ビットコイン急騰の起点は米国債|48時間に起きた3つの動きとは
よきょい

8月18日から19日にかけて、仮想通貨市場を取り巻く環境が短期間に大きく動きました。SECが暗号資産の資金調達に関する新規則案を公表し、翌19日には米財務省が長期国債の買い戻し規模を倍増すると発表。同日ホワイトハウスでは、トランプ大統領が仮想通貨業界の経営者を招いた会合を開いています。
市場の反応は明確でした。ビットコイン(BTC)は6万9500ドルを超え、6月2日以来の高値を付けています。20日午前9時10分時点の円建て価格は1BTC=1100万円前後で、過去24時間比6.8%高。イーサリアム(ETH)は35万円台半ばで同17.0%高、XRPは170円台半ばで同9.9%高と、主要銘柄がそろって上昇しました。
Bitcoin price by TradingView
ただし、この上昇の起点は仮想通貨市場の内部にはありません。直接の引き金は米国債市場であり、その余波としてドル円も158円台へと下落しています。本記事では、48時間に起きた3つの出来事を整理したうえで、FX・仮想通貨の双方にとって何が焦点になるのかを解説します。
① 48時間の動き──起点は仮想通貨ではなく米国債市場
まずは時系列で整理します。材料が重なった順序を追うと、相場を動かした主因がどこにあったのかが見えてきます。
| 日時 | 出来事 | 市場の反応 |
|---|---|---|
| 8月17日 | 30年債利回りが5.31%まで上昇し、2007年以来の高水準に到達 | 長期債の売り圧力が続き、リスク資産全般に重荷となる展開 |
| 8月18日 | SECが「Regulation Crypto Assets」規則案を公表 | 政策面の前進として受け止められるも、相場への即効性は限定的 |
| 8月19日 | 米財務省が長期国債の買い戻し上限を「少なくとも2倍」に引き上げると発表 | 30年債利回りが9bp低下の5.196%、10年債は6bp低下の4.647% |
| 8月19日 | ホワイトハウスで大統領と仮想通貨業界幹部の会合が開催 | クラリティ法案への言及を受け、規制整備への期待が改めて意識される |
| 8月19日 | BTCが6万9500ドル超へ急伸し、直近4時間で約14億ドルの空売りが清算 | ショートカバーを巻き込み、上げ幅が一段と拡大する流れ |
| 8月20日 | 東京市場でドル円が158円台前半へ下落 | 日米金利差の縮小が意識され、ドル売りが優勢となる地合い |
今回の上昇は仮想通貨固有の材料というよりも、マクロ要因と大規模なショートカバーが重なった結果とされています。実際、値動きの順序を追うと、米国債利回りの低下が先行し、そこにリスク資産全般への資金流入が続いた構図が確認できます。
② 3つの材料の中身──即効性があったのは財務省の一手
同じ「好材料」でも、性質と時間軸は大きく異なります。3つを並べて整理します。
| 材料 | 内容 | 時間軸 |
|---|---|---|
| 米財務省の 買い戻し倍増 | 10〜20年債と20〜30年債が対象。1回あたり上限20億ドルを「少なくとも40億ドル」へ。9月9日適用、11月4日まで継続 | 即効性あり。発表直後に利回りが低下し、ドル安・リスクオンが進行 |
| SECの 新規則案 | 登録免除でのトークン発行枠を新設。スタートアップ免除が上限500万ドル、資金調達免除が上限7500万ドル。州法の登録要件も一部プリエンプト | 中期。パブリックコメントは連邦官報掲載から60日間で、確定には時間を要する |
| ホワイトハウス 会合 | Coinbase・Ripple・Kraken・Robinhoodなどの経営陣とSEC・CFTC両委員長が同席。大統領がクラリティ法案の可決を議会に要請 | 長期。法案は9月15日の採決が焦点で、成立の可否は依然不透明 |
相場を直接動かしたのは財務省の発表です。米連邦政府の総債務残高が初めて40兆ドルを突破するなかでの長期債買い戻し拡大であり、市場は「当局が動く用意がある」というシグナルとして受け止めました。もっとも、増額幅そのものは32兆ドル規模の米国債市場に対して小さく、財政赤字やインフレといった根本的な問題の解決にはならないとの指摘も出ています。
SECの規則案については、規制の枠組みが「執行による規制」から成文ルールへ移行する転換点として評価する声があります。一方で、あくまで提案段階であり、パブリックコメントを経た確定までには相応の時間がかかります。
ホワイトハウス会合は、政策の方向性を確認する場としての性格が強いものでした。トランプ大統領は議会に対しクラリティ法案の可決を求め、SECのアトキンス委員長、CFTCのセリグ議長も規制整備の進展を強調しています。会合に出席したRippleのガーリングハウスCEOは、米国で6700万人が仮想通貨を保有しているとの数字を挙げ、業界が周縁的な存在ではなくなったとの認識を示しました。
③ 今後の焦点──9月15日のクラリティ法案採決と円建て価格の注意点
目先の最大の政治日程は、9月15日に予定されるクラリティ法案の手続き投票です。ただし、その位置づけには注意が必要です。
| 項目 | 現状 |
|---|---|
| 9月15日の投票 | 法案そのものの最終採決ではなく、審議に入るための動議に対するクローチャー投票。米東部時間14時15分から |
| 必要票数 | 60票。可決されれば本格審議へ進み、否決されれば法案が事実上頓挫する可能性 |
| これまでの経過 | 下院は294対134で可決済み、上院銀行委員会は15対9で可決。上院本会議での採決は8月の休会入りで先送り |
| 未決着の論点 | 政府高官の利益相反を巡る倫理条項、ステーブルコインの利回り付与、不正資金対策の水準など |
| 市場の織り込み | Galaxy Researchは年内成立確率を50%から30%に引き下げ、予測市場でも一時17%程度まで低下 |
議会日程の制約も指摘されています。上院の再開は9月14日で、10月の選挙休会までの実働日数は限られます。11月には下院全議席と上院の約3分の1が改選を迎えるため、選挙対応が審議時間を圧迫するとの見方が出ています。
もう一つの焦点は金融政策です。8月19日に公表されたFOMC議事要旨では、インフレが低下しない場合には利上げが必要になるとの意見が多く示されました。財務省の買い戻し拡大が長期金利を押し下げる一方、FRB側からは引き締め方向の議論が出ているという、ねじれた構図になっています。
また今回のドル建てBTCの上昇局面では、同時にドル円が158円台へ下落しています。円建て価格は「BTC/ドル × ドル円」で決まるため、円高が進めばドル建ての上昇幅ほどには円建て価格が伸びない点に注意が必要です。ドル建てと円建ての騰落率は一致しません。
まとめ:材料は政策、値動きの起点はマクロ
今回の急伸は、規制整備への期待が語られた一方で、実際に相場を動かしたのは米国債市場の需給と金利低下、そしてそれに伴うショートカバーでした。政策面の材料は方向性を示すものの価格への反映には時間差があります。
当面の注目点は3つに絞られます。9月9日から始まる財務省の買い戻し拡大が長期金利を実際に押し下げられるか、9月15日のクラリティ法案の投票が60票を確保できるか、そしてドル円が158円台からどちらに振れるかです。FX・仮想通貨のいずれを取引する場合も、この3つは同じカレンダー上で追う必要があります。
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記事ソース:Youtube


























































