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2019/09/02【完全版】LINE CONOMIとは?使い方・稼ぎ方を徹底紹介!
こちら記事では、メッセンジャーアプリとしておなじみのLINEが提供するトークン×グルメアプリ「CONOMI」の登録方法・使い方・上手な稼ぎ方などを解説しています。 CONOMIを使えばレシートや口コミを登録するだけで約100円のLINEポイントをゲットすることもできるのでお昼ごはん代を少しでも浮かせたい方などは必見です。 それでは早速紹介していきます! LINE CONOMIとは? LINE CONOMIとは、株式会社LINEが手がけるグルメレビューアプリです。 ユーザーはレストランのメニュー表や口コミ、レシートなどを投稿することによってLINEポイントに交換可能なLINE CONOMI coinをゲットすることができます。 また、CONOMIではメニュー毎の口コミを確認することができるので「どこのお店の何が美味しいのか」ということを調べることができます。 マップ検索機能を利用することで口コミでお店を探すこともできます。 似たサービスにみなさんご存知の人気口コミアプリ「食べログ」などがありますが、「CONOMI」と比較すると以下のようになります。 Conomi 食べログ 報酬 ◯ ✕ メニュー毎の口コミ ◯ ◯ マップ検索 ◯ ◯ カテゴリー検索 ◯ ◯ 口コミ数 少ない 多い 今年4月にひっそりとリリースされたのでまだ口コミ数は少ないですが、徐々にその数は増えており今後も増加することでしょう。 登録方法 では、早速実際の登録方法をみてみましょう。 登録はいたってシンプルで「アプリダウンロード」→「LINEログイン」の2ステップで完了となります。 まずは、Android版・iOS版のどちらかでアプリをダウンロードします。 アプリを開くとログイン画面が出てくるので「LINEログイン」をタップします。 LINEアプリが起動すると権限の許可が求められるので問題がなければ「許可する」をタップします。 そのままアプリを開けば登録は完了となります。とっても簡単ですね! ここに注意! LINEの名前やプロフィール画像がそのまま引き継がれてしまうので、変えたい場合はユーザー画面の右上の設定ボタンから「プロフィール」をタップして変更してください。 CONOMIの使い方を紹介! では次に実際のCONOMIの使い方をタブ毎に見ていきましょう。 ホーム 1番左のホームボタンではユーザーが投稿した情報を写真といっしょに確認することができます。 現在地や場所を設定することもできるため、「近くのお店で美味しいものが食べたい!」という時に利用することができます。 マップ検索 左から2番目の「マップ検索」のタブでは、マップで場所を確認しながらお店の情報をチェックすることができます。 行きたいお店のアイコンをタップすれば、他のユーザーが投稿した口コミや評価を確認することができます。 *以下注意点ですので飛ばしていただいても構いません。 このタブでは「設定範囲」と「カテゴリー」に注意しなければいけません。 まずは「設定範囲」について、この画面では先程のホーム画面で設定した場所にあるお店しか表示されないので、自分が調べたい場所にリンクするようにホーム画面を設定する必要があります。 「カテゴリー」に関しては、左上のカテゴリーと評価のシステムがあまり機能していないということに注意する必要があります。 「すべて」のカテゴリーで出てこなかったお店が「和食」に変更すると出てきたりするので、自分が食べたいカテゴリー先に設定する必要があります。 投稿 タブ真ん中の投稿画面では、自分で口コミやメニューを投稿することができます。 自分の口コミを登録するには「レシート撮影から始める方法」と「写真登録から始める方法」の2つの方法があるのでまずは「レシート撮影から始める方法」から紹介します。 -レシート撮影から始める方法- 最初に「レシートではじめる」をタップし、レシートを撮影して自動解析を行います。 CONOMIでは撮影したレシートから「お店の名前」「食べたメニュー」「訪問日時」などを自動で分析してくれるので正しければそのまま「登録」をタップします。 タップするとお店の口コミ記入画面が表示されるので、お店の雰囲気などの全体的な感想を書きます。(載せる画像はお店の外観などがオススメです。) 次にメニューの口コミを記入します。鉛筆マークをタップすると記入画面が表示されるので実際に食べたメニューの感想を書きます。(ここで載せる画像は食べたメニューの写真です。) 食べたメニューが複数ある場合は先程と同じように鉛筆マークをタップして、口コミや写真を追加していきます。 ここまでの作業だけでも口コミの投稿は可能ですが、さらにお店のメニュー写真を登録すると100円分のLINE CONOMOI coinがもらえるので写真がある場合は忘れずに登録しましょう。 -写真登録から始める方法- レシートを持っておらず写真から口コミを登録したい場合は投稿ボタンから「写真ではじめる」をタップします。 店舗の写真があれば店舗の写真を、なければメニューの写真を自分の写真フォルダから選択します。 写真を選択したら「訪問日」「店名」「お店の感想」を書きます。 3つの項目の選択・書き込みが完了したら「メニューの口コミを追加」をタップします。 メニューの写真を選んで「評価」「メニュー名」「価格」「口コミ」を書いて「登録」をタップします。 メニュー表の写真を撮影していれば「メニュー表を登録」から忘れずに登録しておきましょう。 「お店の口コミ」「メニューの口コミ」「メニュー表の登録(写真があれば)」の登録が完了したら「投稿」ボタンをタップして完了です。 ランキング 右から2つ目の「ランキング」タブでは、LINE CONOMIのユーザーランキングを確認することができます。 このランキングは口コミ投稿時に獲得できるpowerを元に決められており、ランキングに応じてCONOMI coinが報酬としてもらえます。 週間ランキングでtopになれば2000円分、月間ランキングでtopになれば10000円分のCONOMI coinをゲットすることができます。 外食の機会が多い方はランキング報酬を狙ってみるのもありかもしれません。 マイプロフィール 1番右のプロフィールタブの画面では「自分がどんなお店に行ったのか」「自分のお気に入りのお店」などを確認することができます。 自分がよく食べているメニューや、評価の平均などを確認することができるので、こまめに登録している場合自分の食事の傾向を知ることができます。 CONOMIで上手に稼ぐ方法は? 使い方について紹介してきましたが、最後に「CONOMI coinの上手な稼ぎ方」を紹介します。 それはズバリ「まだ誰も登録していないお店のメニュー表を登録する」という方法です。 CONOMIの報酬設定は以下のようになっており、これを見るとメニュー表を登録するのが一番報酬が高いことがわかりますよね。 さらに、現在(記事執筆時)に行われているプロモーションでは、誰も登録していないお店のメニュー表写真を投稿するとpowerやcoinが5倍になります。 外食した際はメニューの写真を撮って口コミと一緒に投稿すると100円分のLINEポイントに交換できるCONOMI coinが手に入るという訳です。 まとめ こちらの記事では、LINEのトークン×グルメレビューアプリ「CONOMI」について紹介してきました。 上手に利用すれば外食1回で100円近くもらうことができるので、昼ごはん代を抑えたい時に利用すれば便利ですよね! 最後まで読んでくださってありがとうございました! ダウンロードはこちら!(iOS/Android)
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2019/08/30Binance(バイナンス)がNEOとモネロ($XMR)を証拠金取引で取り扱い開始
大手暗号資産取引所のBinance(バイナンス)は29日、証拠金市場でNEO($NEO)とモネロ($XMR)の取り扱いを開始したことを発表しました。 今回オープンされる証拠金市場は以下の4種類となっています。 NEO/BTC NEO/USDT XMR/BTC XMR/USDT 同社は、新たな手数料割引制度やリファラル制度なども発表しています。 Binance(バイナンス) レンディングサービスの第一弾が10分で即終了 記事ソース: Binance
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2019/08/26専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【8月26日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 BTCも連日の猛暑にやられたのか、今月に入ってから段々と大きな動きが少なくなってきましたね。出来高も減少傾向にありますが、さすがにテクニカル的にも今回~次回の更新の間あたりには決着がつくのではないでしょうか? ということで今回も引き続き、長期トレンドを左右しうる重要なポイントですから、最後までしっかり分析していきましょう!ぜひ最後までお付き合いくださいね。 それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(長期) まずは、BTC長期チャートから見ていきましょう。 依然、前回同様長期の黄色チャネル(下限)に沿った推移を見せていますね。株や為替などの金融市場も大きく下を向き始めておりますし、このサポートがしっかり機能している間は、無理に下げをとりに行く必要もないでしょう。 そして、日足単位でしっかり機能しているラインが緑チャネル(上限)にあたるレジスタンスライン。接触回数は3回と、黄色チャネル(下限)には劣りますが、こちらについても引き続き要注目ラインだと思われます。 以上2つを踏まえると、日足からは「黄色チャネル(下限)と緑チャネル(上限)による保ち合い相場である」と推測できますね。 ではこれらを前提に、中期チャートを分析してより深く掘り下げていきましょう。 BTCチャート(中期) こちらがBTCの中期チャートになります。 現状、先ほどお話しした保ち合い内で推移しておりますが、より短いスパンで見てみると、このような白レジスタンスが見えますね。そしてその上抜け後、しっかりと上昇している様子も伺えます。 とはいえ、大きな上ひげをつけて戻ってきてしまっているため、「このまま上がるのか?」という疑念が残ります。では、「どこまで上がれば、再度推進波に移行した!」と言い切れるのか?、考察してみました。 まずは白点線(10900ドル)。これは現在の保ち合い形成にあたり、7月頭からずっと意識させられてきたラインです。そしてそれに加え、中期ダブルボトムのネックラインでもあります。ですからまずは、このラインを抜けれるかどうか?に注目すべきでしょう。 そして白点線(10900ドル)を上抜けた場合、次に見るべきは緑チャネル(上限)にあたるレジスタンスライン。これが現状の調整波における天井ラインに当たりますから、これを上抜けてようやく、再度推進波移行の可能性が見えてきます。 個人的には、「この2点を上抜けない限りは比較的下目線」と見ていますが、だからといってSを打ち込むべきではないと考えております。というのも、先ほども軽く触れたように、依然黄色チャネル(下限)がサポートラインとしてしっかり機能しているからです。 そのため、Sを入れるのであれば、この黄色チャネル(下限)下抜けが最低条件ですね。 では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の3通り。 緑チャネル(上限)上抜け ⇒再度推進波へ 保ち合い継続 ⇒やや上優勢 黄色チャネル(下限)下抜け ⇒8000ドルまで視野 大きな目線では黄色チャネル(下限)と緑チャネル(上限)の保ち合い相場ですね。ですから私のようなスイングトレードがメインの方は、この保ち合いブレイクまでは無理して手を出さなくてもよいでしょう。 またその際の保ち合い内強弱の判断材料として、「白点線(10900ドル)」を活用して分析を進めるとよいと思います。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 今回、ドミナンスにあまり大きな変動は見られなかったので、軽くこれまでの流れをおさらいしておきましょう。 今年4月、低迷を続けていたBTCが大きく上昇。これを機にアルト、BTCと仮想通貨市場全体に資金が集まってきました。6月中旬、BTCの更なる上昇気配を受けて、資金がアルトからBTCへと流れました。そしてその後、BTC直近高値(14000ドル)到達を受けて、利益確定を狙ってかUSDTドミナンスが上昇していきました。 それ以降も、BTCドミナンスは節目である70%に向けて上昇を続け、それに対してアルトドミナンスはじわじわと下落していき、現在に至ります。 この状況下から、「BTCが再度推進波に移行し、高値を更新する」と仮定した場合、BTCのレジスタンス上抜けなどを機に、USDTに避難していた資金が再度BTCに戻ってくる可能性が非常に高いです。逆に、BTCが保ち合いをブレイクしたにもかかわらず、USDTドミナンスが低下していない(USDTからBTCに流れていない)場合には、上抜けが騙しになる可能性も視野に入れておいたほうがよいでしょう。 またこのように、時価総額チャートもBTC同様、非常に綺麗な保ち合いを形成しております。余裕があれば、BTCチャートとUSDTドミナンスだけでなく、こちらの時価総額チャートも平行して見ておくことをお勧めします。(上記外部リンクから閲覧可能です) 主要アルトコインの動向 チャート内、アルトとBTCの動きと比較してみていただければ分かると思いますが、アルト市場-BTCの特徴として、アルト市場はBTCが上昇期に入ると停滞推移しやすく、BTCが下落期(or停滞期)に入ると、活発になる傾向があります。 しかし、現状はどうでしょうか。 「BTC価格が下がるわけでもなく、停滞している状況。つまり、アルト売買で利益を出しやすい相場状況。にもかかわらずアルト市場は依然閑散としたまま。」 これは恐らく、それだけ市場参加者が現在のBTCに対して不安やリスクを感じているからこそでしょう。この地合いでアルトに手を出して、BTCが急落してしまったらかなりな深手を負ってしまいますからね。みなさん、それを危惧しているからこそ、アルト出来高薄が続いているのだと思われます。 「見込める利益に対してリスクが大きすぎる」、そんな状況下ですから、一先ずBTCの方向性が定まるまでは、アルトにおける無理な手出しは避けておくのが懸命でしょう。(USDT建てであれば話は別ですが) ということで今回も前回同様、個別アルトの分析、ご紹介は控えさせていただきます。 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 BTCは保ち合い形成中 →どちらに抜けるか要注目 騙しの判断はUSDTドミナンスにて →時価総額チャートもOK アルトは手出し無用 →手を出すなら、USDT建て推奨 個人的には若干安易ではありますが、BTCの動きを最優先に追いながら、保ち合いをブレイクした方向にINしようと考えております。とはいえ、保ち合いを上抜けた場合、BTCがさらにアルトから資金を吸い取って・・・、という可能性はなかなか考えづらいです。そのため、保ち合いを上抜けた場合には、BTCロングだけでなく、比較的ドル建てアルトにも割合を裂いて動かしていこうと考えています。 そういえば最近、チラホラと仮想通貨に関するユニークなファンダが出てくるようになりましたね。Tポイントでビットコインが購入可能になる話だったり、コインチェックがIEO事業を検討している話であったり・・・。 これは仮想通貨だけでなく、為替にもいえることですが、今回の保ち合いのようなテクニカル的重要ポイントでは、何かしらのファンダメンタルが絡んでくることが多いように思います。ですから、ここから保ち合いのブレイクまでは入念なファンダチェックをお勧めします。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/08/26仮想通貨対応デビットカード/プリペイドカード比較、最もおすすめのカードは?
