世界最大のBTC企業が指標を刷新|メタプラ株の読み方にも今後影響なるか

世界最大のBTC企業が指標を刷新|メタプラ株の読み方にも今後影響なるか

世界最大のビットコイン保有企業で同通貨の財務戦略を牽引する米ストラテジー社が、投資家向けの指標を大幅に刷新しました。

柱となるのが、ビットコイン財務企業の割高・割安を測る代表的な指標「mNAV」の定義変更です。企業価値をビットコイン準備金で割る従来の方式をやめ、優先株など「普通株主より優先して支払いを受ける権利」を差し引いた後に普通株主へ実際に残る価値をもとに算出する方式へ移行します。

mNAVはメタプラネットなど日本のビットコイン財務企業の評価にも広く使われており、業界最大手による「物差し」の変更は国内投資家にとっても無関係ではありません。



何が変わった?「会社全体」から「普通株主の取り分」へ

mNAVは「株価が会社の持つビットコインに対して割高か割安か」を測る指標です。従来は会社全体の価値(時価総額に負債などを加えたもの)を、保有するビットコイン全体の価値と比べていました。1倍を上回っていれば、市場が保有ビットコイン以上の価値を認めている状態で、企業は新株を発行してビットコインを買い増しても株主の取り分を増やせます。逆に1倍を下回ると、増資による買い増しが株主の不利益になりかねず、ビットコイン財務企業の成長モデルは回しにくくなります。

ストラテジー社が導入した新しい定義では、比べる範囲を「普通株主の取り分」に絞ります。ビットコイン準備金と米ドル準備金の合計から、普通株主より優先される請求権を差し引いた「ネットリザーブ」(発表時点で約370億ドル)に対して、普通株の時価総額が何倍かを見る形です。転換社債や転換権付き優先株については、株価が転換価格を上回っていれば差し引かずに株式数の希薄化として織り込み、下回っていれば優先請求権として差し引く、と株価との関係で扱いを分けます。新定義では「1倍」が明確な分岐点となり、これを上回っている限り、新株発行によるビットコイン購入は普通株主の取り分の増加につながるとしています。

背景に優先証券の拡大

変更の背景には資金調達手段の変化があります。同社はかつて転換社債を中心に資金を集めており、従来の指標はそれらがすべて普通株に転換されると仮定して計算していたため、それで資本構成の実態を捉えられました。しかし現在は、普通株に転換されない優先株を含む「デジタルクレジット」による調達が拡大しています。

普通株主より優先して支払いを受ける相手が増えたため、その分を考慮しないと普通株主の本当の取り分がわからなくなっていました。

「1倍割れ」のメタプラ株、読み方はどう変わるか

ストラテジーを財務戦略のモデルとするメタプラネットは、株価がmNAV1倍を下回る状態が続いており、「割安かどうか」の議論の中心に常にこの指標がありました。同社公式トラッカーが示す企業価値ベースのmNAVは7月24日時点で0.83倍です。

新定義の考え方に照らすと、この「1倍割れだから割安」という読み方は単純には成り立たなくなります。

メタプラネットにも社債や外貨建て債務、2025年12月に第三者割当で発行した非上場の優先株式「MERCURY」があり、新しいmNAVはこうした普通株主より優先される請求権を考慮して「取り分」を測る発想だからです。ただしMERCURYは普通株への転換機能を持つ設計のため、仮にストラテジー方式を当てはめる場合も全額を単純に差し引くのではなく株価との関係で扱いが決まることになります。

同社は優先株式の証券取引所への上場を計画しており、優先証券による調達が広がるほど「どの定義で測るか」の重みは増します。本家が変えた「物差し」は日本の投資家のメタプラ株の読み方にも影響を与えていく可能性があります。

 

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