【今日のマクロ経済】米空軍がイラン空爆を開始。日本10年債は3%を上抜け
よきょい

9月2日現在、米空軍がイラン国内のイスラム革命防衛隊の拠点に対して空爆を開始し、戦闘が一段と激化しています。ホルムズ海峡周辺のイラン標的への攻撃も報じられ、トランプ大統領は「イランがこれに報復すれば、さらに激しく、より高いレベルで攻撃する」と警告しました。8月の経済制裁を軸とした圧力から、再び軍事衝突の局面へ移行した形です。
原油(WTI)は1バレル90ドルを突破し、1カ月超ぶりの高値をつけました。インフレ再燃への警戒から米10年国債利回りは一時4.80%近くまで上昇し、2025年1月以来の高水準を記録しています。日本の10年国債利回りも夜間取引で一時3.005%と心理的節目の3%を上抜けました。株式はほぼ全面安となり、ビットコインも77,200ドル前後まで水準を切り下げています。
📈 主要指標(9月2日)
| 銘柄 | 直近価格 | トレンド | 一言コメント |
|---|---|---|---|
| S&P 500 | 7,631.47 | 下落 | 原油急騰と金利上昇で-0.71%。ディフェンシブとエネルギー以外はほぼ全面安 |
| 日経平均 | 66,215.34円 | 下落 | 1日は-0.15%と小幅安も本日午前は64,000円台へ急落し-2%台の下げ幅 |
| 金(Gold) | $4,300〜4,375/oz | 下落 | 利上げ観測の強まりで4,300ドル台へ一段安。地政学リスクより金利高が優勢 |
| 原油(WTI) | $90超/bbl | 上昇 | イラン空爆の開始で90ドルを突破し1カ月超ぶりの高値。供給不安が一気に再燃 |
| BTC | $77,200前後 | 下落 | リスクオフで77,000ドル台へ軟化。8万ドル回復後の調整が一段と進む展開 |
| ETH | $2,410前後 | 下落 | BTCに連れ安となり2,400ドル台前半へ。2,500ドルの節目は遠のく形に |
| SOL | $100前後 | 下落 | 100ドルの大台を維持するも主要銘柄で下落幅が大きめ。上昇一服が鮮明に |
| XRP | $1.35前後 | 下落 | 1.35ドル前後へじり安。8月の急騰分を吐き出す動きが継続している状況 |
📊 マクロ経済:本日の注目トピックス
① 米空軍がイラン空爆を開始、原油は90ドル突破
中東情勢が最も深刻な局面に入りました。米空軍がイラン国内のイスラム革命防衛隊の拠点に対して空爆を開始し、ホルムズ海峡周辺のイラン標的を攻撃中とも報じられています。トランプ大統領は「イランがこれに報復すれば、さらに激しく、より高いレベルで攻撃する」と警告しました。
8月の展開を振り返ると、月半ばに米・イラン間の覚書が成果なく期限を迎え、下旬にはデジタル資産を含む5分野への二次制裁という経済圧力へ移行していました。それが1週間ほどで軍事行動の再開へと転じたことになります。8月25日には制裁の影響が限定的との見方から原油が80ドル近辺まで急落し、外交官帰任報道も伝わっていましたが、その緩和ムードは完全に消えました。
原油(WTI)は1バレル90ドルを突破し、1カ月超ぶりの高値です。8月を通じて75ドル台から87ドル台まで往復した値幅を、さらに上抜けたことになります。米国市場では消費財やヘルスケアなどのディフェンシブ銘柄と、原油高の恩恵を受けやすいエネルギーセクターを除き、ほぼ全面安となりました。なお同日発表された米8月ISM製造業景況指数と7月JOLTS求人件数はいずれも市場予想を下回りましたが、中東情勢の緊迫感に打ち消されて相場への影響は限定的でした。指標より地政学が優先される局面です。
② 日本10年債が3%を突破
国内金利がついに節目を超えました。日本の10年国債利回りは1日の取引で一時3%の大台を突破し、前日の夜間取引では3.005%まで上昇しています。8月半ばに30年ぶりの高水準を付けてから、わずか2週間ほどでの到達です。前日に実施された10年国債入札は応札倍率こそ平均並みを確保したものの、最低落札価格は市場予想を下回り総じて弱めの結果となりました。高い利回り水準には一定の需要が認められた一方、利上げ加速や財政拡張への警戒感が根強いことを示しています。
株式市場では、この金利上昇が投資対象の入れ替えを引き起こしています。1日の日経平均は66,215.34円(-0.15%)と小幅続落でしたが、内容を見ると取引開始直後に値がさ株が売られた後、午後にかけて商社や自動車、銀行などが上昇しました。長期金利の上昇で相対的な割高感が際立つAI・半導体関連から、業績で評価されるバリュー株へ資金がシフトしているという指摘が出ています。
これは8月中旬から続いてきた「AI・半導体一極集中の逆回転」が、より明確な形をとったものと見ることができます。8月17日にTOPIXが9営業日ぶりに反落した時点では歪みの表面化にすぎませんでしたが、金利3%という水準に至って、強いテーマへの投資から業績重視の銘柄選別へと回帰する動きが鮮明になりました。米国市場でも金利高がハイパースケーラーの資金調達の足枷となる点が嫌気されており、日米で共通する構図です。
③ リスクオフで仮想通貨が一斉軟化、金も4,300ドル台へ
仮想通貨市場はリスクオフの流れに巻き込まれています。ビットコインは77,200ドル前後まで軟化し、8月下旬に8万ドルを回復した局面からは調整が続いています。イーサリアムは2,410ドル前後、XRPは1.35ドル前後、ソラナは100ドル前後と主要銘柄が揃って下落しました。特にソラナは8月に76ドルから105ドルまで駆け上がった分の反動が出やすく、下落幅は主要銘柄のなかでも大きめです。
注目すべきは金の動きです。金は4,300〜4,375ドルまで一段安となりました。米軍がイランを空爆するという明確な地政学リスクが発生しているにもかかわらず、安全資産であるはずの金が売られています。利上げ観測の強まりによる金利上昇が、地政学リスクによる買い需要を上回っているためです。8月下旬に4,600ドル台を付けた水準からは300ドル近い下落となります。
つまり現在の相場を支配しているのは、地政学そのものではなく、地政学が引き起こす金利上昇です。原油高がインフレ再燃を招き、FRBの追加利上げ観測を強め、金利を生まない資産すべてに逆風となる構図です。当面は中東情勢と原油価格が最大の変数であり、9月上旬の雇用統計とCPIまでは神経質な展開が続きそうです。
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