昨年はクレジットカードを使っての仮想通貨購入が禁止される傾向にありましたが、今年に入ってからは一転してKuCoinやBinanceなど大手仮想通貨取引所でクレジットカード決済の導入が進められています。そして、その流れと同時に仮想通貨を使って決済ができるデビット/プリペイドカードも増えつつある事をご存知でしょうか? これらのカードを使って仮想通貨で決済を行う事で、仮想通貨の利便性がさらに向上し、普及にも繋がると期待されています。今回の記事では、複数存在する仮想通貨が使えるデビット/プリペイドカード比較しながら紹介していきます。 仮想通貨決済はプリペイドカードとデビットカードが主流 仮想通貨を用いて決済を行うカードはほぼ全てがプリペイドもしくはデビットカードとなっています。クレジットカードのように使った分の請求が月末に届くというタイプのカードをお探しの場合は普通のクレジットカードを発行した方が良いといえるでしょう。 プリペイドカードは商品やサービスを購入する前に、任意の金額をカードにチャージして使うという仕組みになっています。交通系ICカードのSuicaのようなイメージです。 一方デビットカードでは決済時に口座から即時引き落としが行われます。口座に残高があればチャージや限度額を気にせずに利用できる点が特徴となっています。 また、海外の仮想通貨対応カードの多くは発行時にKYC(身分証明)やAML(マネーロンダリング対策)を行う必要があります。 仮想通貨対応デビット/プリペイドカードのメリット 仮想通貨決済に対応したデビットおよびプリペイドカードはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、3つのメリットを紹介します。 仮想通貨決済非対応でも決済が可能 仮想通貨対応デビット/プリペイドカードの最大のメリットは、仮想通貨決済に対応していない店舗でもクレジット決済に対応していれば、仮想通貨を使って決済ができるという点にあると言えます。 最近では仮想通貨決済に対応したお店がじわじわと増えてきてはいますが、全体としてはまだまだ普及していない状況にあります。 しかし、仮想通貨に対応したデビットカードであれば、お店側が仮想通貨決済に対応していなくても一般的なデビットカードと同じように決済が行えます。 仮想通貨を換金する必要がない これはプリペイドタイプのカードには当てはまらないものもありますが、デビットカードであれば仮想通貨をわざわざ法定通貨に換金して決済する必要はありません。 仮想通貨を口座に保有しておき、決済の際に自動で必要な額の仮想通貨が法定通貨に換金されるため、簡単に使う事ができます。 また、仮想通貨の価格が上がった時だけ仮想通貨対応カードで買い物をし、低迷している時はクレジットカードで買い物をするという事ができるのもメリットの一つです。 発行が簡単 これは仮想通貨対応のカードに限った話ではありませんが、デビット/プリペイドカードはクレジットカードに比べて簡単に発行できます。 クレジットカードでは発行の際に審査が行われます。学生であったり、未成年だったりするとこの時点で弾かれてしまって発行すらできないという事もあります。 一方でデビット/プリペイドカードは年齢制限も緩いものが多く、発行までのプロセスが簡素化されています。 現状、仮想通貨に対応したデビットカードやプリペイドカードは一部の地域でしか利用できないものもありますが、対象国であれば発行自体は容易にできます。 仮想通貨対応デビット/プリペイドカードのデメリット もちろん、仮想通貨対応デビット/プリペイドカードにはデメリットも存在します。これらのデメリットを踏まえた上で発行を検討するのが賢明だと言えるでしょう。 使えない店舗も存在 通常、デビットカードはクレジットカードと同じようにVisaやMastercardといったブランドが割り振られており、これらのブランドに対応しているお店であれば使用する事ができます。 しかし、中にはガソリンスタンドや携帯料金の支払いなど、デビットカードを使えないというケースも存在します。また、個人情報が必要となる宿泊施設での利用もできない場合があるようです。 VisaとMastercardが暗号資産カード発行業者の規制体制を強化 クレジットカードのような付帯特典が少ない クレジットカードには様々な種類が存在し、それぞれのカードには付帯特典が付いています。付帯特典はショッピング保険や海外旅行保険などもしもの時に役立つものから、空港ラウンジが使える権利やコンシェルジュサービスが付いてくるラグジュアリーなものもあります。 しかし、デビット/プリペイドカードはこれらの特典があまり充実していないというのが現状です。カード会社からしても、クレジットカードの方がより手数料収入が得られるため、これ以上の特典をつけるのは難しいと思われます。 資産価値が安定しない これは仮想通貨を保有しているだけの場合でも同じ事が言えますが、仮想通貨市場は価格変動が大きいため、資産価値としては安定しません。 仮想通貨プリペイドカードに10万円分のビットコインをチャージしたのに決済時には8万円分に下がっていたという事もありえます。しかし、この逆で資産価値が上がるという事もあるのでメリットにもなり得ます。 クレジットカードに比べて選択肢が少ない クレジットカードを発行している会社は世の中に数多く存在します。それぞれのクレジットカードには付帯保険やポイント還元、コンシェルジュサービスなど様々な特典が付いています。 一方、デビットカードやプリペイドカードは発行している企業が少なく、選択肢があまり多くはありません。さらに、仮想通貨対応のデビット/プリペイドカードとなると、数が非常に限られてきます。 海外で発行されているカードの中には特定の国向けにしか発行していないものもあり、日本では利用できないカードが複数存在します。 後ほど紹介しますが、日本の仮想通貨対応デビット/プリペイドカードはわずか2種類しか存在しません。今後増えていく事が予想されますが、現時点では選択肢が限られているという状況になっています。 仮想通貨決済に税金はかかるの? 日本国内に住んでいるみなさんが気になるのは、利用した際に税金はかかるのかというところでしょう。 仮想通貨は所持しているだけでは、いくら価格が上下したとしても税金はかかりません。 そのため、当該カードで所得税の雑所得として課税されるのは、法定通貨に交換して利益が確定した時点となります。 仮想通貨を使って商品やサービスが購入できるカードと聞くと、税金がかからないように聞こえるかもしれませんが、プリペイドカードであれば入金時、デビットカードであれば決済時に税金が発生します。 国内のデビット/プリペイドカード ここで紹介するのは国内で発行されているデビットおよびプリペイドカードになります。国内で使用するのであれば海外発行のカードよりも、こちらのカードを選んだ方が無難だと言えるでしょう。 マネパカード(仮想通貨の入金一時停止中) 発行手数料 無料 年会費 無料 月間チャージ上限 200万円 ブランド Mastercard マネパカードは仮想通貨取引所のZaifとFX事業を手がけるマネーパートナーズが提携して発行している仮想通貨プリペイドカードです。 マネパカードの大きな特徴としては、入会金や年会費、発行手数料、チャージ手数料、決済手数料などが全て無料だという点でしょう。 また、FX業者らしく米ドル、豪ドル、英ポンド、ユーロ、香港ドルの5種類の通貨に対応しています。これらの通貨を使って決済する際も他の海外専用プリペイドカードに比べて低い手数料で決済する事ができます。 しかし、2018年4月6日を持ってZaifからの仮想通貨チャージは一時停止されており、現在は仮想通貨に対応していません。再開の目処は未定となっています。 マネパカードは15歳から発行が可能となっています。 マネパカード バンドルカード(Vandle Card) 発行手数料 無料(バーチャル)、300円(リアル)、600円(リアル+) 年会費 無料 月間チャージ上限 12万円(バーチャル、リアル)、200万円(リアル+) ブランド Visa バンドルカードにはバーチャル(カードなし)、リアル(カードあり)、リアル+(カードあり)の三種類のグレードが用意されています。 バーチャルはアプリをインストールしてアカウントを登録するだけで発行されるのに対して、リアル+は別の発行手続きを行う必要があります。 その代わり、リアル+では国内外のVisa加盟店(実店舗含む)にて使用する事ができます。 バンドルカードでは、ビットコイン($BTC)を用いてチャージができます。アプリのチャージ画面からビットコインを選択し、bitFlyerアプリ、もしくは他のウォレットアプリを開いて送金を行う事でチャージが完了します。 また、バンドルカードにはbitFlyerデザインのカードやアカデミックパスカードといった他のグレードも用意されています。 バンドルカード 海外の仮想通貨デビット/プリペイドカード 海外で発行されている仮想通貨対応カードは種類が豊富に用意されています。また、BTC以外でチャージができるものも存在します。ここでは、それぞれのカードの特徴を紹介していきます。 TenX 発行手数料 15ドル 年会費 無料 1日の限度額 なし ブランド Visa TenXは現時点ではシンガポール、オーストラリア、ニュージーランド在住のユーザーにのみ発行されています。 TenXのCPOが2019年に日本に進出予定と公言しているため、日本でも近い将来発行できるようになることが考えられます。 TenXはプリペイド型ではなく、ウォレット連動型のカードとなっているため、チャージの必要はありません。ウォレットにビットコイン($BTC)、イーサリアム($ETH) またはライトコイン($LTC)を入金しておけば、決済時に必要な分のトークンが引き落とされます。 また、TenXでは使用金額の0.1%がPAYトークンというユーティリティトークンによって配布される点が特徴的となっています。 TenX wirex card 発行手数料 無料 年会費 18ドル 1日の限度額 1万ドル ブランド Visa wirexは発行枚数が非常に多く、世界100ヶ国以上で利用されているウォレット連動型カードになります。対応通貨はビットコイン($BTC)、ライトコイン($LTC)、イーサリアム($ETH)、ウェーブス($WAVES)、リップル($XRP)と豊富に用意されています。 また、法定通貨も英ポンド、ユーロ、米ドルの三種類に対応しており、非常に使い勝手の良いカードだと言えるでしょう。 さらに、使用した金額の0.5%がビットコインで還元される点も魅力的となっています。 wirexは2017年10月に法規制の関係で国内でのサービスを停止しています。しかし、同年12月にはSBIグループとアジア地域を事業対象にした合弁会社を設立しており、日本でのサービス再開が期待されています。 Wirex xapo(サービス停止中) 発行手数料 20ドル 年会費 12ドル 1日の限度額 2万ドル ブランド Visa xapoはプリペイド型のビットコイン対応カードですが、発行会社のWave Crest Holdingsが2018年1月にVisaから資格を取り消された事を受けてサービスの提供を一時停止しています。 コールドウォレットの採用や複数の秘密鍵などセキュリティに特化しており、軍用レベルのセキュリティとまで呼ばれていたとされています。 再開の目処は現時点では未定となっていますが、他の方法でサービスの再開を模索しているようで今後に期待したいところです。 xapo Shift Card(2019年4月でサービス終了) 発行手数料 20ドル 年会費 無料 1日の限度額 1,000ドル ブランド Visa Shit Cardは大手仮想通貨取引所のCoinbaseと連携しているビットコインデビットカードです。こちらも残念ながら、2019年4月を持ってサービスの提供を一時停止する事を発表しています。 現在ウェブサイトなし MCO Visa Card(crypto.com) 発行手数料 無料(Midnight Blue)、50MCO(Ruby Steel)、500MCO(Jade Green, Royal Indigo)、5,000MCO(Icy White, Frosted Rose Gold)、50,000MCO(Obsidian Black) 年会費 無料 1週間の限度額 10,000ドル(Obsidian Black, Icy White, Frosted Rose Gold)、5,000ドル(Jade Green, Royal Indigo)、1,500ドル(Ruby Steel) ブランド Visa MCO Visaデビットカードは様々な面においてかなりのこだわりを持っています。まず、カードの種類は5種類用意されています。 最上位の「Obsidian Black(オブシディアンブラック)」というカードに至っては、発行するのに50,000MCO(記事執筆時点で1,500万円相当)の保有が必要な上に、トークンを6ヶ月以上保有していなければ行けません。 その分、サービスも充実しており、キャッシュバックが5%、SpotifyとNetflixが無料、ExpediaとAirbnbが10%オフ、空港ラウンジサービス、海外旅行保険などが付帯します。 上記のサービスだけでも十分に聞こえますが、極め付けはMCO Privateと呼ばれる専属のコンシェルジュサービスです。 クレジットカードのコンシェルジュサービスは数多存在しますが、MCOでは資産保管に関するアドバイス、OTC取引のアシスト、仮想通貨関連のイベントへの招待、競争率の高い投資機会への優先的な案内など仮想通貨投資家にとっては非常に魅力的なサービスとなっています。 これらの特典の多くはIcy WhiteやJade Green、Royal Indigoでも使えるので現実的かつハイクラスな仮想通貨対応カードをお探しの方はMCOカードを発行するのも一つの手かもしれません。 MCO Card UQUID CARD 発行手数料 16.99ドル 年会費 12ドル 1日の限度額 150ドル(KYCレベル1)、なし(KYCレベル2) ブランド Visa UQUIDカードはプリペイド型のデビットカードとなっています。 ビットコインをはじめとした78種類の仮想通貨、米ドル、ユーロ、英ポンドに対応している使い勝手の良いカードです。 UQUIDカード Bitpay Card 発行手数料 9.95ドル 年会費 無料 1日の限度額 10,000ドル ブランド Visa Bitpayデビットカードは仮想通貨決済大手が発行するプリペイド型のカードです。米国で利用できるビットコインデビットカードとしては初めてのカードであり、多くのユーザーから人気を集めています。 Bitpay Bitwala Visa Debit Card 発行手数料 2ユーロ 年会費 12ユーロ 1日の限度額 最高5,000ユーロ ブランド Visa Bitwalaのデビットカードは44種類の仮想通貨および20種類の法定通貨に対応している、仮想通貨対応カードの中で最も使い勝手の良いカードの一つだと言えるでしょう。 手数料も他のカードに比べて比較的安いため、気軽に発行できる点もメリットです。 しかし、公式ウェブサイトに掲載されている情報が少なく、カードに関する詳細がわかりづらい点がマイナスとなっています。 Bitwala Cryptopay Debit Card 発行手数料 15ドル 年会費 12ドル 1日の限度額 なし ブランド Visa Cryptopayが発行するプリペイドデビットカードには英国およびヨーロッパ向け、シンガポール向け、ロシア向けの3種類のカードが存在します。それぞれのカードでは対応している法定通貨の種類に違いがあります。 対応している仮想通貨はビットコイン($BTC)、ライトコイン($LTC)、リップル($XRP)、イーサリアム($ETH)の4種類となっています。 Cryptopay Debit Card SpectroCoin Prepaid Card 発行手数料 50ドル 年会費 12ドル 1日の限度額 なし ブランド Visa Bnakera($BNK)というプロジェクトを展開するSpectrocoinが発行するプリペイドカードは同社の提供するウォレットと連動したカードになっており、即時に入金することができます。 法定通貨はユーロと米ドルの二種類に対応しています。 SpectroCoin Prepaid Card Coinbase Card 発行手数料 4.95ポンド 年会費 12ドル 1日の限度額 1万ポンド ブランド Visa ある種の大本命と言えるのがこのCoinbase Cardでしょう。 Coinbase CardはCoinbaseが発行するデビットカードで、対象はBTC,ETH,LTCのみとなっています。 また、デビットカードはPINやチップを備えており他のデビットカードと同じように使えるため、VISA加盟店での決済やATMでの現金引き出しに利用が可能です。 Coinbase Cardは決済が行われる際にユーザーの仮想通貨資産を英ポンドへと変換し支払いを行います。最初はイギリスのみで順次、ヨーロッパ圏で利用が可能になります。 Coinbase CardがApple PayとGoogle Payに対応、暗号資産での支払いが可能に Coinbase Card まとめ 現状海外の仮想通貨デビット/プリペイドカードの多くは日本国内では使用できないという状況になっています。その理由としては、仮想通貨対応カードを複数発行しているイギリスのWaveCrest社がVisaの認証厳格化の影響を受け、ライセンスが取り消されたためです。 しかし、中にはWaveCrest社以外によって発行されているカードもあります。今後日本での展開を明言しているものもあるので、これから選択肢は増えていくと予想されます。 また、仮想通貨対応クレジットカードの発行を計画している企業も存在しており、今後仮想通貨対応カードの普及が進んでいくと見られています。 現状仮想通貨対応カードには問題点や改善点が複数あるため、これらの点をどのように解決していくかが課題となってくるでしょう。
