28年ぶりの日米協調介入|円建てBTCは為替だけで約4%目減り

2026/08/03・

よきょい

28年ぶりの日米協調介入|円建てBTCは為替だけで約4%目減り
ct analysis

2026年8月3日、片山さつき財務大臣が大臣談話を発表し、米国東部時間7月31日に米国財務省と協調して円買い介入を実施したことを明らかにしました。円買い局面での日米協調介入は1998年6月以来およそ28年ぶり、協調介入そのものとしては2011年以来15年ぶりとなります。ドル円は7月下旬に1ドル=164円に迫り、およそ40年ぶりの円安水準にありました。

為替の急変は、円建てで仮想通貨を売買する投資家にとって無関係ではありません。ビットコインの円建て価格はドル建て価格とドル円の掛け算で決まり、円を調達通貨とする取引の巻き戻しはリスク資産全般の需給を揺さぶるためです。

この記事では、これら事実を整理したうえで仮想通貨市場への影響を経路ごとに見ていきます。

円買いでの日米協調介入は1998年6月以来28年ぶり

談話によると、今回の介入は2025年9月の「日米財務大臣共同声明」に基づき、円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものと説明されています。今後さらなる協調介入を実施することも躊躇しない、という強い表現が使われました。ベッセント財務長官も同様の姿勢を示しています。

経緯としては、政府・日銀が7月30日に約3カ月ぶりの円買い・ドル売り介入を実施し、市場では6兆〜9兆円規模との観測も出ています。同じ日にニューヨーク連邦準備銀行が金融機関へのレートチェックを行い、ドル円は162円台後半から157円台へ50分ほどで約5円動いたとされています。その後160円台に戻す場面を挟み、31日のニューヨーク市場で再び157円台前半まで円が上昇しました。

根拠は2025年9月の共同声明、原資はFIMAレポで調達へ

共同声明では、為替レートは市場で決定されるべきとしつつ、過度の変動や無秩序な動きは経済・金融の安定に悪影響を与え得ると再確認されていました。介入は減価・増価のいずれへの対応としても適切と考えられる場合に留保されるべきとされており、この対称性が今回の円買い協調につながったとみられています。

もう一つ注目されるのが、日本が将来的に米国連邦準備制度の「外国・国際通貨当局向けレポ・ファシリティ」(FIMAレポ・ファシリティ)を活用する予定だと明記された点です。保有する米国債を担保に短期のドル資金を調達できる仕組みで、米国債を売却せずに介入原資を確保しやすくする狙いがあるとみられます。

介入規模の公式な数字は未確定です。財務省の実施状況は、7月30日から8月26日までの期間総額が8月28日に、日付別の内訳を含む7〜9月分が11月上旬に公表される見通しとされています。米国側については50億〜100億ドル規模との報道が出ています。



円建てビットコインは、ドル建てが動かなくても為替で目減り

国内取引所で表示されるビットコインの円建て価格は、実質的にドル建て価格にドル円を掛けたものです。ドル建て価格が動かなくても、円高が進めば円建て価格は下がります。164円から157円への動きは率にしておよそ4%で、その分だけ評価額が削られる計算になります。

※表は横にスクロールできます

ドル円円建て1BTC164円時点との差
164円約1,033万円基準
158円約995万円▲3.7%
150円約945万円▲8.5%
140円約882万円▲14.6%

ドル建て価格を6万3,000ドルで固定した場合の単純換算。実際にはドル建て価格自体が動くため、この通りにはなりません。

足元の水準です。8月3日午前9時10分時点で、ビットコインは1BTC=1,000万円前後、イーサリアムは1ETH=29万円台半ばで推移しています。

円建ての最高値は2025年10月に付けた約1,890万円とされており、現在はそこからおよそ半値です。ドル建てでも当時の12万ドル台から大きく水準を切り下げており、為替以前に市場全体が調整局面にある点は押さえておく必要があります。

最大の論点は円キャリートレードの巻き戻しリスク

二つ目の経路が円キャリートレードの巻き戻しです。低金利の円を借りてリスク資産に投資する取引は円高とボラティリティ上昇が同時に起きると採算が悪化し、一斉に手仕舞われやすい性質があります。ビットフィネックスは7月時点で、ビットコインにとって最大の懸念は円キャリーの巻き戻しだとして警戒を呼びかけていました。

記憶に新しいのが2024年8月です。7月初めに162円台だったドル円は、7月31日の日銀利上げを受けて153円まで進み、8月5日には141円70銭を付けました。この局面ではレバレッジポジションの解消が連鎖し、株式や仮想通貨が大きく売られました。起点が日銀の政策か日米の協調介入かという違いはありますが、並べて見ておく価値はあります。

2024年8月の巻き戻し
日銀利上げが起点
2026年7月の介入
日米協調介入が起点
円安局面のドル円
162円台
2024年7月初旬
164円近辺
2026年7月下旬
円高が進んだ水準
141円70銭
2024年8月5日
157円台前半
2026年7月31日
円高方向への振れ幅
約20円
約1カ月で進行
約7円
現時点までの振れ

金融政策の側も無風ではありません。日銀は7月31日の会合で政策金利を1.0%に据え置きましたが、6月会合ですでに利上げを決めており緩和方向への転換ではありません。植田総裁は利上げペースが加速することもあり得るとの認識を示したと伝えられ、介入と利上げ観測が同時に走る状況は、円を調達通貨とする取引の逆風になりやすいとみられています。



一方で「米国債を売らない介入」はドル流動性に中立寄り

今回の枠組みにはリスク資産にとって悪くない側面もあります。日本が単独で大規模な円買い介入を行う場合、原資を得るために米国債を売却するとの連想が働き、米長期金利の上昇を通じて逆風が吹くとの見方が出やすくなります。FIMAレポの活用が明記されたことは、この連想を弱める方向に働きます。

米国側の介入規模が数十億ドル程度にとどまるとの見方も同じ文脈です。ドルを本格的に放出して金融環境を引き締める話ではないため、今回の協調介入が2024年8月型の急落に直結すると決めつけるのは早計との指摘も出ています。

整理すると、円高は円建て価格の下押し要因、キャリー巻き戻しは需給面の下押しリスク、ドル流動性への配慮は下支え要因という構図です。どれが優勢になるかは、追加介入の有無と日銀の次の一手に左右されそうです。

まとめ

日米双方が躊躇しないと明言している以上、円安方向への揺り戻しが強まれば追加対応の可能性が残ります。数字の面では、8月28日に公表される介入総額が最初の答え合わせです。事前の観測を大きく上回れば当局の本気度が確認され、下回れば口先介入としての側面が意識される展開もあり得ます。

確定している事実を整理します。日米両政府は米国東部時間7月31日に円買いの協調介入を実施し、円買い局面としては28年ぶりとなりました。根拠は2025年9月の共同声明で、日本はFIMAレポ・ファシリティの活用を予定しています。ドル円は164円近辺から157円台前半まで円高が進み、ビットコインは1,000万円前後で推移しています。

一方で未確定の論点も残ります。介入の実額、追加介入の有無、日銀の利上げペース、そして円キャリートレードの巻き戻しがどこまで進むかです。円建て価格が為替に削られる分は算術で見積もれますが、需給面の影響は事前には測れません。当面は8月28日の実績公表と日銀の情報発信をにらみながら、円建てとドル建てを分けて見る姿勢が焦点となりそうです。

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