AI電力問題の答えは「計算の後回し」?0.5秒で消費4分の1に
よきょい

AIの電力問題に対する答えの一つは、意外なほど単純です。それは「計算を後回しにする」です。テキサスで行われた実験では、Luxor EnergyとBentausがNvidiaの高性能チップB200を1基使い、推論の実行中に消費電力を通常の約25%まで絞りました。所要時間は0.5秒。処理件数は減ったものの、進行中の仕事は失われず、制限解除後は元の速度に戻ったとのことです。
背景には、電力の供給が需要に追いつかない現実があります。テキサス州の系統運用機関ERCOTでは7月22日に91,089メガワットという暫定の需要記録が出ました。アボット知事は8月、474ギガワット分の新規接続要望を審査中で、その約9割がデータセンターだと述べています。7月28日の暫定レビューで一次審査に進む条件を満たしたのは約205ギガワットにとどまりました。送電線の新設には先進国でも4〜8年かかります。
4回の15分間が1年の電気代を決める
今回の実験を動かした動機は、電力市場の独特な仕組みにあります。テキサスでは6月から9月まで各月の系統需要が最大となる15分間、いわゆる「4CP」の使用量が翌年の送電料金に反映されます。2026年の規制当局の数値では、ERCOTの送電費用は約60億ドル、平均4CP需要は80,859.8メガワット。1キロワットあたり年約74.89ドルとなり、100メガワットの需要なら年約749万ドルに相当します。
Luxorが行ったのは系統からの指令に応じた削減ではなく、ピークを予測しての自主的な絞り込みでした。4CPの窓は15分間ですから、0.5秒という応答速度は送電料金の節約という目的には過剰です。この速さが意味を持つのは、より即応性を求める需給調整市場に参加する場合になります。ビットコインマイニングが長年果たしてきた「価格が高いときに止まる需要」という役割を、AI側が引き継げるかという問いです。
作る側は伸び、送る側が追いつかない
需要の勢いは半導体市場の数字にも表れています。WSTSの集計では2026年4〜6月の世界半導体市場は3,680億ドルで、前年同期比104%増と過去最高の伸びとなりました。企業別ではキオクシアが前四半期比76%増で8位に入り、SanDiskが9位。両社ともAI向けフラッシュメモリの需要が売上を押し上げたと、Semiconductor Intelligenceが分析しています。
ただし、チップ1基の話を建物全体に広げるのは簡単ではありません。GPUの消費電力を75%削っても、冷却、ネットワーク、蓄電、変換損失が残るため、施設のメーターで測る削減幅はずっと小さくなります。数万基のGPUを同時に絞り、同時に戻せば新たなピークも生まれます。次の焦点は、この柔軟性を系統が数えられる「確実な削減量」に変換できるかどうかになりそうです。
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