ビットコインの「次の地雷」は財務企業?優先株が招く売却リスク
よきょい

仮想通貨ビットコインは、その歴史の中で幾度も大きな暴落イベントを経験してきました。2022年の大手取引所FTXの破綻は、その代表的な例として記憶されています。こうした急落の引き金は、取引所の経営破綻や大型ファンドの清算など市場の信認を揺るがす特定の主体に起因することが少なくありません。
そして今、トレーダーの間で「次の地雷」として警戒される存在として、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)社の名が挙がっています。
同社は世界最大級のビットコイン保有企業であり、長年「企業による永続的保有」の象徴とされてきました。しかし、その資金調達構造に潜むリスクが相場下落局面で改めて意識されるようになっています。ビットコインを購入するために設計された金融商品が、皮肉にもビットコイン暴落の引き金になりかねないという構図が浮かび上がっているのです。
年初来最安値を更新するSTRC
注目を集めているのが、同社の主力配当型優先株「STRC」です。STRCは「変動利付永久優先株」と呼ばれる金融商品で、満期がなく、年間11.50ドル相当の配当を継続的に支払う設計になっています。会社側が利率を調整できる仕組みを持ち、株価を額面の100ドル近辺に保とうとする狙いがあります。
ただしSTRCには100ドルで取引されることを保証する仕組みはなく、利率調整によって価格を誘導する「ソフトな固定」にとどまります。そのためビットコインが下落して投資家がより高い利回りを求めると、価格が額面を下回ります。水曜日(17日)の取引では年初来安値の91.79ドルで取引されています。
$STRC closed today at a YTD low of $91.79 (12.6% yield).
Everyone is so focused on the par value that they ignore what the market is screaming: 86% of the variation in $STRC‘s yield spread is explained by Bitcoin’s price.
This is the most important chart on $STRC.
(1/5) pic.twitter.com/alSwyfVpWB
— Thomas Perfumo, CFA | thomasp.eth 🐒 (@ThomasPerfumo) June 16, 2026
STRCは過去1年で28億ドルから105億ドルへと急拡大し、新株発行を通じて77億ドルを上積みしました。これは金融商品として歴史上最も急成長したものの一つとされています。しかし、ビットコインが下落し競合する優先株がより魅力的な条件を提示する中で、市場はより高い利回りを暗に要求している状況です。
「ストラテジーでもBTCを売る」という動揺
懸念されるのは、この優先株の配当原資を確保するために同社が保有するビットコインの売却に踏み切る可能性です。実際、ストラテジーは6月1日のフォーム8-Kにおいて、5月26日から31日にかけて32BTCを約250万ドル(平均価格7万7,135ドル)で売却したと開示しました。これは2022年以来初のビットコイン売却であり、売却益は優先株の配当原資に充てられるとされています。
数字だけを見れば、その影響は限定的です。5月末の売却は総保有量の0.0038%、同日の報告日次出来高の約0.014%に過ぎませんでした。加えて、同社はその後すぐにビットコインを買い増し、保有量を84万6,842BTCへと積み増しています。しかし、これまで築かれてきた「ストラテジーは永久保有者である」という物語に亀裂を入れた点が重要だと見られています。
NEW: Michael Saylor clarifies “never sell your Bitcoin” was advice to investors, not a promise his company would never sell.
— Polymarket (@Polymarket) June 11, 2026
「ビットコインを決して売らない」という長年の姿勢の転換は、SNS上で激しい議論を呼びました。懐疑派はこれが配当義務を賄う仕組みに構造的な問題があることを示すと指摘。なお、セイラー氏は「ビットコインを決して売るな」という言葉は投資家への助言であり、自社が決して売らないという約束ではなかったとの趣旨で説明しているとされています。
予測市場が映す保有拡大への懐疑
こうした不透明感は予測市場にも表れています。予測市場大手のPolymarketでは「12月31日までにマイクロストラテジー社の保有BTC枚数はどの水準に達するか」を問う市場が立てられています。その中で「100万BTC以上」の保有を発表するとの見方は26%にとどまり、保有拡大のペースには慎重な見方を示している状況がうかがえます。
多くの機関投資家は今回の一連の動きを「死のスパイラルではなく対応可能なレバレッジの摩擦」と捉えているとされています。同社は購入資金の調達と現金ポジションの再構築を同時に進めるため、1億8,100万ドルの普通株を発行し、米ドル準備金を10億ドルへと積み増すなど、流動性懸念に直接対応する動きも見せています。(関連:「Microstrategyは6月16〜22日にビットコインの購入を発表するか?」)
それでも、ビットコインを買うための優先株がその維持コストゆえにビットコイン売却を招き相場下落の引き金になりかねない――この皮肉な構図への警戒は残ります。
市場は同社の保有モデルが「永久的な買い手」としての信認を保てるかを引き続き注視していくことになりそうです。
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記事ソース:Polymarket、Strategy
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