チリの取引所が閉鎖、700万ドル超が管理外へ|返済期日は示されず

2026/09/08・

よきょい

チリの取引所が閉鎖、700万ドル超が管理外へ|返済期日は示されず

チリの仮想通貨取引所Orionxが9月3日、恒久的な閉鎖手続きに入りました。社内のフォレンジック監査によって、顧客から預かった資産のうち700万ドルを超える分が同社の管理外のウォレットへ移されていたことが判明したためです。

同社は同時に出金を停止し、先に動いた利用者だけが資産を回収して残る利用者が不利になる事態を避けるためだと説明しています。登録利用者は10万人を超えるとされ、返済の期日は示されていません。

問題は資産が消えたことだけではありません。チリ金融市場委員会(CMF)は、この清算を監督する立場になく資産の返還を命じる権限も持たないとの見解を示しました。同委員会は6月19日にOrionxの登録・認可申請を却下しており、同社はフィンテック法の下で登録も認可も受けていない状態にありました。承認事業者に求められる担保の確保を示せなかったことが却下理由に挙げられています。利用者に残された道は、同社自身の返還手続きか裁判所です。

審査中の営業を許した「空白の期間」

却下までの間、Orionxは申請が審査中であることを根拠に営業を続けていました。却下後は既存業務の縮小に限定され、新たな規制対象業務は行えなくなっています。つまり同社は「登録前」でも「登録後」でもない期間に、10万人分の資産を預かり続けていたことになります。

同社は9月2日付で元経営陣に対する刑事告訴を提出し、検察にも資産移動を通報しました。共同創業者2名は不正を否定しています。閉鎖の進行状況を示す同社のトラッカーは5段階のうち1段階目にとどまり、口座残高の照合と分配計画の承認を経なければ返還は始まりません。

日本の枠組みは2027年に切り替わる

日本の仮想通貨交換業者は資金決済法に基づく登録制の下で、利用者財産の分別管理とコールドウォレットによる保管を義務づけられています。一方で、第一種金融商品取引業に課される自己資本規制比率や責任準備金といった規律は置かれていませんでした。2026年7月15日に成立した改正法により、この分野の規制の中心は金融商品取引法へ移ります。施行は公布から1年以内とされ、新制度は2027年中に始まる見通しです。

制度が切り替わる局面では、既存業者が旧制度と新制度のどちらの規律に服するのかという経過期間が必ず生じます。Orionxの事例が突きつけたのは、破綻そのものよりも「どの当局の監督下にもない期間」が現実に存在しうるという点でした。この順序が実務でどう機能するかが、日本の制度においても重要になりそうです。

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