主要コード非公開でもハッキング成立、490万ドル流出|Injective

2026/09/03・

よきょい

レイヤー1ブロックチェーンのInjectiveで8月31日、約3時間42分にわたりブロックが生成されない状態が発生しました。原因はバイナリーオプション市場を悪用した攻撃で、約490万ドル相当がイーサリアムへ移されています。

財団は9月1日に「停止ではなくアップグレード」と説明し、コンセンサスとネイティブトークンINJ、ステーキング資産に影響はなかったとしています。

複数の調査者の分析によれば、攻撃の起点は市場識別子(market_id)の衝突です。Injectiveはオラクル種別、ティッカー、決済通貨、オラクル記号、提供元を区切り文字も長さ情報もなく連結してmarket_idを生成していました。攻撃者はこの性質を利用し、INJ建ての保険基金がUSDC建てバイナリーオプション市場の識別子と衝突する状態を作ります。価格が付かず返金処理へ回るとき、システムはUSDC建ての不足を、結びついたINJ基金の生の数値で埋めようとしました。

299個の使い捨て市場

攻撃の手順は機械的でした。攻撃者は自らが管理者となるバイナリーオプション市場を立ち上げ、自前のオラクルを紐づけます。オラクル記号には「NO_PRICE_FOR_REFUND」を含む文字列が使われ、満期と決済のタイムスタンプは約10秒差、手数料は極小、想定元本は上限なし。あらゆるパラメータが「価格なし返金」の経路へ一直線に向かうよう設定され、こうした短命の市場が299個作られました。

緊急版v1.20.3-safeharbor.1では、保険基金の通貨単位チェックが追加され、メインネットでのバイナリーオプション決済が無効化されました。修正がプロトコルの中核コードに入ったという事実は、脆弱性がアプリ側ではなくチェーン本体のモジュールにあったことを示します。

ソースを閉じても攻撃者は見つけた

もう一つ指摘されているのが、Injectiveが中核コードのリポジトリを非公開にしていた点です。攻撃者に脆弱性を見つけにくくするという狙いでしたが、今回の攻撃はソースコードを読まなくても成立します。市場を作り、オラクルを紐づけ、返金経路を踏むという操作は、いずれも公開されたインターフェースから可能だからです。秘匿は攻撃者ではなく監査する側の目を減らしました。

停止中の広報も批判を集めました。公式アカウントは同時間帯に新機能の宣伝を2回投稿し、停止には触れていません。詳細な事後検証は未公表で、最終的な損失額、負担した主体、補填の原資も明らかにされていません。

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