ブロックチェーンで相次いだ2件の不具合|共通点は「古い数字」

2026/08/27・

よきょい

ブロックチェーンで相次いだ2件の不具合|共通点は「古い数字」
ct analysis

8月に相次いで公表されたブロックチェーンの記録をめぐる2件の不具合は、まったく別のネットワークで起きたにもかかわらず、原因の形がよく似ています。どちらも「システムが持っている数字」と「実際の状態」がずれ、その古い数字のほうを判断材料にしてしまったことから始まりました。

供給量がゼロと記録されていた82のマーカー

セキュリティ企業Trail of Bitsは、Provenance Blockchainで82のメインネット資産アカウントが乗っ取り可能だった欠陥を公表しました。マーカーと呼ばれるこのアカウントは、トークンの供給量、権限、エスクロー残高を司ります。トークンを1枚も持たない利用者が管理・発行・引き出しの権限を取得し、次の取引でそれを行使できる状態だったといいます。

原因は供給量の記録が二重に存在していたことです。非固定型のマーカーでは、bankモジュールが実際の流通量を追跡する一方、マーカー側の供給量フィールドはゼロのまま残ることがありました。権限チェックは古いマーカー側の値を読み、「その口座が全供給量を保有しているか」を判定します。新規アカウントの残高もゼロなので、ゼロとゼロが等しいとみなされ、権限の変更が承認されてしまいました。



1.12ドルと記録されたcbETH

もう1件はレンディングプロトコルのMoonwellです。2月15日のオラクル誤設定でcbETHが本来の約2,200ドルではなく1.12ドル前後として価格付けされ、清算者が1,096.317cbETHを押さえた結果、約180万ドルの不良債権が残りました。2月時点の復旧案は、2月14日から18日に清算された約181名の借り手について約270万ドルの純損失を算定していました。

リスク受託者Anthias Labsが8月24日に公表した準備金配分では、cbETHの行にグロス1,768,665.13ドル、純不足額1,768,664.86ドル、準備金7,360.83ドルが並ぶ一方、返済への配分はゼロでした。1,000ドル以下を対象外とする基準なのか利用可能な現金の制約なのか、報告書は理由を説明していません。

片方は保有量の記録、もう片方は価格の記録です。どちらも別系統にある真実の値と突き合わせていれば防げた種類の不整合でした。トークン化された現実資産が増えるほど、権限判定と担保評価がどの記録を参照しているのか、そしてそれが実態と一致しているかを誰が検算しているのかが問われることになりそうです。

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