英上院が警告、ポンド建てステーブルコイン始動前に危機

2026/06/04・

よきょい

英上院が警告、ポンド建てステーブルコイン始動前に危機

英国の上院金融サービス規制委員会は報告書「ステーブルコイン:規制を待ちながら(Stablecoins: waiting for regulation)」を公表し、イングランド銀行(英中央銀行)に対しステーブルコイン規制案の再考を求めました。準備資産の設計をめぐる技術的な議論が、ポンド建てステーブルコイン市場を始動前に成立不能にしかねないかという試金石になりつつあります。

批判の中心は2つの規制案です。1つは個人で2万ポンド、企業で1,000万ポンドとする1コインあたりの保有上限。もう1つは、システム上重要なポンド建てステーブルコイン発行者に対し、裏付け資産の最低40%を無利息のイングランド銀行預金として保有させる要件です。委員会は、これらが発行者の事業として成り立つかを左右しかねないと警告しています。

英中銀の2025年11月の協議文書では、裏付け資産の40%以上を中銀預金、最大60%を短期の英国債とする分割モデルが示されました。中銀は大規模な償還が短期間に発生した場合に即時の流動性を確保できると説明しています。一方で委員会は、より原則ベースで柔軟な手法を採用し英中銀預金にバンクレートでの利息を付与することも再検討すべきだとしています。



英中銀が慎重な背景には、英国の信用システムにおける銀行預金の重要性があります。サラ・ブリーデン副総裁は、英国では家計向け信用の約85%を銀行が担っており、米国の30〜40%程度よりはるかに高いと証言しました。預金が急速にステーブルコインへ移動すれば、家計や企業向けの信用供与が減少しかねないという懸念です。

世界のステーブルコイン市場は2026年時点で3,100億ドル超と推計され、テザーとサークルの2社によるドル建てが圧倒的に優勢とされています。英中銀は2026年半ばに規制案の草案、年末までに最終規則を見込んでおり、保有上限が残るか40%の預金比率が調整されるかが次の焦点になりそうです。

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