キオクシアQ1決算まとめ|売上415.5%増、1対3の株式分割へ

2026/08/01・

よきょい

キオクシアQ1決算まとめ|売上415.5%増、1対3の株式分割へ
ct analysis

キオクシアホールディングスが2026年7月31日、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の決算を発表しました。売上収益は1兆7,671億円と前四半期比76.2%増、前年同期比では415.5%増となり、Non-GAAP営業利益率は75.0%に達しています。生成AI向けデータセンター需要を背景としたNAND型フラッシュメモリの需給逼迫が、数字の全面的な押し上げにつながった形です。

同日には1対3の株式分割と上限8,000億円の自社株買いも公表され、財務・還元の両面で節目となる内容が並びました。この記事では、決算説明会資料をもとに業績の中身と今後の見通しを整理します。

業績ハイライト:全項目でガイダンスを超過

5月15日に示していたガイダンスに対し、売上収益・営業利益・当期純利益のいずれも上振れて着地しました。主な指標は以下のとおりです。

項目Q1実績Q1ガイダンス前四半期(Q4)
売上収益1兆7,671億円1兆7,500億円1兆29億円
Non-GAAP営業利益1兆3,262億円
マージン75.0%
1兆3,000億円5,991億円
マージン59.7%
Non-GAAP当期純利益8,870億円
マージン50.2%
8,700億円4,099億円
マージン40.9%
Non-GAAP EBITDA1兆4,021億円
マージン79.3%
6,753億円
マージン67.3%
Non-GAAP EPS1,621.81円1,593.15円751.78円
為替レート160円/ドル159円/ドル155円/ドル

会計基準どおりのIFRSベースでは、営業利益が1兆2,700億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が8,422億円です。Non-GAAPとの差562億円には訴訟損失引当金繰入額366億円と株式報酬費用194億円が含まれており、一過性の項目を除いた実力値としてNon-GAAPが併記されています。

増収の主因は出荷量ではなく販売単価

売上が前四半期比で1.8倍近くに膨らんだ一方、記憶容量ベースの出荷量の増加は1桁前半%にとどまりました。伸びのほぼ全てを担ったのは価格で、米ドルベースの販売単価は前四半期比で約70%上昇しています。製品構成の変化を除いたLike-for-likeベースのブレンドASPも同程度の上昇とされ、ミックス改善ではなく純粋な値上がりが効いた構図です。

コスト側は落ち着いており、Non-GAAP売上原価(研究費除く)は3,371億円から3,616億円へ7%程度の増加にとどまりました。売上原価率は前四半期の34%から20%へ低下し、これが利益率の急上昇に直結しています。



データセンター・エンタープライズ向けが売上の6割超

アプリケーション別では、SSD&ストレージが1兆1,747億円(前四半期比95.7%増)と全体の66%を占めました。同社の説明によれば、この区分のうちデータセンター・エンタープライズ向けが売上構成比で6割を超え、AIサーバー向け需要を受けて物量・売上ともに過去最高を更新したとのことです。PC向け等は4割弱で、こちらは販売単価の上昇が増収の中心とされています。

スマートデバイスは5,257億円(同55.8%増)で構成比30%、SDメモリカードなどを含むその他は667億円で4%でした。生産面では第8世代BiCS FLASH™の生産比率が50%を超え、主力世代の切り替えが進んでいます。

1対3の株式分割と最大8,000億円の自社株買い

財務基盤の改善を受け、同社は株主還元策を2つ同時に打ち出しました。株式分割は普通株式1株につき3株の割合で、基準日は2026年9月30日、効力発生日は10月1日です。投資単位を引き下げ、投資家層の拡大を図る狙いとされています。

自社株買いは取得株式総数の上限が3,000万株(発行済株式総数から自己株式を除いたものの5.5%)、取得総額の上限が8,000億円です。取得期間は2026年8月3日から10月30日までで、東京証券取引所における取引一任契約に基づく市場買付を予定しているとのことです。決算説明資料では、成長投資・資本効率・株主還元に関する幅広い施策を引き続き検討するとしています。



株価はストップ高で引ける一方、夜間のPTSでは反落

キオクシア – SBI

決算発表と同じ7月31日、キオクシア株はストップ高となる46,500円で取引を終えました。前日比7,000円高(17.72%高)で、始値・高値・安値がいずれも46,500円と、比例配分を伴う値幅制限いっぱいの水準に張り付いた形です。出来高は1,179,600株、売買代金は約548億円でした。

ただし水準としては、6月22日に付けた上場来高値112,700円からなお約59%低い位置にあります。信用買残は1,138万株と前週比250万株減、信用売残は54万株で同16万株増、貸借倍率は20.98倍でした。

8月1日0時31分時点のPTS(夜間取引)は44,500円と基準値比4.30%安で、日中の急騰に対する利益確定の動きも出ています。

まとめ:数字は過去最高、焦点は持続性へ

今回の決算は、売上・利益・キャッシュ・フローのいずれもが過去最高を更新し、ネットキャッシュへの転換と大型還元策までが同時に示された内容でした。一方で増収の中身は販売単価の上昇に大きく依存しており、収益の持続性はNAND価格の推移次第という構図も残ります。

同社はAgentic AI向けアプリケーションがNAND需要拡大の主要な成長ドライバーになりつつあり、需要はまだ立ち上がり段階との認識を示しています。長期供給契約によるカバー率の引き上げと、北上工場での第10世代BiCS FLASH™の生産開始をはじめとする供給体制の整備が、価格変動への耐性をどこまで高められるかが次の論点となりそうです。

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