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2019/08/20ビットコイン先物のBakkt(バックト)が世界中で注目される理由とは
インターコンチネンタル取引所(ICE)傘下の暗号資産取引業者「Bakkt (バックト)」が、待望の「現物引渡しビットコイン先物」を今年9月23日にローンチすることを発表しました。 https://twitter.com/Bakkt/status/1162381503982112769 BTC価格はこの発表後に5%ほど上昇しており、Bakktへの期待が市場にも表れているとも捉えられます。加えて、BakktのBTC先物商品は登場後もビットコイン市場に好影響を与えるとする予測が多く立てられています。 大型取引所の暗号資産市場参入であれば、シカゴマーカンタイル取引所(CME)がすでにビットコイン先物をリリースしているわけですが、なぜBakktだけがここまで特別に注目されているのでしょうか? 本記事では、Bakktの成り立ちと、ローンチを控える現物引渡しBTC先物の仕組みをわかりやすく徹底的に解説し、これらが大きな注目を浴びている本当の理由を考察していきます。 スターバックスやマイクロソフトとも提携するBakktとは一体何者なのか Bakkt(バックト)は暗号資産カストディ業務への参入と現物引渡し型のビットコイン先物の開発に取り組む企業で、昨年10月にプロジェクトを正式発表しました。 同社は「デジタル資産に透明性と信頼性をもたらす」ことをミッションに掲げています。 暗号資産市場は、価格形成メカニズムの不安定さ(取引所間の価格乖離や市場のボラティリティ)や、セキュリティの弱さ・規制遵守の曖昧さなどといったカウンターパーティーリスクの高さから、機関投資家が未だ手をつけにくいものとなっています。 そこでBakktは、先物商品に基いてデジタル資産の価格形成を達成し、法規制に遵守したカストディ業務とAML・KYC(対資金洗浄策・本人確認)を徹底することで、機関投資家の参入促進を目指しています。 BakktのBTCウェアハウジングは、比較的少額を管理するホットウォレットと、残額を管理するコールドウォレットに分けられています。 ホットウォレットはFIPS 140–2 level 3と呼ばれる秘密鍵生成・管理モジュールを採用しており、秘密鍵にアクセスするには複数人の認証が必ず要るようになっています。 コールドウォレットは銀行グレードの金庫に保管され、ホットウォレット同様、アクセスには複数の鍵を同時に使用する必要がある設計になっています。 また、両ウォレットとも保管地には24時間体制の警備まで付いています。暗号資産取引所のハッキングが日々騒がれる中、Bakktはセキュリティを徹底することで機関投資家の不信感を払拭しようとしています。 Bakktに関連する企業はとにかくネームバリューがある 同社の親会社であるインターコンチネンタル取引所・通称「ICE」は、世界最大の証券取引所「ニューヨーク証券取引所(NYSE)」を運営する大企業です。 これだけに止まらず、Bakktはスターバックスとマイクロソフトというメガ企業2社とも提携を結んでおり、そのネームバリューだけでも大きな注目を集めることとなりました。 スターバックス社のプレスリリースによると、マイクロソフトはBakktへクラウドサービスの提供を行うことになっています。 一方スターバックス社自体は、「消費者がデジタル資産を米ドルに両替してスターバックスで使用できる」アプリケーションの開発に重要な役割を担っていくとしています。 また、マイクロソフトがベンチャーキャピタル部門からBakktへ出資を行うことも明らかになっています。 その他にも、Fortress Investment Group, Eagle Seven, Galaxy Digital, Horizons Ventures, Alan Howard, Pantera Capital, Protocol Ventures, Susquehanna International GroupなどのファンドがBakktに出資していることもわかっています。 世界中から注目が集まる「現物引渡しビットコイン先物」 Bakktが9月23日にローンチを予定しているプロダクトは機関投資家向け「現物引渡しビットコイン先物」です。 まず、先物契約とは「将来の売買について現時点で約束をする」契約のことです。ビットコイン先物であれば、「10月1日に1BTCを10000ドルで買う」などといった例が挙げられます。また、売買する商品のことを「現物」と呼びます。 契約が満期に達すると、契約に基づいたクリアリング(代金と現物のやり取り)が行われますが、多くの先物契約は、現物を受け取る代わりに相当額の現金を受け取る「現金決済型 (Cash settled)」となっています。 例えば、投資利益目的で金属先物を取引するトレーダーは、実際に現物を入手することには興味がありません。したがって、こういう場合は現金決済型の方が便利なわけです。 冒頭で紹介したシカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物は、この現金決済型を採用しています。一方、Bakktがリリースするビットコイン先物は「現物引渡し型 (Physically delivered)」です。 なぜ、現物引渡しにこだわるのか? 現物引渡し型ということは、決められた日時にBTCを買う側も売る側も、契約に基づいて満期に取引する分のBTCを実際に受取り・引渡しをしなければならないということです。 言い換えれば、Bakktが展開するビットコイン先物市場に参加するには、機関投資家はBTCを購入する、あるいはすでに保有している必要があるということになります。 つまり、こういった機関投資家マネーが法規制を徹底遵守した市場に流入することで、価格操作の可能性を極限まで抑え、ビットコインの真の価格形成がもたらされると考えることができます。 またクリプト市場においては、この機関投資家マネー流入がビットコイン市場を安定・活性化し、米SECのビットコインETF承認に際する不安解消に繋がるのではないかという見方があります。 さらに、ビットコインを取り扱う各種業者は、価格変動のリスクを抑えることができる(=ヘッジができる)商品が登場することで、業務上BTCを取り扱いやすくなるというメリットも存在します。 例えば、顧客からBTCの支払いを受ける小売店や、取引所など業務上BTCを買い付ける必要のある業者は、この先物を利用することで、将来購入・売却するBTCのドル価格を前もって固定し、価格変動リスクを小さく抑えることができるようになります。 日本では過去に、暗号資産での決済を受け付ける飲食店なども存在しましたが、2017年末からの市場暴落とともに経営困難に陥りました。 こういったケースも、先物契約で数ヶ月先のBTC売却価格(BTCを日本円に変換するレート)を予め固定しておいたら、価格変動による損失をカバー(ショートヘッジ)できたかもしれません。 Bakktのビットコイン先物は2種類ある Bakktが今回ローンチする先物契約はデイリー(日ごと)とマンスリー(月ごと)の2つがあります。 デイリー先物は満期1~70日でBTCを取引できる契約で、証拠金(マージン)を元にした取引が可能であるとされています。レバレッジ倍率などの詳しい情報は数週間以内にも発表されることになっています。 一方、Bakktのマンスリー先物は月ごとに満期が設定された契約で、最長12ヶ月までのポジションを取ることができるようになっています。 どちらの先物契約も、契約あたりで取引するビットコインの枚数(契約サイズ)は1BTCとなっており、最低10ロットから取引可能となっています。 チーム設立から約1年 BTC先物やカストディアンの競合も現る Bakktは昨年10月にプロジェクトを発表し、何度か計画の延期や変更を行った後、今年7月から一部顧客を対象としたカストディ業務及び先物取引プラットフォームのテスティングを開始しました。 さらに同社は、9月23日にローンチ予定のビットコイン先物契約が米商品先物取引委員会(CFTC)から承認されたことを8月17日の発表で明らかにしました。 これに加え、BakktはすでにNY州金融サービス局(NYDFS)からカストディ業者(Bakkt Trust Company)としても登録されているため、先物契約に伴うBTCのウェアハウジングの準備がとうとう整ってきたことになります。 同社は規制当局からの認可取得を急いだ他にも、価格が大暴落した2018年初頭からビットコインを買い付けるなど、プロダクトローンチを早めるために様々な戦略を取っていたことがわかっています。 BTC先物市場の競合 計画通りに進めば、Bakktはおそらく現物受渡しビットコイン先物を米国で初めてローンチする企業となりますが、同様のプロダクトのローンチを控えている企業は他にもいくつか存在します。 大手ブローカーのTD Amritradeから投資を受けている米国の暗号資産取引事業者「ErisX」は、今年7月にCFTCからDCO認定を受けており、2019年後半に現物受渡しビットコイン先物のローンチを予定しています。 LedgerXは、7月下旬に現物受渡しビットコイン先物のローンチを間近に控えていることを発表し、Bakktの先を越すとして注目を集めましたが、以降CFTCからの通告を経て発表を撤回しました。同社が展開する先物契約は一般投資家も取引可能となる点が特に注目されています。 また、Bakktを含め、これらの先物契約は各取引所が標準を設定する「フューチャーズ契約」ですが、価格や満期を取引者間で決定して取引を行う「フォーワード契約」の提供に取り組むSeed CXやtrueDigitalなどといった企業も存在します。 カストディ業者の競合 ビットコイン先物契約で注目を集めるBakktですが、同社はペイメント事業の展開なども目論んでおり、そのコアとなるカストディ業務にも大きなリソースを割いているものと考えられます。 米国の有名な暗号資産カストディアンにはCoinbase CustodyやBitGo、Fidelity Digital Assetsなどが挙げられます。 8月中旬に香港のカストディアンを買収したCoinbaseは、最大でビットコイン流通量の4%をAUM(管理資産下)に置くことができるとみられています。BitGoも、約20億ドル相当のビットコインを管理していると報道されています。 Fidelity Digital Assetsは今年5月にサービスを開始したばかりですが、親会社のフィデリティ・インベスメンツは世界で5番目に大きいアセットマネージャーです。 先物契約をいち早くローンチし先行者利益を獲得していきたいBakktですが、ペイメントなどの事業にも参入していく上で、同社はこういった大手カストディアンとも対抗していかなければなりません。 カストディ業務の開始 2019/08/29追記: Bakktは、カストディ業務(ウェアハウジング)を2019年9月6日から開始することを発表しました。 BTC先物ローンチ控えるBakkt 9月6日からカストディ業務開始へ - CRYPTO TIMES まとめ − Bakktの今後の展望とは? Bakktは「カストディ」「先物契約」「コンプライアンス」の他に、「ペイメント」にもフォーカスしています。 スターバックスが提携時に発表した「消費者がデジタル資産を米ドルに両替してスターバックスで使用できる」アプリケーションはBakktのペイメントプロダクトの第一弾となる可能性もあります。 Bakktの究極の目標は、年金機関などが暗号資産に投資したり、消費者が暗号資産で商品を購入したりしやすくなるエコシステムを構築することだといいます。 これに伴い同社CEOのKelly Loeffler氏は、2020年までにも一般向けのデジタル資産ペイメントインフラとしての立ち位置確立を目指すと述べています。 6月には、Bakktがペイメントアプリ「Bakkt Pay」の開発に際し、元グーグルのコンサルタントを引き入れたという報道もあります。 以上を踏まえ、現時点では現物受渡しビットコイン先物が予定通りの9月23日にローンチされるかに注目しつつ、ペイメント分野での進展などもチェックしていくべきと考えられます。 現物引渡し型先物の正式ローンチ 2019/09/23追記: Bakktは、現物引渡し型先物を予定通り9月23日にローンチしました。 Bakkt(バックト)が現物引渡し型ビットコイン先物を正式ローンチ 出来高最高値の更新 2019/10/25追記: 界隈の期待とは裏腹に出来高が付いていなかった現物引渡し型先物でしたが、10月23日に過去最高出来高の480万ドル(前日比7倍)を記録しました。 オプション契約ローンチの発表 2019/10/25追記: Bakktは2019年10月24日に、ビットコインのオプション契約を同年12月9日にローンチすると発表しました。 ローンチ予定のマンスリーオプション契約はヨーロピアンスタイル(満期日まで執行不可)で、セトルメントは現金でポジションを閉じるか、または現物(ビットコイン)を受け取るか選ぶことができるようになっています。 NY州金融サービス局の認可を受け、全期間投資家向けのカストディサービスの開始 2019/11/12追記: BakktはBakktが提供するBakkt WarehouseのカストディサービスがNY州金融サービス局の認可を受けたことを発表しました。 今後、世界中の機関投資家がBakktのエンタープライズグレードのサービスを使用して資産を保護することができるようになります。 現金決済によるBitcoin先物事業の承認に向けて、シンガポールの金融庁と協議中 2019/11/13追記: CoinDeskが主催するカンファレンス NY:Investmentにて、Bakktがシンガポール金融庁と現金決済によるBTC先物事業の承認を協議中であることを明かしました。 参考情報: Bakkt Website / Bakkt Blog / Monthly Contract Specifications / Daily Contract Specifications Jake Chervinsky Twitter The Wolf of All Streets Twitter Reuters: NYSE-owner ICE cool with crypto 'winter' as profits climb livemint: NYSE owner announces Bitcoin venture 'Bakkt' with Starbucks, Microsoft CoinDesk: Bakkt Says It’s ‘Cleared to Launch’ Bitcoin Futures Next Month Bloomberg: Eris Exchange to Create Crypto Market Backed by DRW, Virtu Bloomberg: NYSE Owner to Offer Futures Paying Out in Bitcoin Next Month The Block: Bakkt brings on Google payments expert as it builds its consumer app for spending cryptocurrency Starbucks: Intercontinental Exchange Announces Bakkt, a Global Platform and Ecosystem for Digital Assets The Block: Calling Bakkt a ‘crypto exchange’ misses the mark on what they’re actually doing Cointelegraph: Bitcoins for Frappuccino: Will Starbucks’ Crypto Endeavours Pave the Way for Mainstream Adoption?
