MSCI新基準でメタプラネット指数除外か|2年連続ルールが猶予に
よきょい

指数算出大手のMSCIが8月3日に始めた意見募集が日本の上場企業にも直接関わる論点になっています。財務諸表から「非事業会社」を判定し、主要な株価指数の対象外とする案です。米ストラテジーは8月31日付の書簡でこの案に強く反対しましたが、2026年5月時点のデータを用いた試算では東証上場のメタプラネットも除外対象に含まれています。
判定は2段階です。まず総資産に占める事業用資産の比率が50%を超えるかを見て、超えれば通過します。下回った企業だけが事業用資産集約度、費用集約度、キャッシュ創出力、公正価値変動の影響、外部資本への依存度という5つの指標で審査され、4項目に抵触すると採用不適格となります。
試算ではストラテジー、メタプラネット、英ウラン投資会社イエロー・ケーキの3社が除外となり、シャープリンクなど3社がウォッチリストに載る結果が示されました。
除外までに残された時間
ここで見落とされがちなのが既存の構成銘柄に適用される緩和措置です。すでに指数に入っている企業は、2年連続で審査に不合格とならない限り除外されません。つまり2026年5月時点の試算だけでは除外は発動しない設計になっています。次の判定材料はそれぞれの企業の次期年次開示であり、12月期決算のメタプラネットにとっては2026年12月期の数字が事実上の分岐点になります。
その決算の中身は示唆に富みます。同社が8月13日に発表した2026年12月期中間決算は、売上高49億4400万円、営業利益33億3100万円と本業では黒字でした。一方でビットコインの評価損約1843億円を計上し、中間純損失は約1828億円となっています。営業損益の規模を評価損が桁違いに上回るこの構図こそ、MSCIが「公正価値変動の影響」という指標で測ろうとしているものと重なります。
会計の透明性が判定では不利に働く
ここには一つの逆説があります。日本の会計基準では活発な市場のある仮想通貨は期末に時価評価され、変動が損益計算書に直接現れます。米国でも会計基準の変更により同様の扱いが広がりました。価格変動を隠さず数字にすることは投資家にとって透明性の向上ですが、MSCIの新基準の下ではその変動が大きく可視化されているほど「事業でキャッシュを生んでいない」と判定されやすくなる面があります。
意見募集は9月30日まで、結果は10月16日までに公表され、採用されれば11月の指数見直しで実施される予定です。ストラテジーは中立性という論点で争っていますが、日本の投資家にとって実務的に効くのは別の点です。仮に基準が確定しても2年連続ルールがある以上、即座の除外にはつながりにくいこと。そして本当の分岐点は、来年の決算開示まで持ち越されるということです。10月16日は結論の日ではなく、時計が動き出す日になりそうです。
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