欧州のデジタル通貨主権に危機?ドルステーブルコインが市場を支配

2026/06/02・

よきょい

欧州のデジタル通貨主権に危機?ドルステーブルコインが市場を支配

引用元: Chizhevskaya Ekaterina / Shutterstock.com

米ドルに連動するステーブルコインが世界経済へ広がるなか、欧州中央銀行(ECB)は欧州が民間発行のデジタルドルに依存する事態を防ごうと動いています。

5月下旬、キプロスのニコシアで開かれたEU財務相らの非公式会合では、ユーロ建てステーブルコインがドル建ての競合に後れを取らないための方策が主要な議題となりました。背景には、ユーロ圏の通貨主権をめぐる構造的なギャップがあります。欧州は世界のステーブルコイン取引の38%を占める一方、ユーロ建てトークンは供給全体のわずか0.3%にとどまっているとされています。

ECBは規制緩和に反対の立場を明確にしています。クリスティーヌ・ラガルド総裁は、ユーロ建てステーブルコインの発行が増えれば銀行からの預金流出を招き、ユーロ圏全体の融資能力を低下させ、金融政策の波及を難しくする恐れがあると警告したと伝えられています。



現在流通するステーブルコインの約98%は米ドル建てとされ、米国は2025年7月に成立した「GENIUS法」によって、その優位を制度として固めました。同法は決済用ステーブルコインに対し、質の高いドル建て資産による1対1の裏付けを義務付けたとされています。

ECBは2029年のデジタルユーロ導入を目標に掲げていますが、その間にドル建てステーブルコインがネットワーク効果を一段と深めるとの見方もあります。民間資本がECBの想定を待たずに動くなか、欧州の通貨の将来をめぐる議論は今後さらに熱を帯びそうです。

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