この4つが揃ったら要注意|AI仮想通貨詐欺263%増、防ぐ兆候は

2026/08/25・

よきょい

この4つが揃ったら要注意|AI仮想通貨詐欺263%増、防ぐ兆候は

「AIを使った仮想通貨詐欺の被害が前年比263%増」という数字が広がっています。出所は、ブロックチェーン分析企業TRM Labsが8月17日に公表したレポートです。

ただしこの数字、正しく読むには少し注意が必要です。同じレポートの中に、性質の違う複数の系列が並んでいるためです。

「25倍」と「13倍」はどう違うか

レポートによれば、AIに言及した詐欺報告の全体は2022年比で約25倍。ところがこれには、被害者が調査の過程で消費者向けAIツールを使った事例も含まれています。

詐欺の実行側がAIを使った報告に絞ると、伸びは約13倍です。前者をそのまま「AI詐欺の増加率」として引用すると過大評価になります。

第1四半期から第2四半期にかけて被害額が約400倍になったという数字もありますが、TRM自身が母数の小ささと大型の報告1件への依存を注記し、精密な値ではなく方向性として読むよう促しています。

3社は「別のもの」を数えている

よく並べて紹介される他の統計も、測っている対象が違います。Chainalysisはなりすまし詐欺への資金流入が前年比1,400%超増加したとし、AIサービスとのつながりが確認できる詐欺グループは平均4.5倍稼いでいたと報告しました。同社は特定済みのアドレスに基づく数字であり今後変わりうると注意を促しています。

FBIの2025年インターネット犯罪報告は、AI関連の申告22,364件と被害額8億9,335万ドル、仮想通貨関連の申告の被害額113億7,000万ドルを記録しています。

整理すると、TRMは報告に占めるAIの出現率、Chainalysisは特定済みアドレスへの資金流入、FBIは米国内の自己申告を数えています。母集団も地域も定義も重なりません。合算したり比率を比べたりしても意味を持たず、共通して言えるのは方向性だけです。

狙われているのは「署名の手前」

数字の細部より重要なのは、攻撃の的が変わったことです。取引所のログインが正しく通り、ハードウェアウォレットが正しく署名し、契約が仕様どおり動いても、偽の映像や音声で操作する人間を説得できれば、資金は攻撃者に届きます。

手口は具体的です。取引所ではアカウント復旧のなりすまし、認証方法の変更、新しい出金先の追加という順で進みます。企業では合成音声や映像で幹部を装い、送金の承認や支払先の追加を迫ります。

米財務省のFinCENは、本人情報の不一致、端末や所在地の急な変更、第三者製のウェブカメラツール、多要素認証への抵抗、口座変更直後の高速送金を、注意すべき兆候として挙げています。

個人ができる備え

対策の重心も移ります。復旧手続きの変更、新しい端末、新しい出金先、即時送金という連鎖が起きたときには、資産が出ていく前に確認を挟むこと。企業なら複数人承認、事前に決めた別ルートでの確認、新しい出金先が有効になるまでの待機時間が有効です。

個人であれば、電話やビデオ通話で送金を急かされた時点でいったん切り、自分が知っている番号にかけ直すだけで、多くの手口は止まります。オンチェーン分析は追跡には強いものの、本人が納得して押した承認を止める力は限られていることになりそうです。

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