リップルの「想定利回り14.57%」の正体|機関需要は買いだけではない

2026/09/05・

よきょい

運用会社ビットワイズの保有明細が、機関投資家によるリップル(XRP)の使われ方を珍しく可視化しました。適格購入者向けファンドであるビットワイズ・クリプト・キャリー・ファンド(USCC)は、カストディで保有するXRPと、ほぼ同量のコインベースXRP先物9月限の売り建てを組み合わせています。9月1日午後4時(東部時間)時点の明細では、カストディ保有が10,781,438.36XRP、先物の表示数量がマイナス10,510,000XRPでした。

数量ベースのヘッジ比率は97.48%となり、残る買い持ちは271,438.36XRPです。表示された想定元本はカストディ側が14,255,218ドル、先物側が14,022,442ドルで、差は232,776ドルとなります。それぞれを数量で割ると現物相当が約1.3222ドル、先物相当が約1.3342ドルとなり、先物は現物より約1.2セント、率にして0.91%高い水準にありました。

0.91%がどうして14.57%になるのか

明細には14.57%という「想定利回り」のラベルが付されています。ビットワイズは保有単位の想定利回りを、満期まで保有するか売却しない場合の年率換算値と定義しており、この数字は0.91%という短期のプレミアムを1年あたりに引き伸ばした表示ということになります。

キャッシュ・アンド・キャリーと呼ばれる手法は、現物を買って割高な先物を売り決済時の収斂によってその差を確定させる一方、価格の方向性リスクを両サイドで相殺します。

投資家が実際に受け取るリターンは別の指標です。ビットワイズはファンドの30日利回りを別途開示し、運用報酬0.75%を明示しています。公開されている算定方法では、XRP部分について執行、資金調達、カストディ、証拠金、ロールのコストがどう扱われているかが示されていません。したがって14.57%は表示された先物保有に対する年率換算の想定値であって、実現収益の予告ではありません。

97.48%の数量一致があっても残存リスクは消えず、現物と先物の値動きの差、証拠金維持の必要、現金決済の基準価格とカストディ在庫の売却可能価格の差、そして271,438.36XRPの直接的な価格エクスポージャーが残ります。

「機関需要」の中身を分解する

市場全体の建玉構成も同じ方向を示します。CFTCの金融先物参加者報告によれば、8月25日時点で標準的なコインベースXRP先物の建玉は20,518枚でした。ディーラー・仲介勘定が17,853枚の買い持ち、資産運用・機関勘定が1,800枚の買い持ちを占める一方、レバレッジドファンドは13,822枚の売り持ちで同区分に買い持ちはありません。その他報告義務者が4,824枚、非報告者が1,011枚の売り持ちです。カテゴリ別の集計であるため、ビットワイズの持ち高や相手方が特定できるわけではなく、時点も明細より7日前です。

同じ運用会社の中に対照的な設計が並んでいる点も示唆的です。ビットワイズのXRP ETFは9月2日時点で361,995,068.31XRP、約5億3130万ドルを信託内に保有し、SEC提出書類は保有するXRPの価値への連動を目的とし、XRPが唯一の資産だと定めています。片方は方向性のない在庫、もう片方は現物エクスポージャーです。

「機関投資家のXRP需要」という表現には、値上がりを期待する買いと、値動きを消して先物プレミアムを取りにいく在庫の両方が含まれています。どちらの比率が高いのかは、公開情報からは依然として分からないままとなりそうです。

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