金商法改正まとめ|仮想通貨の税率20%・BTC ETF・SNS規制

2026/07/26・

よきょい

金商法改正まとめ|仮想通貨の税率20%・BTC ETF・SNS規制

仮想通貨を「金融商品」として金融商品取引法(金商法)の規制対象に位置づける改正法が、2026年7月15日の参議院本会議で可決・成立しました。これまで資金決済法のもとで決済手段として扱われてきた仮想通貨が、株式や債券と並ぶ投資対象として制度に組み込まれることになります。

個人投資家にとっての要点は、税率20%の申告分離課税への移行と国内ビットコインETFの解禁という2点に集約されます。本記事では、いつ何が変わるのか、そして手元の投資判断にどう効いてくるのかを整理します。

税率が最高55%から20%へ|適用は2028年から

最も影響が大きいのが税制です。従来、仮想通貨の売却益は雑所得として最高55%の総合課税が課されてきましたが、国民の資産形成に資する一定の仮想通貨に限り、原則20%の申告分離課税へ移行することが手当てされました。あわせて、発生した損失を3年間繰り越せる控除制度も盛り込まれています。

株式と同じ税率になる意味は小さくありません。これまでは利益が出るほど税負担が重くなる構造だったため、利確のタイミングそのものが税率に左右されてきました。分離課税への移行は、こうした制約を大きく緩めることになります。

ただし適用時期には注意が必要です。改正法の施行は2027年度中の見込みで、税制の適用は施行に連動します。2027年中に施行された場合、実際に20%が適用されるのは2028年分の所得からとなる見通しです。つまり、現時点の売買には引き続き従来の税率が適用されることになります。



国内ビットコインETFはいつ解禁されるのか

もう一つの焦点がETF(上場投資信託)です。仮想通貨が「金融商品」と定義されることで、これまで組成を阻んできた制度上のハードルの一つが解消されます。

片山さつき財務・金融担当相は7月10日、金融情報サービスQUICKのセミナーの基調講演で、仮想通貨ETFについて日本でも「解禁する方向で検討を進めたい」と述べました。証券口座を通じて売買できるETFは、仮想通貨への直接投資にハードルを感じてきた個人投資家や、社内規定で保有が制限されてきた機関投資家に新たな投資経路を開くことになります。

もっとも解禁までの道のりは短くありません。ETFの組成には投資信託法の施行令改正が必要で、その改正は2028年までに行われる見通しと報じられています。早ければ施行初年度の2027年中に東京証券取引所へ上場するとの見方も一部で示される一方、国内ETFの誕生が2028年以降になる可能性も残ります。

市場規模は3兆円との試算も

解禁された場合の資金流入について、仮想通貨の市況分析を手掛けるXWIN Japanは、2028年度までに最大約184億ドル(約3兆円)が流入し得るとの試算を示しています。家計金融資産や投信市場の規模、NISAの普及状況、米国での成長実績などを組み合わせたものとされています。

3兆円という規模は、日本の家計金融資産約2,385兆円に対してわずか0.13%、ETFを除く公募株式投信の純資産総額(約207兆円)と比べても1.4%程度にとどまります。一方で、先行する米国の現物ビットコインETFの純資産は約788億ドル(約12.9兆円)。3兆円は米国市場の4分の1弱の規模を日本単独で作る計算でもあります。

ただし国内ETFの誕生が2028年以降になるとすれば、試算の期限までの助走期間はほとんどありません。あくまで想定される需要がすべて実現した場合の強気シナリオであり、解禁初年度の流入額を保証する数字ではないとみられています。



取引ルールも変わる|インサイダー規制とSNS発信

改正では、仮想通貨を対象としたインサイダー取引規制が初めて導入されます。発行体や取引業者などの関係者が未公表の重要事実をもとに売買を行うことが禁じられ、重要事実の伝達や取引の推奨行為も処罰の対象となります。無登録業者に対する罰則も、拘禁刑3年から10年へ大幅に引き上げられます。

個人にとって見落としやすいのがSNSでの発信です。参議院審議では、価格上昇を煽る投稿や、経済的な利害を持つインフルエンサーによる発信が違法行為に当たらないかが問われました。金融庁の井上企画市場局長は、一般的な情報発信が直ちに勧誘に当たるわけではないとしつつ、「形式だけでなく実態に即して判断する」と答弁しています。

海外では著名人の宣伝がすでに摘発対象となった例があります。米SEC(証券取引委員会)は2022年、タレントのキム・カーダシアン氏がトークン「EthereumMax」をSNSで宣伝した際に報酬の受領を開示しなかったとして、約126万ドルの支払いで和解しました。

施行後は、軽い気持ちの「推し活」投稿でも、案件報酬や自己保有の有無といった実態次第で規制対象と見なされる可能性があり、注意が求められることになりそうです。

「金融庁が認めたから安全」は誤解

審議で政府が繰り返し強調したのは、「投資を推奨するものではない」という点でした。金商法が保障するのは市場のルールであり、価格を保障するものではないという整理です。

片山財務・金融担当相は、仮想通貨は価格変動リスクが大きい一方、伝統的な金融商品と異なる値動きをするためオルタナティブ投資の選択肢になり得ると述べたうえで、本改正は「ことさらに投資を推奨し、お墨付きを与えるものではない」としています。全会一致で採択された14項目の附帯決議にも、分離課税化がお墨付きを与える意図ではないことの周知徹底が盛り込まれました。

この線引きは海外の当局も腐心してきたテーマです。米SECが2024年1月に現物ビットコインETFを承認した際も、当時のゲンスラー委員長は「ビットコインを承認・推奨したわけではない」との異例の声明を出しています。

まとめ|2027年度施行に向けた時間軸

整理すると、2027年度に改正法が施行され、2028年から20%の申告分離課税が適用される見込みです。ETFについては投資信託法の施行令改正が2028年までに行われる見通しとされ、国内上場の時期は依然として流動的です。

税制優遇とETFという二つの追い風が同時に訪れる一方、インサイダー規制やSNS発信のルールなど、これまでになかった制約も生じます。制度が実際に動き出すまでにはまだ時間があり、施行令改正から商品組成、上場承認までの進み方を見極める段階が続くことになりそうです。

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