BTCが試される局面?国債利回りに異変、20年ぶり高水準

BTCが試される局面?国債利回りに異変、20年ぶり高水準

米国株式市場が最高値を更新し、中東情勢の緊張がやや和らいだことを受けて原油価格も下落しました。ビットコインは7万3000ドル台で推移しています。市場全体には「最悪の事態は避けられた」という安堵感が広がっています。しかし、この空気に異を唱える声もあります。

欧州大手のデジタル資産運用会社CoinSharesでCEOを務めるジャン=マリー・モニェッティ氏は「先進国の長期国債市場では水面下で大きな変化が進んでいる」との見方を示しました。



20年ぶり高水準の国債利回りが意味するもの

モニェッティ氏が引き合いに出すのは、英国の10年物国債の利回りがおよそ20年ぶりの高さに達しているという事実です。日本の長期国債も30年ぶりの高水準にあり、フランスに至っては2009年以来の利回り水準まで戻っています。フランスの民間部門の債務は対GDP比で2009年当時の171%から現在は215%まで膨らんでおり、当時よりも財政状況が悪いなかで同じ利回りになっている、という点を同氏は問題視しました。



債券市場が察知する「資本ナショナリズム」

なぜ国債の利回りが上がっているのか。同氏はこれを単なるエネルギー価格の話ではなく、政府が増え続ける借金の返済を国内の銀行に肩代わりさせる方向に向かっていることを債券市場がいち早く察知して織り込み始めているサインだと解釈しています。実際に英国の50年物ブレークイーブン・インフレ率は1月の3.17%から5月には3.40%まで上昇しており、インフレ期待が静かに上振れし始めていると同氏は指摘します。

ストラテジストのラッセル・ネピア氏はこれを「資本ナショナリズム」と呼び、国家が銀行を通じて国民の貯蓄を吸い上げ、形を変えた資本規制を敷くようになる、という10年スパンの見立てを示しています。モニェッティ氏はこの見立てに共感を表明しました。なお、こうした解釈はネピア氏らの一意見であり、市場全体の共通認識ではない点には注意が必要です。



日銀の身動きの取れなさと日本投資家への含意

日本の投資家にとっても他人事ではありません。モニェッティ氏は論考のなかで「日本銀行が身動きの取れない状況に陥っていることは変わらない」と日本の状況にも触れています。

これまで株価が下がった時の保険として機能してきた国債そのものが政府の借金処理の道具になりつつあるとすれば、従来の「株が下がれば債券が上がる」という資産配分の常識が崩れることになります。同氏はAIブームで高値圏にある米国のテック株も長期金利の上昇と景気後退が同時にやってくる局面では十分な避難先にならないと指摘。つまり、債券に逃げても守られず、株は来ないはずの景気後退に備えていない――そんな運用しにくい局面が来ているというのが同氏の見立てです。



ビットコインが「想定していた局面」

ここで同氏が議論の結論として持ち出したのがビットコインです。「これこそビットコインの設計が本来想定していた局面だ」と述べ、世界中で誰でも持つことができ、機関投資家もアクセスでき、政治的な思惑で発行量を変えられない唯一のお金のネットワークだと位置付けました。ビットコインの日々の値動きの激しさと貨幣の仕組みとしての長期的な信頼性は別の話だ、というのが同氏の主張です。

なお、CoinSharesはビットコイン関連の上場投資商品を運用することを本業の柱としており、ビットコインの構造的な価値を強調することは同社のビジネス上のポジションと一致する点も読者側で念頭に置いておく必要があります。

長期金利の節目超えという事実は無視しにくく、株と債券で守る時代の前提が変わりつつあるなかビットコインに構造的な役割を見出すかどうかがいま個人投資家に問われています。

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記事ソース:CoinShares

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