【今日のマクロ経済】8月雇用統計は16.2万人増と予想上回るも9月利上げは不透明
よきょい
9月7日現在、8月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比16.2万人増と、市場予想に反して大幅増となりました。ただし平均時給は市場予想通りながら前月から減速しており、9月利上げの織り込みは6割程度まで戻したものの決め手には欠ける状態です。市場の関心は既に11日発表の8月消費者物価指数(CPI)へ移っています。
一方、為替では円高が進みました。前週に日銀の利上げ観測が高まったことに加え、高市政権の財政運営見直しへの期待やGPIFによる国債保有拡大観測を背景に、円高と債券高が同時に進む展開となっています。
📈 主要指標(9月7日)
| 銘柄 | 直近価格 | トレンド | 一言コメント |
|---|---|---|---|
| S&P 500 | 7,718.60 | 下落 | 雇用統計の強さで利上げ観測が再燃し-0.38%。SOXは+3.38%と半導体は大幅高 |
| 日経平均 | 65,020.94円 | 上昇 | AI・半導体主導で+1.26%と5営業日ぶり反発。円高で自動車株には売りが先行 |
| 金(Gold) | $4,400〜4,430/oz | 保合い | 4,400ドル台で小動き。4,300ドル台の安値からは戻すも上値は限定的な推移 |
| 原油(WTI) | $90前後/bbl | 保合い | 90ドル前後で高止まり。中東情勢の緊迫を織り込んだ水準が定着しつつある |
| BTC | $80,100〜80,500 | 上昇 | 一時8万2000ドル付近まで戻し8万ドル台を回復。ETF資金流入が下値を支える |
| ETH | $2,480〜2,514 | 上昇 | 2,500ドルの節目を回復し週末も堅調。2,400ドル割れの局面から着実に戻す |
| SOL | $105〜111 | 上昇 | 100ドル割れから111ドルへ急反発。主要銘柄のなかで最も強い戻りを示現 |
| XRP | $1.41〜1.42 | 上昇 | 1.35ドル付近から1.41ドル台へ持ち直し。8月の急騰後の調整に歯止めがかかる |
📊 マクロ経済:本日の注目トピックス
① 8月雇用統計は16.2万人増、それでも9月利上げは不透明
8月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比16.2万人増と市場予想に反して大幅増となりました。7月が2.3万人の減少だったことを踏まえると、労働市場の減速シナリオを一度は覆す内容です。米国債券市場では追加利上げ観測が強まり、2年債利回りは4.37%前後まで上昇して一時2025年1月以来の高水準を付けました。
ただし手放しで強い内容とは言えません。平均時給は市場予想通りだったものの、前月からは減速しています。賃金上昇の勢いが鈍っているということは、インフレ圧力の一つの経路が弱まっていることを意味します。9月利上げの織り込みは6割程度まで戻りましたが、決め手には欠ける状態です。
市場の関心は既に11日公表の8月CPIへ移っています。9月15日・16日のFOMCでの利上げ実施はなお不透明との見方が残るなか、物価指標が最終的な判断材料となる構図です。
② トランプ大統領がFRBに利下げ圧力
見過ごせない動きがありました。トランプ米大統領がSNSで、FRBに対して利下げをしなければ対米貿易黒字国との取引を停止するとし、米国の金利は世界のどの国よりも低くあるべきだと投稿したのです。中央銀行の政策判断に通商政策を絡めて圧力をかける内容であり、FRBの独立性が損なわれることへの懸念が再び浮上しつつあります。
一方で同じ日、ハマック・クリーブランド連銀総裁はSNSでインフレ率が高すぎるとし、行動を起こすべき時だと投稿しました。政治的な利下げ圧力と、当局者による利上げ主張が正面から対立する構図です。ジャクソンホールでウォーシュFRB議長がインフレ抑制を重視する姿勢を鮮明にして以降、FRB内部では利上げ方向の見方が優勢でしたが、そこへ大統領からの逆方向の圧力が加わりました。
③ 円高と債券高が同時進行
国内市場では前週、円高と債券高が同時に進むという珍しい展開となりました。日銀の利上げ観測が高まったことでビハインド・ザ・カーブ懸念が後退したほか、高市政権の財政運営見直しへの期待やGPIFによる国債保有拡大観測が債券を支えた形です。前週の30年国債入札でも高い利回り水準を背景に一定の需要が確認され、超長期ゾーンの需給環境には改善の兆しもみられます。
ただしこれらはいずれも市場の思惑や観測に基づく面が強く、持続性については慎重な見方も少なくありません。円高の勢いも足元では一服しており、債券相場の上昇余地は限られる可能性があります。日銀の利上げペースやターミナルレート、高市政権の財政運営を巡る不確実性は依然として残ったままです。
8月後半から指摘してきた「金利上昇への耐性」が、原油高という逆風下でも一定程度機能していることを示す動きです。もっとも11日のCPIが上振れすれば利上げ観測が一気に強まる可能性があり、9月15日・16日のFOMCまでは神経質な展開が続きます。
今週は米国が休場明けとなる火曜以降の値動きと、CPI発表前のポジション調整に注意が必要です。
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