売らずに借りる節税の代償|DeFiのデフォルト債務39.6%増
よきょい
テキサス大学オースティン校のリサ・デシモーネ氏、シンガポール国立大学のペイイ・ジン氏とダニエル・ラベッティ氏によるワーキングペーパーが、税の繰り延べを動機とする借り入れとDeFiの信用リスクを結びつけました。
対象はBNBスマートチェーンの貸出プロトコルVenusで、2020年11月12日から2022年7月31日までの上位15トークン、約1,300万件の取引を136万件の日次借り手観測に整理し、約3%がデフォルトに至っています。
構図は単純です。1,000ドルで買ったETHが4,000ドルになった保有者が1,000ドル分を売れば750ドルの譲渡益が実現しますが、ETHを担保に1,000ドルのステーブルコインを借りれば課税を伴う売却は起きず、値上がり益への持ち高も残ります。ただし債務は担保価値の25%から始まり、ETHが2,000ドルまで下げればLTVは50%に倍増し利息が上乗せされます。同論文はLTV60%の上限を7日以上超過し、その後の借り入れも預け入れもない状態をデフォルトと定義しました。
自然実験として使われたのが2021年11月15日成立のインフラ投資雇用法です。第80603条がデジタル資産のブローカーに情報報告義務を拡大したことで、米国の納税者と推定される利用者だけが将来の可視化を意識する状況が生まれました。米国系と推定される借り手は取引確率が国際的な利用者と比べ24.5%低下し、ステーブルコイン建て債務の借り手ではさらに23%低下しています。同論文は標本内の米国系借り手が年平均3,357.42ドルの譲渡益課税を繰り延べたと推定し、これは取引ポートフォリオの約17%に相当します。
問題はその先です。操作変数法による推定では、税に起因する非流動性が1%上昇すると、デフォルト口座は11.2%、デフォルト債務額は39.6%増加しました。1標準偏差の上昇は借り手あたり約350ドルの追加債務に相当します。スマートコントラクトは担保価格、債務残高、清算閾値を見ていますが、取得価格や税務上の動機は計算に入りません。同じ担保と同じ債務を持つ2つのウォレットでも、片方は売却をためらい続ける可能性があるわけです。
単一プロトコルの標本であり米国居住も行動から推定した点には留保が必要ですが、清算が機能しなかったときの損失は準備金やプールの資金提供者に及びます。
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