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2019/08/152016-2019年における $BTC と $GOLD の相関分析を実施!そこから感じた日本メディアへの疑問
どうも、おは養分。CRYPTO TIMES編集部 でトレンド分析の記事を書いているNです。 本日のビットコインの価格下落において、Twitter上のTLでは、BTCとGOLDに相関関係があったんじゃないのか!という声が非常に多くのトレーダーから上がっていました。 そこで、今回の記事では、Bloombergで掲載されていたゴールドとビットコインの相関関係に関しての話題に触れてみようと思います。 このBloombergの記事を取り上げている様々な国内メディアを見たところ、単にBloombergが出したデータの結果のみを翻訳して記事にしているだけのメディアが非常に多く、色々と疑問点を感じたので、改めてデータを元に自分で相関係数を算出しました。 今回利用したデータは2016年1月1日 - 2019年8月8日までのBTC/USD, GOLD/USD の 日程の終値を各データごとに集計。なお、ゴールドの市場は土日は休みなので、ビットコインも同じように土日のデータは利用せずにしています。 今回は単純に相関関係を求めただけなので、下記の数式に各データを入れたものとなります。 BTCとGOLDの相関分析 年ごとの相関関係 この相関分析より、年々、相関係数が上がっていることがわかります。特に直近の結果で見るとゴールドとビットコインは正の相関が強まってきているといえます。 Bloombergのデータと比較すると、相関係数に差異はあるものの、2019年が正の相関が強いことは同じ結果が出ております。 今回、Bloombergが出しているデータを元に、様々な国内のメディアがゴールドとビットコインに強い相関関係がある!と結果だけを論じていました。 しかし、海外の記事を翻訳して速報性だけを重視し、数字の根拠を出していないことに非常に私は違和感を覚えています。 例えば、今回、相関係数が強いと言える話においても、単純にどこかの月で強い相関が出ていると、その年の相関係数もつられて上がってしまうのではないか。などが考えられます。 他にも、今回は日足の終値を利用しているが、短い足(1時間足や4時間足)で相関係数を出してみたら同じような結果になるのか。その方がより詳しいデータが出るのではないか。 など、様々な仮説を立てることができますし、データを元にした記事を書くのであれば、何らかの疑問が生じるのが一般的であるといえます。 続いて、私は2019年だけにフォーカスをして、さらに相関係数を算出してみました。 2019年月ごとの相関関係 今回も日足の終値のデータを利用してみたところ、2月と6月に関しては強い正の相関が見られました。しかし、7月で見ると負の相関が出ています。 これはあくまでも月毎の日足の終値を利用したものなので、より短い足で見ていくなどするとかなり結果は変わってくることが考えられます。 この日足の結果だけを見ると、年ごとに纏めた相関関係だととある月にかなり引っ張られているという印象が見受けられます。 まとめ ただ、Bloombergのデータやそれを翻訳しているだけのメディアの情報を鵜呑みにして、ゴールドとビットコインの価格が相関があると信じて、ポジションを持ってしまうと痛い目を見てしまいます。 本日までに起きていた下落はゴールドと相関関係がないと騒いでる方も見受けられましたが、そもそも相関関係があったのか?というところが本質的な部分かもしれません。 今回はデータを元に単純に相関係数を出しただけですが、他のメディアも翻訳をただ行うのではなく、データを元に分析を行い、記事を出すなど心がけてほしいと思います。 CRYPTO TIMESも今後、私を含めて、データを元にした分析や考察などの記事を出していくことを心がけていくようにします。 それでは、日々の市場分析の記事でまたお会いしましょう
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2019/08/15専業トレーダーえむけんの仮想通貨市場分析!【8月15日】
みなさん、こんにちは!えむけん(@BinaryMkent)です。 前回更新後、BTCだけでなく仮想通貨市場全体が大きく下落しましたね。お盆ということもあり、ゆっくり一息つきたいところですが、なかなかな局面のため、ここで一度現状とそれを踏まえた今後についてしっかり抑えておきましょう! それでは、早速BTCの分析から進めていきましょう。 BTCチャートの分析 BTCチャート(超長期) 今回は長期目線でも非常に重要なポイントですから、まずは週足の分析から行っていこうと思います。 こちらが、現在のBTCチャート(週足)です。 一度、14000ドル周辺まで大きな上ヒゲをつけていますが、11500ドルに終値をつけた後、ダブルトップ成立に向けて綺麗に推移しています。 そして、その際のネックラインは「9500ドル」。ですから、長期的にはこの「9500ドルを下抜け、ダブルトップを成立させるか?」というのが一先ずの注目ポイントでしょう。 BTCチャート(長期) こちらが現在のBTCチャート(日足)になります。 やはり黄色チャネルがしっかり効いてきましたね。その上、黄色チャネル(下限)もしっかりと下抜けてきました。 つい売りたくなってしまうポイントですが、週足のダブルボトムネックライン(9500ドル)周辺ということもあり、焦って売りで入るのは危険です。焦らず9500ドル周辺まで引き付け、常に週足ダブルトップを視野に入れた立ち回りがベストでしょう。 BTCチャート(中期) こちらが現在のBTCチャート(4時間足)になります。 やはり黄色チャネルを下抜けてはいますが、その後の支持帯である9500ドルがネックですね。今回は深堀りしませんが、黄色チャネル下抜け時のS増加量次第では、9500ドルでのリバウンド、そのリバウンドに伴った突っ込みSの撤退(買戻し)の可能性もありえます。 ですから、ここからSを打つのであれば、9500ドル周辺まで引き付けた上で、週足ダブルトップの成立を見守ってからがベストだと思われます。 また、9500ドルを下抜ける展開となった場合には、次は緑チャネル、8250ドルの支持帯でのリバを視野に入れながら押し引きしていきましょう。 では、これらを元に現状から考えられる今後のシナリオ、その考察に移りましょう。 BTCチャートの総評 さて、それではBTCチャートについてまとめていきましょう。今回、考えられうるシナリオは以下の2通り。 週足ダブルトップ非成立へ ⇒再度緑チャネル上限へ 週足ダブルトップ成立へ ⇒緑チャネル下限へ 長期足に重きを置くと、高値圏というのもあり、ダブルトップ成立へと向かうのが自然な流れですね。とはいえ、直近の売り出来高急増もあり、リバ発生となった場合にはそれなりに大きく上昇する可能性もあります。そのため焦りすぎず、しっかりと長期足を踏まえた上でのトレードをお勧めします。 では次に、ドミナンス分析を進めていきましょう。 ドミナンス分析 ドミナンスチャートに関しては、「Trading View」を参考することにしております。(外部リンク:https://jp.tradingview.com/markets/cryptocurrencies/global-charts/) 節目であったBTCドミナンス70%を一時更新したものの、BTCの下落に伴い、現在69%前後まで下落してきていますね。 BTCドミナンスだけを見ると、71%→69%の下落とそこまで大きな下落でないため、特に問題ないようにも見えますが、このように市場全体の時価総額は大きく下落しております。 ですから、「ドミナンスがそこまで下がっていない」というよりも、「それぞれの通貨による占有率(ドミナンス)に大きな変動はないが、全体的に仮想通貨市場から資金が抜けてきている」と考えるべきでしょう。 それでは、少し拡大して見てみましょう。 一部アルトコインは、BTCの下げを受けてドミナンス上昇となりましたが、それよりも注目すべきは「USDT(Tether)ドミナンス」ですね。 USDT(Tether)は、米ドルと連動する通貨(ステーブルコイン)という性質上、仮想通貨売買における差益が発生した際、それを確定する際の手段として活用されます。つまり、USDTドミナンスの上昇というのは、「市場からの一時撤退(利益確定)」を意味するわけです。 今回で言えば、ここまでBTC価格はぐんぐん上昇してきました。その上昇で利益を得たトレーダーらは当然、「BTC価格が下がる前に売り抜けたい、利益を確定させたい」と考えますよね。となれば、BTCからステーブルコインであるUSDTへと資金が流れていきます。 このように多くの場合、USDTドミナンスの上昇は市場のリスクオフ(利益確定フェーズ)を意味します。そして今回の場合、BTCドミナンス下落を受け、主要アルトよりもUSDTドミナンスの方が大きく上昇している点も踏まえると、「市場はリスク回避ムードへと傾きつつある」ということが分かりますね。 主要アルトコインの動向 黄色点線のBTC反転下落以降、一部アルトは上昇しておりますが、ドミナンス推移を踏まえて見てみると、特に資金が流れているような形跡もありませんね。 先ほどお話ししたように、USDTドミナンスの急上昇(リスク回避ムード)もありますし、ここからアルトで差益を取りにいくのはかなり厳しいでしょう。 もちろん、ドル建てアルトのリバ取りであれば、ある程度利益を出すことも可能ですが、「無理して手を出すような地合いではない」というのが正直なところです。(今回はアルトコイン分析については控えさせていただきます。) 総評(まとめ) さて、それでは最後にまとめに入りましょう。 週足ダブルトップ(9500ドル)に注目 →成立(緑チャネル、8250ドルに注目) →非成立(突っ込みSを焼く展開か?) USDTドミナンス急上昇 →リスク回避ムードへ転換か? 大体こんな感じでしょうか。 ここ最近までは、株や為替のリスクオフに対する退避先としてBTCに資金が流れていたように見えましたが、現在はどちらもリスクオフムードの色が強く、全体的に資金が抜けてきていますね。 「抜けた資金がどこに流れるのか?」といった状況ではありますが、米国債市場における逆イールド現象など、世界景気の先行きに対する不安要素が露呈した背景もあり、しばらくは株や為替だけでなく、BTCも同様に不安定な動きをしてくるのでは?と見ています。 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 現在、私えむけんが制作した動画教材『7日間でマスター!テクニカル分析とそれを元にしたトレード戦略』、好評販売中です! 今回のような、BTC分析やアルトコイン投資などの立ち回り方についても解説しておりますので、是非ご覧ください!(詳しくはコチラ)
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2019/08/15[Famiee Project 後編] ブロックチェーンを通じて、多くの企業をその変革に巻き込んでいかなくてはいけない – 株式会社ホットリンク 内山 幸樹 , 石渡 広一郎
2019年4月末に2日間にかけて代々木公園で行われた『東京レインボープライド2019』。 当イベントに参加していたブロックチェーン技術を活用して「カップル宣誓書」の発行サービスを体験できるFamiee Projectの前編のインタビューでは開発チームにフォーカスしたインタビューとなりました。 今回の後編記事では、東京レインボープライド2019内でのイベントの模様、そして、Famiee Project発起人である株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんへのインタビューをお届けいたします。 Famiee Project カップル宣誓書発行サービス 今回のFamiee Projectではブロックチェーン技術を活用して「カップル宣誓書」の発行サービスを体験することが可能となっていました。 ブースには発行された『カップル宣誓書』が飾られており、ブロックチェーンに刻まれた『カップル宣誓書』を持ち帰ることができるようになっています。 この発行書に書いてあるURLとパスワードを入力することで、WEB上でもブロックチェーンに刻まれたカップル宣誓書を本人たちで確認することが可能となっていました。 今回は内山さんと川くんにご協力いただき、実際に宣誓書を発行していただきました。 [caption id="attachment_40822" align="aligncenter" width="800"] 発行書に掲載する写真を撮る内山さんと川くん[/caption] 今回発行する証明証の手順はiPadにて写真を撮影、その後に互いの名前と誓いの言葉を入力し、お互いがサインした後にブロックチェーンに書き込まれる仕組みとなっています。 [caption id="attachment_40823" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンで新しい証明証を発行していくことを誓う川くん[/caption] [caption id="attachment_40825" align="aligncenter" width="800"] 互いの誓いと名前が記載された証明書[/caption] [caption id="attachment_40827" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンに刻まれた[/caption] [caption id="attachment_40826" align="aligncenter" width="800"] 発行された証明書、パスワードとQRコードが記載されており、確認ができる[/caption] ブロックチェーンに刻まれた後は、証明書が発行され、発行された証明書に書かれているパスワードとQRコードにアクセスすることでブロックチェーン上に記録されていることが確認ができるような仕組みになっています。 Famiee Project 発起メンバーへのインタビュー LGBTの人たちへの差別をなくす支援活動と、会社として取り組もうとしたブロックチェーンの話が結びついた瞬間 [caption id="attachment_40800" align="aligncenter" width="667"] 左 : 石渡さん , 右 : 内山さん[/caption] -- 今回はインタビューありがとうございます。お二人の自己紹介をお願いします。 石渡 : 石渡と申します、ホットリンクのCEO特別補佐で弁理士の資格を有しています。大学卒業後、弁理士資格の勉強をしながら企業法務などの仕事をしていました。弁理士の資格を取得後、特許事務所で働きその後独立するタイミングでホットリンクの監査役に就き、今年の4月からCEO特別補佐をしています。 