仮想通貨税制20%へ道筋、メタプラネット株が迎える転換点

仮想通貨税制20%へ道筋、メタプラネット株が迎える転換点

引用元: ロゴ引用元|metaplanet.jp

暗号資産(仮想通貨)を「金融商品」として金融商品取引法(金商法)の規制対象に位置付ける改正法が、7月15日の参議院本会議で可決・成立しました。今回の改正により、暗号資産の取引規制は資金決済法から金商法の枠組みへと移行します。これに伴い、初めてインサイダー取引規制が導入されるほか、無登録業者に対する罰則も拘禁刑3年から10年へと大幅に強化されます。

また、これに連動する税制改正において国民の資産形成に資する一定の暗号資産に限り、従来の最高55%の総合課税に代わって原則20%の申告分離課税と損失の3年繰越が適用されることが盛り込まれました。この新たな税制は2027年中に施行された場合、翌年の2028年分の所得から適用される見込みです。

暗号資産をめぐる法規制が新たな段階を迎える中、その影響が事業の転換点に直結しようとしているのが、7月時点で約4万3,000BTCを保有する東証上場企業のメタプラネットです。税制面での優遇によってビットコインの需要が高まれば、大量保有する同社の資産価値向上に繋がると想定されます。しかし制度の細部を追うと、今回の改正が同社の「従来の投資対象としての側面」と「今後の新規事業」に対して、それぞれ異なる方向の力をかける構造が浮かび上がります。



税率差の縮小により、株式として選ばれる動機が薄れる

見落とされがちなのは、暗号資産と株式の税率差が同社株の買い材料の一つだったという点です。株式の譲渡益は以前から申告分離課税の対象であったため、ビットコインを直接買う代わりにビットコイン保有企業の株を買えば、値上がりの果実を相対的に低い税率で受け取れるという構図がありました。

同社株が選ばれる背景には証券口座だけで購入できる手軽さ、信用取引の利便性、資金調達による1株当たりBTC増加への期待など、税制以外の要素も存在します。税率差の縮小によって失われるのは複数ある動機のうち「税制面における相対的な魅力」です。

さらに、ETF(上場投資信託)の存在も影響します。金商法上の位置付けが整ったことで国内におけるETF解禁に向けた前提条件の一つが揃い、金融担当相も解禁の検討を表明しています。解禁や上場の時期は現時点で確定していませんが、将来的に証券口座を通じて低コストでビットコインに投資できる商品が実現すれば「ビットコインの代替」という役割において直接的な競合となります。ただし、同社株はビットコイン価格への単純な連動商品ではなく、資金調達や株式の希薄化、新規事業の成否も価格に織り込まれるため、ETFと完全な代替関係になるわけではありません。



保有から商品供給へ、金商法が支える新事業の足場

メタプラネット自身はこうした事業環境の変化を先取りする動きを見せています。

同社は6月にSiiibo証券の全株式を21億円で取得する契約を締結し、7月にグループ参画に合わせて同証券を「メタプラネット証券」へ商号変更。私募社債のオンラインプラットフォームを母体に親会社のビットコイン運用ノウハウを活用した商品の組成や提供を目指す「BTC×金融」構想を掲げており、金融庁の第一種金融商品取引業登録に基づいて運営されます。

米調査会社Benchmarkはこの買収を「数年分の規制インフラを買っている」と評価し、日本でビットコイン中心の金融エコシステムを築く第一歩になりうるとの見方を示しています。法改正により暗号資産の運用や投資助言は業規制の対象となり、規制が厳格化するほど、登録を持つ事業者にとっては参入障壁として機能します。第一種登録があれば直ちに暗号資産関連商品を販売できるわけではなく、商品によっては変更登録や当局との調整が必要になりますが、今回の買収で短縮されたのは市場参入までに要する時間です。

市場環境の変化も同社の方向性と一致しています。米国では優先株や社債を通じ、ビットコインを裏付けとする企業の信用市場が拡大しています。メタプラネットもステーブルコイン発行体のJPYCやトークン化基盤のProgmatなどとビットコインやセキュリティトークンを活用したデジタルクレジット領域の共同検討「Project Nova」を開始し、この潮流を日本市場へ持ち込もうとしています。

新たな評価基準が求められる転換点

これらを整理すると、金商法改正と税制見直しは「ビットコインを税制上有利に保有する手段」としてのメタプラネット株には逆風となり得る一方「ビットコイン関連金融商品を組成・販売する会社」への転換には制度上の追い風となり得ます。

ただし、メタプラネット証券の商品は利率や発行時期、販売方法が未定の検討段階です。第一種金融商品取引業の登録や約25万人とされる株主・投資家基盤は出発点にはなっても、それだけで収益化が保証されるわけではありません。

税制改正後に投資家が注視すべき指標は保有ビットコインの総数に留まりません。株式の希薄化を考慮した1株当たりの保有BTCが増加しているか、資金調達コストを抑えられているか、そして証券事業が継続的な収益を生み出せるかが問われます。改正法の成立によって、同社を単なる「ビットコイン代理株」として評価する局面は転換点を迎えつつあると言えます。

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