仮想通貨税率が「20%」になる人・ならない人|金商法改正案の可決で

仮想通貨税率が「20%」になる人・ならない人|金商法改正案の可決で
ct analysis

仮想通貨(暗号資産)の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移管する改正法が7月15日、参議院本会議で可決され、成立しました。改正法は情報公表義務や不公正取引規制の導入、無登録業者対策の強化などを盛り込んでおり、2027年中の施行が見込まれています。

これに連動して、国内登録の暗号資産取引業者を通じて行う特定暗号資産の取引については、2028年分から申告分離課税20%が適用される見込みです。

7月14日に行われた参議院財政金融委員会では、海外DEX(分散型取引所)経由のミームコイン取引やSNS上の情報発信の扱いなど、投資家に直結する論点について政府答弁が示されています。税負担と投資家保護の線引きがどこに引かれたのか、委員会でのやり取りをもとに整理します。



分離課税の対象は「国内業者経由」の取引のみ

税制について、金融庁の井上俊剛企画市場局長は委員会で適用範囲を説明しました。申告分離課税が適用されるのは、暗号資産取引業者(現行の国内登録交換業者)が取り扱う暗号資産を、その業者に対して譲渡等した場合です。今回の金商法改正により当該取引について利用者保護の充実が図られたこと、業者を通じて取引内容を税務当局へ報告する義務が整備されたことが適用の根拠とされています。

委員会では無登録業者が売買するトークンについては総合課税のままであることが確認され「登録しない業者にそうした売買をさせなければよいのではないか」との質問も出ました。これに対し金融庁は当該行為が販売、交換、その媒介を業として反復継続して行われているかを実態に即して判断すると答弁しています。国内業者経由か否かで税負担と法的保護の両方に大きな差がつく構図です。



海外DEXでのミームコインの取引は規制の外

委員会で議論の対象となったのが、海外DEX経由のミームコインの取引です。質疑ではソラナチェーン上で発行されDEXで流通したトークンを例に、国内取引所でSOLを購入し、自分のウォレットへ送金してDEXでスワップするという典型的な購入経路が示されました。この場合、国内登録業者はそのミームコインを上場・販売しておらず、購入者は海外DEX上で自らウォレットを接続して取引しています。

この点について片山さつき財務大臣は、DEXには中央集権的な管理者がいないか特定し難く、金融審議会ワーキンググループの報告書でも規制対象の特定が困難でグローバルに規制手法が確立されていないと整理されていることを説明し、各国の規制や運用動向を注視しながら継続的に検討すると答弁しています。

SNSの「煽り投稿」はどこから違法になるのか

国内側の入り口となるSNSでの情報発信について、考え方も示されました。

井上局長によると、不特定多数に向けた暗号資産の情報発信が直ちに勧誘に該当するわけではなく、具体的な資金調達に向けた情報発信かどうかが分かれ目になります。その上で、個別の行為が違法かどうかは形式ではなく実態に即して判断するとし「上がる」「今買うべき」といった投稿が購入の推奨を強く疑わせる場合には考慮要素になり得ること、発信者自身がそのトークンを保有し売却益を得る立場にある場合には不公正取引規制との関係が論点になることを認めています。具体的な基準は今後、金融庁のガイドライン等で明確化される予定です。



守られる取引と守られない取引

改正法で強化されるのは、国内登録業者を経由する取引の保護です。発行者や交換業者への情報公表義務、虚偽記載への民事責任・課徴金、インサイダー取引を含む不公正取引規制、投資助言・運用業規制などが整備され、無登録業者への罰則引き上げや裁判所による緊急差止命令の新設も盛り込まれました。

金融庁への相談は2026年1月〜3月だけで1,466件に上り、大半が詐欺的勧誘に関するものでしたが、金融庁はこれらの相談原因の大半が今回の法改正で法令違反またはエンフォースメント強化の対象になるとの見解を示しています。

なお、NFTは従来通り暗号資産に該当せず今回の規制対象外、ステーブルコインも電子決済手段として引き続き資金決済法の管轄です。委員会採決時には全会一致で附帯決議が採択され、規制の及ばない暗号資産取引が引き続き存在することの周知や施行後5年を待たない見直し検討が政府に求められました。

今回の改正で国内市場は「保護と分離課税がセットになった内側」と「自己責任と総合課税の外側」に明確に二分されることになります。税制メリットを求める資金が国内業者へ回帰する動きが想定される一方、オンチェーンの最前線は制度の外に残るため、投資家には自分の取引がどちら側にあるのかを把握することがこれまで以上に求められます。

国内取扱銘柄の拡充が進まなければ税制と利便性を天秤にかける状況が続くケースも想定され、施行までの細則設計と各社の銘柄審査態勢が実際の資金フローを左右することになりそうです。

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