ブロックチェーンについては、真新しい技術ということで着目しておりましたが、さらに、ホットリンクでブロックチェーンの勉強会がありまして、それをきっかけにブロックチェーンに関わりを持ち始めました。ブロックチェーンはインターネットに変わる技術やこれからの時代を変えていく可能性のある技術だと思っていますし、「非中央集権」や「分散型」といった観点でも注目しています。 内山:内山といいます。元々、大学院の博士課程のとき(1995年頃)に日本の最初で最初期の検索エンジンを作ったプロジェクトのメンバーでした。それがきっかけで大学時代に検索エンジンベンチャーを作って博士課程を中退して、ITの世界に入りました。その会社はYahoo Japanができて、Googleができて叩きのめされていくわけですが(笑)。 その当時、検索エンジンを作るには人工知能でには無理と言われており、ここのコンテンツは人を感動させる、人間がブックマークした、リンクを貼った、など人間の知恵を社会全体で集めてきて、共有化して人工知能がそのビッグデータを学習して凄い検索エンジンができる。それを人間に介したときに、好きとか嫌いとか人間と人工知能で知識が循環される社会インフラができて、初めてホッとする社会ができるだろう。そんなビジョンを2000年のときに思いつきました。 それでホットリンクを立ち上げました。ホットリンクの社名の由来は、ホッとする(hotto)というところから来ています。ホットリンクはSNSやビッグデータ、AIが社会に広まっていないときに、そういう社会を目指してつくりました。時代よりも早かったこともあり、潰れそうなこともいっぱいありましたが。日本でブログが流行りだした頃に、ブログのポータルサイトを日本で最初期に作りました。 そのときに1995年くらいの検索エンジンを思い出して、当時の検索エンジンはキーワードをいれるとそのキーワードに関する情報がどこにあるか指し示すものでした。ブログやTwitterは一個一個の情報は大して重要ではなく、あるキーワードをいれると、世の中でみんなはどんなことを言っているのか、情報を要約してくれる検索エンジンが必要だとブログが始まったときに気づいて、ブログのテキストマイニング(ブログ分析エンジン)を作り、TwitterがきたときにTwitter分析エンジン、FBがきたときにソーシャル分析エンジンになり、ビッグデータ分析エンジンになり、2013年にマザーズへ上場しました。 今は、世界中のソーシャルメディアのデータ流通ビジネスや、データ分析サービス、そして、分析結果を活用してブームを作りだすためのSNSマーケティングサービス等を、日本・中国・欧米で提供しているホットリンクという会社の代表をやっています。 -- 内山さんはどういう経緯でブロックチェーンと出会ったのでしょうか 内山 :会社の中長期的な成長を見据えた際に、非連続的な成長の種をいくつか撒いておかねばならないと考えて、2018年の頭くらいからブロックチェーンの研究開発を始めました。その流れの中で、東大ブロックチェーン寄付講座を作ったり、ブロックチェーンベンチャーへの投資を初めたりというところです。 -- ありがとうございます。Famieeはいつ頃に立ち上がったプロジェクトでしょうか 内山 : このプロジェクト自体は昨年の暮れぐらいからです。それまではブロックチェーン技術がどういう分野で適応できるかということを考えて、社内勉強会を昨年の5月頃からやっていました。当時はLGBTという話はでていませんでしたね。 実は、ブロックチェーンの事業開発とは全く別に、3年ほど前に、東京レインボープライドの主催者の杉山さんや、世界的なLGBTの活動家の柳沢さんらとの出会いがあって、お二人が参加されているパネルディスカッションに参加したんです。私はそれまで、自分はオープンで、LGBTの人たちに対する偏見や差別をしていない人間と思っていたんです。しかし、実は、無知なまま、そういう考えを持っていることが一番いけなかったことを知ったんです。 [caption id="attachment_40804" align="aligncenter" width="800"] ブロックチェーンに書き込んだ後の完了画面[/caption] どういうことかというと、我々は差別をしていないないと思っても、LGBTの当事者の人たちからすると、普段の何気ない生活の中でたくさんの障害があります。例えば、会社に置き換えて話をすると、社内の誰かが結婚すると、結婚手当をもらったり、育休休暇をとったりしますよね?でも、LGBTの人達は、そんな制度の恩恵を受ける機会がないんです。差別をしていないといいながらも、それを前提とした会社制度にはなっていない。 会社外の例だと、例えば、交通事故にあって緊急手術をしないといけない時は、通常家族の同意がないと手術ができない。しかし、LGBTのカップルの一人が、死にそうな状況でパートナーと一緒に救急車に乗っていても、パートナーの人は手術の同意書にサインできない。既存の制度でいうところの親や兄弟を待たないといけない。このような現状であるにも関わらず、会社のトップとして、当社は差別しない会社だと言っていた自分の無知さ加減にショックをうけ、セッションを聞きながら、私は涙がボロボロでて止まらなくなってしまったんです。 それをきっかけに、LGBTの人達の生きづらさを解消しようという勉強会や活動に参加するようになっていったんです。個人的な活動としてやっていたLGBTの人たちへの差別をなくすための支援活動と、会社としてやっていたブロックチェーンで何ができるんだろうという話が、何かの拍子で、頭の中で結びついたんです。 石渡:当時、ブロックチェーンと相性が良い分野として、不動産の権利流通や、サプライチェーン分野での活用などがあがっていました。ただ、これらの仕組みを実際に変えるのはかなり大変です。ブロックチェーン技術は、社会を大きく変えるポテンシャルはあるが、現実社会にすでに存在する仕組みを入れ替えるためには、技術ではない障害があると思っていました。 内山:アイデアはたくさんでたのですが、自分達の強みが活きるのか?、現実的に世の中を動かせるのか?というところです。ブロックチェーンとの親和性でいうと金融が一番早いような気がしますが、正直、我々は金融の分野はあまりわくわくしませんでした。 スポーツは面白いです。スポーツチームやアスリートとファンとのコミュニティーにトークンエコノミーを適応すると、スポーツチームを応援しようとするファンの熱量がトークンエコノミーへ変わると凄いです。ですので、ブロックチェーン x スポーツは明確に事業としてやっています。 石渡:実際に、3月には、スポーツテック企業にホットリンクとして投資をさせていただいております。 [caption id="attachment_40797" align="aligncenter" width="733"] ホットリンクが出資するスポーツテックのサービスEsporta[/caption] ブロックチェーン技術を用いて社会変革を起こす、多くの企業をその変革に巻き込んでいくことが重要 -- 先程の話に少し戻ります。今後、LGBTの人たちがパートナーシップ証明を持てるようになるために、民間証明書を発行していくとありました。こちらに関して具体的に教えてください。 内山:すでに渋谷区やその他のいくつかの市区町村で、LGBT向けのパートナーシップ証明書というものが発行されています。夫婦と思われる方々に対して、婚姻届けを出せない代わりにパートナーシップ証明書を発行しているんです。これは実は法的効力はありませんが、行政が発行したパートナーシップ証明書をもってきたら、ローンの審査の際、二人の収入を合算して査定しますよという動きや、生命保険の受取人にパートナーを指定できるとか、携帯電話の家族割引をうけられたりとか、飛行機のマイルを家族で共有できたりと、民間企業が、法的な家族ではなくても家族として認めるようになってきています。法律を変えなくても、思いのある民間企業が受け入れてくれたことで、世の中が変わってきているんです。 しかし、ここで問題が出てきます。例えば、渋谷区が発行するパートナーシップ証明書は、渋谷区に住んでいる人しか申請できない。そして、引っ越しをすると無効になる。かつ、引っ越し先の行政が、パートナーシップ証明書を発行していない地域かもしれない。これでは不便ですよね。かといって、まだパートナーシップ制度を導入していない全国の市区町村が導入するまでに何年かかるかわらない。 そこで、我々のような民間が、一部の行政が発行しはじめているパートナーシップ証明書に相当するものを、日本のどこに住んでいる人であっても発行できれば、現状の不便さがもっと解決されるのでは?と思い付きました。更には、夫婦関係に限らず、親子関係に応用できると思っています。今では、卵子提供や精子提供、または代理母の助けを借りて生まれてくる子供も増えてきていますが、現状に法律が追いつかず、親子として認定されない親子がたくさんできてきています。そういう人たちの関係を、民間団体がしっかりと確認し、認め、親子関係証明書を発行し、それを受け入れてくれる民間企業が増えれば、今よりはそういう人たちが生きやすいやすい世の中になるんじゃないかと。 正直、会社の利益になるようなプロジェクトではないですが、この考えに共感してくれるメンバーでやってみようといって始めたのが、今回のプロジェクトのキッカケになります。 石渡 : そうです。そのためには、発行するだけではなく、民間団体が発行したパートナーシップ証明書を受け入れる企業を増やしていくことが大事だと考えておりまして、竹中平蔵先生にもこのお話をしたところ、非常に賛同して頂き、アドバイザーに就任して頂きました。 内山 : やりたいことを実現するには、技術とは別に、こういった民間企業の巻き込みをやっていかなくてはいけない。その両方をやっていくプロジェクトになっています。ブロックチェーンの分野には非常に優秀で想いを持った若者が多くいます。しかし、彼らだけでは社会を巻き込んでいく力はまだまだ弱い部分があります。ブロックチェーンで社会変革を起こすには、若い人たちの技術力に加えて、世の中を巻き込んでいく大人達の力も必要だと思っています。 -- 今回のパートナーシップ証明書を発行する際、ブロックチェーンの技術を使わないといけない理由はどこにあるのか教えて下さい 内山 : 夫婦や家族の関係って、一人の人の生涯に渡って、それを超えて、何代にも渡って続くていくものですよね?だからこそ、何十年・何百年にも渡って、そのデータは安全に保管され、そして、発行された証明書が正しいものである事が検証できるようになっていなければならないと思います。例えば、現在の日本の戸籍は、”国”という、何十年何百年にわたって永続する存在が管理しているからこそ、長く管理できているのです。 それほど重要で、かつ永続性が必要とされるデータを、一民間団体のシステムやデータベースで管理しようするのは、発行者の責任としてありえないと思うんです。しかし、BitcoinやEthereumのようなパブリックなブロックチェーンをデータベースとして活用すれば、ブロックチェーンの仕組みと、世界中のコンピュータパワーを使って、そのシステムとデータを永続させる事ができるようになります。ある意味、発行団体がなくなったとしても、データとシステムは残り続けます。だからこそ、ブロックチェーンなんです。 [caption id="attachment_40801" align="aligncenter" width="800"] ブースで証明書の発行をする内山さん[/caption] -- 今回、Famieeのブースをだしてみての反応などはいかがでしたか? 石渡 : 今回は、あくまでもイベント用の企画として、カップルさんお二人の誓いの言葉をブロックチェーンに永遠に刻んで、その誓いを証拠として、”カップル証明書”というものを発行する企画でした。多くの人が興味を持って、我々のサービスを利用してくれました。ブロックチェーンを知らない方も多く、ブロックチェーンの仕組みをちゃんと説明した上で、カップル関係をブロックチェーンに刻み、証明書を発行しました。 お二人のプライバシーを守るために、お二人の情報は暗号化してブロックチェーンに刻まれ、発行した証明書に書いてあるパスワードを入力することで、お二人の誓いとパートナーとしての証明を確認して頂けるようになっています。今回は、イベント用に企画した簡単な証明書ですが、今後は、行政発行のパートナーシップ証明書に相当する、本人確認等を本格的にする本当のパートナーシップ証明書を発行するようにしていきます。 -- このパートナーシップ証明をブロックチェーンで行う際、難しい点や苦労していることも多いと思います。そこに関して、お聞かせください。 内山 : これらの証明書発行で難しいのは、技術面では、プライバシー保護と検証可能性との両立の仕組みです。LGBTの当事者の方からすると、自分はゲイやレズビアンですと公表するということは、最悪の場合、迫害されて自殺に追い込まれたりすることもありえるリスクがあることです。なので、パートナーシップ証明書を取得するためとはいえ、役所の人や我々のような発行者側にさえ、本当は個人情報や二人の関係を開示したくはないのです。しかし、本人確認をちゃんとせずに発行して、保険金詐欺などが起こっても駄目。 究極的には、我々にもわからない形で、彼らが申請者本人であると確認をし、また、ホントに独身(パートナーがいない)であるということを確認する仕組みが欲しくなります。ブロックチェーンでは、ゼロ知識証明のアルゴリズムとかが活用されたりしますが、そういった問題にまず直面します。 また仮に、ブロックチェーンに、なんらかの二人の情報を書き込む際には、第三者が見たときにわからないように暗号化しなくてはいけません。これらは、本人たちにしかわからないような暗号にしたいけれども、後々、その証明書を提出された民間企業とかから証明書の正当性確認の要請があったときに確認できないといけない。 もう一つは、証明書を発行するのことはできても、それを受け入れてくれる民間企業を巻き込まなくてはいけません。ブロックチェーン技術は、社会変革を起こすポテンシャルはあるが、技術だけだと実際に社会変革は起こせなくて、多くの企業をその変革に巻き込んでいく必要があります。社会的な信用や政治的なパワーがある人がこれを取り組むことで、初めてブロックチェーンで社会変革を起こせるんだと思います。 石渡:あとは現状だとお金の問題も出ています。現状、ボランティアで思いのある人が手伝ってくれていますが、今後ちゃんとした良いものを作っていく、時間をかけて社会を巻き込んでいく、これらのことをしようとするとどうしてもお金の問題は出てきてしまいますね。 [caption id="attachment_40803" align="aligncenter" width="800"] Famieeチーム[/caption] -- 色々と技術的問題や環境的な問題などまで多くのことがあると思います。しかし、社会的に見て非常に重要な問題を解決できるプロジェクトだなと思いました。 内山:ありがとうございます。マイノリティの人たちに対する差別という社会課題を解決するという点で、このプロジェクトはとても意義のあるプロジェクトだと思っています。が、ブロックチェーンによる社会変革という側面からも、重要だと思っています。 今回のこのプロジェクトを通じて、ブロックチェーンを使った社会変革のユースケースを一つ作ってみると、ブロックチェーン技術で社会を動かすためにはどうどういうプロセスだったり要素が必要なのかが見えてくると思っています。今後、ブロックチェーン技術で様々な社会変革を実現していくという意味でも、このプロジェクトは絶対に成功させたいと思っています。 後編の記事では、Famiee Projectの発起人であるお二人へのインタビューをお届けしました。 前後編に分けてのFamiee Projectに関しての特集でしたが、現在のLGBTにおける問題点をブロックチェーンでどうやって解決するか、そして社会変革を起こすためにはどうやって世間を巻き込んでいくか、プライバシーをどうやって守っていくかなど、多くの観点から考えるべきことが多かったと思います。 今回の記事を読んだ方が少しでもLGBTに関しての理解が少しでも深まり、Famiee Projectの今後の動向に関しての興味を持っていただけたら非常に嬉しく思います。 前編 : [Famiee Project 前編] 自分達だけで発行した証明書に価値はない、今後、どれくらい人を巻き込んでいけるか – Staked CEO 渡邉 創太 , withID CEO 川 大揮 インタビュー , 編集 : 新井 進悟 写真撮影 : フジオカ
