マイクロン史上最高の四半期決算でメモリ株絶好調、AI相場は最高潮——それでもビットコインだけが下がり続ける理由

マイクロン史上最高の四半期決算でメモリ株絶好調、AI相場は最高潮——それでもビットコインだけが下がり続ける理由
ct analysis

半導体メモリ大手が記録的な決算で沸き立ち、AI関連株が市場を牽引する一方で、ビットコインは6万ドル、ゴールドは4000ドルを一時割り込み、軟調な値動きが続いています。「株が上がればBTCも上がる」という流れが多かったビットコインですが、これまでの経験則が、いま明確に崩れています。なぜ株式市場の熱狂をよそに、ビットコインだけが取り残されているのか。背景には、マクロ環境の地殻変動と、ビットコイン市場に固有のリスク要因という二つの力が同時に働いています。

メモリ株は「歴史的決算」で急騰

足元の株式市場では、マイクロン・テクノロジーが同社史上最高となる四半期決算を発表しました。次の四半期には売上高約500億ドル、粗利益率約86%という驚異的なガイダンスを提示し、AI向けの広帯域メモリ(HBM)需要が供給を上回り続けるという見通しが市場の強気を後押し。マイクロン株は時間外で15%以上の価格を上げ、さらにこの流れは日本のキオクシアや韓国のSKハイニックスにも波及し、メモリ関連株は軒並み上昇しました。

クラウド大手4社(Google・Amazon・Microsoft・Meta)の2026年の設備投資は合計7,000億ドル超とされ、この巨額のマネーが半導体産業全体を潤しています。つまりAI・半導体セクターは「実需に裏打ちされた成長」を評価され、資金を集めている状況です。


BTCが下がり続ける背景:タカ派に転じたFRBとドル高

その一方で、ビットコインは2025年に記録した史上最高値の半値水準まで調整が進み、AI相場の熱気とは対照的な姿を見せています。この「逆行」を理解する鍵が、金利とドルを巡るマクロ環境の変化です。

最大の逆風は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策スタンスの転換です。これまで利下げが期待されていましたが、足元ではむしろ利上げ観測が急速に高まり、ドル指数は約1年ぶりの高水準まで上昇しました。

ここで重要なのは、金利上昇とドル高は「利回りを生まない資産」にとって逆風になるという点です。現金や米国債の利回りが上がれば、配当も利息も生まないビットコインの相対的な魅力は低下します。同じ理由で、安全資産の代表である金(ゴールド)も同時期に一時4,000ドルを割り込みました。BTCと金がそろって売られたのは、両者が「無利回り資産」という共通点を持つからです。



2026年にFRBの利下げは全く行われないのでしょうか?
はい 81% · いいえ 20%

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Polymarketの「2026年の利下げが何回起こるのか」という予測市場においても、0回というのが伸びており、予測市場にも表れています。参加者の集合知として、2026年12月末までに0回が現在79%まで上がっています。なお予測市場の数値は将来の結果を保証するものではなく、あくまで現時点の市場参加者の見方を映したものです。

逆に言えば、メモリ株が同じ金利上昇局面でも買われたのは、「確定的な収益成長」という金利上昇を打ち消すだけの材料を持っていたからではないでしょうか。ここに株とBTCの明暗を分けた構造があります。

そして、投資家心理の面でも変化が起きています。これまでビットコインやゴールドに向かっていた投機的なマネーが、AI関連株へと流れ込んでいるのです。市場関係者からは、投資家が単純にAI株へ資本を振り向けているだけであり、足元のAIセクターが集める注目度を踏まえれば自然な動きだ、との指摘も出ています。

実際、ビットコインの現物ETFからは数週間にわたって純流出が継続し、30日間の流出規模は過去最悪水準に達したとの分析もあります。新規資金の流入が細り、むしろ流出が続いている状況は、相場の上値を重くする直接的な要因です。


ストラテジー社の優先株に走る「亀裂」

ビットコイン市場に固有のリスク要因として、いま最も警戒されているのが、ビットコイン財務企業として知られるストラテジー社(旧マイクロストラテジー)の動向です。資金調達の要となってきた優先株に、変調が生じています。

関連記事 : ストラテジー社の優先株が過去最安値、保有BTC売却の懸念も – Crypto Times

同社は変動利率の永久優先株「STRC」を、ビットコイン購入や事業運営の資金を支える柱と位置づけてきました。投資家に安定した配当を支払う代わりに資金を集める仕組みで、同社の資本戦略において重要な役割を担っています。

しかし、STRCは、額面100ドルを約20%下回る80.26ドルの過去最安値まで下落しました。資金調達の生命線でもある優先株が額面を割り込んだことは、市場が同社の配当維持能力に疑問を抱き始めていることを示唆しています。この背景には配当負担の急増があります。

暗号通貨のリサーチ企業CryptoQuantのKi Young Ju氏によると、同社の優先株配当の年間負担は2026年初めの約3億ドルから12億ドルへと急増し、現金準備は年初から38%減少しました。CryptoQuantは現状の配当負担を踏まえ、現金準備と配当カバー率を回復するまでビットコイン購入を停止すべきだと指摘しています。

現在、市場で警戒されているのが、配当負担に耐えきれず同社が保有ビットコインの売却に踏み切る可能性です。既に一度、ストラテジー社はビットコイン売却を行っており、もし再び配当金確保のために売却に動けば、市場に大きな売り圧力をもたらすことが想定されるため、市場参加者はこれらを警戒しているのです。


まとめ:株とBTCの「逆相関」が映すもの

いまビットコインが株式市場の好調をよそに下落を続けているのは、①タカ派に転じたFRBとドル高②ビットコインからAI株へのマネーシフト③ストラテジー社の優先株問題という、マクロとクリプト固有の要因が重なった結果です。

注目すべきは、現在のビットコインが「デジタルゴールド」としてではなく、「ハイベータなリスク資産」になってしまっている点です。株式市場が好調なときにはリスク資産として買われ、不安定なときには安全資産として買われる——そのどちらの顔も、いまのBTCは見せられていません。

今後はFRBの利上げパスとドル指数の動向、そしてビットコインETFへの資金フローが反転するかが焦点となります。とりわけストラテジー社が保有ビットコインのさらなる売却に踏み切るのかは、市場全体の地合いを左右しかねない重大なリスク要因として、引き続き注視が必要です。


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