世界21行がステーブルコイン新会社へ|日本は三菱UFJ1行だけ
よきょい
世界21の金融機関が9月1日、共同でドル建てステーブルコインを発行する新会社を2026年後半に設立すると発表。ゴールドマン・サックス、シティ、バンク・オブ・アメリカ、ドイツ銀行、UBSなどが名を連ね、2027年前半のサービス開始を目指します。日本から参加するのは三菱UFJ銀行(MUFG)1行だけです。
この連合は2025年10月に10行で始まった検討が2倍に膨らんだもので、参加機関は北米・欧州・東アジア・中東・アフリカに広がります。用途はホールセール、機関投資家、リテールにまたがり、クロスボーダー決済とデジタル資産の決済が中心です。
米国のGENIUS法とEUのMiCAへの準拠を掲げていますが、社名もトークン名も採用ブロックチェーンも準備資産の保管先もまだ決まっていません。
MUFGが立つ二つの戦線
注目すべきは、MUFGが同時に円建てでも動いている点です。同行は三井住友銀行、みずほ銀行と信託型の円建てステーブルコインを共同発行する方針で、2026年度中の実取引開始を目指しています。2025年11月から金融庁と連携した実証実験を進め、運営方法を検討する協議会も設けました。ドル建てはグローバル連合で、円建ては国内3メガでという二正面の構えです。
これは分業として合理的です。ドル建てステーブルコインの実需はクロスボーダー決済と資産決済にあり、日本の1行だけで流動性を作るのは難しい。一方、円建ては国内の法制度と決済インフラに深く依存するため、国内勢で組んだほうが早い。ただし両者は接続してこそ意味を持ちます。円とドルの間をどう橋渡しするのかは、今回の発表には含まれていません。
利息を払えない銀行トークンの武器
構造的な難題も残ります。GENIUS法は保有するだけの利息付与を禁じており、銀行連合は利回りで既存発行体と競うことができません。ステーブルコイン全体の時価総額は約3037億ドルで、テザーのUSDTが6割超を握ります。先例として、ソシエテ・ジェネラルのドル建てトークンの流通額は1250万ドルにとどまっており、規制順守と信用力だけでは流動性が生まれないことを示しています。
法制面も未完成です。GENIUS法の実施規則は2026年7月18日の期限に間に合わず、通貨監督庁(OCC)は同年11月の最終化を目指しています。連合の目標時期は、その規則が固まるかどうかとほぼ重なります。
MUFGにとっては、円建ての実取引開始とドル建ての立ち上げがほぼ同時期に訪れることになりそうです。
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