仮想通貨は購入後すぐ送れなくなる?金融庁が出庫制限を要請

仮想通貨は購入後すぐ送れなくなる?金融庁が出庫制限を要請
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金融庁と警察庁は国内の暗号資産(仮想通貨)交換業者に対し、詐欺被害の防止策を強化するよう要請しました。11項目にわたる対策のうち利用者への影響が大きいとされるのが、法定通貨を入金した後、または暗号資産を購入した後の一定期間、その暗号資産を出庫できないよう制限するという内容です。具体的な制限期間は明示されていません。

背景にあるのは「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害急増です。金融庁は暗号資産が詐欺被害者による交付に用いられる事例が年々増加傾向にあるとして、暗号資産を用いて行われる金融犯罪への対策が急務との認識を示しました。暗号資産取引は非対面が一般的であることに加え、対策が不十分な交換業者が犯罪者に狙われやすいことを踏まえ、今回の対策は事業規模によらず必要だと位置づけています。

暗号資産が活用された被害が起きた後の回復は容易ではありません。米検察当局が先月約2640万ドル相当の仮想通貨について民事没収を申し立てた案件では、200人を超えるロマンス詐欺の被害者と資金を混ぜ合わせるために使われた数百の中継アドレスが関与していました。資金洗浄の実行者は東南アジアに集中しており、いったん国外へ送られた資金を被害者の手元へ戻せるかは不透明です。出庫の段階で時間を稼ぐという今回の要請はこのような犯罪手口の構造を前提にしたものといえます。

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出庫まわりだけで3項目

今回の当局による要請のうち資産を外部へ動かす場面に関するものは3項目あります。1つ目が前述の入金後・購入後の出庫制限で、制限が解除された後に早期から多額・多頻度の出庫を行っている顧客については取引の背景などを確認するよう求めています。

2つ目が出庫先の事前登録制です。送付先の情報をあらかじめ登録させたうえで詐欺などとの関連性を確認し、関連性が認められる場合には出庫を防止する運用が求められます。新たに登録された出庫先に対しても、一定期間は出庫を制限するよう要請されました。

送付先をめぐってはすでに移転時に送付人・受取人の情報通知を義務付ける「トラベルルール」が2023年の法改正で法的義務となっています。もっとも同制度は交換業者間の情報通知が軸で通知対象となる法域も限られます。今回の事前登録制は送付先を詐欺との関連性という観点から事前に審査するという別の角度からの網といえます。

3つ目が出庫限度額の設定です。顧客のリスク評価や属性、保有資産額、取引目的、過去の取引内容などに応じて限度額を設けるほか、引き上げ時には利用目的を勘案した適切な額とし一定額以上への引き上げではリスクに留意した対応を求めています。詐欺被害の発生状況を踏まえて限度額を機動的に制限・見直しすることも盛り込まれました。

いずれも詐欺グループの指示を受けた被害者が入金から送付までを短時間で完了させてしまう流れに時間的な「壁」を差し込む設計といえます。

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警察連携まで

出庫制限以外の項目も広範です。モニタリング面では足元の詐欺被害のパターンに着目した検知シナリオの適用に加え、不正利用が確認された口座と同一の端末・アクセス環境からの取引の検知、顧客の申告情報や過去のアクセス情報と整合しない接続の検知といったアクセス環境の監視強化が並びました。

検知後の対応も不正の確証が得られる場合は入出金・入出庫の停止や凍結といったリスク遮断措置、確証が得られない場合は取引の一時保留や顧客への確認といったリスク低減措置へと細分化し、夜間・休日にも速やかに取引制限を行える態勢を構築するよう求めています。

このほか、なりすましが疑われる場合の認証強化としてフィッシングに耐性のある多要素認証を重要な操作時に必須化すること、振込・送金依頼人名と口座名義人名の一致確認、交換業者間での手口・対応事例の情報共有、詐欺のおそれが高い取引を検知した際の都道府県警察への迅速な情報提供と連携体制の構築が挙げられました。

金融庁は8月7日付の組織再編で「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設し、交換業者の監督を担う暗号資産モニタリング室を同課の下に置いています。監督体制の格上げと歩調を合わせる形で実務面の要求水準も引き上げられた格好で、利用者にとっては送金の即時性やオンチェーン金融の利便性と引き換えに詐欺被害の入口が狭まることになりそうです。

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記事ソース:金融庁

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