ポケカ抽選にブロックチェーンが活用?LINE応募の「0x」の正体とは
よきょい

引用元: Kittyfly / Shutterstock.com
ポケモンカードゲーム30周年記念の拡張パック「30th CELEBRATION」(9月16日発売)をめぐり、TSUTAYAが8月24日からLINE公式アカウント「TSUTAYAトレカ」経由で抽選販売の受付を始めました。応募には友だち登録とモバイルVカードの利用登録が必要で、対象は120店舗とされています。
この応募画面に、「0x」から始まるウォレットアドレスが表示されます。つまり、応募した人ひとりひとりにブロックチェーンのウォレットが自動で作られているということです。トレーディングカードの抽選販売にブロックチェーンが組み込まれている事実は、これまでほとんど注目されてきませんでした。何が起きているのかを整理します。
「0x」が意味すること
0xから始まる42文字の文字列は、イーサリアムと同じ方式、いわゆるEVM互換のブロックチェーンで使われるアドレス形式です。イーサリアム本体のほか、Polygon、そしてLINEが関わるKaiaなどが該当します。
Kaiaは2024年8月、LINEのFinschiaとカカオのKlaytnが統合して誕生したEVM互換チェーンで、LINE上で動くミニアプリ(Mini Dapp)の基盤になっています。
こうしたウォレットは、通常ユーザーが自分で作るものではありません。アプリ側が裏側で自動生成し、秘密鍵の管理も事業者やSDKが担うため、応募者が仮想通貨の知識を持っている必要はありません。国内にも、LINEミニアプリ向けにウォレット生成からNFTの配布・所有確認までを一括提供するSaaSが存在します。
ウォレットがある=抽選が公平、ではない
ここは丁寧に見る必要があります。ウォレットが割り当てられていることと、抽選そのものがブロックチェーン上で公正に行われていることは、同じではありません。用途は大きく3つに分かれます。
1つ目は、応募券や当選権をNFTとして発行し、譲渡や二重応募を制御する使い方。2つ目は、応募や当選の記録をチェーンに残し、あとから書き換えられていないことを示す使い方。3つ目は、単にユーザーを識別するIDとして使うだけの場合で、この場合は公平性への寄与はほとんどありません。
TSUTAYAおよびポケモンから、どのチェーンを使い、何をオンチェーンに記録しているかについての公式な説明は確認できていません。したがって現時点で確実に言えるのは、応募者にEVM互換のウォレットが割り当てられているところまでです。
自分で確かめる方法がある
実はこれ、応募した人自身が確認できます。表示された0xアドレスを、ブロックチェーンの検索サイト、いわゆるエクスプローラーに貼り付ければ、そのアドレスにどのチェーンで、どんな取引やNFTが紐づいているかを見ることができます。
Kaiaなら「Kaiascan」、イーサリアムなら「Etherscan」、Polygonなら「Polygonscan」が代表的です。同じアドレスを複数のエクスプローラーで試し、記録が出てくるチェーンを探す形になります。NFTの発行履歴があれば応募券が実際に発行されていることになり、何も出てこなければ、そのチェーン上では現時点で記録が作られていないことになります。
ただし注意点があります。自分のウォレットアドレスをSNSなどに公開するのは避けてください。アドレスが分かると保有資産を誰でも見ることができるため、詐欺の標的にされる可能性があります。確認は自分の手元だけで行うのが安全です。
公平性の議論はここから始まる
背景には、抽選の公平性が実際に問われた出来事があります。日本トイザらスは、抽選販売の当選者リストが一部店舗で不正に取得・利用される事案を確認したと発表しました。当選していない人物がカードを受け取る事態が生じたことになります。
ポケモンは8月3日から、会員サービス「プレイヤーズクラブ」でマイナンバーカードを使った本人認証を導入しました。デジタル庁の「デジタル認証アプリ」を使い、ポケモンセンターオンラインの一部抽選や公式大会の申し込みで、認証済みアカウントが優遇される仕組みです。
つまり現在の対策の主軸は、応募者が本人かどうかを確かめる方向にあります。そこにブロックチェーンが加わると、記録があとから書き換えられていないことを外部から検証できる余地が生まれます。ただし保証できるのはそこまでで、応募者リストに架空の応募が混ざっていないか、当選本数が正しく設定されているかはチェーンの外側の問題として残ります。
抽選に使う乱数そのものを検証可能にする「検証可能ランダム関数(VRF)」という技術もあり、海外ではトレーディングカードの鑑定品を賞品とする抽選サービスで採用例があります。応募者へのウォレット配布が入り口だとすれば、次の論点は抽選そのものを外部から検証できるかどうかに移っていくことになりそうです。
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