連動させた仮想通貨)や中国元を受け入れているとされていました。

また、Satrini Researchが現地に分析担当者を派遣して行った独自調査ではイラン管轄海域を通過していたのは15隻程度で、中国船は支払いを行っておらず(イランと友好関係にあるため)、その他の船の多くは仮想通貨ではなく、自国政府による「凍結されたイラン資産の解除」によって支払いを行っていたといいます。



「敵対者のための通貨」としての本来の用途

一方でThorn氏はもし本当にBTCが使われているとすれば、それはBTC本来の用途に合致しているとも語っています。

BTCはどの国家にも管理されない、自分自身で完結して保有・送金できる、発行量に上限のあるデジタル通貨であり、適切に扱えば差し押さえも停止もできない、金(ゴールド)と似た性質を持ちながらデジタルで送金できる点が決定的に違う、というわけです。

Thorn氏は、米国がホルムズ海峡で独自の封鎖を開始した可能性に触れた上で、「貴重なBTCを払ってイラン側を通過しても、その直後に米国の封鎖に捕まるなら、わざわざ使う意味は薄い」とも指摘。状況は流動的でBTCがこの場面で実際に使われ続けるかは見通しが立たないと述べています。ホルムズ海峡を巡る情勢そのものがBTC相場に与える影響も、短期と中長期で評価が分かれているのが現状です。

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報道の真偽と、報道が映したもの

Thorn氏の整理を踏まえると、FT報道で語られた「ホルムズ海峡通過にBTC支払い」という構図は技術面でも追跡データの面でも、現時点で裏付けが乏しいというのが実情のようです。それでもこの報道が業界で大きく取り上げられた背景には有事下で「どの国にも管理されない決済手段」が必要とされる文脈そのものが現実味を帯びてきている、という時代の変化があります。

実態がどうであれ、こうした報道が繰り返し出てくること自体がBTCが「敵対者間の決済手段」として真剣に検討されうる存在になってきたことを示している、そんな読み方もできそうです。

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記事ソース:YoutubeFT

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