【市場分析】「ハッキングが起こったらロング」はなぜなのか?
Crypto Times 編集部
先月27日、韓国の暗号資産取引所であるUpbitがハッキング被害に遭いました。
これに伴いビットコイン市場は夕方から夜にかけて$300近く下落し、その後翌日朝方にかけて$900近い上昇を見せました。
この時編集部はSNSなどで「ハッキングが起こったらロングだ」という意見をよく目にしました。
2018年9月には、$6300台を上下していたビットコインが日本の取引所「Zaif (ザイフ)」のハッキング被害をきっかけに$6060まで下がり、その後1時間足らずで$6600手前まで上昇するということがありました。
事実、今月27日のUpbitのケースでも下落後に急上昇したわけですが、この動きの裏にはどのようなロジックがあるのでしょうか。
Upbitハッキングからの市場推移
まずは上の画像、真ん中2つのチャートの赤い線を見てみましょう。上のチャートがBitMEXにおけるビットコインの未決済建玉(OI)、下が価格となっています。
Upbitのハッキングが正式に発表されたのは27日17時、その後ビットコインの価格は$7100から$6850あたりまで下落しました(チャートの一番右)。
その際にOIも下がっているので、この価格下落はロングポジションのロスカットが原因だと考えられます。
注目すべきは、その後のOIの推移です。
$603Mまで減ったOIが$630Mあたりまで上昇しているのがわかります。対してビットコインの価格は$6900まで戻っています。
ここからわかることは、$6850から$6900あたりの間でポジションを取っている人が多かったということです。
デリバティブではロングとショートポジションが常に1:1の比率で存在しますが、この状況ではロングポジションの方が優位となるわけです。
つまり、ハッキングを起因に価格が下がっている状況を見たトレーダーが後追いで積んできたショートがポジションの燃料として溜まっていたということになります。
この状況が確認できていれば、ここでロングポジションを取るという判断は比較的容易だったのではないでしょうか。この後、溜まった燃料を使ってビットコインの価格は急上昇していきます。
ここでもう一点、ロングポジションを取ったとしてどこをターゲットにするだったのかという点を補足します。
ロングポジションのロスカットによって価格が$6850まで下がった際、OIは$603Mあたりまで減少しました。その後、OIは燃料という形で$630Mまで上昇しましたね。
この推移が短期のターゲットを推し量る目安になるのではと考えられます。
言い換えると、ショートカバーを起こしてOIが$603Mあたりまで減少したら、ひとまずその時の価格が短期的な天井になるのではないかということです。
先ほどの画像を見ると、ビットコインが$7400あたりまで上昇した時、そのOIは以前$6850をつけたときの水準に戻っていることがわかります。
これがわかっていれば「短期の燃料は尽きたので一旦は頭打ち」と考えることができます。
以上、「ハッキングが起こったらロング」の裏側をOIチャートを用いて解析してみました。これはあくまでも一例で、いつも必ず正しいわけではありませんが、ぜひ今後の参考にしてみてはいかがでしょうか。