【今日のマクロ経済】ベッセント長官「今や私が胴元だ」と円売り勢をけん制
よきょい
9月10日現在、ベッセント米財務長官の発言が円売り勢へのけん制として市場に受け止められています。長官は8日にテキサス州で開かれたイベントで、米当局が円について介入を行う際には日本側や日銀がどう動くかを「かなり正確に把握している」と述べたうえで、「今や私が胴元だ」と発言しました。円売りに賭ける市場参加者を正面から牽制した形で、これが伝わると円買いが優勢となっています。
一方、米財務省が長期国債の買い戻し拡大オペの初回について最大60億ドルを買い戻すと発表すると、市場で期待されていた80億〜100億ドル規模に届かず失望売りが優勢となりました。10年債利回りは一時4.86%近辺と2023年11月以来の高水準を付けています。
📈 主要指標(9月10日)
| 銘柄 | 直近価格 | トレンド | 一言コメント |
|---|---|---|---|
| S&P 500 | 7,636.36 | 下落 | 原油100ドル超と金利上昇で-0.48%と3日続落。SOXは下げ相場でも続伸 |
| 日経平均 | 65,142.78円 | 下落 | 原油94ドル台への上昇で-0.19%と小幅続落。本日午前も64,500円前後で軟調 |
| 金(Gold) | $4,390〜4,450/oz | 保合い | 4,400ドルを挟んで一進一退。地政学リスクとドル高・金利上昇の綱引きが続く |
| 原油(WTI) | $96前後/bbl | 上昇 | 一時96ドル台へ急騰しブレントは100ドル超。供給懸念が一段と強まる展開 |
| BTC | $78,000〜79,000 | 保合い | 一時7万6000ドル台まで下押し後に戻す。8万ドルの節目は依然として重い |
| ETH | $2,460〜2,500 | 保合い | 2,500ドルを挟んだ攻防が継続。方向感を欠いた小幅な値動きにとどまる |
| SOL | $101〜104 | 下落 | やや軟化するも100ドル台は維持。8月の急騰局面からは水準を切り下げる |
| XRP | $1.38〜1.44 | 保合い | 1.40ドルを一度割り込んだ後に持ち直し。レンジ内での推移が定着しつつある |
📊 マクロ経済:本日の注目トピックス
① ベッセント長官「今や私が胴元だ」、円売り勢をけん制
9日のドル円は下落後に反発しました。まず円買いを誘ったのがベッセント米財務長官の発言です。長官は8日にテキサス州で開かれたイベントで、米当局が円について介入を行う際には日本側や日銀がどう動くかを「かなり正確に把握している」と述べ、さらに「今や私が胴元だ」と円売りに賭ける市場参加者をけん制しました。
この発言の重みは、7月末からの経緯を踏まえると理解しやすくなります。7月30日から31日にかけての日米協調介入は6〜9兆円規模と推計され、15年ぶりの異例の措置でしたが、8月末にはドル円が160円台まで戻していました。市場では「介入は所詮時間稼ぎ」との見方が支配的でした。それに対して米財務長官が日銀の動きを事前に把握しているという情報優位を明示し、賭けの胴元という比喩まで持ち出したわけです。ベッセント氏はこれまでも日本の利上げに向けた道筋を明確に示すことの重要性に言及するなど、日銀への圧力を続けてきました。
ただしドル円は反発しています。米財務省の買い戻しオペが期待外れの規模だったことで長期金利が上昇し、ドル買いに転じたためです。153円を割り込む水準から153円80銭まで戻しました。
② 買い戻しオペは最大60億ドル
米財務省が10日に実施する長期国債の買い戻し規模を最大60億ドルと発表しました。市場で期待されていたのは80億〜100億ドル規模だったため、失望売りが優勢となっています。10年債利回りは一時4.86%近辺まで上昇し、2023年11月以来の高水準を付けました。その後は堅調な10年債入札を受けて上げ幅を縮小し4.84%前後で取引を終えています。30年債利回りも5.26%前後まで上昇しました。
8月19日に買い戻し拡大が発表された当初、市場は長期金利上昇に歯止めがかかるとの期待から大きく反応し、仮想通貨の急騰のきっかけにもなりました。しかしその後の展開は一貫して「効果は限定的」という評価です。中東情勢の緊迫化によるインフレ懸念に加え、財政赤字やAI関連企業による社債発行増加を受けた需給悪化懸念が構造的な要因として残っており、買い戻し策だけでこれらを打ち消すには不十分との見方が多数を占めています。
③ 原油96ドル・ブレント100ドル超、本日PPI・明日CPI
原油の上昇が止まりません。WTIは9日に一時1バレル96ドル台まで上昇し、ブレントは100ドルを突破しました。中東情勢に出口が見えないなかでの急騰です。8月上旬に75ドル台まで下げていた局面からは20ドル以上の上昇で、サウジアラビアのエネルギー施設攻撃以降は産油インフラそのものが標的となる段階に入っています。
株式市場への影響は日米で共通しています。9日の日本市場では前場にAI・半導体関連の買いが先行したものの、原油が94ドル台まで上げると企業業績への影響やインフレ警戒から売りが優勢となり、日経平均は65,142.78円(-0.19%)と小幅続落しました。米国市場でも主要3指標が揃って続落しています。ただし下げ相場のなかでも半導体の一部には買いが入り、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は続伸しました。日本企業は業績がエネルギー価格の影響を受けやすく、本日も中東情勢と原油価格を睨みながらの神経質な値動きとなりそうです。
仮想通貨市場は上値の重い展開が続いています。ビットコインは一時7万6000ドル台まで下押しした後、7万9000ドル付近まで戻しました。8万ドルの節目が依然として重い状態です。イーサリアムは2,500ドルを挟んだ攻防、ソラナは101〜104ドル、XRPは1.40ドルを一度割った後に持ち直しています。本日は米8月卸売物価指数(PPI)、明日は8月消費者物価指数(CPI)の発表が控えます。原油が75ドル台から95ドル超まで駆け上がった8月の動きがどこまで指標に反映されるかが、来週15日・16日のFOMCの判断を左右します。加えて17日・18日には日銀金融政策決定会合も控えており、日米の金融政策が同じ週に決まる異例の日程です。円高が進めばドル建て価格が横ばいでも円建て価格は下がるため、国内投資家にとっては両方の会合が下値リスクとなり得ます。物価指標を通過するまでは、ポジションを傾けにくい局面が続きそうです。
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