特集・コラム
2019/08/14SankaNetworkを通じてトークンで多くの人が、ネットワークに参加する社会を作る – HashHub CEO 平野淳也
2019年7月にステーキングプールであるSanka NetworkをローンチしたHashHub。 日本でもステーキングプールを提供する事業者が増えてきている中、HashHubがSanka Networkで狙っていること、そしてCEOである平野さんがブロックチェーンの将来を見据えて色々と語っていただきました。 Sanka Networkとは 株式会社HashHubが運営するステーキングプールです。ユーザーが保有する対象となる通貨をSanka Netowrkへデリゲート(委任)することで、ユーザーの資産を預かることなく、ユーザーは自身のウォレットで資産を管理しながら報酬を得ることができるサービスとなっています。 現在では、下記の3通貨を対象にサービスを開始しています。 COSMOS (ATOM) Tezos (XTZ) IOST Sanka Network ホームページ HashHub CEO 平野氏へのインタビュー HashHubの新規事業としてSanka Networkを立ち上げたキッカケ --HashHubは、コワーキングスペースを事業として行っていますが、新規事業として、Sanka Network いわゆる、Validator Poolを作ろうと思ったのは何がきっかけだったのでしょうか? 実は、HashHub自体はもう既にコワーキングスペースを提供している企業というわけではなく、Lightning Networkや金融機関との実証実験にもいくつか動いています。言ってみればブロックチェーン総合企業という名目でやっています。 コワーキングスペースの売上自体で言うと、既に全体の5%程度であり、今回、目に見えるToC向けのサービスとして出てきたのがSanka Networkということです。 -- Sanka NetworkはHashHubとして、To C向けのプロダクトとしては1個目のプロダクトだと思います。何故、1個目にこのようなプロダクトを出そうと思ったのでしょう。 HashHubはリリースしていないような、裏側でやっているようなこともたくさんあります。 その中で、ToC向けに何かを提供していこうと考えたとき、何からやるのかという点はすごく考えました。その中で、これからのブロックチェーンというのはProof of Stakeが主流になっていくと考えました。 前回の仮想通貨バブルの際、マイニング事業者というのが非常に増えました。殆どは、海外に事業者がいたわけですが、電気代の観点などでいうと、日本国内ではマイニング事業者というのは、なかなか生まれづらかったという前提がありました。 そのため、産業の川上における存在のような事業者が日本国内にもう少しいるべきであると考え、ユーザーが対象の通貨を利用することで、簡単に毎日報酬を得ることができるValidator Poolの提供をということになりました。 最初は報酬を受け取れると言うだけですが、将来的にはダッシュボードを作り、ガバナンスに参加できるみたいなことも考えています。 [caption id="attachment_40750" align="aligncenter" width="800"] SankaNetworkホームページより[/caption] -- ありがとうございます。日本で法人がValidator Poolをやる際、障壁があるのかなと私は考えていました。例えば、CosmosだとNodeの条件に入るためには数千万円のATOMトークンを買う必要があります。 その後、買ったトークンをステークすることで条件が整いますが、法人でこれらをやると、会社の期を跨ぐときに、保有しているトークンを時価計算する必要があり、その際に、資産価値が上がってしまっている場合など、自分たちのステークしているトークンを期が終わる前に売ったりするのかなと考えたことがあります。 これらから、法人でのValidator Pook事業はハードルが高いのかなと思ったのですが、このような障壁やそれ以外の障壁にも対応できるのでしょうか Validator Poolを国内で展開する意味での障壁に関しては、主に3つの論点があると思っています。これから施行されるカストディ規制に当たるか、今お話されたように法人税の面、そして、集団投資スキームに当たるかどうかというところです。 順番に話していきます。まず、カストディ規制の論点で言うと、ユーザーの資産を、我々が預かるということは一切やっていません。ですので、これはカストディ規制には当たりません。カストディ規制では、"ユーザーのために暗号資産を預かる事業"という文言になっています。Sanka Networkでは、秘密鍵はユーザーから一切預からないので、この規制には当てはまりません。 -- これは、ユーザーは自分たちのウォレットを利用してトークンをDelegate(委任)するからということですね。 そうです。そのため、我々のサービス自体はカストディ規制には当たりません。次に、買ったトークンの自己ステーク分の期末の法人税関連がどうなるのか?という話ですが、管理する部分はちゃんと管理します。事業をやっているのは日本の法人でも、自己保有のステーク分は海外の関連会社を利用してというような方法もできますし、色々とやり方があります。 一方で、仮に自分たちで保有していたとして、期末での時価評価にそこまで法人税がかかるのかというと、そこまで影響がないと思っています。自社でトークンを発行していたり、流動性に関係なく、その分のvaluationとかで課税されるみたいな形だと、問題が発生してくると思うのですが今回のステーキング周りのビジネスに限って言うと、我々はそこまで大きな問題ではないと思っています。 因みにですが、現段階では、Cosmosなどの自己保有分に関しては、HashHubとは違う法人で持っており、そちらで管理しています。 そして、集団投資スキームに当たるのかというような観点でも、我々はあくまでもValidator Poolを運営しているという観点なので、集団投資スキームにも当たらないという認識でいます。これら3つの観点から踏まえても、国内でValidator Poolの事業をやるのは問題がないというところです。 [caption id="attachment_40756" align="aligncenter" width="1024"] IOST SankaNetwork 投票画面[/caption] -- ありがとうございます。Sanka Networkではダッシュボードにガバナンス的な機能をということを冒頭で少しお話されていました。リリース初期でできること、将来的に計画していることなどに関して教えてください 初期時点に関していうと、機能としてできることは限られています。最低限ステーキングできて報酬が受け取れるという形です。今後に関して言うと、ユーザーがガバナンスに参加できるような、ガバナンス周りを実装したダッシュボードなども提供できたらと思っています。この背景としてはブロックチェーンにおいて、オンチェーンガバナンスというものが、賛否があれど、将来的に必ず増えていくものだと思っています。 PolkadotやCosmosでもネイティブで実装されていますし、Tezosも同様です。後はCosmos SDKを使っているプロジェクトでも、ウォッチをしていると大体オンチェーンガバナンスを実装しようとしています。 そうなると、トークン設計をしていても、トークンホルダーにガバナンスに参加できる権利を付与するような動きは必然であると思っています。ただ、その一方で、トークンホルダーに求められるリテラシーが大きくなってきますが、これらのガバナンスに参加できるダッシュボードやそれに近いものはありません。 Cosmosの例を上げます。Cosmosでは既にValidatorへの投票が始まっています。我々もこの投票に既に参加しているのですが、一方で私たちのValidator Poolを通じてステーキングしている人は、現在、ガバナンス周りに関しては見ていません。しかし、インターフェースを提供して、我々が、Validator Poolとして、どういう投票をしていくのか、どのような意見をプロトコルに対して行うのかなど、そういう部分に対して干渉できるようにしたいなと思っています。 -- ユーザーもSanka Networkに投票するのだから、委任先がどういうことを行っているかを知る権利はあるということですね。現状、ユーザーがガバナンスに参加できるようなダッシュボードを持っているプロジェクトなどはありますか? Aragonとかは、フレームワークで作っていますし、他にも作っているところはあります。ただ、ユーザーはガバナンスに参加できるとか、ネットワークを作るというのは、面倒だし、別に投票したくないというユーザーも普通にいるわけです。 例えば、ユーザーは10トークンくらい持っていて、その中で毎月5~6個くらい投票案件があったら、面倒くさいですよね。投票するインセンティブというのは、プロトコルとして設計されている場合もあります。殆どは、設計されていないことが多いんですが、仕様としては、設計されているものがいくつか存在します。今後、そういうものがまだまだ出てくると思っています。 で、私が考えているのは、Validator Poolっていう中間者、サードパーティという立場でも、投票するインセンティブやステーキングに参加するインセンティブというのを、外側からもっと付与できるんじゃないかと考えており、今色々とやっています。 -- 私も会社でCosmosでバリデーターに投票したり、IOSTに限ってはノードを建てていたりとするのですが、このインセンティブに関しては色々なアイディアが出てくると非常に良いなと思っています。ただ、インセンティブでいうと、収益率が上がるというのが多いと思いますが、収益率が上がる以外の考え方はありますか? 現時点でどのくらい話せるかというところはあるのですが、プロトコルの設計で言うとCosmosやLivepeerが顕著です。より多くの人がネットワークに参加できるように、所謂トークンをどれだけステークさせるかみたいな設計となっています。ネットワーク全体で、トークンがあまりステークされていない場合、Yield Curve(利回り曲線)がより利益率の大きいYield Curveになったりします。逆に、ネットワーク全体でステークされているトークンの量が、十分に大きくなったら、yield curveが減っていくとかというのはあります。 これも言ってしまうと収益率の話になってしまいますね(笑) 結局、収益が一番のインセンティブになるってことです。ただ、仮に投票に参加するっていう以上に、より多くの人が、ネットワークにステークという形でもネットワークに参加するということを大事にしていて、そういう意味でネットワークに参加する『Sanka Network』というサービス名にしています。 サービスは、既に開始しており、現在、Cosmos、Tezos、IOSTの3通貨に対応しており、既にブロック生成をしています。 -- Validator Poolのサービスは海外だと取引所がやっていたり、ファンド系が参入してきたり、日本でもStirのような競合他社があると思うのですが、Sanka Networkが他と比べたときの強みで言うとどこでしょうか。 現状で言うと、基本的かつ、わかりやすいサポートで実施していくというところです。その他にも、セキュリティの構築にも気を配っています。アーキテクチャをどのように設計しているかなどは、また追ってブログなどで公開すると思います。 また、将来的に考えている部分として、さっきお話したようなガバナンスの部分、ダッシュボードに関してというところです。それ以外にもこれからもっと考えていかなければいけない部分もたくさんあると思っていますし、派生して、シナジーのある何かをみたいなことも考えています。 これからの未来におけるブロックチェーンの世界 [caption id="attachment_40757" align="aligncenter" width="800"] d10n ホームページより[/caption] --ここからは少しSanka Networkから逸れてしまうのですが、平野さんは将来的にどういうブロックチェーンの世界観を考えていますか? まず、1st layerのいわゆるスマートコントラクトプラットフォーム的な話で話していきます。最近はこういう論争も減りましたが、以前はPoWが優れているのか、PoSが優れているのかという話が多くあったと思います。 PoSは実装するのが、とても難しいのですが、一方でPoWだと、アプリケーションを乗せるためのブロックチェーンとしては絶対にスケールしないということが、すでに明らかになっています。これらの観点から言うと、1st layerのブロックチェーンプロジェクトがPoSでローンチをしているように、Proof of Stakeを模索しなければいけないという事実はまず間違いないと思っています。 そして、EthereumがPoSに移行、2つのブロックチェーンでネットワークを構築するというような、複雑なことを行っていますが、持続性のあるPoSの構築は非常に難しいというのはまず間違いないです。一方で、少なくとも、将来的なところに向かっているのはPoSであるということはまず間違いなく、アプリケーションが乗るP2Pのブロックチェーンネットワークとしては、今最も主流となっています。 そして、今、スマートコントラクトプラットフォームみたいなプロジェクトは沢山出てきていると思いますが、多分いくつもは残らないと思っています。正直、無駄だろ!って突っ込むくらいの数が現在、存在してますよね?(笑)ただ、これらのプラットフォームが全部なくなり、完全に一つにはならないと思っていて、地域性とか用途に応じて複数は残るのかなと考えています。 例えばEthereumであれば、DeFiみたいなものが残るのが妥当なシナリオかなと考えています。で、思い返すと、少し前までのICOプロジェクトって全部Ethereum上でトークンを発行していましたが、最近は資金調達のためのトークンはBinance Chainで発行する傾向が多いです。Tezosに関して言えばSTOをやっていて、セキュリティトークンと相性が良かったりしますし、ゲームとかギャンブル系のアプリであったらEthereumほどの分散性とかを求めないでEOSとかTRONで、などのような感じで、用途が分かれてきて、いくつかがプラットフォームとして継続していくだろうなと思っています。 そして、アプリケーションレイヤーにおいても、トークンを利用してステークをしていくという概念がこれから出るだろうと思っています。 例えば、Enigmaというプロジェクトは1st layerのブロックチェーンというよりは、layer2という言葉もあまり正しくないんですけれど、1個目のレイヤーで動くcomputationのレイヤーです。そこではノードがENGトークンをステークして、秘匿計算を行うというようなことをしています。このノードがENGをステークしているから、Enigmaのネットワークに対して悪意のある行動をしないだろうっていうことをもとに、ENGをステークしていることから秘匿計算を行うという仕事を許され、その仕事に対してインセンティブをもらうということを実施しています。 そして、このようなプロジェクトは増えつつあります。 -- Enigma以外だと、どういうプロジェクトがあるのでしょうか? 私はこれらのモデルをMedalion ModelとかWorking Capitalって括りにすることが多いんですが、トークンを持っていることで、仕事ができたり、パーミッションが得られるトークンのことをこれらに当てはめています。 Augurで言うとREPをステークすることで予測市場を作成することができたり、0xが今後少し変わっていくのですが、ZRXトークンをステークすることによって、マーケットメイクができるようになります。現状、マーケットメイクは誰でもできますが、ZRXトークンをステークすることでインセンティブを得ながらマーケットメイクをすることができ、さらにマーケットメイカーにDelegateもできるようになります。 トークン設計の観点で言うと、少し前までプラットフォームを作って、そのプラットフォームの交換価値としてそれらのトークンが設計されるというものが多く存在しました。しかし、あのトークンモデルは絶対にワークしません。そのあと色々模索されているのが、こういうステークモデルだったり、アプリケーションにも何かしらのステークの要素を用いるとか、Delegateの要素を用いるとかです。 また、Cosmos SDKを利用して立ち上げたブロックチェーンは自分たちでセキュア性を管理しなければいけません。そのとき、ネイティブトークンを発行して、アプリケーションでの用途としてのトークンと、Validationに参加させるためのトークンという二つの役割を持ったトークンが、Cosmos SDKによって作られたブロックチェーンから出てくると思いますし、既にTerraのようなプロジェクトでもでてきています。 そういう意味でも、トークンホルダーが受益する価値は今後大きくなっていくと思っていて、ネットワークにおけるトークンホルダーの重要性というのは、大きくなってくるはずだと考えています。トークンホルダーっていうのは、現在だと大抵の場合投資家だと思います。彼らが"適切な形でネットワークに参加できる"っていうインターフェースを作りたいってところですね。 -- 今、お話しいただいたのは、ブロックチェーンが社会に浸透していく世界を見据えた上でという話ですね。私もそういう未来を信じています。そんな中で、その未来というのは、どのくらいで大衆に普及していくと考えていますか? 例えば、私たちが現在だとValidator Poolという機能だけを提供していると思うんですけど、そこで気が付いたらブロックチェーンが実装されてたみたいなところでお話します。 適切な例えかどうかわかりませんが、ETHを買う人っていますよね。Sanka NetworkのValidator Poolにステークしたら年利4%くらい儲かるから、よくわからないけどステークしようみたいな感じでステークする人が出てきます。だけど、そのステークがどういった仕組みなのか、よくわかりません。 しかし、将来的にインターフェースはどんどん簡単にしていくつもりなので、ブロックチェーンのステーキングっていうのが具体的にどういうことかわからない人でも、簡単にステーキングできるようにしていく予定です。もちろん、少し時間はかかると思っています。 少し時間はかかると思うんですけれども、その人がステーキングをするという行為、その利息を得る目的だけで参加していたとしても、結果としてEthereumのネットワークは少しセキュアになっています。そして、別の事業者が、Ethereumのネットワークで他の事業をやっていたり、もしくはどっか違う国でセキュリティトークンが発行されていたりとか、それもまた一つの形なのかなと思います。 あとは、最近社内でした話になるのですが、Ethereum界隈で最近よく使われている言葉『Programmable Money』というものがあります。世界が全部Programmable Moneyになったら便利だよねという話をしていて、具体的にどう便利になるのかってことを簡単にお話いたします。今も、私は会社を経営しているわけですけれども、日本円がProgrammable Moneyになるととても便利になります。今、会社の銀行口座に運転資金が入っています。それが日本の銀行の低金利な口座に入っていて、何もできない状態です。 しかし、日本円がProgrammable Moneyだったら、地球の裏側にいる人でも、コントラクトでお金を貸し出すことができます。コントラクトにCompoudのような担保率が設定されているのであれば、それが確かに担保があるというのを検証できると、会社の運営資金でも地球の裏側の人に貸し出せる可能性がでてきます。 あとは、もう少し未来の話をすると、請求書にスマートコントラクトを噛ませるとかも想像できますね。そして、今後、そういう世界になったら良いみたいな話はよくしています。 今、実際なんでそういう世界が実現していないのだろうかと考えて、それらを箇条書きにしてみたら、色々出てくるわけですけれどもそれぞれの課題が解決されるのは、割と時間の問題かなと思っています。そういうのが部分的に実装されて~みたいなことを考えると3~4年ってところかなぁと思います。 [caption id="attachment_40758" align="aligncenter" width="800"] HashHubで撮影の平野氏[/caption] -- そんな未来の中で、今、CoinMarketCapとかを見ても沢山の種類のトークンが発行されていると思います。 そのトークンも用途はバラバラで、それこそ新興プラットフォームがトークン発行しているものがあったり、アプリケーションレイヤーで必要とか様々なものがあると思います。EthereumのようなプラットフォームやCompoundのようなDeFiやその他のDAppsなど様々なものがあると思うのですが、全部が全部にトークンって必要か?みたいな事をよく思うのですが、ココらへんに関して、平野さんの考えはいかがですか そうですね、CoinMarketCapとか見ていても、全部にトークンは必要ないと思っていますし、実際、必要のないトークンはかなり多いです。その一方で、d10n Labでリサーチ・レポートを配信しているように、トークンメトリクスを考えたり、設計を分析するのが非常に好きだったりします。 色々なプロジェクトを見ていて感じることとしては、2017年くらいと比べて、トークンの設計に妥当性を見出せるプロジェクトが増えてきてはいるなということです。世界がどこまで行っても、このトークンというものを買っている人というのは投資家です。 投資の対象かつそのプロトコルに意味のあるコンポーネントがあるという要件が満たされていないと、そのトークンは存在する価値がないはずです。この2つの要件が満たされるトークンモデルが、まだ割合としては少ないですが、2017年とかと比べるとはるかに増えてきていますね -- これは、私が個人的に感じている点ですが、この間も話題に出ていたTerra(d10n Labのレポート参照)なんかも、ステーブルな役割を持つトークンとネットワークで利用されるトークンの2種類が存在するデュアルトークンモデルを採用しているプロジェクトですが、このようなプロジェクトなんかもかなり増えていますよね 単なるステーブルコインじゃない通貨も増えてきていると思います。Terraのモデルは、ステーブルコインがあって、そのステーブルコインの経済圏が活性化されることによって、受益するための価値を享受するためのトークンがあるというような感じです。 FacebookのLibraなんかも同じで、ステーブルコインとは別でLibra Investment Tokenがあります。結局、トークンというのは、インターネットでプロトコルができたとき、それを受益するもの。 それをどういう形で受益するのか、証券ではないけれども何かしらのもので受益するということですね。 Maker DAOなんかもMKRトークンをバーンして、価値が上がるみたいなロジック、Terraも同じような仕組みで、送金手数料がLUNAをステークしている人に支払われる。これは、新しいプロトコル的なものの価値を受益するものなのかなと考えています。 -- TerraもLibraも、Maker DAOなんかもそうですが、壮大な社会実験みたいですね。こういうものがうまくいって、それがMassに受け入れられるともっと面白くなるのかなとか 思ったりします。 そうですね。今、受益とかそういう言葉を使っていて、そういう言葉を使ってしまうと、それって証券だよみたいな話でもあるんですが、確かに証券的といえば証券的です。 Libra Investment Tokenとかは実際セキュリティトークンとなっています。ただ、今までとの決定的な違いは、"インターネット上"でその"受益者"は"P2P"で"離合集散的"にという部分です。その受益者というのが変わるんです。 例えば、TerraにおいてLUNAトークンをステークしている人っていうのは、別に株主名簿を入れ替える必要もなく、ステークしている人が流動的に変わります。これはすごいインターネット的ですよね。 そういう意味でも、色々なプロジェクトのトークンモデルというのは少しづつ洗練されつつあって、それが非常に面白いなと思っています。そういったプロジェクトを見る中で、自分たちが作っているようなものも、今後、需要が出てくるのかなあと考えています。 -- 色々と話が沢山それてしまいましたが、楽しいお話でした。HashHubのCEOとして、最後にコメントをお願いいたします。 HashHubというのは、一番最初は、暗号通貨、ブロックチェーンっていう新しい技術をきっかけにできた会社でした。この技術の特徴というか、暗号通貨の特徴って何だろうみたいなところを考えてきていました。 ビットコインで言うと、ビットコインというのは一人ひとりの選択肢を作ったと思っています。政府を信用できない人だったり、銀行を信用できない人はビットコインを持つ、そういうのでなければ別にビットコインを持つ必要はないと思っています。 そのような前提で、HashHubという会社のミッションとしては、選択肢をより増やした世界を作っていくというものになっています。そ事業ごとにミッションがあるんですけれども、d10e labで言うと『Distribution of Knowledge』という、ブロックチェーン関連の知識を広めるっていうミッションです。 『Sanka Network』で言うと、トークンを用いてより多くの人が、ネットワークに参加する社会を作るっていうミッションを掲げています。HashHubは色々な事業が連続的に生まれる会社だと思っているので、コアな部分に選択肢を増やすっていうのがあって、そのうえでいろんな事業を作っていくとい来たいと思っています。 その上で採用も積極的に行っているので興味のある方はご連絡ください!! 7月にHashHubがリリースしたSankaNetworkは対象となる通貨のトークンを持っていれば、誰でもSankaNetworkに委任をしてステーキング報酬を受け取ることができます。 海外プレイヤーだけでなく、国内でもステーキングプールを運営する企業が徐々に増えてきていますが、SankaNetworkは今後、ユーザーがよりガバナンスに参加できる仕組みを取り入れていきたいとのことです。 今後の動きにも注目しながら、対象となる通貨を持っているユーザーは是非ともステーキングに参加して、ステーキング報酬も受け取りましょう。 Sanka Network ホームページ ※Sanka Networkでは8月まで手数料が0%になるキャンペーンを実施中です。
特集・コラム
2019/08/13[Famiee Project 前編] 自分達だけで発行した証明書に価値はない、今後、どれくらい人を巻き込んでいけるか – Staked CEO 渡邉 創太 , withID CEO 川 大揮
2019年4月末に代々木公園にて、「LGBT、いわゆる性的少数者が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現」を目指した団体、およびイベントである『東京レインボープライド2019』が2日間にかけて行われました。 本イベントでは、ブロックチェーン技術を活用するFamiee Projectが「カップル宣誓書」の発行サービスを体験できるようで、イベントに参加し、取材を行ってきました。 今回の記事から2回に分け、Famieeに関する思いや考えをお届けしていきたいと思います。 前編記事ではFamiee Projectの概要や目指すもの、開発チームであるStaked株式会社 CEO 渡辺創太さん、株式会社withID CEO 川 大揮さんのお二人へのインタビューをお届けいたします。 後編記事では、東京レインボープライド2019内でのイベントの模様に加え、発起人である株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんへのインタビューをお届けいたします。 Famiee Project 概要 「Famiee」プロジェクトは、地方自治体が発行するパートナーシップ証明書に相当する証明書を、改ざん不可能性といった特徴を有するブロックチェーン技術を活用して、民間で発行し、多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指すプロジェクトです。 内山幸樹の呼びかけに応じて、LGBT支援活動家、ブロックチェーン事業に取り組む起業家等「多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現」という理念に共感するメンバーが集まり誕生しました。 [caption id="attachment_40726" align="aligncenter" width="646"] ハフポスト調べ[/caption] パートナーシップ証明は、2015年11月に渋谷区や世田谷区で導入され、現在でも導入されている地域が徐々に増えており、2019年4月1日には9つの地域で導入がなされました。 現在、Famiee Projectでは、一般社団法人Famiee の設立手続き中となっています。 背景・目的 「家族」という概念は、近年、とても多様化してきています。LGBTのカップル、事実婚のカップル、精子・卵子提供を受けてできた親子、代理母の協力でできた親子、互いに支え合って生活するシングルマザー同士など、従来の概念での「夫婦」「親子」「家族」に当てはまらない新しいカタチの家族の形態が生まれてきています。 しかし、従来の家族の概念に基づいて作られた社会制度の中で、新しい概念に基づき生きる人たちは、多くの困難に直面しています。 一方、日本では、既に複数の地方自治体でパートナーシップ制度が導入されていますが、制度の導入に際しては、市区町村の強いリーダーシップが必要とされ、パートナーシップ制度が日本全国に広がるには時間がかかると考えられます。 そこで、「Famiee」プロジェクトでは、LGBTカップルや事実婚カップル等、法的には婚姻関係と認められない多様な家族形態の人たちが、住んでいる地区に関わらず家族関係を証明することができるよう、ブロックチェーン技術を用いたパートナーシップ証明書の発行を目指しています。 さらに、多様な家族形態の人たちが等しく民間企業の家族向けサービスを受けることができるよう、パートナーシップ証明書を採用する民間企業を増やすための啓蒙活動を行い、これらの活動によって多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指しています。 Famiee Project 開発メンバーへのインタビュー ブロックチェーンに何の情報を書き込むかをとても悩んだ [caption id="attachment_40721" align="aligncenter" width="800"] 左 : 渡辺 , 右 : 川 証明書の中身をブロックチェーンで確認している[/caption] -- 自己紹介をお願いいたします。 川:川 大揮といいます。ブロックチェーンに興味をもったのは2年前、インターンシップでLINE株式会社へいったときです。 そこでディーテクノロジーの中林さんからおすすめされてビットコインを買ったのがきっかけになります。 ビットコインは今もですが、当時も価格変動も凄かったので、価格予想などをTwitterで調べたときにPoS , PoWという言葉を見かけました。当時意味がわからなかったので、これらの言葉を見て、調べ出したことをきっかけにブロックチェーンってテクノロジーに興味を持ち、面白いと感じました。 難しいと思われがちですが、ブロックチェーンは理解もしやすいですし、シンプルな仕組みというところから新しいテクノロジーだと感じました。 その後、もっと深く知りたいと思い、Bancor(バンコール)の日本のカントリーマネージャーやWPの翻訳の手伝い、ウォレットの作成も行いました。これらの経験を経て自分のプロダクトを作っていきたいと思い会社を設立したというところです。 -- 聞いたお話だと、川くんは、東工大の卒業証明をブロックチェーンを利用して作ったとお伺いしています。(※取材は4月に実施) 川: 厳密に言うと、これからやりたいと言うところです。東工大初のベンチャー申請をしたのが先日です。東工大の教授に同じことをやりたいと考えている人もいて、お手伝いをしながらやっていきたいと思っています。(※withIDでは7月末に東工大発ベンチャーの称号を取得済み) 私がやりたいと思っていることは権利証明や生活で使えるようなデジタルID 作りたいと考えています。 渡辺:渡辺創太といいます。現在、ステイクという会社を設立し、SubstrateやPolkadotを研究しながら、現在はPlasmというプロダクトを作っています。 Substrateはカスタマイズしながらブロックチェーンをつくることができるので、Plasmaのライブラリをインポートして、Substrateで作るブロックチェーンをPlasmaのように出来ます。 ルートチェーンを作ってその下に子チェーンを階層化して出来るような機能をデフォルトで通ったブロックチェーンを現在、作っています。 その中でWeb3 Foundation、Parityと関わりを持っており、最近では、彼らに認知されてきたので、これから我々は世界展開していきたいと考えています。 -- 今回、Famieeにジョインしたキッカケや理由を教えてください 渡辺:元々、東大のブロックチェーン活用に関する研究室の場で内山さんと知り合いました。学生が自分達でプランを作って実装までしようというような研究室だったのですが、その中で、内山さんもプランをいくつか持っており、その持ってきていたプランの中でブロックチェーンを利用できるのではないかと考えました。 ただ、実装できる人がいなかった中で、開発者として川くんにピンときて、川くんに連絡を取り、誘いました。 川:僕は、権利証明や身分証明の分野をブロックチェーンでやりたいと考えていました。BlockcertsというIDのウォレットみたいなものはおもしろいなと考えていた時期で、色々とやれることがあるかなと思っていたときに、創太くんからfamieeの話をいただきました。話を聞いてみると、身分証明や権利証明に近いところがあったこと、ビジョンも共感できたので、すぐにジョインを決めました。 渡辺:内山さんは上場企業の社長であり、新経済連盟で三木谷さんの下でプロジェクトを立ち上げたりもしているので、日本国内において、ブロックチェーンユースケースを生み出していき、社会に浸透させていくことも出来るのでは?と考えました。僕ら、やりたいことや思いはあるけれど、それを社会に浸透していくには力が足りない。そういう意味で強い大人の力を借りることもできます。そういう意味でも今回のfamieeというプロジェクトは、すごくやりがいがあります。 - - お二人はいつからfamieeにジョインしたのでしょうか 渡辺:僕は、内山さんと出会ったのは去年の10月くらいです。で、その後にfamieeにジョインしたのは今年の2月というところでしょうか。川くんも僕が誘ったのは2月の終わりくらいとかだったと記憶しています。 - - そうすると、今回のイベントまでは実質3カ月ほどの期間しかなかったと思いますが、実装などは大変ではなかったですか 川:仕様設計からブロックチェーンに何をかきこんでいいのか、どうやって結婚証明するのかなど考える部分が多く、大変でした。 ブロックチェーンは一回書き込んだデータは取り消せないので、じゃあ離婚の場合はどうするのか、個人情報をどうするのか(サーバー挟むのか、そのまま書き込むのか、暗号化するのか、IPFS使うのかなど)などの話をしていて、そこに時間がかかりました 渡辺:あとは量子コンピューターの話もしましたね。量子コンピューターで解読されたらどうするのかって。 川:そういう話もたくさんしましたね。現在、使われている暗号って鍵の長さが128ビットや256ビットなどと色々ありますが、例えば 2030年にはコンピュータの計算速度は速くなるので、使いものにならないと言われている暗号がいくつかあります。 コンピュターの処理速度向上のために使いものにならないと言われている暗号を使用して、今証明したい内容をブロックチェーンに書き込んでしまうと、将来LGBTの方々や、結婚していることを公にしたくない方々の情報が丸裸になってしまいます。 例えば、あるプロジェクトでは個人の住所や名前などをハッシュ化してブロックチェーンに入力していますが、ハッシュ値も15年くらいで破られると言われています。可逆じゃないと世間的には言われていますが、今は可逆じゃないだけで将来的にはなくなる可能性があります。 また量子コンピュータになると処理速度が劇的に向上するので、じゃあどうすればいいのかなどの話合いも沢山重ねました。 -- その中でfamieeの実現のために、最も苦労した点は何でしょうか 川:結局の所、何を暗号化するのか、何をブロックチェーンに書き込むのかというところでした。これは、今までの例を見ても、実例がありません。そして、これらのことを考えているプロジェクト自体も少ないです。 一般の方は暗号化してるのなら安全、そして、それをブロックチェーンに書き込めば、誰でも読めないと思っている方も多いです。そういった価値観などをまずは変えなくてはいけません。 ブロックチェーンはオープンであること、誰でもデータが読めてしまうこと。そして、いくら暗号化してもダメだなど、こういったことの共有が必要になります。 また最終段階として、暗号化したり書き込んだものはEtherScanで復号して見ることができないという問題がありました。この部分に関しては、自前で実装しなくてはいけません。 書き込んだものをEtherScanのAPIを利用して、それを復号化する必要があったり、パスワードを使って復号化するなどのこういう処理が大変でした。 ex.) ブロックチェーンに暗号化で書き込む → EtherScanでみると文字化けしている → 自分達のサイトで暗号化を復号化する(EtherScanでは復号化はできない) [caption id="attachment_40719" align="aligncenter" width="800"] Etherscanに書き込まれているが、暗号化されていて確認ができない[/caption] 自分達だけで発行した証明書には価値はない、そこからどれくらい人を巻き込んでいけるか -- 今回のfamieeの体験では、ニックネームでも登録が可能ですが、ニックネームで登録したものでも実際に市役所に持っていけるのでしょうか 川:今回はあくまでも体験なので、そのような仕様にしているだけで、本番ではまた違う方法を考えています。例えば、IPSFという技術ではデータをバラバラに保存しますが、IPSFはどこにあるかをブロックチェーンに書き込むのでそれはプライベートではありません。 現在、考えているのはそのデータを参考に一つのデータをばらばらにして色々なブロックチェーンに書き込むことを考えています。Bitcoin、Ethereum、EOSなどにデータをバラバラにしてランダムなタイミングでそれぞれのブロックチェーンに書き込む方法です。 こうすることでブロックチェーンにあるデータは本人しかわからないし、消えることはないのでうまい使い方ができるのではないかと思っています。 [caption id="attachment_40720" align="aligncenter" width="800"] 復号化するサイトを構築し、確認が可能[/caption] -- 今日のイベントで実際に証明書の発行をしてみて、利用してみたユーザーからの反応というのはどうでしたか? 渡辺:反応はとても良かったと思っています。LGBTの人たちは私たちが思っている以上に社会に認めてほしいという気持ちが強いと思いました。今日話してみたのですが、こういうサービスが出てくると非常に助かるなどの言葉をいただいたり、ブロックチェーンって言葉は知っていたけど、実際にこうやって社会で使われているのは初めて知りましたなどの言葉をいただきました。 セキュリティー的にはまだまだ問題はあるけど、とてもニーズはあるのだなと手応えも感じています。 川:今まで証明書を発行するっていう概念は国が行っていました。しかし、ブロックチェーンの技術を利用すれば、改ざんされないという特性を利用して民間や一般の方が作れると思えたのが凄いと思っています。 実際、良いか悪いかはわからないけれども、そういう発想に行きついて、皆がそこに価値を感じていて、それがおもしろいと思いました。同じく手応えを感じました。 今日のイベントの中には、やめときますという人もいました。その人はブロックチェーンに書き込まれるのが嫌だと言ってましたが、それは書き込まれると一生残り続けるので嫌だということで、個人的にはこういう思いも含めてとても良いと感じました。それなりの信用がブロックチェーンにあるのだなと思えた瞬間でした。 私たちが出した証明書が、今後ちゃんと世の中に認められたら良いなと思います。 --今後、このような取り組みが認められる社会になっていくと良いと私も思っています。最後に、今後、ブロックチェーンがLGBTや社会の中に、より一層実装されていくために必要なことは何だと思いますか。 川:大きいことはいきなりできないので、小さなことからまずは始めることが大切だと思います。今回のように効力はないが、まずは発行してみること。そして巻き込んでいく人を増やしていくこと。 ブロックチェーンに書き込んだものは改ざんできません。そもそも僕らの発行した証明書が信頼できるものであると認めてくれる人がいないと意味がありません。ビットコインに関しても書き込まれているデータを認めてくれる人がいることに価値があると思っているので、まずは自分達だけで発行した証明書には価値はなく、そこにどれくらい人を巻き込めるのかが大切だと思います、 そうして、ようやく改ざんできないということが効いてきます。ただ、やりました!とかだけだと、最初は意味がないと思うので、そこにどれだけ価値を出せるかの人の巻き込みが一番大事だと思います。 渡辺:私としてはテックドリブンすぎることは、限界が来るだろうと思っています。ブロックチェーンの業界はテックドリブンすぎる人が多いです。世の中を巻き込んでやっていくとなると、例えば、新経済連盟のようなところに呼びかけていったり、本来の証明書であれば、必要な要件はあるけれども、ブロックチェーンで刻むなら、もっと簡単にしたもので、政府が認めてくれたら楽になるのように、技術以外のところをもっとやっていく必要があると思います。 前編の記事では、Famiee Projectの概要と開発メンバーであるお二人のインタビューをお届けしました。 後編の記事では、イベントの様子に加え、現在のLGBTにおける問題点やブロックチェーンを活用してどうやって解決していくか、巻き込んでいくかなどを株式会社ホットリンク 内山幸樹さん , 石渡広一郎さんに語ってもらっています。 後編 : [Famiee Project 後編] ブロックチェーンを通じて、多くの企業をその変革に巻き込んでいかなくてはいけない – 株式会社ホットリンク 内山 幸樹 , 石渡 広一郎 インタビュー , 編集 : 新井 進悟 写真撮影 : フジオカ